「エクスプローラー124270と114270の違いって何?」
「124270と114270だったらどちらを選んだら良い?」
ロレックス屈指の人気モデル エクスプローラーI。
シンプルな見た目と実用性の高さから、幅広い世代から支持を集めている定番中の定番です。
さらには2021年新作として次世代機「Ref.124270」が発表され、今旬最も注目が集まっていると言っても過言ではありません。
この124270はエクスプローラーIの最新モデルとなりますが、驚くべきことにこれまで現行として同シリーズの人気を長らく支えてきたRef.214270ではなく、旧モデルのRef.114270の進化版として扱われます。
すなわちRef.114270の発売は2001年なので、約20年の時を経てバーションアップが施されることになりました。
一見どこが変わったのかわかりづらい、エクスプローラー124270と114270の違いについて知りたいという人は多いのではないでしょうか。
2つのモデルの大きな違いは搭載ムーブメントです。
この記事ではエクスプローラー124270と114270の違いを、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
定価と今後の相場についても紹介しますので、ロレックスの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
エクスプローラーI 新旧36mmモデル 114270と124270
エクスプローラーIはこれまでに幾度もアップデートを果たしてきたモデルですが、デザイン性やコンセプトは初代から大きく変わっていません。
124270と114270に関しても、大きな見た目の変化は見受けられず、どちらも洗練された美しさを纏います。
サイズはどちらも36mm。
ベゼルや文字盤のデザインもほぼ同一です。
しかし、細部までよく確認すると大きな違いがあることがわかります。
ロレックス エクスプローラー 114270
Ref.114270
製造期間:2001年~2010年
搭載ムーブメント:Cal.3130
まずは旧型114270をチェックします。
114270はエクスプローラーIの人気を決定付けた傑作です。
シンプルなデザインであることからどんなシーンでも使いやすく、幅広い年齢層で愛用されています。
6桁リファレンスの最初のモデルであり、デザインは先代14270から大きく変わらなかったものの、ブレスレットがフラッシュフィット一体型となりました。
ムーブメントも安定性と精度に優れるCal.3130が搭載され、高級感だけでなく、実用性に関しても大きく向上しました。
ロレックス エクスプローラー 124270
Ref.124270
製造期間:2020年~
搭載ムーブメント:Cal.3230
124270は2021年新作として発表されたエクスプローラーIの最新作です。2010年に発売された214270以来、約11年振りの新作となり、かつ114270の発売から数えると約20年振りのモデルチェンジとなりました。
なぜ214270ではなく、114270のモデルチェンジとして発表されたのかというと、サイズ感が114270を基準としているからです。
214270はこれまでのエクスプローラーIよりも大きな39mmサイズ。114270、及び新作124270は36mmサイズとなります。これに伴い、文字盤レイアウトも214270ではなく114270に準ずることとなりました。
迫力のある39mmサイズも人気がありましたが、スーツの袖口に収まりやすく上品な36mmサイズの復活を期していた声は多く、新作が114270ベースとなったのはそういった声に応えたゆえでしょうか。はたまたアジア市場を狙いにきたゆえでしょうか。
背景はロレックスのみぞ知る、ですが、100m防水という優れた防水性能,厚みを抑えたディティール,機能性がさらに向上したCal.3230の搭載。
これまでのエクスプローラーIの特徴を継承しつつも、細かな点においてスペックが上がっています。
ロレックス エクスプローラーI 114270と124270の違い
124270と114270はいずれもシンプルな見た目をしているため、一見瓜二つに思えます。
しかし、実は多くの変更点が存在します。
主な変更点は以下の通りです。
①文字盤ディテール
②ラグ幅が細くシャープに
③ブレスレットの幅が小さくなった
④コマ数の変更
⑤重量アップ
⑥バックルのディテール
⑦夜光塗料の進化
サイズ感やデザイン性は殆ど同一ですが、ブレスレットや駒、そして細部の仕上げが異なります。
約20年振りのモデルチェンジだけあり、スタイリッシュな雰囲気が強まりました。
①文字盤ディテール
124270は従来通り、文字盤がラッカー仕上げとなっています。ラッカー仕上げは鮮やかな色を出しやすく、114270や214270も美しかったものですが、新作124270の方が色味が強いように感じます。
また、ロゴのプリントもくっきりしており、SWISS MADEの王冠も現行のデザインへと変更されました。全体的にみて、どこかリッチな印象が強くなったと言えます。
左:114270 右:124270
旧型はシンプルな「SWISS MADE」表記ですが、新型はSWISSとMADEの間に王冠マークが配されています。
細かな違いではありますが、よく見てみると明白ですね。
左:114270 右:124270
なお、新作124270はインデックスに関しても細かな調整が行われており、フチを少なくして若干盛り上がらせたような高級感あるデザインとなっています。
針の大きさ・長さは114270を踏襲しており、214270よりかは短くシャープな印象です。
遠目からでは決してわからない誤差ともいえる違いではありますが、似てるようで異なる個性を持ち合わせます。
②ラグ幅が細くシャープに
新作124270は114270に比べてラグ幅が1mm細い設計です(114270や214270は20mmでしたが、124270では19mmへ)。
幅の再設計とともに若干ながらラグをシャープにしており、今後のロレックスのスタンダードとなっていくことでしょう。
なお、正面幅のみならず、側面からも僅かながらシャープ化されているようです。
恐らく新型124270においてはオイスターパーペチュアルの最新モデルと同じケースと思われます。
左:114270 右:124270
元々細めのデザインでしたが、格段にスタイリッシュな印象になりましたね。曲線のラインも美しく、視覚的に大きな進化を遂げたといえるでしょう。
③コマ幅が小さくなった
Ref.124270はRef.114270よりも全体のディティールがシャープ化されているため、コマ幅 ・ラグ幅も小さくなっています。
コマ幅もまた「1mm」小さくなり、さらにだんだん小さくなる仕様になりました。かなり華奢でスタイリッシュな印象で、女性にもマッチしそうなサイズ感です。
フラッシュフィットとブレスレットのバランスも調整されており、まさに正当進化と言えるでしょう。
画像で比較してみると、124270のブレスレットの方がより洗練されていることがわかるはずです。
今回は解説のために細かく項目分けをしましたが、「ラグ幅やコマ幅の変更」は全てひっくるめて、エクスプローラーIのシルエットをより美しくするための変更と感じます。
なお、124270を手にするにあたり、旧モデルのコマと互換性がなくなったことを覚えておく必要があります。
ロレックスはコマの幅が同一であれば異なるモデルのコマであっても使用することができましたが、124270はそもそもコマのサイズが変更されてしまったので、以前のコマを用いることはできません。
今のところ、コマを別途購入する際には新型用のコマを選ぶ必要があります
④コマ数の変更
124270と114270ではコマ数が異なります。
新型124270においては12時側大7個、6時側大5個に変更されました。
114270では12時側が大7個、小1個であったため、小1個分コマが少なくなっています。
12時側の外せるコマの数も5個から3個に減っているので、調整できる幅が小さくなっていることに注意してください。
写真:124270
なお、114270は年式によってコマの仕様が違うことがあります。
そのため、購入の際にはコマの数をよくチェックすることをオススメ致します。
⑤重量の違い
こちらは目には見えない違いですが、新型124270は旧型114270よりも重量が重くなっています。
124270の重量は約120g。
114270の重量は約104g。
ケースサイズは同一、ラグ幅等は124270の方が細くなっていますが、重量は約16gほど重くなりました。
重くした理由としては、時計としての装着感を追求した結果とのこと。
長時間身につけてもシックリくる絶妙な重みとなっており、実用性がより高まっています。
⑥バックルの違い
約20年振りのモデルチェンジとなった124270は、114270よりもバックルが大きく進化しています。
124270はエクステンションリンク(イージーリンク)が採用されたバックルとなっており、114270よりもしっかりした造りとなっています。
※114270に採用されているのは年式相応のダブルバックルであるためです。
こちらも堅牢性に優れるバックルではありますが、仕上がりのきめ細やかさに関しては、やはり124270に分があります。
左:114270 右:124270
新旧のバックルを比較すると、違いは顕著です。
124270においてはコマの幅も細くなっているため、バックル全体がスリムになっています。
なお、124270のイージーリンクはサブマリーナなどと異なり、バネ棒で支えられた工具のいる調整機構です。ご自身で調整の際は十分気をつけましょう。
⑦搭載ムーブメントの違い
124270と114270では搭載ムーブメントが違います。
旧モデル 114270に搭載されるムーブメントは完全自社製ムーブメントCal.3130。
「14270とデザイン面で大きな違いのない114270」と前項でご紹介しましたが、大きな変更点と言えばムーブメントです。Cal.3130はサブマリーナやエアキング等にも搭載されましたが、テンプの振動数が毎時19,800から毎時28,800となりハイビート化。高精度を維持する一方でテンプのブリッジが両方向から支えるスタイル「ダブルブリッジ」となったことで耐衝撃性がいや増し、かつ2012年には耐磁・耐衝撃性に優れるパラクロム製ヒゲゼンマイが採用されました。
精度・耐久性・メンテナンス性。どれをとってもハイスペックであり、長らくロレックスの定番ムーブメントとして高い評価を得てきた名機です。
なお、時期によって性能が異なるので、114270は年式によってスペックが異なります。
【スペック】
時分秒、ハック機能
クロノメーター認定(2000年~2007年までのモデル除く)
パワーリザーブ約48時間
28,800振動/時
製造年:2000年~
出典:https://www.rolex.com/ja
対して、新型124270には「新世代ムーブメント」と称される Cal.3230が搭載されています。
Cal.3230はブルーパラクロム・ヘアスプリングによる高耐磁性、日差-2 ~+2 秒の優れた精度、そして約70時間のロングパワーリザーブを誇るロレックスの新たなる定番ムーブメントです。
新作サブマリーナ ノンデイトにも搭載されており、予想通りエクスプローラーIの新作にもこちらが搭載されました。
安定性やパワーリザーブの延長など、大きくスペックが上がっており、実用性はさらに進化しています。
124270と114270のどちらを買おうか迷っている方は、このムーブメントの違いにまず注目してみてください。
【スペック】
時分秒、ハック機能
クロノメーター認定
パワーリザーブ約70時間
28,800振動/時
製造年:2020年~
⑧クロマライト夜光の進化
これは実証したわけではありませんが、124270に採用されている夜光塗料クロマライトは、これまでのクロマライトよりも改良されたモノが使われている可能性があるとのことです。
成分の調整により、残光時間が伸びたと噂されています。
非常に細かな変更点にはなりますが、ロレックスの時計作りに対する情熱が感じとれます。
出典:https://www.rolex.com/ja/watches/explorer/m124270-0001.html
クロマライトの進化についてはまだ検証段階ではありますが、124270は114270よりもインデックスのフチが絞られていることも特筆すべき点でしょう。
夜光部分が増えたと言うことは、視認性が上がったということを示唆するためです。
暗闇でも正確が時間が読み取れるようになっており、これも進化を遂げたポイントだといえるでしょう。
ロレックス エクスプローラーI 定価と今後の相場
基本性能が向上したことに伴い、124270は114270よりも当然ながら定価が上がっています。
114270の定価は517,000円(参考定価 税込)でしたが、新型124060は税込676,500円(税込)。15万円以上も値上がりしました(もっとも、214270は687,500円ですので、先代と比べると値段が驚くべきことに下がっています!)。
モデルチェンジを果たすまでの20年の間でロレックスの時計製造技術は大きく進化し、それに伴い製造コストも増えているので、こればかりは致し方ありません。
ただ、デイトナやGMTマスターといった他のスポーツロレックスと同様、正規店で手に入れることが難しいことから、実売価格は定価を上回るプレミア価格にて取引されています。
新作が発表されてから間もないこともあり、現在の並行相場は124270・114270共に高騰傾向にあります。
214270が39mmだったことから、これまで36mmを求める方は114270を手にしていました。
しかし、124270の登場により、その需要も大きく変わることでしょう。
今後の相場はまだ未知数ではありますが、スペックで選ぶなら124270。価格で選ぶなら114270となる可能性が高いです。
今回解説したデザインの違いも踏まえた上で、どちらを狙うかを決めると良いでしょう。
まとめ
ロレックス待望の2021年新作エクスプローラーI 124270と、範を取ったと言われる114270について解説致しました。
こうしてみると114270のみならず、214270からも大きな飛躍を遂げた一本であることがおわかり頂けるでしょう。
既にエクスプローラーIのデリバリーは始まっているため、マラソンしている方もいらっしゃるかもしれません。私も正規店をまわってみたいと思います!
当記事の監修者
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年