時計を見た時、その時計が自動巻きなのか、手巻きなのか、クォーツなのか見分けることはできますか?
かなり時計に詳しい方でない限り、パッと見て判断するのは難しいと思います。
そこで今回は機械式、電池式(クォーツ)の簡単な説明と、手巻き式、自動巻き式、電池式のおまかな見分け方についてご説明致します。
目次
機械式、電池式(クォーツ)について
始めに、腕時計は大きく分けて2つの種類があります。
「電池式(クォーツ)」・・・電池を使い、電子回路によって制御されて動く。
「機械式」・・・ゼンマイと呼ばれるバネを巻き上げ、その力がほどけていく事で動く。
ここから機械式の時計はさらに2つの種類があります。
「手巻き式」・・・ゼンマイを手で巻き上げる、昔ながらの機構。
「自動巻き式」・・・時計内部の回転錘(重り)が動くことで巻き上げる機構。
左:手巻き式 右:自動巻き式
時計の駆動方式の見分け方
では、具体的にどのようにして見分けるのか。
裏蓋を開けて機械を見なくても、判断できる方法をご紹介します。
※腕時計は日々進化を続けています。
新しい技術、機構を備えているものも多いため、全ての時計が下記の方法で判別できるわけではないことをご理解ください。
秒針の動き方、音
一番最初に判断が付けやすいのが、秒針の動き方です。
電池式(クォーツ)は電子回路によって、1秒に1回発信を行っているため、1秒ずつ刻みながら動く、ステップ運針をしている時計がほとんどです。
一方で機械式は、ゼンマイの溜まった力を徐々に開放していくため、秒針が1秒間に8回前後動きます。そのため、秒針が滑らかに動いているように見えます。
また、秒針の動きと同様に、音も発生しております。
電池式(クォーツ)は1秒間に1回ですが、機械式は振動数により、1秒間に複数の音が鳴りますので、耳を傾けると、早いペースで音が聞こえてきます。
※大方の時計に当てはまりますが、一部異なる時計もあります。また、防水機能が高い時計等の場合、音が聞こえにくいことがあります。
リューズの感触
機械式はゼンマイが動力源の為、リューズで巻き上げを行う必要があります。
リューズを時計回りに回転させると、ゼンマイが巻き上がる感触が伝わってきます。
①手巻き式の場合・・しばらく巻き上げ続けると、徐々に巻き上げづらくなってきて、やがて巻き上がらなくなります。
②自動巻き式の場合・・巻き上げ続けていても、巻き上げが終わることがありません。100回巻いても200回巻いても巻き上げる感触は一定です。
これは自動巻きの特徴で、腕に着け続けて使用した際に、ゼンマイが切れることがないような構造になっているためです。
③電池式(クォーツ)・・動力が電池ですので、リューズを回転させても、何も感触、抵抗がありません。
回転錘(ローター)の音
自動巻き式の時計には、回転錘(ローター)と呼ばれる重りが入っています。
時計を腕に身に着けた状態で動くと、この重りが動くことにより、ゼンマイを自動で巻き上げるとこができるようになっています。
そのため時計を傾けると、内部の回転錘が動く音が聞こえます。
一般的に自動巻きにのみ搭載されている機構ですので、一つの判断材料になります。
持続時間
瞬時にわかる方法ではありませんが、機械式と電池式の時計では、持続時間が大きく異なります。
機械式はゼンマイが動力源のため、ゼンマイが解けきってしまうと止まってしまいます。
手巻き式の時計は2日~4日程度、自動巻き式であっても時計を動かさず置いているだけでは、同程度です。
定期的にゼンマイを巻き上げることで、動き続けることができます。
一方で電池式(クォーツ)は電池が切れるまで動き続けます。
時計により異なりますが約2年間、何もしなくても動き続けます。
電池が切れてしまうと、全く動かなくなってしまいますので、電池交換が必要になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回大方の時計に当てはまる特徴をご紹介しましたが、上記の型にはまらない時計も数多く存在します。
電池式でテンプを動かす時計、手巻き式でステップ運針する時計、音叉を使った時計など、全てを記載することが不可能なほど多種多様です。
それだけ時計は奥が深く、魅力あるものだと思います。
当記事の監修者
廣島浩二(ひろしま こうじ)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチ コーディネーター
一級時計修理技能士 平成31年取得
高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 ロジスティクス事業部 メンテナンス課 主任
1981年生まれ 岡山県出身 20歳から地方百貨店で時計・宝飾サロンで勤務し高級時計の販売に携わる。 25歳の時時計修理技師を目指し上京。専門学校で基礎技術を学び卒業後修理の道に進む。 2012年9月より更なる技術の向上を求めGINZA RASINに入社する。時計業界歴19年