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ロレックス サブマリーナ16800と168000の違い~外装、スペック、相場~
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「ロレックス サブマリーナ16800と168000の違いについて知りたい」
「16800と168000ってどこがどう違うの?」
見た目はほぼ同じ、でもリファレンスが違う。
ロレックスには、そんなモデルがしばしば存在します。
多くの人気モデルが初代から一貫したデザインアイコンを持つためでしょう。
そんなモデルの中でも、特に見分けが難しいもの。
それは、ロレックス サブマリーナのRef.16800とRef.168000です。
サブマリーナ16800と168000の違いについて知りたいという人は多いのではないでしょうか。
16800と168000では、使用されているステンレススティールが異なるようです。
この記事では16800と168000の違いについて、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
相場の違いについても解説しますので、サブマリーナの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
ロレックス サブマリーナ16800と168000の違い
サブマリーナ 16800
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:40mm
文字盤:黒
ムーブメント:Cal.3035
防水性:300m
製造期間:1980年~1986年頃
サブマリーナ 168000
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:40mm
文字盤:黒
ムーブメント:Cal.3035
防水性:300m
製造期間:1986年~1989年頃
画像を並べてみると、経年などによる変化はあれど、外装だけで違いを判断することは容易ではありません。
Ref.16800の初期型には、アンティークロレックスでよく話題になる「フチなし」個体が存在します。これは、インデックス部分のメタルフレームの有無によって分類されますが、後期型にはなくなる仕様のためそこだけで判断する、ということは不確かになってしまいます。
※フチなしのサブマリーナ 16800
さらに言うと、ロレックス自身がしばしば16800と168000を混同したかのような表記が見られることも、この「違いのわかりづらさ」に拍車をかけています。
例えばケースバックに16800の表記がある個体が、16800にも168000にも存在します。また、168000の個体のギャランティ(保証書)に16800記載がなされています。
また、ブレスレットはリファレンスによって仕様に違いが出てくることもあるのですが、どちらもハードブレス93150式が採用されています(ただし、ブレスレットは交換されている個体も少なくないので、販売されている168000が必ずしも93150式とは限らない)。
ちなみにハードブレスとは1970年代後半頃から誕生したブレスレットの仕様で、現行のものはこのハードブレスがより頑強になりました。
このように、プロであってもなかなか違いの判断が難しいこの二本。かなり細かく見ないと、違いは浮き彫りになりません。
そのディテールは以下の通りです。
違い①素材
これは「らしい」とか「言われている」とか、そのような言い方になってしまうのですが、16800と168000では、使用されているステンレススティールが異なるようです。
16800では316Lスティールが採用されていたのですが、168000では904Lスティールを正式採用した、と。
どういうことかと言うと、実はあまり知られていませんが、ステンレススティールの中にもランクがあります。ステンレスは鉄が主体となり、ニッケルやクロムなどを合金して硬度や加工性を調整するのですが、その合金の割合などでいくつかの種類に分けることができるのです。
最も一般的に普及し、安価なのがSUS304。そしてワンランク上の高級機にはSUS316Lが使用されます。ロレックスでは、さらにそのさらに上をいく最上級のSUS904Lを現行SSモデルの主流としているのですが、168000ではこの904Lステンレススティールをサブマリーナに正式採用したと言われているのです。
ちなみにこの違いは刻印などでは調べようがなく、専用の分析機器が必要となってきます。16800でも後期モデルには採用されていたかもしれません。そのため「らしい」という言い方に留まっています。
違い②ケースサイドのリファレンスの刻印
出典:https://www.craftandtailored.com/products/copy-of-1982-rolex-submariner-ref-16800-transitional-model
16800と168000を明確に分ける一つの違いとして、12時側ケースインサイドの刻印が挙げられます。168000とハッキリ打刻されています。
しかしながら前述のように、ケースバックは16800、ギャランティも16800・・・しかも、日本ロレックスに「168000とエングレービングされた個体」をメンテナンスに出すと、修理明細書には「Ref.16800」として記載されると言います。
刻印は消えてしまったり、変更されてしまったりするため、必ずしも明確な違いと言うわけではなく、ケース製造時にミスがあったのでは?なんてことも囁かれています。
違い③その他のディテール
素材とケースインサイドの刻印以外にも違いは存在するのでしょうか。ディテールを見ていきます。
まず、ムーブメント。リファレンスが異なると、ムーブメントも違うといったことが多いのがロレックスの特徴です。しかしながら16800も168000も、Cal.3035が搭載されています。
ムーブメントのディテールに違いがある個体も存在しますが、基本的に16800後期モデルと168000は一緒と考えていいでしょう。
もともとCal.3035が短命なムーブメントで、Cal.3000番台から3100番台への過渡期とも言われます。そのため、次世代のRef.16610ではCal.3135が搭載されるようになりました。
その他では、168000の方が文字盤に腐食が見られる個体が多い(ただし同年代の他モデルでも、文字盤がぷつぷつしたりスパイダー状に割れたものが見られる)、とか、ロゴのスタイルが異なるものがある、といった違いが報告されています。
ロレックス サブマリーナ 168000誕生の謎
先ほどサブマリーナの沿革を簡単にご紹介いたしましたが、唐突に6桁リファレンス168000が出てきた、というところに驚きを感じませんでしたか?サブマリーナがのリファレンスが6桁に移行するのは、現行116610系が出た2010年以降となります。
製造期間も1986年~1989年頃と、わずか3年。サブマリーナは長い歴史を持ち、多くのリファレンスでそこまで短命のモデルというのはあまり見かけません。ただ、16800自体も製造期間は1980年~1986年あたりと、決して長くはないことを鑑みると、文中でも少し触れたようにただの製造ミスなのでしょうか。
もう一点考えられることは、次世代Ref.16610への「プロトタイプ」的な役割だった、ということです。
16800および168000はCal.3035が搭載されていますが、次世代16610はCal.3135。しかしながら外装面などは、ほとんど16610へ踏襲されています。
Cal.3135は今なおロレックスの基幹ムーブメントとして活躍していますが、その礎となったのがCal.3035でした。そんなCal.3035は、初めてハイビートを採用したり、クイックチェンジ機能を搭載したりと革新的な逸品に間違いありません。しかしながらパーツの摩耗が激しく操作にも難点があるなど実用面では今一つな面があったため、短命に終わったムーブメントです。
※Ref.16610。ムーブメント以外は踏襲された部分が多い
そのため、より機能性を高めたCal.3135の開発に成功した段階で、サブマリーナも一躍Ref.16610の誕生になったのかもしれません。
16800および168000が誕生した1980年代は機械式時計にとって冬の時代でもあり、ロレックスでは様々な変革が敢行されていました。その流れの中で生まれた一つのビジネスモデルだったのでしょう。
これは憶測の域を出ず、Ref.168000の誕生の謎についてはロレックスファンの間では今なお解明されていません。このミステリアスな一面がロレックスファンの心を揺さぶり、「トリプルゼロ」という愛称で親しまれているのはご存知の通り。
16800と168000の違いや詳細については、話が尽きません。
ロレックス サブマリーナ 16800と168000の相場の違いとは?
■生産終了モデル
■わずか3年という製造期間
■人気機種のサブマリーナ
と言うことで、Ref.168000の価格はかなり高騰しているのでは?と思われがちですが、ややマニアックなせいか、他のヴィンテージロレックスに比べると突出して価格を上げている、ということはありませんでした。
ただ、サブマリーナ、およびヴィンテージロレックス自体の相場がどんどん上がっていること。加えてやはり稀少性の高さに「買いたい!」という需要が大きいためか、数年前に比べて飛躍的に相場を上げており、かつて50万円台~購入できていたにもかかわらず現在では90万円前後が普通になってきました(個体のコンディションによる)。また、スパイダーと呼ばれる、文字盤がキレイにひび割れた個体はもともと高騰していましたが、さらに高値を記録しています。
スパイダーダイヤル ※画像はGMTマスターとなります。
一方で168000のレアっぷりを差し置いてさらに相場を上げているのがRef.16800の方です。この大きな高騰の理由の一つとして、「フチなし」モデルが存在していることが挙げられるでしょう。
冒頭で少しご紹介しましたが、フチなしはアンティークロレックスに多々見られる仕様で、インデックスのメタルフレームがない個体を指します。これが「ヴィンテージな風合い!」と言うことで多くのモデルで相場を上げています。中にはフチなしかフチありかで、数十万円の違いが出てくるものも。
また、1980年代頃に製造されたフチなしは良い飴色に変色した個体が散見されることも、価格高騰に一役買っているのでしょう。
一方で現代っ子らしく、サファイアクリスタルの風防だったり、ムーブメントに画期的な改良が加えられていたりとスペックの高さも「買い」の大きな理由になります。
1980年代当時から300mもの潜水に耐えられる頑強なダイバーズウォッチとして完成していたため、今なお良好なコンディションを保つ個体も多く、中古品への需要が非常に高いのです。
こういうわけで、今Ref.16800は価格が急上昇。コンディションの良いフチなしモデルなどは130万円台に突入し、レア個体の多い初代サブマリーナRef.5513に迫る勢いです。
なお、Ref.16800もスパイダーと呼ばれる、キレイにひび割れたモデルが高値をつけます。
まとめ
ロレックス サブマリーナのRef.16800と168000の違いについてご説明いたしました。
微細に留まる差異、唐突な6桁品番、日本ロレックスによる168000―トリプルゼロ―の扱い・・・謎多きこの二本ですが、非常に完成されたダイバーズウォッチであることに間違いありません。今後、まだまだ価格を上げる可能性は低くないので、愛機として楽しみつつ、値上がりも楽しめるお勧めロレックスの一つです!
当記事の監修者
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年