人類未踏の地へ果敢にチャレンジする男たちから愛され続けてきたエクスプローラー。
その上位機種として1971年に誕生したエクスプローラーIIは、堅牢性・機能性はもちろんのこと、ロレックスらしからぬ独創的なデザインで高い評価を獲得します。
芸能人や著名人でも愛用されている方が多く、SMAPの草彅剛さんや小泉孝太郎さん、ウド鈴木さんやスポーツ選手の三浦大輔さんなど枚挙に暇がありません。
さらに2021年には誕生50周年のアニバーサリーを機にモデルチェンジを果たし、多くのメディアで取り上げられたことも相まって、熱視線が集まり続けるモデルでもあります。
そんなエクスプローラーIIとはどのようなモデルで、どんな魅力を備えるのでしょうか。
この記事ではロレックスの異色スポーツモデル・エクスプローラーIIについてご紹介するとともに、歴代モデルから最新世代までの系譜や実勢相場といった最前線事情を徹底解説致します!
大人気のデイトナやGMTマスター、ベーシックなエクスプローラーもいいけれど、抜群に独創的なエクスプローラーIIはいかがでしょうか?
目次
ロレックス エクスプローラーIIとは?
まず始めに、ロレックス エクスプローラーIIの概要についてご紹介致します。
歴史
1953年、探検家の名を携えて誕生したエクスプローラー。
その上位機種として1971年に誕生したのが、こちらのエクスプローラーIIです。
「上位モデル」とはなるものの、サブマリーナやデイトナ,GMTマスターが既に完成されていた時代に、後発として出てきた新コレクションとなりますね。
1970年代はクォーツショックの真っただ中。
そんな時代に誕生した、傑作コレクションでもあります。
当時、堅調な人気を維持してきたロレックスとは言えクォーツ時計にシェアを奪われていたこともあり、人気回復の起爆剤として投入された新たなる試みだったのかもしれません。
※クォーツショック…1969年、セイコーが「アストロン」として世界で初めてクォーツ腕時計の市販化に成功したことに端を発する、一連の時代を指した用語。
1970年代~1980年代、伝統的な機械式腕時計に比べて大量生産可能かつ安価,さらに高性能を維持しやすいクォーツが時計市場のシェアを席捲し、多くの機械式時計メーカーが苦戦を強いられたことから、このように呼ばれている。
下記画像が、1971年バーゼルワールドで発表された初代エクスプローラーII Ref.1655です。
一見すると、ロレックスには珍しいかなり個性的な意匠が目に飛び込んできますね。
※初代エクスプローラーII Ref.1655
1970年代は前年に人類が達成したアポロ11号計画の月面着陸を始めとする宇宙開発,あるいはコンピュータ開発による未来都市予想がさかんであった時代です。
おのずと時計を始めとした嗜好品のデザインもスぺ―シーでSFテイストが取り入れられるようになった背景もあり、独創的なデザインとして完成されたのでしょう。
以降、アップデートを加えつつも初代からのインパクト抜群なデザインは現行モデルに至るまで受け継がれてきており、エクスプローラーIIはロレックス屈指の「定番外し」「オシャレウォッチ」としても知られています。
一方で「探検家」らしい堅牢性と高い実用性を誇ることも、エクスプローラーIIの魅力の一つです。
精悍なメタルベゼルには直接24時間スケールが印字され、時分針の他にオレンジ色のヴィヴィッドな24時間針が搭載。
また、エクスプローラーIがケースサイズ36mmであったことに対し、直径40mmという当時はかなりダイナミックなボリュームが採用されました。
24時間表示ベゼルと24時間針が搭載されたことで、洞窟や鍾乳洞といった太陽光が届かず、昼夜判別が困難な場所の探検においても即座に時間判別ができる、というわけです。
大型の文字盤に大振りの針によって、視認性に優れている点も、探検家無機と言えますね。
また、初代モデルから既に100m防水を備えていたことも特筆すべき点です。
初代モデルは誕生から1987年頃までと、約16年にも渡って生産され続けたロングセラーとなったことからも、当時のエクスプローラーIIの人気の程が伺い知れるでしょう。
なお、歴代モデルについては次項で後述しますが、1984年頃から二代目Ref.16550に移行(製造開始年については諸説あり)。
1991年に三代目Ref.16570,次いでエクスプローラーII誕生40周年の節目にあたる2011年より、第四世代Ref.216570が誕生するに至りました。
そして2021年には、最新世代としてRef.226570が誕生。
既にデリバリーが始まっています。
1970年代に誕生したエクスプローラーIIは、ロレックスの成熟した時計製造技術がいかんなく発揮されたコレクションでもあります。
そのため年式の古いモデルでも比較的グッドコンディションな個体が出回っており、かつ実用性も維持されております(もちろんこれは、エクスプローラーIIだけに留まらないロレックスの魅力です)。
また、ロングセラーモデルが多いがゆえに、流通量が安定しているのも嬉しいところですね。
こういった側面からエクスプローラーII自体のファンはもちろん、初めてアンティークロレックスをご所有される方からも人気を博しており、独創的なデザインと相まってロレックスの中でも特別な立ち位置にいると言えます。
特徴
エクスプローラーIIの特徴はその個性的なデザインにありますが、加えて「初代から大きくデザインを変えない」ロレックスの中では珍しくデザイン変遷が著しいことも他コレクションとは一線を画します。
まず前項でも言及していますが、初代エクスプローラーIIとして、1971年~1984年に製造されていたRef.1655がこちら。
もちろん精悍なメタルベゼルや堅牢なケース・ブレスレット,特徴的な24時間針は後世に続くエクスプローラーIIのアイデンティティです。
ちなみに2016年にデイトナ 116500LNがリリースされて以来、現行スポーツロレックスでベゼルを持つ個体はほとんどがセラクロム製となっており、メタル製ベゼルはエクスプローラーIIとヨットマスターのみとなっております。
なお、初代1655は、黒一色展開でした。
※セラクロム製ベゼル…ロレックスが独自開発したセラミック製ベゼル。
通常個体はメモリにプラチナコーティングが施されており、他社のセラミックベゼルとは一線を画した高級感を有する。
二代目はRef.16550です。
1984年頃~1988年頃までと製造期間が非常に短く、稀少性の高さからコレクターズアイテムとしても語られます。
ただ、二代目から、ぐっと現行モデルに文字盤が近づきました。
バリエーションも、黒・白の二展開がなされることとなります(ただし、超稀少なアイボリー文字盤も存在します。詳細は次項で解説)。
基本的に以降のエクスプローラーIIは二代目のデザインが踏襲されていますが、やはり徐々に現代風にブラッシュアップされています。
三代目Ref.16570はこちらです。
あまり二代目16550と変わっていませんが、この16550⇒16570への変遷は、ムーブメントチェンジが目的であったためです。
なお、16550と16570の違いは後述します。
そして、こちらが第五世代216570です。
2011年の誕生から、10年に渡って愛され続けてきました。
なお、2021年に誕生した最新世代の226570は、第五世代とデザインをほとんど一緒にしています。
このように第二世代⇒第三世代および第四⇒第五世代を除くと、エクスプローラーIIは時代によってデザインを変えています。
もっとも、いずれも「見やすい」「華美さはない」「でも独創的」といったエクスプローラーIIならではの魅力を作り上げており、エクスプローラーII人気の大きな理由となっています。
加えて、多機能さもエクスプローラーIIの特徴であり、魅力の一つです。
初代モデルで24時間で一周する針を備え、ベゼルの24時間スケールと合わせて昼夜表示が可能となりました。
第二世代からは、搭載されたCal.3085によって時針(短針)の単独稼働が可能となり、GMTマスターII同様に第二時間帯表示機能へとアップデート(もっともGMTマスターIIは回転ベゼルによって第三時間帯表示も可能です)。
この機能性でエクスプローラーIIを購入選択肢に入れる方は少なくありません。
GMTマスターIIと同じムーブメントがしばらく使われていましたが、さらにエクスプローラーIIは2011年に誕生した第五世代Ref.216570より、専用機となるCal.3187に載せ替え。
これは、耐磁性に優れたパラクロム・ヒゲゼンマイと新しい耐衝撃システムであるパラフレックス・ショック・アブソーバーを備えた、まさに探検家向けにチューンアップされた名機です(ブルーパラクロムヒゲゼンマイに関しては2000年頃から順次各コレクションで採用)。
現行ロレックスのムーブメントは2015年頃から3200番台へと移行し、パラフレックス・ショック・アブソーバーが標準装備となったため、GMTマスターIIと再びCal.3285を共有することとなりましたが、一貫してエクスプローラーIIは「探検家のための堅牢性」が担保され続けてきたことがわかりますね。
ロレックス エクスプローラーIIの歴代モデル~アンティークから2021年新作まで~
エクスプローラーIIは前項でも言及している通り、
- 初代Ref.1655製造期間:1971年~1987年
- 2代目Ref.16550製造期間:1988年~1990年
- 3代目Ref.16570製造期間:1991年~2011年
- 4代目Ref.216570製造期間:2011年~2021年
- 5代目Ref.226570製造期間:2021年~
という系譜をたどっています。
本項では初代から2021年に登場した最新世代まで、エクスプローラーIIの各モデルをご紹介致します。
①初代エクスプローラーII 1655
型番:1655
製造期間:1971年~1984年
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:40mm
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き(Cal.1570)
初代1655は、10年以上に渡って生産されたロングセラーです。
黒一色の展開であった、と申し上げましたが、実は24時間針にバリエーションがあり、レッドやオンレジ等が確認されています。
もっとも、これは経年による変色の結果だ、と言う説もあります。
そう、この時代のロレックスは謎が多く(現在も秘密主義ゆえにミステリアスな部分が多く、そこがまたロレックス愛好家の心をくすぐるものですが)、ロレックス自身が公開していないゆえに年式による仕様の違いでまだ分かっていないことも少なくありません。
しかしながら、現在では主に「マークI」「マークII」「マークIII」の三種で文字盤仕様の変遷を分類することが可能になっています(さらに細分化してマーク5までとすることもできます)。
前述の通り、既にロレックスの時計製造技術が完成されていた時代に生産されたスポーツモデルゆえ、アンティークの分類ながら実用性高く、またコンディションの良い個体が比較的よく出回っています。
これは搭載ムーブメントCal.1570の存在も大きいでしょう。
Cal.1570は1960年代~1980年代にかけて、エクスプローラーIやサブマリーナにも搭載されてきた傑作機で、とにかく素晴らしい耐久性と高精度を誇ります。
きちんとメンテナンスを行われてきていれば半世紀以上を経ても実用できる個体がほとんどで、また当時からフリースプラング式の精度調整機構を有していたことから、長期的に安定した精度を維持できる点も魅力です。
※フリースプラング…ムーブメントのテンプに搭載された精度調整機構のこと。
一般的な緩急針に比べて緻密な精度調整を実現でき、またムーブメント自体への負荷が少ないため長期的に見ても安定感のある機構。
一方で調整を行う技師には高度な技術力が求められる。
現在では高級時計の標準装備になりつつあるが、早い段階からフリースプラングを採用していたロレックスには恐れ入る。
ロレックスのアンティーク相場はスポーツモデルを中心に軒並み相場を上げており、こちらのエクスプローラーII 1655もまた高騰はしているものの、特にレア仕様(詳細は後述)でなければコンディションにもよりますが相場300万円台~と、お得感は強いです(確かに高額ですが、現在スポーツのアンティークロレックスは400万円超が当たり前の世界になってしまいましたからね)。
「初代エクスプローラーII」というアイデンティティがありながらこの価格帯というのは、かなりお値打ちな方です。
そのためアンティーク市場では根強い人気を誇っており、非常に売買が盛んです。
②二代目 エクスプローラーII 16550
型番:16550
製造期間:1984年頃~1988年頃
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:40mm
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き(Cal.3085)
この16550はエクスプローラーIIの二代目で、前述の通り1984年頃 ~ 1990年というごくわずかな期間に製造されたレアモデルです。
「頃」というのは諸説あるためで、「1984年~1988年の間で二年しか製造されていない」とか「1988年に販売開始された」とか、生産期間について噂が飛び交っているのです。
先代と比べると、大きくデザインがモダナイズされています。
特にベゼルの24時間スケールとインデックスは現行に続くデザインとなり、またヴィヴィッドなオンレジ針が排されたことから、ベーシックな印象を持ち合わせます。
なお、二代目16550より黒・白の二色展開へと発展しました。
16550の白文字盤はポーセリンダイヤル調(陶器の様な質感)で作られており、独特の艶感があります。
16550 ホワイト ポーセリンダイヤル調ダイヤル
なお、16550は夜光にルミノバではなくトリチウムが使われており、文字盤6時位置に「SWISS -T<25」と表記がなされています。
特筆すべきはデザインに留まりません。
ムーブメントが1980年代までロレックスの実用性を支えた1500系から3000系へと移行しており、エクスプローラーIIもまたCal.3085へ載せ替えが行われました。
GMTマスターII 16760と共有になったことからもわかるように短針の単独稼働が実現し、第二時間帯表示機能が付加されることに。
よりグローバルな探検家向けのコレクションへとアップデートされました。
エクスプローラーII 16550もまたアンティークロレックスの中では大きく価格高騰しておらず、レア仕様でなければ170万円前後~が相場感。
しかしながら、いかんせん製造期間が短いゆえ、なかなか出回らないのが欲しい方には辛いところですね。
なぜこれほど製造期間が短いのかもまた諸説あるのですが、Cal.3100番台に移行したため、と言うのは背景として大きいでしょう。
エクスプローラーIIは次世代のRef.16570でCal.3185(後期モデルはCal.3186)が搭載されることとなりますが、Cal.3000番台の中にどうも日付のクイックチェンジ機構で不具合の声が見られたようで、改良に至ったのでは、と。
事実、ロレックスムーブメントは1989年より、3100番台へと完全移行を果たします。
なお、Ref.16550にはアイボリー文字盤も実は存在します。
「存在する」とは言え、これがもともとのバリエーションなのかエイジングなのかは、これまたハッキリとはわかっていません。
よく見るとホワイト文字盤のインデックスのフチ取りは黒なのですが、アイボリーはメタル調。
製造期間の短い中ですら、このような謎めいた仕様を持つロレックス。
当然通常個体よりも高い値付けが行われており、アイボリー文字盤なら300万円超えが当たり前です。
③三代目 エクスプローラーII 16570
型番:16570
製造期間:1991年 ~ 2011年
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:40mm
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き(Cal.3185)
2代目Ref.16550とほぼ変わらないデザインですが、ムーブメントのブラッシュアップにより精度と安定性が向上しています。
また、文字盤のバリエーションは黒または白の2色展開です。
発売当初から人気が高く、マイナーチェンジを繰り返しながら20年もの間生産され続けました。
基本的なデザインは三代目16570とほぼ同一であり、針や文字盤のデザインもほぼ16570と一緒となっています。
一見どちらも同じに見える両モデルですが、よく見ると細かな部分に違いが見受けられます。
例えば、ベゼル。
左:16550 右:16570
16550と16570の決定的な違い。それはベゼル文字の違いです。
16550はベゼルの彫り込み数字の形が四角に角ばっており、且つフォントが太くなっています。
特に数字の「6」と「1」の形に明らかな差異が生じています。
夜光に関してもRef.16570の初期型はトリチウムが配されていますが、1998年頃~の後期型はルミノバ「SWISS MADE」に切り替わっています。
左:16550 右:16570 後期型
また、バックルやラグ穴の有無なども変わっており、従来品より堅牢性が高まりました。
ちなみにシリアルだとP番にあたる2000年頃~製造個体はフラッシュフィット(ケースとブレスレットのつなぎ目)が一体化し、さらに堅牢な探検家向けウォッチに進化を果たしております。
左:16550 右:16570 後期型
もっとも、エクスプローラーII三代目のRef.16570の、「シングルバックル」「トリチウム夜光」仕様は、実はヴィンテージファン垂涎!
基本的に中古個体は「年式が新しいほど高値」となる傾向にあります。
なぜならロレックスは実用性を常に訴求し続けてきた企業であり、同一リファレンスであっても改良に次ぐ改良を重ね、性能がアップグレードされているため。
「シングルバックル⇒ツインロック」「トリチウム⇒ルミノバ」といった仕様変更も、このアップグレードのうちの一つです。
しかしながら「シングルバックル」「オールトリチウム」ならではのヴィンテージ感は、何者にも代えがたい味わいがあります。
この二つの仕様が確認できるのは1988年~1995年頃にまで製造されたスポーツモデルで、エクスプローラーII 16570の1995年頃までの製造個体もこのうちの一つです。
トリチウムが焼けた個体がとにかく人気で、また今後のエイジングを楽しんでいくといった方もいらっしゃるでしょう。
年々相場は高騰しており、高年式個体よりも高い値付けが行われることも!
気になる方は、早めに所有しておきたい仕様と言えます。
ちなみに、初期の16570は夜光がトリチウム、バックルがシングルタイプであることに加えてケースサイドに穴があるなど、かなり特徴的。
特にプレミア価格というわけではありませんが、初期型にこだわってお探しの方も多くいます。
④四代目 エクスプローラーII 216570
型番:216570
製造期間:2011年 ~ 2021年
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:42㎜
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き(Cal.3187)
2011年、エクスプローラーII40周年を祝して20年ぶりにブラッシュアップされたモデルです。
四代目にあたり、初代モデル(Ref.1655)の意匠だった24時間針を復活させたことで話題となりました。
ただオレンジ針にしただけではありません。
黒文字盤限定とはなるものの針中央部分が黒く色付けされ、まるで文字盤から浮いているかのような「ファントム効果」を再現。
12時位置のEXPLORERのロゴもオレンジに彩られ、上手なアクセントとなっています。
ちなみに四代目でも白・黒文字盤の2色展開となっておりますが、そのいずれも人気で価格差はそこまで大きくありません。
しかしながら、スポーツモデルには珍しい白が受けているのか、「売れ筋」といった面では前者に軍配が上がり、また最近では実勢相場へも反映されつつあります。
ケースサイズが216570から直径42mmへとサイズアップした点も、特筆すべきですね。
より堅牢かつダイナミックな印象が強調され、またこれに伴い針やインデックスも大型化され、視認性が増すこととなりました。
また、216570よりエクスプローラーII専用機としてCal.3187が搭載されるようになったのも、40周年モデルらしい心遣いですね。
前項でも言及した通り、エクスプローラーIIとGMTマスターIIはムーブメントを歴史的に共有してきました。
しかしながらCal.3187において、パラクロム・ヒゲゼンマイ及びパラフレックス・ショック・アブソーバーによって耐磁性・耐衝撃性と言う探検家には欠かせないであろう機能性が付加されたことは、胸が熱くなります(ただしベースは同一)。
さらに言うと、216570は強度の向上と共に着用感が向上した新型バックルを搭載しています。
バックル部分に約5mmの延長操作が自在に可能となったイージーリンクが搭載されており、より機能的になりました。
左:216570 右:16570
見た目もダブルバックルよりもスタイリッシュな仕様となっているため好評です。
ちなみに四代目の216570、実は2018年頃から海外市場を中心に「そろそろ生産終了する」と噂され続けていました。
なぜならムーブメントの基本ベースを同一にしてきたGMTマスターIIがモデルチェンジし、Cal.3285へとアップデートしたためです。
詳細は、次項の「最新世代 エクスプローラーII 226570」にてご紹介致します。
⑤五代目 エクスプローラーII 226570(現行モデル)
型番:226570
製造期間:2021年 ~ 現在
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:40mm
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き(Cal.3285)
2021年、エクスプローラーII誕生50周年のアニバーサリーイヤーに誕生した、最新世代が226570です。
6月頃から順次デリバリーが開始されているとあって、まだ流通しきってはいないものの、当店GINZA RASINでも黒文字盤の入荷がかないました。
デザイン面では先代216570と大きく変わりません。
ケースサイズも、42mmサイズが受け継がれています。
しかしながらラグが細くなりシャープに。
これに伴いブレスレット幅も再設計され、スタイリッシュさが増しました。
また、ベゼルの一部仕上げや文字盤ディテールも、若干ながら変更が加えられることとなりました。
なお、黒文字盤はファントム効果が排され、全面オレンジの24時間針が採用されることとなります。
こういった外装面の変化もさることながら、やはり特筆すべきはCal.3285の存在でしょう。
ロレックスは2015年から「最新世代」と自負する3200系キャリバーに順次載せ替えを行ってきており、2021年にエクスプローラーシリーズでもメスが入れられました。
もっとも、繰り返しになりますがベースムーブメントをGMTマスターIIと同一にしてきたエクスプローラーII。
2018年にGMTマスターIIで新世代ムーブメントを搭載した新型モデルが発表されていたため、「エクスプローラーIIのモデルチェンジ」説も早い段階から囁かれていました。
50周年という節目は、ロレックスにとってもちょうどよかったことでしょう。
この3200番台の大きな特徴は、独自のツインバレル方式(ゼンマイを格納した香箱を二つ持つスタイル)によって従来48時間だったパワーリザーブが約70時間へと延長。
また、高性能潤滑油や高効率な巻き上げ機構等によって、大幅にアップグレードされたまさに最新世代と言えます。
ちなみにエクスプローラーIIの標準装備であったパラフレックス・ショック・アブソーバーも、全機種で採用されるに至りました。
なお、この新型エクスプローラーIIの発表前後で同コレクションに大きな注目が集まることとなり、エクスプローラー全体で相場が高騰。
現在は若干落ち着いてはいるものの新型はまだ流通が少ないことから、定価1,392,600円のところ黒文字盤が170万円台後半~、白文字盤が180万円前後~といった、お得感の強かったエクスプローラーIIでは類を見ない高値を記録し続けています。
ロレックス エクスプローラーIIの抑えておきたいレア仕様
ロレックスで注目したいのが、「レア仕様」!
ロレックスは同一リファレンスの中でも改良のため(あるいは謎の理由も)に仕様変更することがままありますが、これがファンの間で体系化され、中には屈指の稀少性を誇るものも存在します。
もちろん「レア」と言うだけありいつでも出会えるわけではありませんが、知っておきたい仕様の数々となっております。
まず、初代エクスプローラーIIの「マークI」ダイアルについて。
マークIは最初期文字盤です。
生産期間はわずか一年ほどの、超稀少なコレクターズアイテムでも知られています。
※1655のマークIダイアル
画像引用:REVOLUTION
秒針にドットマークがないストレート針で、また12時位置の王冠マークやロゴ,インデックスが若干ながら小ぶりです。
これは相場が500万円前後と高値で、かつ一般市場にはほとんど出回らない超絶レアリティ。
一方でコレクター垂涎のアイテムでもあり、探し求めている方が多い仕様です。
なお、初代モデルは「アルビノ」と呼ばれる、不思議な経年変化を遂げた個体も存在します。
1970年代半ば頃までに製造された個体の一部で、なぜか通常オレンジの24時間針が、白っぽく変化する現象が見られるのです。
なぜ一部個体でのみ違った仕様が見られるか、ハッキリしたことはわかっていません。
でも、謎仕様が転じてレア個体になる・・・こういった現象があるからこそ、アンティークは楽しいとも言えますね。
さらに初代モデルの「センタースプリット仕様」も要注目!
※1655のマークIII、センタースプリット
画像引用:REVOLUTION
これは1974年~1977年頃の製造個体に見られる仕様で、レイルダイアルとも呼ばれます。
6時位置のSUPERLATIVE CHRONOMETERとOFFICIALLY CERTIFIEDの単語間のスペースが揃っており、この仕様は400万円以上の値付けが行われることも!
もっともセンタースプリットなら、二代目の16550の方が有名かもしれませんね。
※センタースプリット。画像は16550です
こちらもやはり、文字盤のSUPERLATIVE CHRONOMETERとOFFICIALLY CERTIFIEDの中間のスペースが、キレイに中央で別れた個体を指します(ちなみに後述する16550にも見られます)。
ちなみに、16550は僅か2年余りしか製造されなかったモデルであるにも関わらず、「センタースプリット」「スパイダーダイヤル」「アイボリーダイヤル」といったレア個体が存在し、コアなファンから熱い支持を受けています。
ロレックス エクスプローラーIIの実勢相場【2022】
2017年頃から、スポーツモデルを中心に相場高騰するロレックス市場。
そんな中においてもエクスプローラーIIは比較的「お得感の強い」モデルとして捉えられており、当時の現行モデルRef.216570であっても70万円~80万円ていどで購入できる個体が出回っていました。
しかしながら2019年を境にじょじょに高騰。
これは、新型GMTマスターIIのリリースにより、エクスプローラーIIのモデルチェンジ、すなわち216570の生産終了へ注目度が増したゆえでしょう。
大方の予想通り2021年にRef.226570に移行した今、旧型となったRef.216570は中古相場が黒文字盤で150万円前後~、白文字盤が160万円前後~となっており、依然として高い数字に。
「唯一100万円以下で買えるロレックス」と言われていた面影は、もはやありません。
これに伴い16570といった20年以上選手の価格も上がっており、コンディションによるものの中古相場の平均は130万円~150万円。
中古は生産終了から年月が経つにつれ、ますますグッドコンディションな個体が少なくなっていくもの。
そのため年数と比例して相場がさらに上がってしまう可能性は十二分です。
もちろん新型モデルRef.226570のデリバリー状況によってまた潮流は変わってくるでしょうが、目が離せない相場動向であることは間違いありません。
まとめ
エクスプローラーIIの魅力と、その歴代モデルや実勢相場についてご紹介いたしました!
エクスプローラーIIは芸能人の愛用者も多いほどロレックスきってのおしゃれスポーツウォッチで、216570・16570・16550・1655問わず非常に人気の高いモデルです。
当店では常時在庫を取り揃えておりますが、その回転の速さに驚かされることもしばしばです。
もし気になるモデルがあれば、是非ご覧になってください!