「ディープシー126660と116660の違いについて知りたい」
「126660と116660って似てるけど、どこか変わったの?」
バーゼルワールド2018にて発表されたロレックス ディープシー「126660」。
同時に発表された GMTマスターII 126710BLRO 通称「ペプシ」や、「ルートビア」「カフェオレ」等と呼ばれる 126711CHNR の注目度が高く、若干埋もれてしまった印象も受けますが……
2008年の発表以降10年間人気を博した「116660」からの進化系という事で、時計屋の話題としては外せません。
そんなディープシー126660と116660の違いについて知りたいという人は多いのではないでしょうか。
126660はムーブメントの進化により、パワーリザーブ70時間になったのが大きなポイントです。
この記事ではディープシー126660と116660の違いについて、、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
126660に搭載されているCal.3235についても解説していますので、ロレックスに興味がある人はぜひ参考にしてください。
目次
まずは基本スペックを比較
ディープシー126660 |
ディープシー 116660 |
|
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発表年 | 2018年 | 2008年 |
ケース径 | 44mm | 44mm |
防水性能 | 3900m | 3900m |
ムーブメント | Cal.3235 | Cal.3135 |
パワーリザーブ | 70時間 | 48時間 |
前述の通り、2008年販売開始のロングセラーモデル116660から、10年越しの新型発表となりました。
ケース径は変わらず44mm。防水性能も変更は無く12800フィート=3900メートルと、相変わらずのオーバースペックです。
さて、こうして並べてみると、見た目には殆ど変化が無いように思われます。
それでは、Cal.3135からCal.3235に変更されているムーブメントについて、詳しく見てみましょう。
Cal.3235とは?
新型ディープシー 126660 に搭載されている自社製キャリバー3235。2018年に発表されたロレックス渾身の新型ムーブメントです。
出典:https://www.rolex.com/ja/watches/rolex-watchmaking/new-calibre-3255.html
ロレックス自ら「新世代ムーブメント」と自負するCal.3235。メーカー公式発表等を参照していると、どうやらポイントは新規に特許を取得した「クロナジーエスケープメント」という技術のようです。
エネルギー効率が大幅に向上した事により、旧型ムーブメント3135では48時間だったリザーブ時間を、70時間まで引き上げる事に成功しています。
前身Cal.3135の発表がなんと1989年ですので、歴史あるムーブメントが満を持してリニューアルされたと言えるでしょう。
実は針回しが逆
ロレックスはムーブメントによってリューズを回す方向と運針の連動方向が異なります。
116660に搭載されていたCal.3135と126660に新たに搭載されたCal.3235に関してもこれが当てはまり、実は両モデルは針回しが逆です。
116660は12時側(奥)にリューズを回すと針が時計回りに動きますが、126660は6時側(手前)にリューズを回すと針が時計回りに動きます。
時計に詳しい方でもなかなか気づかない細かな差ですが、新旧を見分ける大きなポイントとなるでしょう。
見た目の微妙な変化! ①文字盤
もちろん、ムーブメントだけではなく見た目にも少しずつ変更が入っています。
先程並べてご覧頂きましたが、今度は文字盤6時位置にクローズアップ。
上:126660 下:116660
お分かりになりましたでしょうか……
下の116660は「SWISS MADE」表記のSWISSとMADEの間が目盛りのみ(縦線)になっていますが、上の126660は、間にロレックスの王冠マークが入っているんです。
「SWISS 王冠 MADE」って感じですね。
こちらは間近で見ないとわからない違いですが、ブランドロゴが追加されているというのは、ファンにとってはそれだけで大きなポイント。12時位置にも立派な王冠がありますので、6時位置はプチ王冠という感じですね。
そしてこの王冠表示は、同じく2018年発表の126710BLROや126711CHNRにも見られます。
このマーク、2018年発表ムーブメント搭載のモデルに表示されている、という説もありますが……Cal.3235搭載の2017年発表デイトジャストには王冠は見られず、同じキャリバー搭載で2018年に発表されたデイトジャストには王冠が入っているので、同じムーブメントであっても、2018年発表のモデルより刻印され始めたと考えられます。
2018年発表、Cal.4130搭載のデイトナ 116595RBOW、通称「レインボー」にはついていないので、今後のモデル全てについてくるわけではないようですね。
見た目の微妙な変化! ②ブレス
そして、それ以上に微妙な変更点が「ブレスレットの幅」。
左:126660 右:116660
比べて見てもわからないほど、微妙~に新型のほうがコマの幅が広くなっています!
コマ幅に合わせてバックルも若干大きめに。また、ケースサイズは変わらずラグ幅が広がった為、ラグ自体がほんの少しだけ細くシャープになっています。
重さを見ると116660は216g、126660は220gと、微妙な変化ではありますが約4グラムほど増しているようですね(当店にて測定)。
ロレックス公式によると、「ラグとサイドのデザインが新しくなり、幅広になったオイスターブレスレットとセーフティキャッチ付オイスターロッククラスプが搭載されています。」との事。
目的はブレスの幅を広くする事、なのでしょうか。確かに心なしかガッシリして見えて、よりケースとの調和も感じられます。
結論
ロングセラー116660から、満を持しての126660への進化。
ポイントは
・新世代ムーブメントCal.3235搭載
・新世代の証(?)6時位置の王冠マーク
・ブレスが少し広く、ガッシリ感UP
という点かと思われます。
「ペプシ」や「カフェオレ」はたまた「レインボー」のようにパッと目を引く華やかな変更点はありませんが、ムーブメントの進化により70時間パワーリザーブ対応となった点等、利便性が向上しているところにロレックス社のムーブメントに賭ける思いが感じられますね。
当記事の監修者
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年