「ロレックスの保証書は発行元によって評価が変わるの?」
「日本発行のロレックス保証書について詳しく知りたい」
世界各国で販売されているロレックスはどの国で購入しても同じ国際保証書が発行されます。
しかし、日本で発行される保証書はやや特殊です。
実は日本発行のロレックス保証書は以前高く評価されていた時期があり、買取時に特別扱いされていました。
しかし、現在は逆に一部の国際市場において敬遠されることが多くなってきています。
そんな日本発行のロレックス保証書について詳しく知りたいという人は多いのではないでしょうか。
日本の保証書が付属されたロレックスを売る場合は、国内で売ることがおすすめです。
この記事では浮き沈みの激しい日本発行のロレックス保証書について、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
日本独自の保証書受け取りルールについても解説しますので、ロレックスの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
日本で発行されている保証書の種類
ロレックスの保証書は年代によって大きく3つに分類されます。
現行は「緑と白のツートンのカード」。1世代前は「濃いグリーンのカード」。それ以前は「紙」です。
旧デザインのカード保証書は2007年頃に誕生し、2013年頃まで発行されていました。
対してホワイトとグリーンのツートンとなった現行のカード保証書は情報がシンプル化され、シリアルナンバーが確認できるQRコードが記載されています。
比較的新しいこの2つのカードは国際的な基準に基づいて作られているため、どの国で発行されたカードであっても評価は変わりません。
しかし、問題なのは紙の保証書です。
実は日本で発行された紙の保証書に関しては日本独自のデザインが採用されており、他国とはデザインが異なります。
国内で発行された紙の保証書の評価
紙といっても、このオシャレな英文字・(仏文字)で書かれた保証書は海外で発行されたグローバルスタンダードなものなので、今回対象外です。
気を付けなければいけないのは、
こちらの日本語で書かれた保証書です。
日本語の保証書は国際標準ではないため、海外マーケットからは敬遠される傾向にあります。
以前はその希少価値からプラス査定されることもありましたが、次第にその価値観は収束し、現在は逆に低評価を受けるようになりました。
また、詳しくは次項で説明しますが、保証書に購入者名を消した跡があることもマイナス評価の原因となっています。
ちなみに、敬遠されるだけならまだしも海外で買取を希望する場合は、査定金額がダウンするケースも見受けられます。
日本国内で買取を依頼する場合は気にする必要はありませんが、もし海外で古いロレックスを売る予定がある方は、気に留めておいた方が良いでしょう。
国内で発行されたカードタイプの保証書の評価
最近、国内で発行されたカードタイプの保証書も海外では敬遠される傾向にあるようです。
理由は日本では購入者名の明記が厳格化されているからです。
日本の正規店で購入したロレックスは保証書に必ず購入者名が明記されます。しかし海外では保証書に購入者名を明記する決まりはなく、空白の状態でユーザーに渡されることは珍しくありません。
この保証書は現行のカードタイプの保証書で、香港で購入されたものです。購入店と購入日が記載されていますが、購入者名は明記されていません。空白のままでも問題なくメーカー保証を受けることができます。
しかし、日本で購入した保証書は必ず購入者名が書き込まれます。
日本には独自の保証書受け取りルールがある
日本で高級時計を買う場合、多くのブランドが購入したその場で保証書を発行しません。
ロレックスもその例にもれず、店頭で申請用紙に記入し、後日メーカーよりご自宅へ郵送もしくは購入店でのお渡しとなります。
これは日本独自の手法であり、便利なようでもあり、面倒でもあります。
購入者名は塗りつぶさなくてはならない
保証書には登録した購入者名が必ず記名されています。
日本人の名前が記載されたロレックスをリユースする場合、殆どの販売店が名前が読めないように名前の部分を塗りつぶします。
名前の部分が塗りつぶされていたとしても、保証書としての効力は変わりません。
ただ、海外のバイヤーや一部の業者はこの塗りつぶされた保証書を嫌う傾向にあります。
他国から仕入れたロレックスであれば保証書は「空白の状態」であることが多く、問題なくリユースすることができます。しかし、日本発行の保証書が付属しているロレックスを仕入れてしまうと、名前を塗りつぶした痕があるので、海外顧客からのウケが悪いです。
これを踏まえると、できるだけ日本の保証書を敬遠したいと思うことは至極当然の事にも思えます。
現在カードタイプの保証書は紙タイプの保証書のように、査定額が下げられるケースは見受けられませんが、今後は不利になる可能性も考えられます。
ただし、ヴィンテージウォッチの場合は保証書が付属していること自体が珍しいので、どのような保証書であれ査定額が上がる可能性があります。
まとめ
現状は氏名が塗りつぶされた保証書であっても、明確に査定ダウンが行われることはありません。
しかし、海外のマーケットで空白の保証書が主流である以上、中古市場において扱いづらい保証書であることには間違いないでしょう。
ただ、これは海外での話であり、日本においては全く関係ありません。
日本の保証書が付属されたロレックスを売る場合は、国内で売ることをオススメいたします。
当記事の監修者
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年