1963年、ロレックスのクロノグラフモデルとして登場したデイトナは、2023年に60周年を迎えました。
ロレックスで最も市場を過熱させていると言っても過言ではないデイトナのアニバーサリーとあって、今年は何らかのスペシャルエディションや新作がリリースされるのではと、長らく噂になっておりましたね。
そんな中で行われた時計業界最大の新作見本市、ロレックスが待望の新型デイトナを打ち出してきました!また、これまでのロレックスには見られなかったスペシャルなデイトナも伴って!
この記事では、ロレックスの2023年新作デイトナについて、ステンレススティール製モデル Ref.126500LNを中心に解説するとともに、同時にフルモデルチェンジとなった金無垢やプラチナ個体についてもご紹介いたします!
出典:https://www.rolex.com/ja
目次
ロレックス2023年新作 デイトナ 126500LN スペック
スペック
外装
ケースサイズ: | 直径40mm |
素材: | ステンレススティール |
文字盤: | ブラックまたはホワイト |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.4131 |
パワーリザーブ: | 約72時間 |
機能
防水: | 100m |
定価: | 1,795,200円 |
ロレックス2023年新作 デイトナ 126500LN 特徴
冒頭でもご紹介したように、2023年に新型デイトナがロレックスより発表されました。
デイトナについて簡単に解説を加えると、公式には1963年に誕生したとされる、ロレックスのクロノグラフモデルです。もっともロレックスには1950年代から既にクロノグラフモデルが存在していました。このモデルは後のデイトナと同じくバルジュー社製ムーブメントをベースとしたCal.72Bを搭載していたこと等からも、プレデイトナなどと呼ばれることがあります。
※上記画像は「プレデイトナ 6238」
なお、正式名称はコスモグラフ デイトナです。
Cosmic(宇宙)を思わせる名称が、なぜデイトナに付いているのか、疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。真相はわかりませんが、デイトナが誕生した当時はNASAによる宇宙開発計画が推進されていました。ロレックスは1964年の、NASAの公式装備品としての認証試験にエントリーしており、このことからも宇宙開発計画の公式腕時計として認定されることを視野に入れての名称であったのではないか、と言われています。ちなみにデイトナ以前、ロレックスには「コスモグラフ」というムーンフェイズとクロノグラフを搭載したモデルが存在したのだとか。
ご存知の通り、NASAの公式装備品となったのはオメガのスピードマスターです。
公式装備品とはならなかったものの、デイトナは宇宙への想いは保ちつつ、やはり同時代に世界を熱狂させていたモーターレース用クロノグラフとしてのポジショニングを確立。アメリカ フロリダ州のデイトナビーチにあった「デイトナ・インターナショナル・スピードウェイ」の名も加えて、コスモグラフ デイトナの名称となりました。
もっともデイトナは誕生当初からスポーツクロノグラフに求められる耐衝撃性に配慮した堅牢な設計であり、その後も性能面でのアップデートを絶やさなかったことを鑑みれば、宇宙であろうとモータースポーツであろうと、様々な過酷な条件下で重宝されたであろうことは間違いありません。
誕生の経緯はさておき、現在では傑出したクロノグラフとして、「デイトナ」の名は世界中で知れ渡っています。キング・オブ・クロノグラフの呼び声も高く、憧れている男性陣は多いのではないでしょうか。
60年の歴史の中で何度かの世代交代を経てきており―しかも、歴代モデル全てがプレミア価格―、2023年のモデルチェンジによって第七世代へと突入しました。
本項では、この第七世代の、最新デイトナ Ref.126500LNについて徹底解説いたします!
①Ref.116500LNを踏襲したデザイン
出典:https://www.rolex.com/ja
基本的にロレックスは、デザインの大幅な変更は行いません。初代からのデザインを基調に、連綿とアップデートを繰り返しながらモデルチェンジします。デイトナにもそれは当てはまりますが、一方でデイトナはアウターベゼルによって雰囲気を大きく変えているコレクションの一つです。
※余談ですが、昔はタキメータースケールが文字盤に印字されることの多かったクロノグラフにおいて、アウターベゼルを搭載させた画期的なコレクションが初代デイトナでした。こういった先見性も、誕生から今に続くデイトナ人気を物語るエピソードの一つです。
デイトナは1988年までは手巻きクロノグラフ、1988年以降は自動巻きクロノグラフが搭載されてきたのですが、この手巻きデイトナ時代にはプラスティックベゼルとメタルベゼルが、自動巻きクロノグラフ時代は2016年に登場したRef.116500LNまでは、メタルベゼルが用いられてきました。このアウターベゼルの違いに加えて、インダイアルや文字盤カラーにも若干の際が存在しています。
とは言え、第五世代のRef.116520は第四世代のRef.16520を踏襲。また第六世代のRef.116500LNもRef.116520から基本デザインは変えず、アウターベゼルをセラクロムに変更。そして2023年に発表された第七世代のRef.126500LNは先代Ref.116500LNとデザイン面で大きな変更は見られなかったことを鑑みれば、2023年も従来のロレックスらしいフルモデルチェンジが行われたと言えるでしょう。
新作としてリリースされたバリエーションが、ブラック・ホワイト文字盤の二色展開であることも従来のステンレススティール製デイトナと変わりはありません。
堅牢性を感じさせながらも、薄くエレガントなオイスターケース・ブレスレットも健在です。仕上げも従来通り、ポリッシュ仕上げを基調に、ブレスレット等にツヤ消し仕上げが施された、高級感あるコンビネーションとなっております。
オイスターケースならではのねじ込み式リューズ(三重密閉構造となったトリプロック)、ねじ込み式プッシュボタンと相まって、新作でも洗練された高級クロノグラフが楽しめることが示唆されています。
②ただし随所の変更が思わせるレガシー
ロレックスはフルモデルチェンジであっても基本デザインは変えない、と前述しました。しかしながら随所にアップデートを施すことで、進化を果たしてきたブランドでもあります。そのため2023年の新作デイトナ Ref.126500LNでも、Ref.116500LNからいくつかの変更が行われました。
最たるものは、セラクロムベゼルでしょう。
出典:https://www.rolex.com/ja
Ref.116500LNより搭載がスタートした、セラクロムベゼル。これは2005年にGMTマスターIIで初めて搭載されて以来、順次プロフェッショナルモデルのアウターベゼルとされていっている(一部コレクション除く)ハイテクセラミック素材です。
SSデイトナでも2016年に発表されたRef.116500LNでセラクロムベゼル化されましたね。タキメータースケールがプラチナコーティングされた独特の光沢と高級感に溢れる当素材によって、デイトナ人気がまた一つ押し上がることとなりました。
※2016年発表のセラクロムベゼル搭載 Ref.116500LN
このセラクロム素材、GMTマスターIIやサブマリーナーであればベゼルインサートに使われるのですが、デイトナではモノブロック・セラクロムベゼルでした。
しかしながら2023年新作では、ベゼルのフチ周りにミドルケースと同一素材のメタルが使用されることとなったのです。これはステンレススティールモデルのみならず、セラクロムベゼルを搭載している金無垢モデルも同様です。
出典:https://www.rolex.com/ja
Ref.116500LNがリリースされた折、「手巻きデイトナ時代のプラスティックベゼルを彷彿とさせる」と言われたものでした。しかしながらこのメタルのフチ取りができたことで、いっそう手巻きデイトナ時代に近づいたとも捉えられます。なぜなら当時のプラベゼルはベゼルインサートがブラックのプレキシガラス製で、ベゼル自体はメタルであったためです。
※手巻きデイトナ Ref.6263(第三世代)のプラベゼル
実際ロレックスも、「1965年モデルをイメージさせる」と言及しています。
また、文字盤もリファインされていることが見て取れます。
インダイアルの幅が細くなり、またバーインデックスも細長くなっているように見受けられます。これは、1988年~2000年まで製造されていた、Ref.16520を想起させます。
こちらが新作Ref.126500LNと、先代Ref.116500LNの文字盤の比較です。
出典:https://www.rolex.com/ja
こちらが新作Ref.126500LNとRef.16520の比較です。サイズ感がかなり近いですよね。
出典:https://www.rolex.com/ja
ゼニス社のエルプリメロを搭載していたデイトナ Ref.16520は、生産終了から20年以上経つ今なお人気モデルですね。今ほどロレックス相場が高騰する以前からRef.16520は屈指のプレミア価格を維持してきており、屈指のレア仕様も存在することでも知られた世代です。
こういったRef.16520や手巻きデイトナを思わせるように、新型デイトナにも、コレクションのレガシーがそこかしこに秘められています。近年時計業界では「クラシック回帰」が一つのトレンドとなっており、ロレックスの新作にもこの傾向が垣間見えることがありますが、新型デイトナにも、そんな嬉しいクラシックを感じられます。
一方でインデックスのメタルの枠は細くなっており、Ref.16520と比べてもRef.116500LNと比べても、夜光面積は広げられているようです。また、近年リリースされたモデルに倣い、6時位置のSWISS MADEの間には王冠マークが印字されております。
③外装もアップデート
外装も、細かく見るといくつかのアップデートが見受けられます。
宣材写真でもわかりやすいのが、ラグではないでしょうか。
こちらが新作Ref.126500LNの、サイドから見たラグです。
出典:https://www.rolex.com/ja
こちらが先代Ref.116500LNのサイドから見たラグです。形状が違いますね。
ステンレススティール製のデイトナ(またはイエローゴールド)はラグを横から見ると、先端まで伸びるようにラインを描いていました。しかしながら新型デイトナ Ref.126500LNでは、エバーローズゴールドなどといったハイエンドモデルで見られたような、切り立ったラグに変化しています。
宣材写真だけでは、ラグの変更で全体にどのような変化が加わったのか明言はできません。もっとも、ラグが短くなることでケース直径は変わっていないにもかかわらず、すっきりと小顔に見えます。また、腕の太さにかかわらず、装着感も向上していることでしょう。これは何もロレックスに限った話ではないのですが、ケースの縦長が短いと細腕でもピッタリと時計がはまりやすく、安定して装着しやすい傾向にあります。もともとロレックスの快適な着け心地には定評がありましたが、近年ではいっそうの向上を見せていますね。
なお、ラグは正面から見ても、変化したことがわかります。
出典:https://www.rolex.com/ja
これまでリューズ側のラグからケースにかけての傾斜がきつく、9時側のそれと比較して左右非対称だったのですが、このラインが緩やかになり、シンメトリーに近づいた顔立ちとなりました。
加えて、これは実機と比較しないとわかりませんが、若干ブレスレットがケース側からバックル側にかけて、テーパーがかっているようにも感じます(近年の動向のように)。
また、ケース厚もわずかながら薄くなっているようです。前述の通り、これまでもきわめて薄型でした。にもかかわらずこの改良は凄まじいです。
いずれにせよ、早く実機を見てみたいものです!
④最新ムーブメントCal.4131
2000年にRef.116520がリリースされたのと同時に、クロノグラフムーブメントCal.4130も世に送り出されました。
このCal.4130、全く非の打ちどころのない名機中の名機で、改良の余地はあるのか?と思うところですが、もう20年選手。そのため「そろそろ新しいムーブメントが出るのではないか」と長らく取り沙汰されていたのですが、マイナーチェンジによってCal.4131へとアップデートされた次第です。
ちなみにCal.4130について解説すると、ロレックス初の自社製クロノグラフです。
2000年以降、ロレックスは自社製クロノグラフをデイトナに搭載させていきますが、それまではサプライヤーの汎用クロノグラフムーブメントをベースとしてきました。これは決して珍しいことではなく、パテックフィリップやオメガ、パネライなどといった名門も汎用ムーブメントをベースに、自社で改良を施してきた歴史があります。ロレックスは手巻き時代はバルジュー社、自動巻きになってからはゼニス社のエルプリメロをベースに、自社でモデファイしたクロノグラフを、デイトナに載せてきました。
しかしながら2000年、自社製のCal.4130を発表。
さすがロレックスと言うべきか、Cal.4130は2000年当時から既に完成された高性能クロノグラフであり、とりわけ約72時間のロングパワーリザーブを獲得していたのは驚きに値すると言って良いでしょう。
今でこそロレックスは順次プロフェッショナルモデルを中心に70時間パワーリザーブ・ムーブメントへと移行していますが、当時は48時間パワーリザーブがロレックスではスタンダードでした。しかしながらデイトナだけは、ロレックスらしい高精度を損なうことなく、利便性高いロングパワーリザーブを獲得していたというのは、Cal.4130の完成度の高さを表す一つのエピソードです。
また、ロレックスの中でもいち早くパラクロム・ヒゲゼンマイが備わっていたことも特筆すべき点です(下の画像はブルーパラクロム・ヒゲゼンマイ)。
https://www.rolex.com/ja/watches/rolex-watchmaking/new-calibre-3255.html
パラクロム・ヒゲゼンマイとは、ロレックスが常磁性であるパラクロム合金を使って開発したヒゲゼンマイです。機械式時計の精度を司るヒゲゼンマイは非常に繊細で、特に磁気や衝撃に弱いといった側面を抱えていました。そこで耐磁性・耐衝撃性、そして温度変化にも耐性のあるパラクロム・ヒゲゼンマイによって、実用性強化を図った最初のロレックスムーブメントがCal.4130だったのです。このパラクロム・ヒゲゼンマイはその後、美しいブルーに色づけられたブルーパラクロム・ヒゲゼンマイへと進化を果たすのですが、Cal.4130も2008年頃からこちらへと切り替えが行われました。
もちろんロレックスらしい優れた堅牢性やメンテナンス性を備えていたことは、言わずもがなですね。
では、いったい最新デイトナとともにローンチされたCal.4131は、どのような改良が行われたのでしょうか。
これまた実際のムーブメントを見たわけではないのでロレックスの公式発表をもとにした解説となりますが、曰く、「前身のキャリバー 4130が備えていたすべての技術を採用し、さらに向上している」と。
出典:https://www.rolex.com/ja
特徴としてまず挙げられるのが、クロナジー・エスケープメントを備えていることでしょう。
これは2015年以降、ロレックスの新世代ムーブメントに搭載されている特許取得の脱進機です。簡単に言うとLiGAなる微細加工技術によってパーツを軽量化し、エネルギー効率を高めた脱進機。パワーリザーブ延長に大きく寄与する部分ですが、Cal.4131にも搭載されています。また、やはりロレックスの特許取得のパラフレックス・ショックアブソーバーによって、耐衝撃性にも配慮が行われました。
さらにロレックスは「最適化されたボールベアリングにより耐久性を高めている」とも語っています。
ボールベアリングというのは自動巻きのゼンマイ巻き上げの要ともなるローターの、軸で用いられる軸受けです。ボールベアリングもまた、ローターをスムーズに巻き上げるために重要なパーツですが、摩耗しやすかったり衝撃の影響を受けてガタついてしまったりして、不具合の要因になりやすい箇所です。ロレックスでは長らくクロノグラフやスカイドゥエラー以外ではスライドベアリング式を採用していたのですが、2015年以降の新世代ムーブメントで最適化されたボールベアリングに切り替え。もともとボールベアリングだったCal.4130ですが、ここに新世代ムーブメントのような技術が用いられ、耐久性が改良されているのではと推察できます。加えて、パーツ点数も低減されているようです。
なお、後述しますがデイトナのバリエーションに驚くべきモデルが同時リリースされました。
出典:https://www.rolex.com/ja
プラチナ製Ref.126506のみ、なんと裏蓋のスケルトナイズが行われたのです。
ロレックスはこれまで、手巻きチェリーニ プリンスを除き、頑ななまでにソリッドバックを貫いてきました。しかしながらここへきて、シースルーバックを特別に採用しています(ちなみに2023年に発表された新コレクション「1908」もシースルーバックです)。
このプラチナモデルの裏蓋から見えるムーブメントCal.4131は、これまでのCal.4130と大きく美観が異なっていることがわかります。もともとペルラージュ装飾(半円が重なったような装飾)や丁寧な面取りは行われていたロレックスムーブメントですが、新たにコート・ド・ジュネーブ装飾(縦じまのような装飾)が施されているのです。また、ローターはゴールド製のようで、肉抜きによって全体が見通しやすい設計にもなっております。
もちろんロレックスならではの高精度クロノメーターも健在。
高精度クロノメーターはロレックスが2015年以降に標準装備としつつある、独自の精度規格です。有名な公認クロノメーターを超える、日差±2秒の超高精度(検査環境下)を認証する栄えある称号。この高精度クロノメーター認定機の証として、メーカーでは販売時にグリーンタグを付属していますが、恐らく新作デイトナでもこの付属品が楽しめるのでしょう。
ちなみにデイトナムーブメントCal.4130は、ヨットマスターIIのCal.4161のベースにもなってきました。
2023年は特にヨットマスターIIのモデルチェンジ等はなかったのですが、来年あたりに何らかの動きがあるかも!?
ロレックス2023年新作 デイトナ 豊富なバリエーション
出典:https://www.rolex.com/ja
これまでステンレススティール製 Ref.126500LNについてご紹介してきましたが、2023年はデイトナ全体でフルモデルチェンジが行われました。
デイトナはプロフェッショナルモデルの中では屈指のバリエーションを誇ってきたコレクションです。2023年もその豊かさは健在で、ラインナップは変わらず下記の通りとなっております。
イエローロレゾール(ステンレススティール×イエローゴールドのコンビ) Ref.126503。
エバーローズゴールド Ref.126505およびオイスターフレックス搭載のRef.126515LN。
イエローゴールドのRef.126508およびオイスターフレックス搭載のRef.126518LN。
ホワイトゴールドのRef.126509およびオイスターフレックス搭載のRef.126519LN。
これに加えて、プラチナ製のRef.126506です。
出典:https://www.rolex.com/ja
ちょうど10年前の2013年、デイトナ50周年として発表されたスペシャルなモデルですね。
プラチナ×アイスブルーという特別なコンビネーションで作り上げられるのみならず、ベゼルやインダイアルがチェスナットカラー(栗色)となっており、贅沢ながら上品なイメージも大切にされているモデルです。
ちなみにステンレススティール製以外のデイトナにはインデックスがダイヤモンドのモデルが存在します。プラチナデイトナでもダイヤモンドインデックスのラインナップがあるのですが、他素材と違ってバゲットカットが用いられています。こんな違いも、いかにもスペシャルエディションですね(ダイヤインデックスはインダイアルもアイスブルーからチェスナットへマイナーチェンジ)。
そして2023年の60周年では、このプラチナデイトナがシースルーバックとなったのです!
前述の通り、ロレックスはこれまでソリッドバックを基調としてきました。
ロレックスのムーブメントは裏蓋を開けなくては鑑賞ができず、なかなか一般ユーザーが気軽に目にすることができません。しかしながら一部モデル―しかも超スペシャルな―とは言え、ロレックスの高性能ムーブメントの世界観をいつでも味わえるというのは、時計好きにはたまらない仕様ではないでしょうか。
どうなる?今後のデイトナ 126500LNの入荷とロレックス相場
2023年新作デイトナの国内定価は、ホワイト・ブラック文字盤ともに1,795,200円です。先代Ref.116500LNの生産終了時の定価が1,757,800円でしたので、新作はだいたい2%ほどの微増といったところです。
ファーストデリバリーがいつかはわかりませんが、ロレックスの新作は例年、4月末~5月頃にかけて出回りが始まります。待ち遠しい限りですね。
ただし「正規店での国内入荷が始まった」からと言って、正規価格で買えるとは限らないのがデイトナです。
既にご存知の通り、ロレックスは近年、きわめて凄まじい実勢相場の急騰を記録してきました。ロレックスは高級時計ブランドとは言え歴史も長く、決して流通量の少ない製品ではありません。しかしながら世界的な需要が数年間で急速に高まっていった結果、ほとんど全てのコレクションで品薄続きに。ことデイトナに至っては二次流通市場ですら品薄傾向となることも少なくなく、定価の2倍、時には3倍以上ともなるような相場感が続いてきました。現在の相場感は、中古であっても400万円超が当たり前というほどです。
当然ながら、新型デイトナがリリースされれば、歴代モデル全体で相場急騰は必至と言われてきました。
ただし新型・旧型で大きなデザイン変更がなかったこともあり、2023年4月の本稿執筆時点では、先代Ref.116500LNの相場は「微増」といったところです。
もっとも「新作の相場」となれば話は別です。
Ref.126500LNが入荷したら・・・いったい初値がいくらになるのか、正直想像もつきません。参考までに、2022年に発表されたレフティモデルのSS製GMTマスターII Ref.126720VTNRの初値は600万円超でした。
600万円も異例中の異例ですが、ロレックス相場、そしてロレックス人気を牽引するデイトナの最新作。ご祝儀相場を考慮しても、あるいは過去、SSモデルでは類を見ないような値付けとなるやもしれません。
さらに出回りが開始しても、しばらく高値が続くであろうことは想像に難くありません。なお、Ref.116500LNは、初出時200万の二次流通価格で業界人を驚かせましたが、その後の実勢相場がこれを下回ることはありませんでした。
この答えは、国内入荷が始まったらすぐに答えが出るのでしょう。ロレックスの入荷を待ちましょう!
まとめ
ロレックスの2023年新作デイトナ Ref.126500LNについて解説いたしました!
文中でも述べている通り、先代Ref.116500LNを踏襲しつつも、随所にアップデート(時にはレガシー)を感じられる新型機でしたね。
もっとも、実機を見比べてみないとわからないこともあります!当店でも、入荷を頑張っていきたい新作モデルの一つです!
当記事の監修者
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年