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「2022年の新作G-SHOCKはどんなところがすごいの?」
「MRG-B5000・MRG-B5000Dの機能や特長について知りたい」
G-SHOCKは「落としても壊れない」ことをアイデンティティに、世界各国でそのユーザーを増やし続けてきました。
G-SHOCKから時計好きになったという方も少なくありません。
そんなG-SHOCK、近年では意欲的に新コレクションを発表しています。
とりわけハイエンドラインの拡充には余念がなく、最高峰と名高い「MR-G」を中心に、大人のG-SHOCKをラインナップしています。
そして2022年3月1日、過去最高額となる高級G-SHOCKが、ローンチされるに至りました。
選ばれたのはMR-Gシリーズですが、その機能や特長が知りたいという人は多いのではないでしょうか。
発表されたG-SHOCK MRG-B5000・MRG-B5000Dは、従来のMR-Gとは異なり、1983年に製造された初号機「DW-5000C」をリバイバルしています。
高機能かつ見事な仕上げの高級機となっています。
この記事ではMRG-B5000・MRG-B5000Dの機能や特長について、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
画像付きで詳しく解説しますので、G-SHOCK 高級ラインの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
2022年新作G-SHOCK「MRG-B5000B」および「MRG-B5000D」とは?
スペック
詳細
素材: | チタン |
ケースサイズ: | 縦49.47mm×横43.2mm×厚さ12.9mm |
重量: | 114g |
基本機能: | 標準電波受信,タフソーラー(ソーラー充電システム),モバイルリンク機能 |
その他機能: | ワールドタイム,ストップウォッチ,自動時刻修正,時計ステータス表示機能,携帯電話探索,スーパーイルミネーター等 |
防水性: | 20気圧 |
定価: | 396,000万円/462,000円 |
2022年3月1日に発表された「MRG-B5000」は、MR-Gコレクションの派生モデルです。とは言え、これまでのMR-Gとはかなり違ったテイストです。
MR-Gは、1996年に誕生した「大人のためのG-SHOCK」です。MR-Gのコンセプトとは、すなわち高級感とタフネスの融合。
樹脂製が多かったG-SHOCKの中で、当時は初となるメタル製を敢行。さらに現行モデルでは太く力強い時分針を用いたアナログ表示によって、高級時計として申し分のない風格を持ち合わせています。
もっとも当新作がデザインモチーフとなったのは既存のMR-Gではありません。1983年、G-SHOCKの初号機「DW-5000C」―5000系などと親しまれている―をリバイバルしていると言うのです。
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当然ながらこの「初号機」は樹脂製でした。
また多くのG-SHOCKに言えることですが、造形がかなり複雑なため細部に渡って高度な仕上げを施すことは、至難の業です(高度な仕上げなくして高級機とは言えない)。
しかしながらカシオでは「不変のカタチに、こだわりのクオリティを。先進技術と匠の技が生んだNEW MR-G」と自身で称するように、同社の強みである最先端テクノロジーと、MR-Gを始めとしたハイエンドラインの製造で培った職人技を駆使し、初号機を高級フルメタル仕様として新たに生み出すことに成功しています。
ついた定価は396,000円(税込)~ですが、これに見合った価値はあると多くの時計愛好家が頷くところではないでしょうか。
では、新たなMRG-5000は、いったいどのようなG-SHOCKに仕上がり、いかにして高級機たりえたのでしょうか。
この度発表された「MRG-B5000B」および「MRG-B5000D」について、次項より解説致します。
2022年新作G-SHOCK「MRG-B5000B」および「MRG-B5000D」の実力
それでは、MRG-B5000とはどのような高級G-SHOCKとなっているのかを詳報致します。
①外装仕上げがとにかく凄い
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新作MRG-B5000を一見すると、確かに初号機を彷彿とさせます。
とりわけスクエアフェイスにはレンガパターンやレッドラインがあしらわれており、1980年代当時のレトロフューチャーな雰囲気がとにかくカッコいいですね。
しかしながら、MRG-B5000の構成は、多分にMR-Gコレクションと言って良いでしょう。ディスプレイ左下には、MR-Gのロゴが誇らし気に光ります。
MR-Gコレクションの大きな特徴の一つは、かつて「メタル製」でした。前述の通りMR-Gコレクションは1996年にリリースしています。
ご存知のように、金属は重量があります。そのため樹脂製G-SHOCKでは実現していた耐衝撃構造の流用は、金属製では不可能と言われてきました。金属だと衝撃をモロに受けやすく、どうしてもパーツ破損が避けられなかったためです。
※余談ですが、そもそもG-SHOCKの耐衝撃構造の発明にも並々ならぬ苦労があったようです。G-SHOCKの耐衝撃構造はケース内部が中空構造になっており、そこの緩衝材となるパーツを入れることで実現していますが、これは公園で子どもが遊んでいるゴムボールから着想を得たと言われています。
しかしながらカシオはメタル専用の耐衝撃構造を開発。その甲斐あって、現行G-SHOCKにメタルモデルは豊富です。
そのため現在ではメタル製であることは、MR-Gのアイコニックとまでは言えないでしょう。
ではMR-Gならではの魅力かつ強みとは何か。それは、外装仕上げの見事さです。
MR-Gはカシオのマザー工場にあたる「山形カシオ」で製造されているのですが、ここには効率的なオートメーションラインのみならず、熟練工が常駐しています。そのため高性能機を低コストで大量生産するのではなく、「精密な針付け」「丁寧かつ高度な仕上げ」といった、熟達した手仕事を担うことで、G-SHOCKを高級時計へと昇華させているのです。そのためMR-Gには、他社の機械式高級時計と遜色のない仕上げや加工・切削が施されてきており、それが当該コレクションの大きな強みとなっていました。
しかしながら初号機5000は、「スクエア型」です。
確かにこの5000系をフルメタル化したコレクションは既に存在していました。それが2018年に発表された、DW-5000Cです。
一方で今作のMRG-B5000はハイエンドとなるため、DW-5000Cと全く一緒というわけにはいきません。そのためMRG-B5000では構造自体を一新しており、DW-5000系とは全く別物と言って良いでしょう。
大きく変わった点はパーツ構成です。
DW-5000は(というか、多くの腕時計が)、主要パーツ(ベゼルやケース,ブレス等)はそれに合った一つの金属を加工・成型しています。しかしながら新作MRG-B5000は、各時計のパーツがかなり細分化されているのです。ちなみにどれくらい細分化されているかと言うと、ベゼルだけで25個だとか!
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パーツを細分化することで、凹凸を持った複雑な意匠の初号機デザインであっても、細部まで丁寧な仕上げが施せる一方で、その製造工程の煩雑さは言わずもがな。
しかしながら腕時計の顔とも言うべきベゼルを始め、美しく歪みのない鏡面仕上げ・ツヤ消し(ヘアライン)仕上げのコンビネーションを獲得したのは、この煩雑な工程をも敢行した、カシオの時計製造技術の情熱と言って良いでしょう。ちなみにブレスレットのコマも一体成型ではなく、ディンプル(丸いくぼみ)を別作しています。このディンプルにまで磨きを施しており、ケース・ブレスレットともにワンランク上の風格をまといました。
なお「仕上げのコンビネーション」は腕時計に奥行きと高級感を与えるきわめて重要な工程ですが、ここにもカシオは妥協を許していません。とりわけザラツ研磨を採用していることは、特筆すべき点です。
ザラツ研磨はグランドセイコー等も行っている、高級機向けの表面仕上げ技法です。
同名の工作機械メーカーに名前を由来するこの研磨技法は主に下地処理を指しており、回転する専用金属板の正面側で金属の下地を整えることが特徴です。この下地に仕上げを行うことで、歪みのない美しい外装が出来上がる一方で、高度な職人技術を要するため、誰もができる工法と言うわけではありません。
カシオでは高級機にあたるMR-Gにザラツ研磨を施してきており、新作MRG-B5000でも採用されるに至りました。
なお、これだけ細かなパーツで構成されるとあって、組み立てもまた、熟練工らによって成し遂げられています。
②新たなる耐衝撃構造「マルチガードストラクチャー」
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このパーツの細分化に当たり、フルメタル5000等で用いられてきた耐衝撃構造をも一新することとなりました。それが「マルチガードストラクチャー」です。
従来フルメタル5000等では、ケース内部とモジュール間にファインレジン製緩衝材をサンドイッチするといった耐衝撃構造を採用してきました。しかしながら新作MRG-B5000ではベゼルは一体成型構造ではないため、同様の手法は採ることができなかったようです。
代わってマルチガードストラクチャーとして、T字バーと板バネを組み合わせた四隅(2時・4時・8時・10時位置)のサスペンションパーツ(ショック・アブソーバー)を組み込みました。このサスペンションパーツが衝撃・振動を吸収し、G-SHOCKならではのタフネスを実現しています。なお、ケースサイドなどといった各所にシリコン緩衝体を用いていることも特徴です。
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この耐衝撃構造に加えて、強靭な新素材を使ってきたことも、さすがG-SHOCKと言うべきか。
トップベゼルに、コバリオン(COBARION)なる新素材を用いていると言うのです。
このコバリオンは純チタンの約4倍の硬度を持つ一方で、プラチナに匹敵する輝きを有したコバルトクロム合金です。開発は、なんとわが国!東北大学金属材料研究所の千葉晶彦教授が株式会社エイワとの共同で開発を成功させました。ちなみにニッケルをほとんど含まないため耐金属アレルギー性も認められており、世界的に注目度の高い新素材となっております。
高硬度なため加工はきわめて難しく(難削材)、削り出しや仕上げにはいっそうハイレベルな職人技と職人魂が求められていることでしょう。G-SHOCKがMR-Gのさらに最高峰としてコバリオンを採用していることに、畏敬の念すら覚えるものです。なお、カシオの注釈によるとコバリオンは、公益財団法人いわて産業振興センターの登録商標で株式会社エイワのみが製造を担っているとのことです。
バンドには、やはり聞きなれない新素材「DAT55G」が採用されました。
DAT55Gはチタン合金ですが、純チタンの約3倍の硬度を誇るとのこと。ゴルフのドライバー等で用いられているとのことですが、腕時計での採用ということに、これまた驚かされますね。ちなみにこのDAT55Gも開発はわが国の大同特殊鋼株式会社です(大同特殊鋼株式会社では、ゴルフ用品として開発したようです)。
カシオ曰く、「強さと美しさを併せ持つ外装」と。
ケース・裏蓋・プッシャーは64チタンとなっており、やはり硬度と軽量性に優れます。
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MRG-B5000BはDLC処理が施され、初号機同様に黒を基調としたデザインベースに仕上がりました。裏蓋・プッシャーのゴールドIP処理や鏡面仕上げの多用によって、華やかな印象を獲得しています。
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MRG-B5000Dの方はチタンカーバイト処理が施されています。これによってメタルの美しさがいっそう引き立ちました。ちなみにMRG-B5000Dの方は鏡面のみならずツヤ消しとの相乗効果によって、奥行きある高級スポーツウォッチとして完成されています。
なお、どちらもディスプレイには反射防止コーティングを施した、高硬度サファイアガラスが使われています。
G-SHOCKの定価として、MRG-B5000はかなり思い切った高価格に舵を切っていると思います。
そしてこの定価は、決して高すぎるということはありません。特別な仕上げ、特別な素材、特別な構造を採用していることを鑑みれば、むしろお値段以上。従来、ゴールドやプラチナといった貴金属を外装に用いることで、時計・宝飾品はラグジュアリーを究めてきました。
一方高性能な新素材を用いることで、新たなる価値を提供する。これこそがG-SHOCKらしいラグジュアリーとも捉えられるのではないでしょうか。
③各種機能
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外装の見事さに話が終始しがちですが、性能面もG-SHOCKを語るうえでは欠かせませんね。
新しいMRG-B5000は、フルメタル5000に当たるGMW-B5000のモジュールをベースとしています。しかしながら回路押さえ板に金メッキを施すことで電気抵抗値を低減した、専用モジュールともなっております。
高効率なタフソーラーに世界6か国での標準電波受信が可能となるマルチバンド6とともに、Bluetoothも搭載。これによってスマートフォンとリンクさせ、いっそうの高い機能性をお楽しみ頂けます。
G-SHOCKの標準装備である20気圧防水を備えながら、チタンをメインとした素材によって重量が114gに抑えられているのは嬉しいですね。普段使いのしやすい高級時計は、生活が多様化した現代において今後重要性を高めていくことでしょう。
その他暗所での視認性を担保してくれるフルオートLEDバックライトやワールドタイム,ストップウォッチ機能等も搭載しています。
定価は黒ベースのMRG-B5000Bが462,000円。シルバーのMRG-B5000Dが396,000円。いずれも税込み金額です。
2022年3月12日から販売スタートとなりますが、既に予約も受け付けられています。
まとめ
G-SHOCKの2022年新作MRG-B5000について解説致しました!
初代G-SHOCKをリバイバルしつつもMR-Gで培った高級機としてのノウハウをいっしんに詰め込んだ、全く新しいと言って良いG-SHOCK「MRG-B5000」。近年高級化路線によって世界的なポジショニングを上げる日本ブランドは少なくありませんが、G-SHOCKもまたそのうちの一つです。
まずは実機を見て、その仕上げや造形の見事さを堪能したいものです。
なお、特に限定モデルでもないようですが、G-SHOCKは突然ラインナップを変えることもあるので、気になる方は早めに問い合わせてみましょう!
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年