歴史、ステータス、時計としての価値。
どれをとっても最高峰と言えばパテックフィリップを置いて他にはありません。創業180年の実力のもと、超絶技法が駆使されたコンプリケーションを始め傑作時計を数多く輩出しており、芸術と呼ぶに等しい銘品が数知れず存在します。
しかも、現在パテックフィリップの需要が世界的に非常に高まっており、相場は右肩上がりの状態。供給を抑えることでブランド価値を高めており、常に品薄なことも同社製品の大きな特徴と言えるでしょう。
そんな中で売れ筋というのは、「まだ手に入りやすく」「しかも評価が高い」ということを表します。
この記事ではパテックフィリップをこれから購入しようと思う方に向けて、東京銀座の高級時計専門店GINZA RASINの2023年の売上データをもとに、最も人気が高かったモデルをピックアップしてみました!
目次
パテックフィリップの中で一番人気が高いモデル
アクアノート 誕生20周年記念モデル 5168G-001
[駆動方式] 自動巻き
[キャリバーNo.] Cal.324SC
[パワーリザーブ] 最大45時間
[ケース材質] ホワイトゴールド
[防水] 120m
[重さ] 134g
[ケースサイズ] 直径42.2mm×厚さ8.25mm
パテックフィリップにおいて最も人気を博したモデルは、アクアノート誕生20周年を記念して製造された「アクアノート 5168G-001」です。
アクアノートは生産数が少ないこともあり、どの時計店を覗いても在庫を抱えていないお店がほとんどです。時計ファンだけでなく時計業界関係者からの評価も非常に高いため、業者間で行われるオークションでは毎回高額での競り合いが続いています。
そんな状況下のなか、5168G-001は1000万円を優に超えるプレミア相場でありながら、入荷後すぐの完売が続きました。
5168G-001の魅力はなんといってもエレガントな見た目でしょう!
基本的なディティールはアクアノートの現行モデルと踏襲していますが、文字盤にはブラックグラデーションのブルー文字盤、ケースサイズはジャンボサイズの42.2mmケースが採用されています。まさにラグジュアリースポーツウォッチを体現する最高に上品な仕上がりです。
パテックフィリップにはカラトラバ、ノーチラスといった定番コレクションが存在しますが、その中でも今年の5168G-001人気はまさに別格。
オリジナルの意匠はそのままに、限定モデルらしいプレミア感が時計ファンの心を射止めました。
アクアノートはパテックフィリップのコレクションの中では、比較的カジュアルな印象をもつモデルです。スタイリッシュになりすぎない為、様々なファッションに良く似合います。他のモデルとは異なる独特の美しさと品格を持ち、資産価値も申し分ありません。
長い間時計界の不動の王者として君臨し続け、その伝統に裏付けられた芸術品とも云えるデザインは、本物を求める方に最適の逸品だといえます。
ムーブメントには視覚的な美しさ、精度、安定性を追求した自動巻きCal.324SCを搭載。伝統的な手巻き式も機械式時計の魅力ですが、やはり日常使いを考えると自動的にゼンマイを巻いてくれる自動巻きは現代のライフスタイルにマッチしています。
5168G-001は決してコストパフォーマンスに優れるモデルとはいえません。しかし、間違いなく一生モノとして末永く使い続けることができます。
パテックフィリップの中で人気が高いモデルとは?
今年度のパテックフィリップ人気ランキングにおいて、注目したいのはスポーツ・エレガンスきわまる「アクアノート」です。
アクアノートは1997年にノーチラスに次ぐパテックフィリップのスポーツコレクションとして誕生したモデルとして知られます。
ノーチラスよりもスポーツテイストが強く、また、スペックもアクティブ寄りになっています。
1位に輝いた5168G-001だけでなく、2023年においては他のバリエーションも上位にランクインすることになりました。
アクアノート エクストララージ 5167R-001
[駆動方式] 自動巻き
[キャリバーNo.] 324SC
[パワーリザーブ] 最大45時間
[ケース材質] ローズゴールド
[防水] 120m
[重さ] 124g
[ケースサイズ] 直径40.8mm×厚さ8.1mm
パテックフィリップ2番人気モデルに輝いたのはアクアノートのローズゴールドモデル 5167R-001です。
こちらは2009年バーゼルワールドで発表された18金ローズゴールド製のアクアノートで、上品なローズゴールドとブラックダイアルのコントラストが美しく、ラグジュアリーな一本として世代を超えて愛されています。
他のスポーツモデルと同様に手に入りにくい状態が続いているので、相場が上がってしまう前に手に入れた方が賢明です。
5167R-001は、2023年の実勢相場を1200万円~まで上げてきており(コンディションによるが、中古でも1000万円超えがほとんど)、国内定価が6,875,000円であることを考えると大きなプレミアがついています。
パテックフィリップはもともと製造本数が多いブランドではないため、今後も生産本数が需要に追いつくとは考えづらく、まだまだ相場を上げる可能性があります。
パテックフィリップのスポーツモデルが欲しい方は、まだ売れ筋にランクインできてる今のうちにご購入されることをお勧めいたします。
パテックフィリップ3番人気モデルはアクアノートの現行モデル 5167/1A-001 です。
売上はローズゴールドモデルと殆ど大差はないため、人気は同等と思ってよいでしょう。
アクアノート エクストララージ 5167/1A-001
[駆動方式] 自動巻き
[キャリバーNo.] 324SC
[パワーリザーブ] 最大45時間
[ケース材質] ステンレススティール
[防水] 120m
[重さ] 142g
[ケースサイズ] 直径40.8mm×厚さ8.1mm
パテックフィリップの人気シリーズと言えば、ノーチラスやカラトラバがまず思いつきますよね?
実際、カラトラバは初出1932年、ノーチラスは1976年ですので、同社の長い歴史の中ではアクアノートは新参者な印象が強いかもしれません。
しかしながらアクアノートを見て、ちょっと試着していただければその完成度の高さがノーチラスと決して遜色のないものだとおわかりいただけます。
むしろ、クラシカルなカラトラバとスポーティーなノーチラスの良いとこどりをした外観で、どのモデルとも一線を画しております。
多角形ながら丸みを帯びたケース。暗闇でも視認性を確保する夜光アラビアインデックスと優美な時分秒針。
そしてアクアノートをアクアノートたらしめる格子模様のブラック文字盤は、スポーツウォッチなのに見ていると引き込まれるような気品や美しさを感じさせます。
出典:https://www.patek.com/ja/
これだけ品格があるのに、120m防水という堅牢性も特徴的です。
確かに120m防水程度は、今では珍しくありません。ロレックスはほとんど全てのシリーズで100m以上の防水性能を堅持していますし、中には1,000mを超えるものも。
しかしながら、パテックフィリップほどの雲上ブランドはあまり高い防水性が確保されていないことが少なくありません。品格を保つために、薄型設計にしてあることが多いためです。
パテックフィリップレベルのブランドでここまでのスペックというのはアクアノートならではでしょう。実際ノーチラスは120m防水ですが、カラトラバなどドレスラインは日常生活用防水に留まります。
なお、世界的な人気はノーチラスに軍配が上がります。
しかしながら流通量は決して多くはなく、品薄すぎてなかなか入荷できないこと。ちなみに正規店では、予約すら受け付けていないようです。
実際にノーチラスの大人気モデル 5711/1Aや5712/1Aは今回も上位にランクインしていません。
価格が上がりすぎて誰もが気軽に手に入れられるような一本ではなくなってしまったことが売れ筋に大きな影響を与えている状態です。
具体的な相場を提示しますと、最もシンプルなSS製3針モデルのノーチラス5711/1Aは、現在の実勢相場は1700万円超となることも(数年前は500~600万円程度)。世界最高峰ブランドの大人気モデルとは言え、なかなか気軽に手を出せる価格帯ではないですよね。
パテックフィリップの4番人気は、カラトラバの定番と称される 5196G-001 です。
今年のTOP5においては、カラトラバ唯一のランクインとなりました。
カラトラバ 5196G-001
[駆動方式] 手巻き
[キャリバーNo.] Cal.215PS
[パワーリザーブ] 最大44時間
[ケース材質] ホワイトゴールド
[防水] 生活防水
[重さ] 59g
[ケースサイズ] 直径37.0mm×厚さ7.8mm
Ref.5196Gは現行手巻きカラトラバの根幹を担うモデルです。
旧モデル3796Gからムーブメントは変更されていませんが、ケースが37mmにサイズアップしており、手巻きながらモダンな印象を与えます。
現代人の腕にしっくり合うサイズ感で作られており、ビジネスとの相性が良いことから、こちらも人気は絶大です。
派手さはありませんが、伝統的な機械式時計の魅力をじっくり味わえるモデルだといえるでしょう。
左:カラトラバ 5196J 右:カラトラバ 5196R
5196系には幾つかのバリエーションが存在します。
使い勝手の良いローズゴールドに需要が集まりがちですが、イエローゴールド「5196J-001」、ローズゴールド「5196R-001」もカラトラバ屈指の売れ筋として注目されています。
価格に関してはノーチラスやアクアノートほどではありませんが、現在高騰傾向にあり、中古相場は300万円前後~です。
5番人気は2011年に発表された、アクアノートに初めてトラベルタイムを搭載した記念すべきモデル「5164A-001」です。
トラベルタイムでは初めてとなる自動巻きムーブメントCal.324 SC FUSが組み込まれ、さらにポインターデイト、デイ&ナイト表示を搭載しています。
アクアノート トラベルタイム 5164A-001
[駆動方式] 自動巻き
[キャリバーNo.] Cal.324 SC FUS
[パワーリザーブ] 最大45時間
[ケース材質] ホワイトゴールド
[防水] 120m
[重さ] 97g
[ケースサイズ] 直径41.0mm×厚さ10.2mm
アクアノートらしいデザインと複雑機構を見事に両立した5164A-001は毎年ランキングTOP10入りを争うパテックフィリップの人気モデルです。
凹凸のある格子状の黒文字盤、独特なデザインの3連ブレスレット、緩やかなカーブを描いたオクタゴン型(八角形)のフォルム。41mmという現代のトレンドを抑えたサイズ感となっていることも特徴で、着け心地に関しても申し分ありません。
ポインターデイトと上品なブラックダイアルの組み合わせは雲上時計らしい見事な仕上がり。ケースバックはスケルトン仕様となっており、伝統に裏付けられた芸術品とも云える最高水準の技術を堪能できます。
ハイエンドモデルではありながらも、ここ数年売り上げを大きく伸ばしています。
まとめ
パテックフィリップの、当店での人気売れ筋トップ5をご紹介いたしました。
パテックフィリップの特徴として、相場が上がったから需要が減るということは殆どありません。
相場が上がっても人気モデルは売れ続け、むしろより人気を博すこともあります。
現在異常なほどの値上がりを続けていますが、市場では品薄続きで、なかなか手に入りづらいモデルが多いです。
人気商品にしろそうでないにしろ、本当にパテックフィリップで欲しいモデルがある方は出会った時に買うことをお勧めします。
当記事の監修者
田中拓郎(たなか たくろう)
高級時計専門店GINZA RASIN 取締役 兼 経営企画管理本部長
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
当サイトの管理者。GINZA RASINのWEB、システム系全般を担当。スイスジュネーブで行われる腕時計見本市の取材なども担当している。好きなブランドはブレゲ、ランゲ&ゾーネ。時計業界歴12年