「ロレックスのシリアルナンバーはどうやって読めば良いの?」
「今持っているロレックスがいつ頃製造されたものなのか知りたい」
ロレックスのシリアルナンバーの読み方について意外と知らない、また知りたいという人は多いのではないでしょうか。
付属品や本体に記載されているシリアルナンバーとロレックス製造年表を当てはめることで、その個体の製造年を推測することができます。
この記事ではロレックスのシリアルナンバーの読み方を、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
ケースを修理する際の注意点についても解説しますので、ロレックスの時計に興味がある方はぜひ参考にしてください。
目次
ロレックスのシリアルナンバーとは?
ロレックスのシリアルナンバーは製造年ごとにあてがわれた、数字もしくはアルファベット+6桁数字です。年式によって法則性があるため、シリアル番号がわかれば、手持ちのロレックスがいつ頃製造されたモデルなのかを判断することができます。
モデル名に該当するリファンレンスナンバー(Ref.)とシリアルナンバーを混同してしまう方も少なくありませんが、リファレンスナンバーはデイトナ 116500LNやサブマリーナ126610LNなど型番ごとに割り振られたナンバーで、シリアルナンバーは各個体ごとに割り振られる番号が異なるナンバーという違いがあります。
デイトナ116500LNを例にしてみます。
新品であろうと中古であろうと、デイトナ 116500LNのリファレンスナンバーは「116500LN」であることには変わりありません。ただ、シリアルナンバーは個体ごとに違う番号が割り振られています。
ナンバーにどのような番号が振り分けられているのかは年代によって異なりますが、116500LNに関しては 2010年以降 に発売されたモデルであるため、法則性のないランダムに数字が組み合わせたランダムシリアルが適応されています。
(※2010年以降の個体は番号が足りなくなったため、法則性なくランダムに数字が組み合わさるようになった)
尚、基本的にシリアルナンバーが重複することはなく、国際保証書にもしっかり番号が記入されています。
ランダムシリアルはシリアルナンバーだけで製造年を確認することが困難ですが、古いモデルであればシリアルナンバーに法則性があるため、おおよその製造年を確認することが可能です。
例えば2世代前のデイトナ16520のシリアルナンバーは年式によって頭文字が「A」だったり「E」だったりしますが、この番号があれば例え保証書や付属品がなくても、いつ頃製造された個体であるかがわかります。
シリアルナンバーの違いによって大きく価値が変わることもあるので、古いロレックスほどシリアルナンバーは重要です。
製造年の確認方法
ロレックスのシリアルナンバーが刻まれている場所は製造年によって大きく2つに分かれます。
①2010年G番以前の個体
1987年後半~2010年に製造されたロレックスは頭文字にアルファベットが配されたシリアルナンバーが刻まれています。
これらの個体は6時位置のブレスレットを外してケース側面を見ればシリアルナンバーを確認できます。
試しにブレスレットを外してみました。
「STAINLESS STEEL」の刻印の下にシリアルナンバーが刻まれていることがわかります。
ちなみにこの個体のシリアルは先頭がCでした。これは1993年に製造された個体に割り当てられたナンバーなので、これにより後述の製造年表を見ることで製造年が分かります。
ちなみに12時側のケース側面にはリファレンスナンバーが記載されています。またブレスを外さなくても保証書があれば、そこにシリアルナンバーとリファレンスナンバーが記載されています。
②2010年G番以降の個体
2010年G番以降の個体は文字盤の見返り部分にシリアルナンバーが記載されています。これによりブレスレットを外さなくてもシリアルナンバーが確認できるようになりました。ルーレット状に番号が入るため、通称「ルーレット・シリアル」と呼ばれることも覚えておきましょう。
※尚、2010年以降はシリアルナンバーに規則性が無くなったことから製造年が推定できなくなっています。
まずは文字盤の見返り部分を確認しシリアルナンバーの刻印が無ければ、ブレスレットを外してケース側面を確認すればよいでしょう。
シリアルナンバーと製造年一覧表
シリアルナンバーで製造年を確認する方法は1927年~2010年までに製造された個体で確認することができます。
下記の表と当てはめることで大よその年式がわかります。
※シリアルナンバーの法則はロレックス社が正式に公表しているものではなく、飽くまで推測となります。
頭にアルファベットが使われる以前(数字のみ)
(1927年~1987年前半)
シリアル | 製造番号 |
---|---|
21691~ | 1927年 |
23969~ | 1928年 |
24747~ | 1928年 |
28290~ | 1930年 |
29312~ | 1932年 |
29933~ | 1933年 |
30823~ | 1934年 |
35365~ | 1935年 |
37596~ | 1936年 |
40920~ | 1937年 |
43739~ | 1938年 |
71224~ | 1939年 |
99775~ | 1940年 |
106047~ | 1941年 (この年からシリアルが6桁になる) |
143509~ | 1942年 |
230873~ | 1943年 |
269561~ | 1944年 |
302459~ | 1945年 |
387216~ | 1946年 |
529163~ | 1947年 |
628840~ | 1948年 |
710776~ | 1951年 |
840396~ | 1952年 |
929426~ | 1953年 |
937170~ | 1954年 |
941699~ | 1953年 |
952892~ | 1954年 |
955466~ | 1953年 |
282632~ | 1955年(100万個製造となり、一度リセット) |
139400~ | 1956年 |
321884~ | 1957年 |
360171~ | 1958年 |
693808~ | 1960年 |
763663~ | 1962年 |
985015~ | 1964年 |
1259699~ | 1965年 (この年からシリアルが7桁になる) |
1871000~ | 1966年 |
2163900~ | 1967年 |
2426800~ | 1968年 |
2689700~ | 1969年 |
2952600~ | 1970年 |
3215500~ | 1971年 |
3478400~ | 1972年 |
3741300~ | 1973年 |
4004200~ | 1974年 |
4267100~ | 1975年 |
4538000~ | 1976年 |
5008000~ | 1977年 |
5482000~ | 1978年 |
5958000~ | 1979年 |
6434000~ | 1980年 |
6910000~ | 1981年 |
7386000~ | 1982年 |
7862000~ | 1983年 |
8338000~ | 1984年 |
881400~ | 1985年 |
9290000~ | 1986年 |
9766000~ | 1987年 |
9999999~ | 1987年 |
頭にアルファベットが使われたもの
(1987年後半~2010年)
シリアル | 製造番号 |
---|---|
R000001~ | 1987年~1988年 |
L000001~ | 1989年~1990年 |
E000001~ | 1990年~1991年 |
X000001~ | 1991年 |
N000001~ | 1991年 |
C000001~ | 1992年 |
S000001~ | 1993年 |
W000001~ | 1994年~1995年 |
T000001~ | 1996年 |
U000001~ | 1997年 |
A000001~ | 1998年~1999年 |
P000001~ | 2000年 |
K000001~ | 2001年 |
Y000001~ | 2002年 |
F000001~ | 2003年~2004年 |
D000001~ | 2005年 |
Z000001~ | 2006年 |
M000001~ | 2007年~2008年 |
V000001~ | 2009年 |
G000001~ | 2010年 |
※シリアルナンバーが8ケタで、英数字がランダムに入ったものは2010年以降に製造されたものになります。2010年以降はシリアルナンバーで製造年が特定できなくなりました。
ただし2010年以降に製造されたモデルでも国際保証書の日付を見れば、おおよその製造年は予測できます。保証書の日付が2018年であればおそらく2017~2018年頃製造ではないか、など。
シリアルナンバーに関する豆知識
頭文字がアルファベットに切り替わった直後、1987年〜1991年のシリアルナンバーは先頭が「R・L・E・X」と、ROLEXの文字を意識したナンバーが使用されています。
Aからはじまっていないのがユニークなポイントですね。
尚、ROLEXのOだけが省かれていますが、これは数字のゼロ(0)と判別がしにくかったのでは?という推測が行われています。
ランダム品番においてもOは使用されることはなく、ロレックスは常にユーザーにわかりやすいナンバリングをしてくれています。
ちなみに「B」と「I」もシリアルナンバーとして使われていませんが、理由としては「B=8」「I=1」と区別がつきにくいことが挙げられます。今後シリアルが足りなくなった場合は解禁される可能性もありますが、現状はまだ存在が確認されていません。
クラスプコードによる製造年の確認
ギャランティーやケースに刻まれたシリアルコード以外にも、クラスプコードで製造年を判別するという方法があります。
クラスプコードはクラスプにある「ロゴの右」に刻まれたアルファベットの事です。シリアルナンバーとは別に、製造年によって割り振られた固有の番号が存在します。
ブレスレットが交換されていると刻印が変わってしまうため、確実に製造年と時計が一致するとは言い切れませんが、大よその目安にはなるでしょう。
ちなみに英字による表記は1976年以降の個体に採用されており、それより前に製造された個体に関しては数字が刻印されています。
ケース側面のシリアルコードが擦れて見えないという場合は、こちらも確認してみてください。
ケースを修理する際の注意点
もし今後ロレックスを売却する予定がある方は、ケース交換によるシリアルナンバーの変更にご注意ください。
ケースが大きく損傷してしまった場合、日本ロレックスで新品のケースと交換することになりますが、新しいケースに刻まれるシリアルナンバーはこれまでと同じではなく、別のシリアル番号が刻印されます。
もし16520の最終品番などを修理に出す場合、シリアルナンバーが変わることで査定が落ちる可能が高いです。
レアロレックスを持っている方は、修理に出す必要がないように、時計を大切に扱ってください。
また、ロレックスを買う際もシリアルナンバーを余りにも重視しすぎないようにすることが大切です。
世に出回っているロレックスの全てがオリジナルのシリアルナンバーが刻まれているとは限りません。
特に修理歴のある中古の場合、もしかしたらケースがオリジナルではなくなっていることも考えられます。ケースを丸ごと交換することは珍しいですが、「シリアルナンバー=あくまでも目安」であることは心に刻んでおきましょう。
まとめ
ロレックスのシリアルナンバーはその個体の製造年を推測することができる便利な固有番号です。
2010年以降はランダムシリアルとなり、以前のような見分け方ができなくなりましたが、型式の古いヴィンテージロレックスを購入する際には今でも重宝されます。
中古で付属品のないロレックスを手にした時にも活用できるので、シリアルナンバーが知りたくなった場合は是非この記事を読み直してください。
当記事の監修者
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年