世界最古にして最大規模の時計・宝飾品見本市「バーゼルワールド」を脱退したスウォッチグループ。
この度、独自の新作見本市を開催することとなりました。その名も「Time to Move」です!
いったいどのような見本市なのでしょうか。参加ブランドは?バーゼルワールドとの兼ね合いは?スウォッチグループの真意とは!?
そんな2019年初めから注目を浴びている、Time to Moveについてを解説いたします!
5/20追記 Time to Move(タイム・トゥ・ムーブ) 新作モデル発表!
目次
スウォッチグループ独自見本市Time to Move詳細
当店でもたびたびバーゼルワールドのニュースを掲載してまいりましたが、2018年の大きな目玉と言えばスウォッチグループの脱退でしょう。
スウォッチグループといえば、オメガを筆頭にブレゲ、ブランパン、ハリーウィンストン、ロンジンやジャケドローにラド―、そしてハミルトンなど、ハイエンドからエントリークラスまで有名な18ブランドを抱える時計業界の一大勢力。
時計産業にはスウォッチグループの他にリシュモン、LVMH(ルイヴィトンモエヘネシー)を加えて三大巨大企業グループと称しておりますが、業界グループ化に先鞭をつけ、縮小傾向にあった時計産業を再編することに大きく貢献してきました。
また、スウォッチグループはバーゼルワールドにおいて、ロレックス・パテックフィリップ・LVMH(タグホイヤー、ゼニス、ウブロ他)・ショパールなどと並び「BIG5」と称され例年会場を盛り上げてきた功績があります。
そのため、スウォッチグループの脱退によって「バーゼルワールドは終わった」とまで取沙汰されました。
出典:https://www.swatchgroup.jp/
そんな2018年、最も話題の中心にいたスウォッチグループが、昨年暮れにまたしても衝撃的なニュースを発しました。
なんと、独自見本市を開催すると言うのです!その名もTime to Move!
詳細は以下の通りです。
日程:2019年3月19日(火)~2019年3月26日(火)
会場:スイス チューリッヒ
参加ブランド:オメガ,ブレゲ,ブランパン,ハリーウィンストン,ジャケドロー,グラスヒュッテ・オリジナル
ブランドは全6社で、スウォッチグループの傘下メーカー全てが出展するわけではないようです。
今回は「3月にスイスに行く際に、スウォッチグループ傘下ブランドの製品が見たい」という要望によって開催されたという経緯があるようです。そのため小売店向けで招待制をとるため、プレスや一般消費者は今のところ参加できません。
Time to Moveから見るスウォッチグループの狙いとは?
“Time to Move”を訳すと、「動くべき時」「次に進む時」となります。
スウォッチグループはバーゼルワールドの撤退と独自見本市の開催を、新たなる進化の第一歩と捉えているのでしょうか。
もともとバーゼルワールド撤退の理由を、「費用対効果に見合わなくなった」と挙げています。
バーゼルワールドの出展費用は非常に高額なことで有名で、小さなブースを借りるだけで少なくとも100万円、メイン会場ともなると億単位が企業の負担としてのしかかってきます。
今はSNSなどインターネット上での販促が広がり、バーゼルワールドにかつてのような宣伝効果や旨味は少なくなったことが撤退の大きな要因でしょう。
しかしながら今回、顧客やバイヤーなどの要望により見本市を開催する運びとなりました。
しかも、バーゼルワールドと日程を同期させ、立地もバーゼルから電車で数時間とかからないチューリッヒです。
顧客からしてみたら、非常に嬉しい限りですよね。
SIHHがバーゼルワールドより日程を早めて顧客を確保しようとしましたが、結局は2020年よりバーゼルワールドと連携することが決まりました。
こういった事実から鑑みると、スウォッチグループ単独で見本市を開催するよりも、他見本市と協調した方が顧客にとって親切だし、何より自分たちにとっても集客は格段にしやすいでしょう。
↑バーゼルワールド2018オメガ新作展示品
Time to Moveがバーゼルワールドと連結していることは、こういった見方もできないでしょうか。すなわち、バーゼルワールドとは決別しておらず、バーゼルワールド次第ではいつでも帰る準備ができている、と・・・!
実際、バーゼルワールド側はスウォッチグループのカムバックに向けて既に再編を始めています。
スウォッチグループ側も、何も喧嘩別れしたというわけではありませんし、実はスウォッチグループは一度離脱して、再びバーゼルワールドに参加したという過去もあります。
今後バーゼルワールドが変わっていけば、また会場のメインをオメガやブレゲなどが張る、といった光景が見られることでしょう。
また続報が入り次第、お知らせいたします!
5/20追記 Time to Move(タイム・トゥ・ムーブ) 新作モデル発表!
当記事の監修者
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴14年。