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スモールセコンドって何?その特徴と魅力について
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腕時計に詳しくなっていくと「スモールセコンド」という言葉を耳にすることがあります。
「スモセコ」と略語で表現されることが多く、機械式時計をお使いになったことが無い方にとっては、馴染みのない言葉ではないでしょうか。
スモールセコンドとはいったい何なのか?
今回はスモールセコンドの基礎的な知識をご紹介したいと思います。
目次
スモールセコンドとは?
スモールセコンドは針の位置を意味する時計用語で、センター以外に配置された秒針のことを指します。
「スモール」は「小さい」、「セコンド」は「秒」という意味を持つ単語ですが、その名の通りスモールセコンドはセンターセコンドよりも針が小さいことが特徴であり、6時位置に配されることが多いです。センターセコンドの方が一般的な秒針の配置と思いがちですが、実はスモールセコンドの方が歴史が古いです。
ノモス オリオン OR1A3GW2(309)
スモールセコンドのメリット
スモールセコンドを配した時計は数多くの愛好家がいるほど人気です。
なぜそれ程までにスモールセコンドは支持されているのでしょうか?それには理由は3つのメリットがあるからです。
時計を薄くすることができるから
センターセコンドは中心に秒針が配されているため、同じ軸に針が3つ並びます。
対してスモールセコンドは秒針を別の箇所に設置するため、中心に並べる針は時針・分針の2つだけです。
秒針の分設計をコンパクトにできるため、本体をより薄く製造することができます。
パテックフィリップ カラトラバ、ヴァシュロンコンスタンタン パトリモニー、ランゲ&ゾーネ サクソニア、ブレゲ クラシック。
スモールセコンドを搭載したモデルはどれも薄型です。ドレスウォッチをお探しの方にとっては、これらの時計は実に魅力的に映ることでしょう。
視認性に優れる
スモールセコンドは秒針が時針や分針と重ならないため、視認性が高いです。
また文字盤に過度な装飾を施さないシンプルな設計となっていることが多いです。
クラシカルなデザインだから
スモールセコンドが配されたモデルはどれもクラシカルでデザインです。懐中時計の時から伝わる古き良き時計の美しさが見事に再現されています。
スポーティーで現代的なセンターセコンドとは違う大人の雰囲気を放つことこそ、スモールセコンドの大きな魅力といえます。
スモールセコンドを採用するブランド
ロレックス・グランドセイコー・オメガ・ウブロ・フランクミュラー。誰もが知る人気ブランドの多くはセンターセコンドを採用しています。
ロレックス サブマリーナ
では、スモールセコンドはどのようなブランドが採用しているのでしょうか?
ここではその代表的なモデルをご紹介していきます。
パテックフィリップ
時計界の頂点の君臨し、常に歴史を牽引してきたパテックフィリップ。
懐中時計の時代から紡いできた美しいスモールセコンドがフラグシップモデル「カラトラバ」に採用されています。
カラトラバ 5196R-001
20世紀を代表するモデルRef.5196。6時に配置されたスモールセコンドは、往年の人気モデル「Ref.96」を彷彿とさせます。
この時代に作られたモデルはスモールセコンドを持つ個体が多く、機械式時計の伝統を強く感じることができます。
ヴァシュロンコンスタンタン
世界三大時計ブランドの一角を占めるヴァシュロンコンスタンタン。パテックフィリップと同じく、懐中時計の時代から時計製造に真摯に向き合い続け、その歴史を一度も途切れさせることなく今に至ります。
パトリモニー トラディショナル
ヴァシュロンのスモールセコンドといえば、パトリモニー トラディショナルです。トラディショナルは伝統を意味する言葉で、その名の通り秒針にも伝統的なスモールセコンドが配されています。
ランゲ&ゾーネ
圧倒的なムーブメント製造技術を持つドイツの至高ランゲ&ゾーネ。伝統的なシンプルさに趣を置いた傑作コレクション「サクソニア」においてはスモールセコンド採用モデルの存在が目立ちます。
ランゲ&ゾーネ サクソニア 215.032(LS2154AD)
サクソニアはシンプルな設計ですが、細かなパーツの一つ一つまで精密に作られています。スモールセコンドに関しても目盛りの細部まで美しく装飾されており、針のデザインに関しても秀逸です。
ブレゲ
機械式時計がお好きな方であれば、一度はブレゲの時計に憧れを抱いたことがあると思います。
ブレゲ針にブレゲ数字、ローマンインデックス。ブランドが創立されてから数百年が経過した今なおブレゲは伝統を重視しており、その心意気はスモールセコンドにも現れています。
ブレゲ クラシック
スモールセコンドを楽しめるのはクラシックシリーズです。
ブレゲのラインナップを覗くと、スモールセコンドがいかに伝統的な秒針の置き方だったのかを感じ取ることができるはずです。
パネライ
迫力のあるケースサイズから男の時計として人気のあるパネライ。
9時位置にスモールセコンドを持つモデルが多いです。
ルミノール マリーナ
もともとミリタリーウォッチとして開発されたパネライはタフな設計であるのは勿論のこと、高い視認性も併せ持ちます。スモールセコンドが採用されているのも、時分針の視認性をより重視したいからではないでしょうか。
ノモス
ドイツ グラスヒュッテに工房を構えるノモスはデザイン良し・精度良し・コスパ良しと近年急速に人気を高めているブランドです。
多くのモデルは6時位置にスモールセコンドを配したデザインとなっており、ドイツ国内で数々のデザイン賞を受賞するほどの評価を獲得しています。
左:タンジェント 右:ラドウィグ
ジャガールクルト
時計界の技術屋とも呼ばれるジャガールクルト。機械式時計の製造技術は世界トップクラスの実力があり、時計作りの伝統を忠実に守った硬派さも人気の秘訣です。
マスターウルトラスリム Q1278420(171.8.90.S)
ジャガールクルトにおいては、厚さ僅か8ミリの薄型ケースに自動巻きムーブメントを搭載した“マスターウルトラスリム”にスモールセコンドが採用されています。確かな精度に堅実なデザイン。まさに質実剛健と呼べる時計です。
当記事の監修者
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。