今密かに注目されてる時計、ロレックス エクスプローラーII Ref.16550。
製造期間が短いうえに、アイボリーやスプリットなど特徴的なダイヤルがいくつか存在します。レアモデルになりやすい要素をたくさん持ったこの時計のことを掘り下げてみたいと思います。
目次
ロレックス エクスプローラーII Ref.16550とはどんな時計?
ロレックス エクスプローラーIIは元々洞窟探検家に向けて作られたモデルです。
昼夜が分からない洞窟内において午前午後を正確に把握するために、24時間ベゼルと大きな24時間針を付けられたモデルが初代エクスプローラーIIのRef.1655です。
そのエクスプローラーIIの2代目にあたるのが、今回紹介するRef.16550です。
左:Ref.1655 右:Ref.16550
初代Ref.1655からの変更点は以下の通りです。
■長短針が白塗りのストレート針からベンツ針に変わり、24時間針も二等辺三角形から正三角形に変わった
■インデックスがバータイプからフチ有りの円形に変わった
■ベゼルの表記(デザイン)が変わった
■プラスチック風防からサファイヤクリスタルに変わった
■搭載ムーブメントがCal.1575からCal.3085に変わり、短針単独操作機能を使用するとGMT時計としても使用可能になった
■ラインナップに白文字盤が加わった
洞窟探検家というニッチなターゲットから、GMT機能を搭載して白文字盤をバリエーションに入れることで、もっと日常において使いやすいカジュアルなスポーツモデルへと変貌しました。
僅かな製造期間
Ref.16550については謎が多く、製造販売が1984年~1988年だという説や、その間の2年間のみ販売された説、はたまた1988年に販売開始された説など、諸説入り乱れていますが、その真相ははっきりとは分からないのが現状です。
しかし一つ言えることは、3代目エクスプローラーIIのRef.16570が1981年に登場したことでRef.16550はその役目を終え、僅か数年しか製造されなかった短命の時計に終わってしまったということです。
しかし世の中とは皮肉なもので短命だったがゆえに、今となってはなかなか市場に出てこないレアモデルとなり、それに気づいた方々の間で今密かに狙い目の時計の一つ、とターゲットになり始めているような状況です。
ダイヤルの種類
Ref.16550は僅かな製造期間にも関わらず、いくつかの特徴的なダイヤルが存在します。
それがまたマニア心をくすぐってくるので、たまったものではありません。
センタースプリット
特徴としてはダイヤル下部に書かれている
SUPERLATVE CHRONOMETER
OFFICIALLY CERTIFIED
の文字の上段と下段の境目がきれいに揃っているものを指します。
左:通常印字 右:センタースプリット
通常の印字は左の画像のように境目がずれています。対して右の画像のセンタースプリットはスパっときれいに分かれています。
センタースプリットはレイルダイヤルとも呼ばれるのですが、秒針がこの境目に差し掛かった時に、一本道みたいに見えるからなのでしょうか。
ちなみにセンタースプリットはレア度が高めなため、通常のダイヤルより高額で取引されます。
スパイダーダイヤル
この時代のブラックダイヤルは、ダイヤルがヒビ割れる個体があります。
肉眼では分からない位とても細かな亀裂が入るものもあれば、大きくザクザクっとしか感じでヒビ割れるものもあります。
中でも蜘蛛の巣のような形と大きさでヒビ割れてる個体はスパイダーダイヤルと呼ばれ、通常のモデルよりも高額で取引されます。
アイボリーダイヤル
ロレックス エクスプローラーII Ref.16550の代表的なレアモデルと言えば、これです。
誰の目にも明らかに通常のモデルとは異なる色合い。(もちろん変色具合によりますが・・・)
一番左の時計は通常のホワイト文字盤。対して中央と、右の時計はアイボリーダイヤルと呼ばれる個体です。
ヴィンテージやアンティークはちょっとした違いで、値段がとんでもなく変わることが往々にてありますが、万人に伝わるかと言うと決してそうではない場合も多いです。
ところがこのアイボリーダイヤルは説明不要。
見た目に色が違うので詳しくない人でも分かるし、ファッション的に見ても個性的でかっこいいです。希少性の面でのイバリ度も高いですし、変色具合は個体によって千差万別なので、自分だけの時計という所有欲も満たされます。
高いお金を出しても買う価値がありますよね。
細かなことを言うと通常の白文字盤はインデックスと針が黒塗りですが、アイボリーダイヤルはインデックスと針が銀色です。
尚、現在当店にはアイボリーダイヤルのギャラ付き(!)があります。
無くなってしまう前にお早めのチェックをお願いします。
ロレックス エクスプローラーII Ref.16550 アイボリー
またブラックダイヤルのRef.16550も在庫があります。
こちらも併せてチェックしてみてください。
当記事の監修者
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年