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ロレックス GMTマスターII ファットレディの魅力を語る

最終更新日:

「GMTマスターII ファットレディってどんなモデル?」
「ロレックス ファットレディについて知りたい」

ロレックス GMTマスターII ファットレディ。

ヴィンテージロレックスファンでこの名を知らない人はいないでしょう。

このモデルは1980年代に発売されたGMTマスターIIの初期モデル”16760″のことを指し、強い個性をもつことから今尚高い人気を誇っています。

そんなGMTマスターII ファットレディについて知りたいという人は多いのではないでしょうか。

初代GMTマスターIIとして知られるファットレディは、ヴィンテージロレックス唯一の黒赤ベゼルが備えられているモデルです。

この記事ではヴィンテージロレックスの名作「ファットレディ」について、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。

GMTマスターI 16750との違いについても解説しますので、ロレックスに興味がある人はぜひ参考にしてください。

ロレックス GMTマスターII ファットレディ 16760

ロレックス GMTマスターII ファットレディ Ref.16760とは?

ロレックス GMTマスターII ファットレディ 16760

ロレックス GMTマスターII ファットレディ16760

Ref.16760は1983年頃~1988年に僅か5年と非常に短い生産期間で作られた“GMTマスターII”のファーストモデルです。通称「ファットレディ」と呼ばれ、通常よりケースに厚み(12.5mm)があることを特徴とします。

ちなみに「ファットレディ」を日本語に直訳すると太い女性という意味となり、その名の通り他のGMTマスターよりもケース厚が太いことを意味します。

ファットレディは製造数が少なかったため、現在では市場に出回ることは殆どありません。そのため、コレクターズアイテムとして時計ファン垂涎の一本として知られています。

ロレックス GMTマスターII ファットレディ 16760

16760 ファットレディのケースサイズは1980年代のヴィンテージロレックスとしては大きい直径40.0mm。このサイズ感はGMTマスターの特徴であり、アンティークモデルも現行モデルも基本的に同じ40mmケースが採用されています。

また、ファットレディは「黒/赤」の”コーク”ベゼルしか存在しないことが大きな特徴です。

当時のGMTマスターには「GMTマスターI」と「GMTマスターII」が同時期に流通していましたが、赤青ベゼルと黒ベゼルの2種類が展開されたGMTマスターIに対して、GMTマスターIIは黒赤ベゼルのみが製作されました。

1980年代に発売された「ケースが太い黒赤ベゼルモデル」。これがファットレディの特徴というわけです。

■1980年代に発売されたGMTマスターI

ロレックス GMTマスター

左から:1675 / 16750(青赤) / 16750(黒)

同時期に発売されたGMTマスターIを見ると「黒赤ベゼル」が存在していないことが分かります。1980年代のヴィンテージロレックスとしてはGMTマスターII 16760ファットレディの黒赤ベゼルは非常に貴重なベゼルカラーになります。

■ファットレディの後続機 GMTマスターII 16710

ロレックス GMTマスター

左から:16710(青赤) / 16710(黒赤) / 16710(黒)

尚、1990年~2007年まで発売されたファットレディの後続機GMTマスターII Ref.16710には黒赤モデルが存在します。Ref.16710はファットレディよりも薄い設計となっているため、見た目は似ていても明確な違いがあります。

GMTマスターI 16750とGMTマスターII 16760 ファットレディの違い

16760はGMTマスターIIの初代モデルと解説しましたが、同時期には1980年頃~1988年頃に発売されていたGMTマスターI”16750″も存在します。同時期にIとIIが混在しているということもあり、両モデルがベゼル以外どう違うのか分からないという方も多いです。

そのため、ここではIとIIの違いを解説していきます。

ロレックス GMTマスター 16750

ロレックス GMTマスター 16750

Ref.16750は1950年代に登場したGMTマスターIの3代目にあたり、縁有りと縁無しのインデックスが存在する人気ヴィンテージロレックスです。前期に製造された縁無しインデックスモデルの方が希少価値が高いことが特徴とされています。

このモデルには青赤ベゼルと黒ベゼルモデルが存在し、現代では青赤ベゼルモデルに人気が集まっています。

両モデルの差はムーブメントの性能差

ロレックス GMTマスター

左:GMTマスターI Ref.16750 右:GMTマスターII Ref.16760(ファットレディ)

GMTマスターIとIIの主な違いはムーブメントの性能面です。

GMTマスターI 16750に搭載されているムーブメントはCal.3075。対してGMTマスターII 16760にはCal.3085が搭載されています。

どちらも28,800振動/時を誇るハイビートムーブメントとして開発されましたが、Cal.3075の上位機種として製造されたCal.3085には「短針単独稼働」を備えられ、この機能差がそのまま「GMTマスターI」と「GMTマスターII」の違いとなりました。

Cal.3085を搭載したGMTマスターIIは短針を単独で動かせるため、タイムゾーン表示を最大3箇所まで表示することが可能です。

ロレックス GMTマスター

左:GMTマスターI Ref.16750 右:GMTマスターII Ref.16760(ファットレディ)

実はGMTの機能差以外ではGMTマスターI・II両モデルに大差はありません。唯一大きな違いを挙げるとすれば、風防の違いでしょう。

GMTマスターI 16750にはプラスチック風防が使われていますが、GMTマスターII 16760 ファットレディにはサファイヤクリスタルガラスが採用されています。アンティーク時計としての趣はプラスチック風防に分がありますが、実用性でいうとサファイヤクリスタルガラスが使われたファットレディの方が上かもしれません。

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ロレックス GMTマスター

 

左:GMTマスターI Ref.16750 右:GMTマスターII Ref.16760(ファットレディ)

ケースバックやブレスレット、ケース径といった基本スペックは両モデル殆ど一緒。堅牢なオイスターケースにデイトジャスト機構。主な違いは「短針単独稼働」が出来るか出来ないかということだけです。

ただ、冒頭でもお伝えしましたが、16760 ファットレディはケース厚が12.5mmとなっているため、この厚みが大きな個性となります。16750が12mmなので、その差は0.5mmということになります。

僅かの差のようにも思えますが、ロレックスファンが見ると一目で分かるほどの違いです。

16760 ファットレディを扱う上での注意点

16760 ファットレディを扱う上で、注意したいことがあります。

それは、パーツの交換です。

16760は1980年代唯一の黒赤ベゼルであることが魅力ですが、ベゼルや文字盤を交換することになった場合、その多くが1990年代以降に出回った後続機16710のパーツが使われます。もし交換されてしまった場合、80年代ならではの質感は失われてしまうことでしょう。

ロレックス GMTマスター パーツ交換

また、16760の夜光インデックスには今では貴重となったトリチウムが使われていますが、文字盤を修理したり交換したりすると、現在使われているスーパールミノバに変更されてしまいます。これもアンティークロレックスを愛する方にとっては痛いところです。

16760はオリジナルのコンディションを維持できているかどうかで価格も大きく変わります。オリジナルの個体は年々少なくなっていますので、状態の良い16760 ファットレディを見つけたら即決するくらいの心がけが大切です。

まとめ

初代GMTマスターIIとして知られる”16760 ファットレディ”はヴィンテージロレックス唯一の黒赤ベゼルが備えられているモデルです。

また、このモデルだけケース厚が「12.5mm」になっていることも特徴です。

とても貴重なモデルですので、もし店頭で見かけることがありましたら迷わず購入するのがオススメです。

当記事の監修者

田所 孝允(たどころ たかまさ)

(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 営業物流部長/p>

1979年生まれ 神奈川県出身
ヒコみづのジュエリーカレッジ ウォッチメーカーコース卒業後、かねてより興味のあったアンティークウォッチの世界へ進む。 接客販売や広報などを経験した後に店長を務める。GINZA RASIN入社後は仕入れ・買取・商品管理などの業務に従事する。 未だにアンティークウォッチの査定が来るとついついときめいてしまうのは、アンティーク好きの性分か。
時計業界歴18年。

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