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みんな大好きオメガ。
2022年1月最初のSpeedy Tuesday(スピーディー・チューズデー)に当たる1月4日に、そして続く3月8日に、満を持して新作発表が行われており、他の人気ブランドに先駆けて、時計業界を沸かせています。
高級時計市場でいっそう存在感を強めていくオメガの、2022年新作モデルとは?
目次
オメガ2022年 新作①シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ 6,000m
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スペック
外装
ケースサイズ: | 直径45.5mm×厚さ約18.12mm |
素材: | O‑MEGAスティールまたはチタン |
文字盤: | ブラック,ブルー,ホワイト |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | マスタークロノメーターCal.8912 |
パワーリザーブ: | 約60時間 |
機能
防水: | 6,000m |
定価: | 1,430,000円~1,573,000円 |
1948年、オメガ100周年の節目の年に発表されたシーマスター。時計業界の中でも非常に人気の高い一大コレクションですが、近年では旗艦機のモデルチェンジ等も相まって、いっそうの耳目を集めていますね。
このシーマスターの超ハイスペックモデルと言うと600m防水のプラネットオーシャンや1,200m防水のプロプロフ等が過去ラインナップされてきましたが、2022年、なんと6,000mものオーバースペックとも言うべき新作シーマスターが計7種、発表されています!その名も「シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ」です!
ちなみに、2022年は同社初の本格プロフェッショナルダイバーズウォッチ「シーマスター300」がスピードマスター・レイルマスターともども発表された1957年から数えて、65周年に当たります。
さらにオメガ初、かつ業界内でも先鋒を切った角型防水時計「マリーン」が1932年に発表されてから、90周年の節目でもあります。
防水時計と言うとロレックスを思い浮かべるかもしれません。確かにロレックスが1926年に発表したオイスターケースは、現代においても防水時計の規範と言うべき存在です。しかしながらオメガは、丸形時計よりも防水性の確保が難しいとされる角型で挑みました。
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上の画像がマリーンですが、ムーブメントへの浸水を避けるためにダブルケースを設け、内部ケースをすっぽりと覆うような構造になっていることが大きな特徴です。
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12時位置のリューズもカバーして固定しているため、角型であっても高い気密性を実現しました(ちなみに、ロレックスのオイスターケースはねじ込み式リューズを採用した画期的なものでしたが、「リューズのねじ込み忘れ」による浸水トラブルが散見されていました。オメガのマリーンは、そんなヒューマンエラーをもカバーした防水時計を確立したと言えるでしょう)。
なお、現代ダイバーズウォッチでは標準装備となっている微調整可能なクラスプもマリーンでは既に導入されていたとか。オメガの先進性を感じさせる歴史的なコレクションですね。
こういった防水技術を活かして軍用時計なども手掛けたオメガは、1948年にこのノウハウを生かし、タウンユースに向けた防水時計「シーマスター」を発表します。2018年にこのシーマスターはリバイバルされているため記憶に新しい方も多いかもしれませんね。
スモールセコンドを湛えたドレッシーな印象が、ダイバーズウォッチ然としたモデルとはまた違った魅力を有しています。
前置きが長くなりましたが、オメガの防水技術の確立から90年を経た2022年にリリースされたシーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープがどのようなモデルなのかを解説致します。
超ハイスペック!6,000m防水ダイバーズウォッチ
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これまで発表されてきたシーマスターの中でも屈指のダイナミックなケースにも目を奪われますが、やはり6,000mという超ハイスペックに驚かされるものですね。
もっとも当新作「ウルトラディープ」は、全く初の製造というわけではありません。
2019年に敢行された「ファイブ・ディープス探査」。大西洋・南極海・インド洋・太平洋・北極海を舞台にそれぞれの最深部の探査を行うというプロジェクトを指すこちらは、もちろん世界で最も深いと言われるマリアナ海溝にも挑まれました。
その時、アメリカ人海底探検家ヴィクター・ヴェスコヴォ氏が10,925mの海底で、単独乗りの潜水艦にて4時間の海底探査を行い、有人潜水艇による世界新記録を樹立(そして海の最奥部にもプラスティックごみが沈み、海洋汚染の実態が判明したことで話題になりました)。そのサポートを行ったのがウルトラディープでした。
このウルトラディープは約11,000mもの水深における水圧下でも無傷であることはもちろん高精度を誇っており、すなわちそれほどまでのきわめて高い防水性・気密性を備えていたことを意味します。なお、探査で用いられたウルトラディープは15,000mの深度を想定した設計となっているのだとか。
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オメガはこのウルトラディープを一般市場向けにリファインし、6,000m防水の新作シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープとして投入してきました。
ケースサイズは直径45.5mm×厚さ約18.12mm!かなりダイナミックですね!
とは言えオメガが公開した動画などで見るとケースは複雑なラインを描き、またサテン仕上げとポリッシュ仕上げがコンビネーションされていることから、オメガらしいラグジュアリーを備えていることがわかります。
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さらにバリエーションのうち6種には、高性能ステンレススティールとなる「O-MEGAスティール」が使われているとのことです。高性能ステンレススティールは、現在様々なブランドが採用するところですね。オメガでも近年様々な独自素材がリリースされていますが、O-MEGAスティールはその名の通り、とてもオメガらしいものと感じます。
ではO-MEGAスティールは何かと言うと、ニッケルを取り除き、窒素とマンガンを加えるなどしたオメガの独自合金です。一般的なSSに比べて強度・硬度が40~50%高くなりました。耐蝕性にも優れる他、ホワイトの色合いが明るくなっていることから、美観をも考慮されていることがわかります。ちなみにこのO-MEGAスティールによって6000m防水という驚くべきスペックにもかかわらずヘリウムエスケープバルブを取り払えたというのだから、二度も三度も驚かされます。
セラミックベゼルとラッカー仕上げのグラデーションがかった文字盤と合わせて、唯一無二のダイバーズウォッチに仕上がりました。
さらに、特筆すべきチタンモデルもラインナップされています。
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このグレード5チタンを用いたウルトラディープは、より2019年に探査をサポートした同名コレクションの系譜を受け継ぎます。ちなみにグレード5チタンは、ファイブ・ディープス探査で用いられた潜水艦「DSVリミティング・ファクター」の船体にも使用されました。
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この非対称ケースや特徴的な「マンタラグ」こそが、プロジェクトをよく助けたウルトラディープのDNAです。海底での膨大な掃流力を考慮して、あえてラグを開いた形状にしているとのこと。
さらにセラミックベゼルに描かれたダイビングスケールにはやはりオメガの独自素材であり高強度を誇りつつ軽量さも持ち合わせたリキッドメタルを使用しており、硬化被膜加工処理されたチタン製文字盤と合わせてプロフェッショナルな雰囲気を称えます。
チタンモデルに付属するNATOストラップは100%リサイクルのポリアミド製。これは漁網(ぎょもう)の再利用となっており、強度や耐久性に優れることは言わずもがな。環境に優しい素材ですね。
O-MEGAスティールにせよチタンモデルにせよ、特別感満載の新作発表となりました。
マスタークロノメーター認定Cal.8912搭載
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搭載するムーブメントは、オメガが誇るマスタークロノメーター認定のCal.8912。シーマスター300等でも搭載されていますね。
マスタークロノメーターは、ご存知オメガが誇る業界屈指の製品規格です。オメガがスイス連邦計量・認定極(METAS)との共同開発によって確立した規格で、クロノメーター認定機がその対象となります。そのため高精度を備えることは言わずもがな。加えて、15,000ガウスという業界屈指の耐磁性能が認定機には搭載されることが大きな特徴です。ちなみに15,000ガウスは120万A/mで、JISで規格される第二種耐磁時計が16,000A/mとなっていることを鑑みれば、いかに凄まじい性能を有しているかを垣間見ることができるでしょう。
ちなみにチューダーも2021年にマスタークロノメーター認定機を発表しており、業界内での注目度は増すばかりなのですが、オメガはこの認定機を標準装備としつつあるのだから驚きを禁じ得ません。
なお、コーアクシャル機構もオメガのムーブメントを語るうえで欠かせないテクノロジーです。
コーアクシャルはオメガの脱進機で、パーツ摩耗を著しく低減。一般的なメンテナンスのスパンを2倍ほどに延長することに成功した機構となります。
6,000m防水にマスタークロノメーター・コーアクシャルムーブメント搭載モデルにあたる当新作・・・
いったいどこに死角を見出して良いのかわからない、息を呑むようなハイスペックモデルですね!
バリエーション
「シーマスター プラネット―シャン ウルトラディープ」のバリエーションはNATOストラップ搭載のチタンモデル一つの他、O-MEGAスティールモデルが6種ローンチされています。
文字盤カラーはブルー・ホワイト・ブラックグレー。
メタルブレスレットまたはラバーストラップモデルがラインナップされました。なお、ブレスレットモデルのバックルにはオメガが特許取得の伸縮可能な折り畳み式ラック&プッシャーが備わり、容易に微調整が可能です。
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いずれのモデルにも、ケースバックにはグレード5チタン製ソナーメダリオンが搭載されました。
中央のシーホースからソナーがまるで発せられているようなデザインは、このモデルがオメガにとっても特別であることを示唆しているようです。
定価はラバーモデルが1,430,000円、オールO-MEGAスティールモデルが1,474,000円。チタン製モデルが1,573,000円。いずれも税込となっております。
オメガ2022年 新作②シーマスター アクアテラ NEW ダイアル
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スペック
外装
ケースサイズ: | 直径38mmまたは34mm |
素材: | ステンレススティール |
文字盤: | ブルー,グリーン,レッド等 |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | マスタークロノメーターCal.8800 |
パワーリザーブ: | 約55時間 |
機能
防水: | 150m |
定価: | 770,000円 |
シーマスターの中でも、ビジネスユースやタウンユースにマッチする上品なデザインが特徴的なアクアテラ。逆回転防止ベゼルやオーバースペックな防水性は持っておらず、スーツの袖口に収まるサイズ感も魅力的です。
アクアテラは1981年~製造されていたシーマスター120を踏襲したエレガンスで以て、2002年に誕生。2008年と2017年にフルモデルチェンジを経て、いっそうの輝きを増すコレクションとなっております。
ちなみに近年ではダイバー300Mやシーマスター300人気が目立ちますが、当店の売上本数を見ると、アクアテラは毎年と言って良いほどオメガの上位5番に入ります。しかも、ここ6年ほど継続して。アクアテラのコンスタントな人気は、名作ゆえの魅力にあるように思います。
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そんなアクアテラから、新しいカラー、新しい文字盤の2022年新作が登場しました!これはまた、オシャレですね!
アクアテラのアイコンでもあったチークコンセプト(文字盤の横縞装飾)がなくなり、代わりにサンレイ仕上げオンリーの都会的なスタイルが採用されました。
文字盤もグリーン・ブルー・オレンジ・ピンクにレッドなどと、とてもカラフルで楽しい雰囲気です。時計業界では多彩な文字盤カラー・デザインが近年のトレンドとなっておりますが、こういったバリエーションの豊かさは消費者にとって「選ぶ楽しみ」を持てるといったメリットがありますね。
ブレスレットも、新設計されているようです。
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アクアテラと言えば長方形コマのブレスレットが特徴的でしたが、優美なフォルムを描いたコマへと変更。これはこれで、また違ったフェミニンさ・エレガンスを添えられたようで、オメガ曰く「アクアテラコレクションに新たな風を吹き込みます」というのは、納得です。
搭載するムーブメントはマスタークロノメーターCal.8800。業界屈指の耐磁性能を有しているため、これまた内外ともに死角のない逸品と言えるでしょう。
オメガ2022年 新作③シーマスター ダイバー300M グリーン
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スペック
外装
ケースサイズ: | 直径42mm×厚さ13.5mm |
素材: | ステンレススティール |
文字盤: | グリーン |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | マスタークロノメーターCal.8800 |
パワーリザーブ: | 約55時間 |
機能
防水: | 300m |
定価: | 693,000円または649,000円 |
シーマスターの中でも、多彩なバリエーションと本格プロユース機能によってファンを魅了するダイバー300M。
登場は1993年ですが、2018年にマスタークロノメーター化を果たすと同時にモデルチェンジされたことで、ますますの人気を獲得しています。
300mという高い防水性に加えて逆回転防止ベゼル、たっぷりの夜光塗料が施された丸形インデックス・力強い時分針は、機能面のみならずアイコニックなデザインにも一役買っていますね。一方で流麗なケースラインや特徴的なベゼル形状が、エレガンスをも感じさせる逸品です。
前述の通りとにかくバリエーションが豊富なため、ラインナップを見ているだけでも楽しいコレクションの一つです。
そんなシーマスター ダイバー300Mに、グリーンカラーが加わりました!トレンドを上手に取り入れるオメガの巧みな戦術がまた憎いところです!
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深みあるグリーンのセラミックベゼルにセラミックダイアルが、大変魅力的に仕上がります。ちなみにポリッシュ仕上げが施されているため、実機でも華やかな印象が備わっていることでしょう。
1990年代の初期ダイバー300Mで高い評価を得、2018年以降からリバイバルされた文字盤の波状模様も健在で、本当にオシャレな顔立ちと言えます。個人的には、針の肉抜きがいっそうオシャレさを強調していると思っています。
搭載するムーブメントは他モデルと同様にマスタークロノメーター認定のCal.8800です。
この高性能ムーブメントは、やはり他モデル同様にシースルーバックから鑑賞頂けます。
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ブレスレットモデルとラバーストラップモデルがラインナップされていますが、それぞれ税込定価が693,000円/649,000円と良心的な価格設定なのも嬉しいですね。既存のSSモデルと同一です。
オメガ2022年 新作④スピードマスター 57
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スペック
外装
ケースサイズ: | 直径40.5mm×厚さ12.9mm |
素材: | ステンレススティール |
文字盤: | ブラック・ブルー・レッド |
ムーブメント
駆動方式: | 手巻き |
ムーブメント: | マスタークロノメーターCal.9906 |
パワーリザーブ: | 約60時間 |
機能
防水: | 50m |
定価: | 1,100,000円または1,056,000円 |
2013年にコレクションに加わった、スピードマスター 57 クロノグラフ。
1957年頃に作られた初期スピードマスターを彷彿とさせる、アイコニックなデザインが人気のコレクションですね。一方オリジナルとは異なりツーカウンタークロノグラフを採用したことで、初期モデルとはまた違ったヴィンテージなテイストを備えていることもまた特徴であり魅力です。
このスピ―マスター 57が、ついにマスタークロノメーター化を果たして2022年に登場しました!オリジナルを踏襲してか、手巻きムーブメントCal.9906が採用されております。
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新しいスピードマスター 57のまず注目すべき点はケースサイズでしょう。
直径40.5mm×厚さ12.9mmと、従来が直径41.5mmであったことに対して、ダウンサイジングが果たされています。ちなみに初期スピードマスターは39mmサイズでしたので、いっそうクラシックな雰囲気を備えたことを示唆します。
さらにベゼルがスリムになっていること。またベゼルのドットオーバー90仕様が採用されたこと。そしてガードのないリューズやプッシャーが引き続き搭載されていることなども、The ヴィンテージ!
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加えて1950年代当時のキャタピラ風ブレスレットを思わせる意匠がブレスレットモデルでは採用されており、新しくなりつつもスピードマスター57の持ち味が生かされているのが、さすがオメガと言うべきか。
文字盤バリエーションも、いっそう魅力的になりました。
もともとブラックの他にもホワイトやブルーが採用されたこともありましたが、2022年新作では同時にブルー・レッド・グリーンがラインナップ。
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もっとも目を見張るのはブラック文字盤の仕様です。
サンドブラスト仕上げが施されたブラック文字盤はサンドイッチになっており、くりぬかれた独特のインデックス部分からはヴィンテージな風合いを感じさせるスーパールミノヴァが覗きます。
ちなみにサンドイッチダイアルというのは、軍用時計などで採用が見られる仕様です。パネライが最も有名かもしれません。文字盤を層にしたような構造となっており、夜光を塗布したプレート上に、インデックス等の部分を穴あけしたプレートを重ねています。
夜光が経年劣化しても何度でも容易に塗り直すことができる,あるいは厚く夜光を塗ってもにじまないといった機能面で採用されたと思しき構造ですが、現在ではミリタリーを感じさせるテイストとして大人気。2021年にフルモデルチェンジしたシーマスター300にも、サンドイッチダイアルが採用されたことが個人的にはミソでした。
もちろんブラック以外のカラーリングも魅力的ですね。
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ブラック以外はそれぞれが文字盤に合わせたカラーのレザーストラップを搭載しており、モダンでオシャレなスピードマスター 57として楽しめます。
なお、2022年新作では針は全てアロー型で揃えられました。
前述の通り、搭載するムーブメントはマスタークロノメーター認定手巻きのCal.9906。
2021年にやはり一世を風靡したオメガ新作クロノスコープでもノンデイト版9908が搭載されていましたね。アラベスク模様のコート・ド・ジュネーブ装飾が施された3/4プレートが、美観と堅牢性を両立します。
定価はブレスレットモデルが1,100,000円、ストラップモデルが1,056,000円。
スピードマスター 57が1,012,000円でしたので、マスタークロノメーター化したことを鑑みれば、お得感はかなり強いと言える新作です。
オメガ2022年 新作⑤スピードマスター ムーンウォッチ ムーンシャインゴールド
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スペック
外装
ケースサイズ: | 直径42mm×厚さ13.8mm |
素材: | ムーンシャインゴールド |
文字盤: | イエロー・グリーン |
ムーブメント
駆動方式: | 手巻き |
ムーブメント: | マスタークロノメーターCal.3861 |
パワーリザーブ: | 約50時間 |
機能
防水: | 50m |
定価: | 3,135,000円~4,653,000円 |
オメガのフラグシップと言えば、スピードマスター プロフェッショナルでしょう。
1957年にレーシングモデルとして誕生した傍ら、NASAの公式装備品としてアポロ計画にも携行されたことから、ムーンウォッチの愛称でも親しまれています。
旗艦モデルはステンレススティールの外装にブラック文字盤を称えた精悍なデザインコードを持ちますが、2022年、ムーンシャインゴールド製の華やかかつゴージャスなモデルがリリースされました!
ちなみにムーンシャインゴールドとは、2019年にスピードマスターに採用されて大きな話題となったオメガの独自合金です。
この2019年は、かの有名なアポロ11号計画によって月面着陸が果たされてから50周年という節目の年でした。そのため特筆すべきスピードマスターが多数ラインナップされたものですが(ちなみにこの前年にバーゼルワールドを離れていたため、以降は独自に新作発表を行うようになっている)、中でも「ムーンシャイン」の文字は異彩を放っていたものです。
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このムーンシャインゴールドはイエローゴールドよりも淡い色合いを湛えていることが特徴です。まさに月光をイメージしているのだとか。18Kゴールドにシルバーとパラジウムを合金しており、色合いの妙のみならず、退色への耐性も備えているとのことです。
直径42mmのケースにはムーンシャインゴールドがあしらわれることで、特別な存在感を醸し出すこととなりました。
基本的なデザイン・仕様は従来のスピードマスター プロフェッショナルを踏襲しているため、ステップダイアルやインダイアルのスネイル仕上げ,ドット・オーバー・90などをお楽しみ頂けます。
※ドット・オーバー90・・・タキメータースケール90のドット印字が、一般モデルは数字のすぐ横であったことに対し、復刻モデルでは90の斜め上に打たれている
※ドット・ダイアゴナル・トゥ 70・・・タキメータースケール70のドット印字が、やはり一般モデルと異なり数字の斜め位置に打たれている。いずれもオールドスピードマスターに見られる仕様
ラインナップは計4種です。
ゴールド文字盤またはグリーン文字盤で、それぞれメタルブレスレットと、グリーンではレザーストラップ、ゴールドではラバーストラップが搭載されました。
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ちなみにラバーストラップの裏側には、月面をイメージしたパターンがあしらわれているとのこと!
ムーブメントは2021年からスピードマスター プロフェッショナルに標準搭載されることとなった、マスタークロノメーター認定の手巻きCal.3861です。
高価格帯とはなるものの、特別感に溢れた2022年新作となっており、絶対に一度は手に取ってみたい逸品です。
オメガ2022年 新作⑥スピードマスター キャリバー321 カノープスゴールド
出典:https://www.omegawatches.jp/
スペック
外装
ケースサイズ: | 直径38.6mm×厚さ約14mm |
素材: | 18Kカノープス™ゴールド |
文字盤: | ブラック |
ムーブメント
駆動方式: | 手巻き |
ムーブメント: | コーアクシャル マスタークロノメーターCal.321B |
パワーリザーブ: | 約55時間 |
機能
防水: | 6気圧 |
定価: | 9,570,000円(税込) |
2022年、最初のスピーディーチューズデーにあたる1月4日、発表されたさらにさらに特別なスピードマスターも併せてご紹介致します。
基本的にスピードマスターのデザインコードは長らく変わっていません。
しかしながら初代だけは別。
1957年に発表された初代スピードマスター CK2915は、タキメーターベゼルが直接印字されたスティール製ベゼルに、大きなアロー針を備えており、第二世代以降とそのテイストを異にしています。
こういったデザインの独創性もあり、スピードマスター愛好家(スピードマスターは本当に熱心な愛好家が多い。ちなみにSpeedy Tuesdayとはこの愛好家らから始まった試みで、毎週火曜日に#SpeedyTuesdayのハッシュタグを付け、スピードマスターの写真やコメントをSNS投稿するもの)にとって初代CK2915は特別な想いを抱いている方も多いのではないでしょうか。
もっとも初代が一般市場に出回ることはなかなかありません。
早い段階から量産体制を備えていたゆえか、オメガ製のオールドウォッチ(アンティーク・ヴィンテージと称されるモデル)は、今なおよく流通しています。一方で初代は製造期間がわずか2年ほどであったため、その実勢相場はオークション級。「聖杯」と称されることもあるほどで、昨年11月に開催されたフィリップス・オークションでは初代CK2915-1が約3億9000万円で落札されることとなりました。
そんな初代を復刻―内外ともに―した新作スピードマスターの実力とは?詳細を見ていきましょう!
①初代スピードマスター CK2915について
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最初に初代スピードマスターについて簡単に解説すると、これは1957年、シーマスター300・レイルマスターとともにオメガからローンチされた、クロノグラフモデルです。
今でこそスピードマスターは月面着陸の歴史が話題となりますが、当時は純然たるレーシング・スピリットを全面に押し出したモデル!
1950年代~60年代当時はモータースポーツの黄金期の一つです。
時計業界では既にクロノグラフ機構が成熟しつつあったことも重なり、各社からモータースポーツでの使用を想定しつつ、レーシーなデザインを取り込んだモデルがラインナップされることとなりました。
そんなモータースポーツ・クロノグラフのパイオニア的存在のうちの一つが、オメガのスピードマスターです。なぜならクロノグラフに堅牢性を持たせた功績を持つためです。
当時、耐衝撃性や耐震性が脆弱なクロノグラフモデルが少なくありませんでした(当時のスポーツカーのエンジンも、今と比べると振動が激しかったと言った背景もあるでしょう)。そこでオメガはスピードマスターに、耐震性を備えたムーブメントに加えて、これを外装側からも守るためのインナーケースを採用。当時から既に50m防水を誇っていたのも大きなポイントですね。ちなみにオメガは、防水時計でも先鞭をつけたブランドの一つと言われています。
さらに今では当たり前となったベゼルに直接印字されるタキメーターベゼル。視認性に優れるばかりかレーシーなテイストを発揮できるデザインコードとしても一役買っていますが、これも世界で初めてオメガが初代スピードマスターで用いて以降、急速に広まったと言われています。
太めのアロー針も、きっと当時からたっぷりと夜光が施されたことでしょう。
こういった優れた実用性も相まって、1965年にNASAに公式装備品として認定され、月面探査へといつも携行されていくこととなります(この頃には、既にスピードマスターも第四世代に突入し、デザインコードも現行品に近い形となっておりました)。
ちなみにCK2915は三つほどのバリエーションが存在しますが、今回の新作は本当に初期のCK2915-1から範が取られています。とは言えCK2915-2やCK2915-3との違いはそう大きいものではなく、裏蓋やムーブメントに刻印されたリファレンスで判断することも多いです。
この初代を、そしてその後に続くスピードマスターの人気と信頼性を下支えしたのは、搭載された手巻きクロノグラフムーブメントCal.321です。
詳細は後述しますが、レマニア社の高名な時計師アルバート・ピゲ氏によって生み出されたCal.27 CHROをオメガ用に改良した名機で、耐震機能と耐磁性能を備えていたこと。加えて懐中時計ではなく腕時計サイズに収められた貴重な小径クロノグラフであったこと。その後、2021年にCal.3861がローンチされるまで、基本設計が踏襲されていたことなど、優れた点では枚挙にいとまのないパーフェクトなムーブメントとなっております。
②新作スピードマスター キャリバー321 カノープスゴールドの実力
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新作スピードマスター キャリバー321 カノープスゴールドの大きな特徴は初代デザインを復刻していることにありますが、それ以上に「957万円」という価格設定に目を奪われたのではないでしょうか。
オメガはコストパフォーマンスに優れたブランドです。
前述の通り、早い段階から生産性を考慮した時計製造を実現しており(事実、Cal.321もパーツ設計で生産性を考慮していることが垣間見れる)、ある程度の量産を得意としてきたことから、上質な製品を良心的な価格で提供しています。近年では国内定価がかつてより上がったといった声も聞こえますが、その分性能面も比例するようにして上昇しており、とりわけ15,000ガウスという業界トップクラスの工業規格「マスタークロノメーター」認定機を続々と輩出している点では、他の追随を許さないと言えます。
そんなオメガが、スピードマスターに1000万円近い値付けを行うとは!
もっとも搭載するクロノグラフムーブメントCal.321は、特別な機械です。
前述の通り初代スピードマスターから採用されていますが、1968年より製造コストを抑えたCal.861へと同コレクションの基幹ムーブメントは移行することとなりました。
レマニアは現在ブレゲに買収されています。そのためCal.321の金型を、オメガはブレゲから移管したうえで(同じスウォッチグループではあるものの)、復刻を遂げています。
こういった背景も手伝ってか、2019年に初の復刻Cal.321が搭載されたRef.311.93.42.30.99.001はプラチナ製とは言え定価7,018,000円、翌年発表のRef.311.30.40.30.01.001はステンレススティール製でありながらも1,661,000円といった高値が付けられております。
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加えて、特別な素材「カノープスゴールド」が用いられていることも、価格設定に大きな影響を及ぼしていることでしょう。
聞きなれないこの言葉。オメガが2015年に開発した、独自合金による18Kホワイトゴールドとなります。
なんでもプラチナ,ロジウム,パラジウムを独自配合している、とのこと。
カラーゴールドはその組成によって色みを変化させます。例えば銅の配合を多くするとピンクゴールドやレッドゴールドに。銀を含ませてグリーンゴールドやブラックゴールドにするなどといった具合です。
ホワイトゴールドはニッケルあるいはロジウム,パラジウム等を組成することが一般的ですが、「ホワイト」とは言えゴールドカラーが出てきてしまい、白く輝きを持たせるためには、ロジウムメッキを施す場合が少なくありません(ナチュラルホワイトゴールドとして、あえてシャンパンがかった色合いを好む方もいらっしゃいます)。
オメガのカノープスゴールドは、このロジウムメッキなしで、白い輝きを実現しているのです。
耐久面も考慮されており、ツヤ消し仕上げとポリッシュ仕上げのコンビネーションが、超高級時計としての風格を押し上げています。
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さらに「高級仕様」は続きます。
今回の新作スピードマスター、なんと文字盤にブラックオニキスを使用しているというのです!
オニキスはパワーストーンとしても有名な鉱物で、その漆黒の美しさは目を見張るものがあります。実機を見ると、独特の光沢を楽しめることでしょう。
このオニキスを文字盤素材とし、さらにカノープスゴールドPVD加工を施したホワイトゴールド製の針・インデックスが備わりました。
また、ベゼルはグラン・フー・エナメルでタキメータースケールが描かれているとのこと!
こういった特別仕様に加えて、タキメーターベゼルのドット・オーバー90やドット・ダイアゴナル・トゥ 70,ロゴマークの下の楕円形の「O(オー)」といった、初代モデルのディテールを復刻させていることもミソです(特に楕円形のOは、CK2915の一つのアイデンティティです)。
ちなみにリューズには、かつてオメガの高い防水性を示したナイアードのロゴを配しているようです。これは、2017年の復刻モデル等でも採用された仕様ですね。
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サファイアクリスタル製のシースルーバックからは、蘇ったCal.321を鑑賞できるとともに、シーホース(タツノオトシゴ)が描かれました。シーホースの瞳にサファイアがセッティングされているのも、高級感をアップグレードするトピックの一つです。
さらにブレスレットは微調整可能なコンフォートリリースシステムを備えていながら、ケースと同様にカノープスゴールド製。ゴールドはずっしりとした重量があるため(そこが、金無垢時計の良いところですが)、手首にフィットさせられる微調整機能は嬉しいところです。
③復刻されたCal.321とは?
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初代CK2915を忠実に復刻したデザインコードやカノープスゴールドも見事ですが、やはりもう一つの主役はCal.321でしょう。
Cal.321は前述の通り、1957年に発表されたスピードマスター、そして第四世代までのスピードマスターで搭載されていた手巻きクロノグラフです。
とは言えその歴史はさらに古く、1942年に遡ることができます。
1942年、当時クロノグラフの名門サプライヤーであったレマニアの、名時計師アルバート・ピゲ氏が完成させたCal.27 CHRONO C12に端を発します。ちなみにこのムーブメントは同年にやはり開発されたCal.27 CHRONOの12時間積算計付バージョンです。
そもそもレマニアが何かと言うと、1884年から歴史を紡ぐスイスのムーブメント専業メーカーです。今でこそマニュファクチュールと呼ばれる、自社一貫製造型が時計ブランドの間でポピュラーになってきましたが、スイスでは分業型が時計生産の主流でした。「餅は餅屋」ではありませんが、ムーブメントはムーブメントの、ケースはケースの専業サプライヤーがいたというわけです。
このレマニアは名門の多くにクロノグラフを輩出しています。パテックフィリップやヴァシュロンコンスタンタンがその好例です。
1992年よりブレゲのムーブメント製造部門(現ブレゲ・マニュファクチュール)に吸収されましたが、今なおレマニアの名は時計産業で息づいていると言えます。
オメガはこのレマニアに、「薄く小さいクロノグラフ」を所望しました。
当時は懐中時計用ムーブメントが主流であった時代。制御機構を持たざるを得ないクロノグラフはどうしても大きくなりがちで、そんな中でCal.27 CHRONO C12は12時間積算計を備えつつも、当時から直径わずか27mmを実現していたことが特筆すべき点です。
その後1946年にCal.321としてオメガに生産され、スピードマスター第四世代までキャリバー「321」が使われてきました。
もっとも「第四世代まで」とは言え、その後も長らく基本設計が引き継がれていきます。第五世代(1968年頃~)から製造されたCal.861は堅牢なパーツを使うことで耐久性を引き上げ、また振動数も21,600ビート/時にアップしています。製造コストも抑えられ、より量産が視野に入れられていたこともCal.861を印象付ける一つのトピックです。
しかしながら基本設計はCal.321から大きく変わっておらず、その後2021年に生産終了したCal.1861まで受け継がれていったのです。
約半世紀に渡ってなお現役というのは、いかに当時から完成された手巻きクロノグラフであったかを理解できる一端になるのではないでしょうか。
なお、復刻を果たしたCal.321は金型から再現されているため、まさに「忠実な復刻」。パワーリザーブは約55時間に延長されているものの、あえて18,000振動のロービートとなっております。
デザイン復刻は近年の時計業界の主流ですが、歴史あるムーブメントさえも復刻するオメガというブランドに、熱狂的なファンが多い理由は明白でしょう。
オメガ 2022年新作 スピードマスター キャリバー321 カノープスゴールド 価格
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定価は繰り返しになりますが、957万円です。
取扱いはオメガブティックのみとなるようですが、特に限定生産ではないようです。もっとも、この価格帯であることに加えてCal.321搭載機ということを鑑みれば、なかなか二次流通市場には出回ってこないかもしれませんね。
初代スピードマスターの付属品をイメージし、チューリップツリー(ユリノキ)製の特別化粧箱が添えられます。
カノープスゴールドでまとめあげられた至極の復刻デザインと言い、オニキスダイアルと言い、一度実機を手にしてみたいですね!
まとめ
2022年最初のSpeedy Tuesdayに発表された、新作スピードマスターおよび続く2022年新作シーマスター等を併せてご紹介致しました!
いずれもオメガの歴史を感じさせる、特別なモデルばかりでしたね。こうなってくると、一般市場に出回る時期が気になるところ。
オメガの2022年の動向を、見逃すな!
当記事の監修者
田所 孝允(たどころ たかまさ)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 営業物流部長/p>
1979年生まれ 神奈川県出身
ヒコみづのジュエリーカレッジ ウォッチメーカーコース卒業後、かねてより興味のあったアンティークウォッチの世界へ進む。 接客販売や広報などを経験した後に店長を務める。GINZA RASIN入社後は仕入れ・買取・商品管理などの業務に従事する。 未だにアンティークウォッチの査定が来るとついついときめいてしまうのは、アンティーク好きの性分か。
時計業界歴18年。