最強のダイバーズウォッチとは―
回転ベゼルや堅牢なケースが、文句なしにカッコイいいダイバーズウォッチ。近年、各社で多彩なラインナップを見ることができますが、「最強」を問われた時、人気・知名度いずれも抜群のロレックス サブマリーナか、オメガ シーマスターが候補として挙がるのではないでしょうか。
しかし、ダイバーズウォッチは必須機能が決まっていることから、デザインやスペックが似ていてどちらにしようか迷っている方も多いと思います。
そこで、今回はこの二強ダイバーズウォッチを徹底比較!
デザイン、実用性、コストパフォーマンスなどの観点から客観的・徹底的に分析してご紹介いたします。
目次
1.比較モデル紹介
ロレックス サブマリーナ
世界初の本格派ダイバーズウォッチとして1953年に誕生したサブマリーナ。
ロレックスのスポーツラインの中で1位・2位の人気を誇るだけでなく、ダイビングツールとしての原型を作り上げたことでも有名です。
1960年、潜水艇トリエステ号がマリアナ海溝にて世界潜望記録を樹立。
このトリエステ号に64回もの厳しい潜水テストをこなしたロレックス オイスターの特殊モデルが装着され、1万908mの深海でも時を刻むことを立証します。
ここでサブマリーナの高い信頼性が約束され、現在の成功の礎を確立しました。
また、ダイビングが一般レジャーとして普及し始めた時代と重なり、今やダイバーズウォッチの代名詞的存在をも担います。
非常に多くのリファレンスを有し、「赤サブ」や「軍サブ」、「Wネーム」といった希少性の高いモデルが数多く存在、コレクターズアイテムとしても高い注目を集めています。
オメガ シーマスター
2016年新作シーマスター プラネットオーシャン600 Ref.215.30.44.21.01.002
1948年に誕生し、ロレックスに先鞭をつける形となったオメガのダイバーズウォッチ・シーマスター。
当時は本格的なダイバーズウォッチとしてのスペックはなく、その後の1957年にシーマスター 300で本格派ダイバーズウォッチを製造。クォーツの台頭で薄型化したことが功を奏し、定番モデルとなりました。
同時期、海底油田探査“ヤヌス計画”にてシーマスターが採用され、8日間にわたる深海250mでのダイバーの活動を無事にサポートしたこともその輝かしい背景に一役買っています。
シーマスターは豊富なラインナップが魅力で、エレガンスなアクアテラやオメガ防水時計の傑作と名高いプロダイバーズなどがありますが、今回サブマリーナの対戦者としてはシーマスター プラネットオーシャンを挙げさせていただきます。
プラネットオーシャンは「シーマスター」と聞いて思い浮かべる代表的なモデルで、ヤヌス計画で携帯されたシーマスター600のDNAを受け継ぐモデル。
プロスペックはもちろん、カラーバリエーション豊富なファッション性をも備えます。
サブマリーナに匹敵する最強ダイバーズウォッチの雄と言えば断然シーマスターではないでしょうか。
2.徹底比較!サブマリーナVSシーマスター
外装編
①ベゼル
「ダイバーズウォッチ」の特徴を考えた時、最も大きなものは回転ベゼルにあると思います。
特に高い防水性を謳っていなくともそのデザイン性から、回転ベゼルを採用するブランドは少なくありません。
そんな回転ベゼル搭載機の元祖であるサブマリーナのベゼルをご覧ください。
出典:https://www.rolex.com/ja/watches/submariner.html
2010年のモデルチェンジで、ロレックスはセラクロムベゼルを搭載させ、サブマリーナへの注目をさらに高めました。
セラクロムとはロレックスが独自に開発・特許取得したセラミック素材で、2007年以降スポーツラインに順次搭載を開始しています。
ステンレスを凌ぐ傷つき難さ・耐久性も素晴らしいですが、特筆すべきはその光沢。
目盛部分のプラチナコーティングと合わせて、スポーツウォッチとは思えない気品と高級感を演出してくれるでしょう。
対するは、シーマスターのベゼル。
しっかりとしたタフな意匠で、サブマリーナ同様セラミックを素材に採用しています。
数字や目盛に金属コーティングが施されているため、独特の光沢や存在感が。
他ブランドと比べダイアルにかぶる面積が小さいため、視認性や「オメガ」としての個性は出しやすいように思います。
いずれのブランドもベゼルのカラーバリエーションを持つため、好みやシーンで使い分けできることも最強としての魅力でしょう。
サブマリーナ Ref.116610LN / Ref.16610LV / Ref.116613LB
シーマスター Ref.215.30.40.20.01.001 / Ref.215.30.40.20.04.001 / GMT搭載のRef.215.30.44.22.01.001
②ケース形状
ダイバーズウォッチは深海の圧に耐えうることが前提となるため、堅牢でボリューミーなケースを持ちます。
出典:https://www.rolex.com/ja/watches/submariner/m116610ln-0001.html
サブマリーナはケース径40mm、厚さ13mmとダイバーズウォッチとしては比較的ボリュームが抑えられています。
そのため、スーツスタイルに合わせやすいスポーツウォッチと言えます。
また、ケースフォルムが腕にフィットするよう、しなやかに婉曲し快適な装着感を実現。
そんなスタイリッシュなモデルでありながら、その防水性は300m!
実用時計の王者・ロレックスならではの仕様でしょう。
出典:https://www.omegawatches.jp/ja/watches/seamaster/planet-ocean-600m/the-collection/product/
一方、シーマスターの持ち味は、何といってもたっぷりの重量感。
様々なタイプがありますが、最大でケース径45.5mm、厚さ16mm(Ref.232.30.46.21.01.003/Ref.232.30.46.51.01.002など)とその存在感は他社のスポーツラインでもなかなかお目にかかることはありません。
ケースサイド10時位置に備えたヘリウムガスエスケープバルブも、機能としてだけでなくその個性をより強調。
腕の細い方は購入に二の足を踏んでしまうかもしれませんが、スポーツシーンでガンガン使うもよし、暗めの色のスーツでもすぐにそのカッコよさに目が行くという様々な利点があります。
防水性能は600mで、他社のダイバーズウォッチと比べても圧倒的なプロスペックを誇ります。
③ダイアルの視認性
ダイバーズウォッチとして最も備えなくてはならない性能は、深海での視認性です。
太陽の光の届かない闇の世界で、ダイバー達が正確にダイビングタイムを計測するために夜光塗料は欠かせません。
出典:https://www.rolex.com/ja/watches/submariner/m116610ln-0001/magazine.html
ロレックスは2008年以降、自社で独自開発・特許を取得しているクロマライトという夜光塗料を採用しています。
これは、現在多くのブランドが採用しているルミノバという塗料の二倍にあたる8時間発光を実現したもの。
ルミノバが緑色なのに対し、青っぽく光ることも特徴です。
現行サブマリーナはインデックスと指針がやや大きくなり、塗料面積が拡大。
変色しづらい金無垢製アワーマーカーと合わせて、隙のないダイバーズウォッチを完成させています。
出典:https://www.omegawatches.jp/ja/watches/seamaster/planet-ocean-600m/the-collection/product/
対してシーマスター。
ホワイトスーパールミノバが塗布されたアプライドインデックスは青の光を放つ一方、分針と12時位置のインデックスは緑の光と、暗闇でも遊び心を覚えるようなファッション性と視認性を両立しています。
シーマスターも太めインデックスとアロー型時分針で、どんな条件下でも時刻を告げるという時計本来の機能を守り抜いてると言えるでしょう。
④ブレスレット
ロレックスのオイスターブレスレットは、浸水に影響を受けない堅牢な構造と快適な装着感を有しますが、「ロレックスらしさ」―とりわけゴールドとステンレススチールのコンビネーションモデルには一目でロレックスとわかるアイデンティティを感じます。
また、バックルも耐久性・耐衝撃性はもちろん、工具なしでスムーズに長さを調節できるエクステンション機構付き。
シーマスターも同様のエクステンション機構が付いていますが、これは、ウエットスーツの上からでも調整・装着を容易にするためのもの。
両者ともに実用性・ダイバーズウォッチとしての機能性に申し分のない外装と言えます。
ちなみにシーマスターは、ラバーストラップのモデルも展開しています。
ステータス編
ブランドとしてのステータス性を考えた時、やはりロレックスが他の追随を許さないでしょう。
誰もが知っているブランドで様々な公式時計を務めていることや、資産としての価値などを考えた時、ロレックスほど相応しいブランドはありません。
しかし、かつて日本で「高級時計」の代名詞的存在だったのは、オメガの方が強かったとも言われています。
オメガもロレックス同様長い歴史の中で培われたブランド力を有し、オリンピック公式タイムキーパーとしてロゴマークを目にする機会も多いのではないでしょうか。
とりわけ月面着陸という壮大なストーリーを持つ、由緒正しい老舗ブランド。
ことダイバーズウォッチに関しては、どちらも映画007でジェームズ・ポンドが着用しています。
サブマリーナはショーン・コネリー氏、シーマスター プラネットオーシャンはダニエル・クレイグ氏ですが・・・
コストパフォーマンス編
出典:https://www.omegawatches.jp/ja/planet-omega/cinema/james-bond/
時計の実用性を重視するなら、断然オメガです。
同じステンレス製の新品でも、サブマリーナの並行輸入品が95万円前後に対し、シーマスターは25万円前後。※2017年7月現在
これまで双方を比較し、どちらも完成された機能・デザインを有することが明らかになったと思いますが、コストパフォーマンスに関してはオメガが優位と言わざるを得ません。
オメガは近年自社製ムーブメントの開発が目覚ましく、マスタークロノメーター規格をMETAS(スイス連邦計量認定局)と新たに制定。
これは、従来のクロノメーター規格を凌駕するもので、順次全てのモデルのムーブメントに対応していくとのこと。
また、1999年以来ムーブメントに採用されるコーアクシャル脱進機はオーバーホール期間を大幅に延長するもので、メンテナンスにかかる金銭的な負担をも減らすことができます。
一方ロレックスは、やはり購入時にそれなりの金額が必要になります。
しかし、他のブランドと比べ値崩れが少なく、再販価値が高いというメリットは決して小さくありません。
購入したモデルの生産が終了するなどして中古需要が高まれば、買った時より高い金額で売却できるというロレックスならではの現象も。
また、サブマリーナはノンデイトモデルも展開されています。
サイクロップレンズが苦手な方に人気がありますが、何といってもノンデイトの方が安い!
その価格差は、定価であっても10万円以上。
デイト・ノンデイトどちらも機能に大きな違いは無いため、高級時計選択の際の一つの大きな指標になる事は間違いありません。
まとめ
最強ダイバーズウォッチとして君臨するロレックス サブマリーナとオメガ シーマスター、その違いは微々たるもので、決定打やはり「好み」「直観」なのかな、と思います。
高級腕時計の醍醐味、まさに「高級感」「高い品質」は、一度手にとってみるとよく感じられると言います。
もし、この二つが最後の選択肢に残って、迷われている方が居ましたら、一度東京銀座に位置するGINZA RASINへお越しください。
ご購入のお手伝いをさせて頂きます。
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年