「ロレックスの最新人気モデルはどれ?」
「どのロレックスを買ったら自慢できるのか知りたい」
言わずと知れた時計界の王様「ロレックス」。
数ある高級腕時計ブランドの中で最も高い人気を誇り、歴史、技術、ステータスいずれも突出しています。
そんなロレックスの人気モデルが知りたいという人は多いのではないでしょうか。
ロレックスではスポーツモデル人気がトレンドとなっています。
この記事ではロレックスの人気モデルを、GINZA RASINの売上データをもとにランキング形式で紹介します。
各モデルの魅力や特長も解説していますので、ロレックスのご購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
第10位 GMTマスターII 126710BLNR
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径40mm×厚さ12mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3285
パワーリザーブ:約70時間
防水性:100m
第10にランクインしたのは、「バットマン」こと、現行GMTマスターII Ref.126710BLNRです!
2019年発表と比較的新しいモデルであったため昨年までは売上本数ベースに見ると伸びませんでしたが、流通量が増えてきたこともあり、第10位の売れ筋となりました。
GMTマスターIIは、単独稼働する時針の他、GMT針と回転ベゼルを用いて第三時間帯までを表示させる多機能機です。
1954年にパン・アメリカン航空が所望したパイロットウォッチといった出自を持つ歴史あるコレクションで、誕生当初からしばらくは「GMTマスター」として時針の単独稼働はできませんでしたが、1983年にRef.16760がリリースされたことで「GMTマスターII」としの機能を確立しました。
現行ではツートンカラーのベゼルがアイコンとなっていますが、これは初期GMTマスターから見受けられるデザインコードです。赤×青や赤×黒に代表されるベゼルの配色は、昼夜表示を一目で認識できるとともに、他のスポーツロレックスにはない特別感を強調していたことでしょう。
しかしながら、かつてはツートンカラーよりも、ベーシックなブラックベゼルの方に人気の軍配が上がりました。
また、2005年に登場した金無垢GMTマスターII Ref.116718LNを皮切りにセラクロムベゼルへと移行しますが、長らくワントーンカラーのみが採用されていました。技術的にセラクロムベゼルでツートン配色を行うのが難しかったのでは、と言われています。
しかしながら2013年、ついに赤青ベゼル「バットマン」のRef.116710BLNRが登場。
この配色はGMTマスターII人気を一気に押し上げるとともに、再びアイコンとしての地位を取り戻していくこととなりました。
このRef.116710BLNRの後継機が、Ref.126710BLNRです。
ミルガウスの項でも言及したように、次世代ムーブメントCal.3285を搭載させた新生GMTマスターII。高精度と信頼性、さらに約70時間の実用的なパワーリザーブを有する新生GMTマスターIIは、ジュビリーブレスレットであったことも大きな話題となりました。
既に前年にRef.126710BLROがリリースされていたこと。また過去にジュビリーブレスレットのGMTマスターモデルはいくつか見られることから「全く新しいデザイン」ではなかったかもしれませんが、やはり発売当初は驚きを以て報じられたものです。
しかしながら、ジュビリーブレスレットのエレガンスと、バットマンの都会的なデザインとが、合わないはずがありません。
Ref.126710BLNRもRef.126710BLROと同様に、絶大な人気を得るのに時間はかかりませんでした。
流通量も安定してきた結果、第10位の売り上げ本数という結果も納得です。
なお、2021年にオイスターブレスレットモデルも登場し、この人気はいっそう強固なものとなっていきます。
今回の集計はジュビリーブレスレットモデル・オイスターブレスレットモデルともに合算した結果となりますが、内訳を見てみると若干ジュビリーブレスレットモデルの方が活発に売買されていました。
とは言え、それは「僅差」。むしろ発売からまだ間もないオイスターブレスレットモデルもこれだけ売れているということに、GMTマスターII Ref.126710BLNRの底力を感じます。
なお、オイスターブレスレットモデルの方が高値で売買されることが多いですが、これは人気の差というよりも、販売から間もない個体が出回っていることも影響していることでしょう。
第9位 エクスプローラーI 124270
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径36mm×厚さ11.5mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3230
パワーリザーブ:約70時間
防水性:100m
第9位にランクインしたのは、2021年に満を持して登場した、最新エクスプローラーI Ref.124270です!
発売からわずか2年足らずでランキング上位に位置するとは、さすがエクスプローラーI。
エクスプローラーIは、ご存知「冒険家」をコレクション名に掲げるロングセラーです。
1953年に誕生しましたが、同年の登山家の故エドモンド・ヒラリー卿による世界初エベレスト登頂の達成と紐づけられたことで、その堅牢性や信頼性を裏打ちしたことは言わずもがな。ロレックスの巧みなブランディングを象徴するコレクションともなっております(もっとも、世界初エベレスト登頂時の時計はオイスターウォッチ)。
わが国では、1997年に放映されていた月9ドラマ『ラブジェネレーション』で木村拓哉さんが着用したことで、エクスプローラーI,そしてロレックス人気に火が付く形となりました。
そんなエクスプローラーIは、日付表示すら持たない、シンプルで端正な顔立ちが魅力の一本です。
比較的リーズナブルな価格設定であることから、ロレックスの入門機としても親しまれてきましたね。
他のロングセラーコレクション同様に、初代モデルから大きくデザインを変えず、時代に合わせたアップデートを経てきたエクスプローラーI。最新世代として2021年に発表されたのがRef.124270でしたが、最新ムーブメントを備えるのみならず、ケース直径36mmへとダウンサイジングしたことでも大きな話題となりました。
と言うのも、2010年から2021年まで製造された先代Ref.214270は、ケース直径39mmであったためです。
現代メンズ時計と言うと、直径40mm前後のサイズ感がベーシックでしょう。しかしながら最近は「レトロ回帰」が一つのブーム。
そのため、往年のオールドウォッチに見られる小径サイズを採用するブランドもまま見受けられるのですが、エクスプローラーIもまた2010年以前の、先々代Ref.114270以前に見られた直径36mmをリバイバルすることとなりました。
近年の新作ロレックスの動向としてラグのテーパーが聞いていたり、文字盤レイアウトがRef.114270から範を取っていたりと、懐かしさを感じる仕様であることも特徴です。
そんなエクスプローラーI Ref.124270、大人気モデルの最新型という話題性も相まって、初出は180万円超の値付けが行われました。
新作はご祝儀相場となるものですが、それでも「価格の優等生」であったエクスプローラーIが、定価の2倍以上ものプレミア値となるとは、当時非常に驚かされたものです(もっとも新作発表直後にRef.214270も190万円ほどになったものですが)。
現在は出回りが増えてきたこともあり、実勢相場は120万円台~と落ち着きつつありますが、定価超えであることに変わりはありません。「定価超えでも欲しい」といった人気に支えられて人気ランキング上位にきていることを鑑みれば、相場が急落することは考えづらく、安定した高相場ロレックスでもありますね。
なお、後述しますが、新型エクスプローラーIの登場は、歴代モデルにも大きな影響を与えることとなりました。
そのため今回のランキングは、歴代エクスプローラーIが多くを占めるという結果となっております。
第8位 コスモグラフデイトナ 116520
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径40mm×厚さ12.5mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.4130
パワーリザーブ:約72時間
防水性:100m
第8位は、みんな大好きデイトナの、2世代前のモデルとなります!
2016年に既に生産終了しておりますが、今なお人気。例年本当に高い需要を誇っており、2021年売上本数ではロレックスの中で第3位でした。業者間で争奪戦が激しかったこと。また相場高騰の代表格のような存在であったことなどが影響して、2022年、2023年ともに第8位となりましたが、これは決してデイトナ Ref.116520の人気が衰えたというわけではありません。むしろ問い合わせや入荷リクエスト(詳細は後述しますが、Ref.116520は年代によって仕様が異なるため、特定個体への問い合わせや入荷リクエストが本当に多い)は依然として多い状況が続きます。
こういった背景から、生産終了から年数を経るごとに稀少性は高まり続けていますが、デイトナ 116520は当店では絶対に在庫を切らせないロレックスの一つとなります。
ちなみに当ランキングは売上本数が基本的なベースとなっておりますが、「売上金額」にしますと2020年・2021年・2022年・2023年と四年連続でナンバーツーです。
そんな116520は、デイトナの第五世代にあたるモデルで、ロレックス初の自社製自動巻きクロノグラフCal.4130搭載させたことが特徴です。
また、16年にわたる製造期間の中で随所にマイナーチェンジが加え続けられてきた関係から、品番や仕様によっては非常に高値で取引されるものも存在します。
「高値」の最も顕著な例は2010年頃~製造された最終品番(ランダムシリアル)でしょう。
文字通り、116520の中では後期に製造されたモデルなのですが、過去モデルは製造年が新しいほどコンディションが良いため(もちろん、ロレックスは経年の影響が少ないブランドではありますが)、最終品番が重宝される傾向にあります。
さらに、2014年頃から新ギャランティ(2021年現在ではもはや旧型ですが)が、あるいは2015年頃から新クラスプが採用されています。2016年に116520が廃盤になっていることを鑑みれば、新ギャランティ&新クラスプ個体は実質数年しか製造されていないこととなります。つまり、きわめて高い稀少性と相まって、非常な高値で取引されているのです。コンディション良好な一部個体は、現在では500万円前後の値付けが行われています。さらに、最終品番などではない個体であっても300万円をなかなか切ることがない、ということも特筆すべき点ですね。
この相場でもまだ天井とは言えず、116500LNや126500LNの人気が日を追うごとに高まっていく中で、それに釣られてさらにさらに高値になってきている印象です。
もともとデイトナ116520は116500LNや先代16520に比べればまだ相場は落ち着いていると言われてきました。116500LNの実勢相場が300万円の大台を記録し始めた2019年頃でもまだ220万円程度で購入できる個体があったと記憶しています(2017年頃は160万円台~が実勢相場であることを鑑みれば、きわめて高騰しているとは言えますが)。
しかしながら現在はロレックス屈指のプレミア価格となっており、にもかかわらず買い控えが全く見られないことに、「キング・オブ・クロノグラフ」と呼ばれて久しいデイトナ 116520の実力のほどを垣間見る思いです。
相場は抜きにしても、精悍なメタルベゼルやインダイアルのシルバー縁取りが「これぞロレックス」「これぞデイトナ」といった様相であり、今なおスポーツウォッチの王者として君臨し続けています。そして、それは2024年も変わらないことでしょう。
第7位 エクスプローラーII 16570
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径40mm×厚さ12mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3185
パワーリザーブ:約48時間
防水性:100m
第7位は、エクスプローラーII 16570です!
本来5桁リファレンス時代のロレックスが人気ランキング上位になることは珍しいのですが、エクスプローラーII Ref.16570は別格。
20年に渡って製造されたため、流通量が多く売買が活発なこと。また2021年のエクスプローラーIIのモデルチェンジによって、歴代モデルの需要が急激に高まったことなどが、背景として挙げられるでしょう。
とは言え、結構古いモデルでありながら、今なお人気どころか売上本数を伸ばしているというのは大変稀有なことなっております。
そんなRef.16570は、エクスプローラーIIの第三世代です。1991年~2011年までと長きに渡って製造されたモデルであり、かつケースサイズ40mmエクスプローラーIIの、最後の世代でもあります。と言うのも、次世代のRef.216570よりケース直径が42mmへとアップサイジングされたためです。
また、現行はオレンジの24時間針が特徴的ですが、第三世代は赤く彩られており、今はない仕様をお楽しみ頂けます。
こちらが好みといった方も、結構いらっしゃるのではないでしょうか。
そしてRef.16570、何といっても「安く買えるロレックス」に名を連ねていることが特徴であり、魅力でした。
過去形なのは、Ref.16570もまた価格高騰しているため。近年のロレックス相場高騰の煽り、そして2021年のエクスプローラーIIのモデルチェンジが相まって、かつて40~50万円で購入できたRef.16570は、現在では100万円を切ることがなかなか珍しくなってまいりました。
現在の実勢相場は仕様や年代にもよりますが、100万円~150万円台で推移しております。
なお、ブラック文字盤・ホワイト文字盤ともに人気商品ですが、売上本数では1.5倍ほどブラックの方に軍配が上がりました。しかしながら実勢相場はホワイト文字盤の方が高く、10~20万円程度高値となっております(通常個体の場合)。
とは言え「100万円出さなくてはスポーツロレックスを買えなくなった」と言われる時代。また、エクスプローラーの名前通りに堅牢な設計のため経年劣化にも強く、メンテナンス性が高いことから中古でも状態の良好なものが多い・かつ維持が比較的容易であることから、お得感の高さもまた魅力です。
ただし、今後も人気はますます高まると思いますので、まだ流通量が豊富な今こそ買い時のモデルですよ!
なお、5桁リファレンスのロレックスは、高年式(特に2010年以降のランダムシリアル)が高くなる傾向にあります。
そう、中古市場は基本的に新しい個体ほど需要・相場ともに高くなるものです。
しかしながらサブマリーナー Ref.16610の項でもお話したように、不思議なもので、ロレックスには今はない仕様(かつて使われていた仕様)の評価が改めて見直されるといったことがおうおうにしてあります。今はない仕様が「パーツ交換されていない」ことの証左となり、そのオリジナル性から稀少価値が高まったり、あるいは「現行にはないため人と被らない」といったアドヴァンテージになったりするためです。
そしてエクスプローラーII 16570に見られるそんな「今はない仕様」の代表格が、「オールトリチウム」と「シングルバックル」です。
オールトリチウムは夜光塗料がインデックス・針ともにトリチウムとなっている、といった意味です。
※オールトリチウムの16570
トリチウムはロレックスで1960年代~1999年頃まで仕様されていた夜光で、1999年頃からルミノバに移行しました。針や文字盤は交換されやすいパーツの一つです。後年交換された個体だと、ルミノバ夜光になっているものが多く、オールトリチウムはオリジナルを維持していることを示唆します。
一方のシングルバックルはスポーツロレックスを中心に採用されていたバックルで、1995年頃からダブルロックへと変遷しています。
※左がシングルバックル / 右がダブルロック
二重でパチッと固定できるダブルロックの方が実用面では優れているのですが、市場ではシングルバックルの評価が高まっており、オールトリチウム×シングルバックル個体はそうでない個体と比べて高い値付けが行われております(もちろん、中古は状態や付属品の有無にもよりますが)。
エクスプローラーII Ref.16570は今なお入手しやすく、また年式を経ているとは言えメンテナンスされていればしっかりと実用できる個体が出回っており、初めてのポストヴィンテージとしても良い選択肢となっていくことでしょう。
そんな中で、仕様によって価格が上下する場合がある、というのは知っておきたいですね。
第6位 サブマリーナ ノンデイト 124060
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径41mm×厚さ13.2mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3230
パワーリザーブ:約70時間
防水性:300m
第6位は、サブマリーナ ノンデイト 124060。デイト系と共に堅調に売れているモデルであり、2023年においては売上本数を大きく伸ばしました。
124060はノンデイト仕様のサブマリーナとしては8作目にあたります。見た目がシンプルであることからどんなシーンでも使いやすく、ロレックス初心者から上級者まで幅広く愛用されています。ベゼルの質感や針のデザイン、ダイバーズウォッチらしい堅牢性。すべてにおいてバランスのとれた名機として、デイトと共に今年も売上を伸ばしました。
従来のノンデイトと大きく異なる点は何といってもケースサイズです。
サブマリーナノンデイトは1989年に発売された14060から、14060M、そして114060まで約40年にわたり40mmケースを採用し続けてきた歴史を持ちます。
しかしながら、124060はこれまでの歴史を大きく変える41mmケースが採用されており、歴代機とは一味も二味も違う個性を持ちあわせます。
こういった背景から、旧作の人気が高まっている今年度においても、「高くても欲しい」「今高くても今後の値上がりに期待できる」などといった声に後押しされて、124060は多くの人の手に取られました。
なお、新型124060には「新世代ムーブメント」と称される Cal.3230が搭載されています。
Cal.3230はブルーパラクロム・ヘアスプリングによる高耐磁性、日差-2 ~+2 秒の優れた精度、そして約70時間のロングパワーリザーブを誇るロレックスの新たなるスタンダードです。土日に腕時計を外していても時間が止まらない実用性が評価されており、Cal.3230を搭載したメリットは大きいといえます。
気になる実勢相場は、並行新品で180万円台~。流通量が増えてきていることもあり、2024年もランキング上位に入ることが予想されます。
サブマリーナが欲しいけど、シンプルなデザインの方が好き。そのような方にぜひお手に取っていただけたらと思います。
第5位 サブマリーナ デイト 126610LN
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径41mm×厚さ13.2mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3235
パワーリザーブ:約70時間
防水性:300m
第5位は、ダイバーズウォッチの永世定番・サブマリーナの、2020年最新作です!
オメガのシーマスターやパネライのサブマーシブルなど、多くの有名ブランドがダイバーズウォッチをラインナップしていますが、ド定番と言えばまずこちらの顔が思い浮かぶ、と言う方は少なくありません。
だいたいロレックスの人気ランキングを採ると上位の何本かはサブマリーナがランクインするものですが、今年度の126610LNは現行モデルらしい安定した成績を残しました。ちなみに売上金額でも第5位となっております。
サブマリーナはロレックスのダイバーズウォッチですが、1953年の登場以来、そのデザインコードを大きく変えてこず、そのためどんなシーンでもマッチしてくれる、素晴らしい「定番ロレックス」であり続けてきました。
しかしながら2020年に新作として発表されたこちらの126610LN、なんと往年のケースサイズから、1mmアップサイジングされたのです!具体的には、伝統的に採用されてきた直径40mmが、41mmへと変化しました。
1mmを誤差と捉えるかどうかは人それぞれですが、この「1mm」に大きな反響があったことは言うまでもありません。
またエクスプローラー始め、何度か「新型モデル」について言及してきましたが、ロレックスは2015年よりムーブメントをCal.3100番台からCal.3200番台へ載せ替えを以てモデルチェンジを行っています。この最新世代Cal.3235を搭載させた新型サブマリーナー Ref.126610LNは、約70時間のロングパワーリザーブに代表されるいっそうの実用性を獲得することとなりました。
そんな新しくなったサブマリーナ 126610LNですが、デリバリーから二年が経過し、比較的よく出回ってきたことも2023年大きく売れた理由でしょう。
さらに、126610LNはまだ新しい個体が多く、仕入れから出品までにオーバーホールを経ない場合がほとんどといったこともありますが、当店の平均滞留日数はわずか2週間ほどとなっています。これはタグホイヤーやオメガといった人気ブランドの中でも、さらに1・2番目に人気の高いモデルと同程度の回転の速さです。
実勢相場は200万円前後~と決して安くはないものの、非常に回転よく売買されることから、2023年も変わらず大人気機種となっていくことを予見させます。
一方、同時リリースされたグリーンサブ 126610LVとなると、ちょっと様子が異なります。
同じくケースサイズが1mmアップし、新世代ムーブメントが搭載された126610LNと同一スペックモデルとなりますが、もともとグリーンサブ 116610LVの需要は青天井であったこと。
加えてグリーン文字盤の「ハルク」からRef.16610LVに範を取ったブラック文字盤の「カーミット」へとデザイン変遷を遂げたことから、定価1,284,800円のところ実勢相場は240万円前後~!
「高くても欲しい」といったマインドから入荷即完売が続くものの業者間での争奪戦が激しかったことから、TOP10入りは果たしませんでした。
夏はダイバーズウォッチ人気がいや増す季節であることも相まって、人気は衰えるところを知りません。
第4位 サブマリーナ デイト 16610
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径40mm×厚さ13.2mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3135
パワーリザーブ:約48時間
防水性:300m
第4位としてご紹介するのは、20年以上に渡って製造された超ロングセラー!サブマリーナーと言えばコレ!といった方も少なくないであろう、Ref.16610です!
こういったランキングで、5桁リファレンスのモデルがランクインするのは、非常に珍しい傾向でした。5桁リファレンス時代はポストヴィンテージなどとも称されるように、現行には無い雰囲気や魅力を湛えるものですが、一方で「売上本数(すなわち、商品の回転スピードやどれだけ入荷したか)」と言うと、比較的新しいモデルの方が目立つものです。
しかしながら近年は中古市場がかつてより拡大し、USED品の需要も格段に増えたこと。またロレックス相場高騰の煽りを受け、現行モデルがなかなか手の出しづらい価格帯となった結果、相場を上げ切っておらずお得感の強い5桁リファレンスの需要が増えたことなどを背景とし、今やロレックス人気を牽引する存在になっていると言って良いでしょう。
確かにスペック面で見ると現行モデルがアップデートされてはいますが、そもそもロレックスは早い段階から実用性を確立していたブランド。そのため現在市場に出回る年式の古い個体は、しっかりとメンテナンスされていれば実用に耐えうる機種がほとんどで、5桁リファレンスのモデルは「お得に買えつつ、日常使いできるロレックス」としての大いなる魅力を抱えていると言えるでしょう。
1989年頃~2010年まで製造された、サブマリーナー デイト Ref.16610。
現行はセラクロムベゼルが搭載されていますが、Ref.16610はアルミベゼルによってヴィンテージらしい風合いを醸し出しているのが好きな方には堪りませんね。
また、現行(または次世代以降のRef.116610系)に比べるとリューズガードやラグのテーパーを始めとしたフォルムがスリムで、これまた往年の銘ダイバーズウォッチといった装いです。もちろん堅牢性は年式が新しいほど向上していくものですが、この雰囲気こそが5桁時代の魅力と言えます。
サブマリーナー Ref.16610は、製造期間の長さゆえ。そして長年人気モデルとして君臨してきたため、流通量は豊富です。
そのためダイバーズウォッチとしてのハイスペックさは持ち合わせつつも、40万円台~50万円台で買えるロレックスの一つでした。
しかしながらロレックス相場全体が高騰したことに加えて、2020年にサブマリーナーのモデルチェンジが敢行されたことから、Ref.16610もご多分に漏れず買いが集中。状態や仕様にもよりますが、現在の実勢相場は120万円台~150万円前後となっております。もっともグリーンサブとも称されるRef.16610LVなどは200万円を切ることはなかなかない状況。
今後生産終了からさらに年数が経ればRef.16610もさらに値上がりするであることは容易に予測できることから、「今最も熱いポストヴィンテージ」とも言うことができるでしょう。
なお、こういったオールドウォッチは基本的に高年式であればあるほど高値がつけられますが、5桁のスポーツロレックスは要注意点があります。
と言うのも、不思議なもので、ロレックスには今はない仕様(かつて使われていた仕様)の評価が改めて見直されるといったことがおうおうにしてあります。今はない仕様が「パーツ交換されていない」ことの証左となり、そのオリジナル性から稀少価値が高まったり、あるいは「現行にはないため人と被らない」といったアドヴァンテージになったりするためです。
そしてサブマリーナー Ref.16610に見られるそんな「今はない仕様」の代表格が、「オールトリチウム」です。
オールトリチウムは夜光塗料がインデックス・針・ルミナスポイントともにトリチウムとなっている、といった意味です。
※オールトリチウムの16610
トリチウムはロレックスで1960年代~1999年頃まで仕様されていた夜光で、1999年頃からルミノバに移行しました。針や文字盤は交換されやすいパーツの一つです。後年交換された個体だと、ルミノバ夜光になっているものが多く、オールトリチウムはオリジナルを維持していることを示唆します。
ポストヴィンテージなどとも称されるリファレンス5桁時代のスポーツロレックスは、こんな仕様の違いも購入時の検討材料に入れておきたいですね!
第3位 エクスプローラーI 114270
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径36mm×厚さ11.5mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3130
パワーリザーブ:約48時間
防水性:100m
いよいよTOP3の発表です!
第3位にランクインしたのは、エクスプローラーI 114270でした!やはり2021年のモデルチェンジは、歴代エクスプローラーI・エクスプローラーIIに大いなる影響を与えたのでしょう。人気ランキングでは、当コレクションが上位を多く占めることとなりました。もっとも、例年エクスプローラーIはこういったランキングの上位モデル常連ではあります。
2023年に3位にランクインしたRef.114270は、2001年~2010年まで製造されたエクスプローラーIです。
先代の第4世代Ref.14270から引き続き、デイト窓も回転ベゼルも持たない、シンプルで汎用性高いデザインを引き継ぎました。また、次世代のRef.214270でケースサイズは39mmとなりますが、当114270までは36mmサイズとなっており、「エクスプローラーI最後の小径ケース」と認識されてきました。
しかしながら2021年4月、新型エクスプローラーIがリリースされたのですが、なんと214270ではなく、この第五世代のRef.114270から系譜が引かれることとなりました。
※2021年発表のエクスプローラーI 124270
そのためケースサイズは直径36mmへ(むしろ214270が、唯一の39mmサイズに)。また、文字盤レイアウトも114270から範を取ることとなり、昔からのファンには親しんでいた顔立ちではないでしょうか。
こういった背景もあってか、114270人気が飛躍的に高まり、2020年人気ランキングでは第10位、2021年では第5位であったことに対し、2022年は第4位となりました。そして今回2023年に至っては更に順位を上げ、ついにベスト3に食い込むほどに売上本数を伸ばしています。
ロレックスは現行人気が上がると、過去モデルへの注目度も高まります。また、36mmという小径ケースが一つのトレンドになっていることからも、まだまだ人気は高まり続けそうですね。
エクスプローラーI Ref.114270は、流通量が豊富なことも、今なお売れ続けている理由の一つとして大きいでしょう。
流通量の豊富さはロレックス相場が高騰を続ける近年において、「まだ安く買えるロレックス」にも繋がっていきます。スポーツロレックスの中では唯一「価格の優等生」と言って過言ではありませんでした。
しかしながら新作発表によってエクスプローラーI相場が全体的に上がる中、Ref.114270も確実に相場は上昇しています。
2017年頃までは40万円台~50万円ほどの相場推移でしたが、2020年には70万円超え。2023年、70万円台~80万円台後半ほどの値付けとなっております(新作発表直後は100万円超であったため、多少は落ち着いてきたと言えますが)。
スポーツロレックスの中ではお手頃感が強いですが、Ref.114270のように生産終了した個体は年月が経つにつれ、グッドコンディションがどんどん減っていき、相場はジワジワ上がるもの。
確かに今も高くなりましたが、さらに手が届かなくなる前に。気になる方は、ご購入頂くことをお勧めいたします。
第2位 エクスプローラーI 214270
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径39mm×厚さ11.3mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3132
パワーリザーブ:約48時間
防水性:100m
第2位は、「シンプルイズベスト」を地でいく、エクスプローラーIの先代214270です!第6位でRef.124270・第3位でRef.114270をご紹介していますが、こいった歴代モデルは言わずもがな。他の人気ロレックスを圧倒する勢いで売れているのが、Ref.214270です。
Ref.214270は、2010年、39mmへとアップサイジングされて堂々誕生したエクスプローラーIです。
日付表示すら持たない3針のブラック文字盤は大変使いやすく、それでいて「冒険家」のモデル名に恥じない堅牢さや視認性を誇ります。どの年代のどのシーンにも対応できる、定番中の定番ですね。
なお、2016年は売れ筋1位、2017年は3位。そして2018年以降、五年連続で第2位を獲得する運びとなりました。売上金額では第6位となっております。
ちなみに一口に214270と言っても、文字盤が二種類あります。
と言うのも、2016年にランニングチェンジが行われており、3・6・9のインデックスに夜光が塗布&針が長くなり、どんな条件下でも視認性を向上させる、というエクスプローラーならではのコンセプトがフィーチャーされるようになりました。
上:新型文字盤 / 下:旧型文字盤
スペック自体は大きくは変わらないのですが、旧型文字盤の方が生産終了から日が経つことからジワジワ相場を上げてきている傾向があります。
しかしながら「人気」としては、新型文字盤が圧倒的となります。ちなみにどれくらい圧倒的かと言うと、新型文字盤の売り上げ本数だけでロレックスの中の第3位につけるほどです(これは2020年にも言えることでした)。
もっとも、旧型文字盤の売上本数もまた上昇しています。2023年も引き続きよく入荷し、よく売れた個体の一つでした。
このエクスプローラーI、Ref.114270のところでもお話ししたように、長らく「価格の優等生」であり続けてきました。
しかしながら近年の価格高騰の煽りに加えて、繰り返しになりますが2021年4月に生産終了が決定したことから、実勢相場は急騰。
いとも簡単に100万円超えとなりました。
ケースサイズ39mmはエクスプローラーIでは基本的に214270のみとなるため、需要は生産終了後、いっそう高まるばかりです。
ちなみに新作発表時には一時期200万円超えとなるものの、現在は後期型文字盤で120万円台~130万円台、前期型文字盤で100万円前後~110万円台と、やや落ち着いてきつつも、高値推移となっております。50万円~60万円、さらに2019年時点でもまだ70万円台で購入できていたことを鑑みると、かなりの上昇率であることがおわかり頂けるでしょう。
2024年もロレックス人気を牽引していくであろう一本ということは明言できます。
第1位 コスモグラフ デイトナ 116500LN
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径40mm×厚さ12.5mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.4130
パワーリザーブ:約72時間
防水性:100m
人気売れ筋ナンバーワンは、泣く子も黙るロレックスの最上位機種・デイトナでした!!
2016年のリリース以来、常に売上第1位にランクインしており、その強さは圧倒的と言えるでしょう。
ちなみに2017年以降、売上本数・売上金額ともにずっとナンバーワンです。
この価格帯で売上本数1位というのは、その人気の程度がわかる事実ではないでしょうか。
発売と同時にプレミア価格を記録し、定価1,757,800円のところ、中古相場は白文字盤470万円前後~・黒文字盤400万円前後~!
これだけ価格が上がると、普通は買い控えが起きるものですが、「高くても欲しい」というマインドは衰えず。前述したエクスプローラーI 214270と一番・二番を入れ替わらせつつ、2年連続人気売上ナンバーワンを獲得したこととなります。
2022年5月頃~9月頃にかけて、ロレックス相場は一時大きく下落しました。デイトナ Ref.116500LNもひところよりかは高騰が落ち着いたと言われるものの、相も変わらずプレミア価格は健在。
なお、白文字盤の方が人気が高く相場も高い傾向にありましたが、現在黒も肉薄してきております。
2023年に後続機である126500LNが発表されたため生産終了となりましたが、それでも相場は下がるどころか再び上昇傾向に。
旧作でありながらも本年度もぶっちぎりの成績を残しました。
デイトナというと資産価値の高さがまず取沙汰されますが、セラクロムベゼルを採用したデザインのかっこよさもまた圧巻です!
実際、セラクロムベゼルの存在がデイトナ人気を押し上げたと言われています。
このベゼルはただのセラミックではなく、メモリ部分がプラチナコーティングされており、独特の艶感や光沢を醸し出すとあって、デイトナのもともとのクラス感をさらに強調することとなりました。
高価格帯とはなりますが、実物を手に取ってみると、「それでも欲しい」という方が後を絶たない理由が垣間見えるでしょう。
スーツに合わせるもよし、オフスタイルでかっこよく着けこなすもよし。死角のない、不動のナンバーワンがデイトナという存在です。
本当に欲しい方はこれからさらに価格が上がってしまう前に買うのが吉と言えるでしょう。
最後に
2023年のロレックス売上データをもとに人気モデルランキングを作成しました!
ちなみにTOP10は例年通り人気スポーツモデルが席巻した形となりますが、TOP20を見てみるとGMTマスター 126711CHNRや126710BLRO、デイトナ 116508や116506といったドレッシーさも兼ね備えたスポーツモデルの人気も高まったことがわかりました。
2024年は、いったいどんなロレックス市場が形成されるのでしょうか。
当サイトでは、2024年もロレックス情報をお届けしていきたいと思います!
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当記事の監修者
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年