「サブマリーナとシードゥエラーって似ているモデルがあるけど何が違うのだろう」
「サブマリーナとシードゥエラーはどちらどう優れているの?」
ロレックスが世界に誇る人気コレクション「サブマリーナ」と「シードゥエラー」。
腕時計初心者から見ると、どちらも同じに見えるほど似ているサブマリーナとシードゥエラーのモデルがあります。
サブマリーナとシードゥエラーの違いについて知りたいと思っている人は多いのではないでしょうか。
2つのコレクションの明確な違いは防水性能です。
今回はそんな「サブマリーナ」と「シードゥエラー」の違いについて解説していこうと思います。
両モデルの魅力やトピックについても解説していますので、ロレックスの時計に興味がある方はぜひ参考にしてください。
目次
サブマリーナとシードゥエラーの明確な違い
遠めに見ると、どちらのモデルなのか見分けがつかない「サブマリーナ」と「シードゥエラー」。この2つのコレクションは視覚的には細かな点ですが、明確に違う点がいくつか存在します。
サブマリーナとシードゥエラーの明確な違い① サイクロップレンズの有無
視覚的に1番目立つ違いはサイクロップレンズ(拡大鏡)がついているかいないか。拡大鏡が付いているのが「サブマリーナ」で、拡大鏡が付いていないのが「シードゥエラー」と覚えていただければ分かりやすいです。
左:サブマリーナ Ref:116610LN 右:シードゥエラー Ref:116600
シードゥエラーにサイクロップレンズが搭載されていないのは、深海での水圧による破損防止のためです。サブマリーナよりも深く潜ることが想定されているシードゥエラーでは、搭載が見送られました。
サブマリーナとシードゥエラーの明確な違い② ベゼルの分刻み
左:サブマリーナ Ref:116610LN 右:シードゥエラー Ref:116600
写真を見比べると、ベゼル部分にも違いがあることに気づきます。よく見てほしいのはベゼルの”メモリ部分”。サブマリーナのセラミックベゼルには、最初の15分までしか分刻みはないですが、シードゥエラーには、一周全てに分メモリが付いています。これもサブマリーナとシードゥエラーの違いの一つです。
サブマリーナとシードゥエラーの明確な違い③ 防水性の違い
サブマリーナとシードゥエラーの1番明確な違いは文字盤にも記載のある防水性の違いです。サブマリーナの現行モデル「Ref:116610LN」の防水性が300m防水なのに対して、シードゥエラーの現行モデルである「Ref:116600」の防水性能は1220m防水となっており、シードゥエラーの方が約4倍の防水性能を誇ります。
シードゥエラーはもともとサブマリーナの上位機種として作られた”プロスペック・ダイバーズウォッチ”です。そのため、サブマリーナと比較すると、防水性に大きく差があることは当然といえば当然です。
そして、この防水性の差はロレックスの画期的な機構「ヘリウム・エスケープバルブ」によってもたらされています。
左:サブマリーナ Ref:116610LN 右:シードゥエラー Ref:116600
サブマリーナにはなく、シードゥエラーのみに採用されている「ヘリウム・エスケープバルブ」はケースの9時側に配置されています。
深い潜水に使われる空気はヘリウムを主成分としており、浮上の際ヘリウムガスがケース内に侵入して抜けないと気圧差で爆発するおそれがあります。これを回避する為に自動的に排出することができる仕組みがヘリウム・エスケープバルブです。
このヘリウム・エスケープバルブを搭載することで、サブマリーナよりも遥かに高い防水性を実現しました。この機構の有無はサブマリーナとシードゥエラーを見分ける大きなポイントの一つです。
サブマリーナとシードゥエラーの明確な違い④ ブレスとバックルに細かな違い
サブマリーナとシードゥエラーは、同時期に作られたモデル同士では視覚的に大きな違いはありませんが、バックルの仕様に若干の差があります。
左:サブマリーナ現行モデル Ref:116610LN 右:シードゥエラー現行モデル Ref:116600
こちら現行モデル同士の比較。どちらも引っ張ることで簡単に長さの調節が可能となっており、利便性が旧モデルと比較して高くなりました。見た目はほぼ一緒ですが、シードゥエラーの方は簡単に伸び縮み出来る折りたたみ式の【フリップロックエクステンションリンク】も搭載されていて、一時的に更に伸ばす事も可能となっているバックル仕様です。
サブマリーナとシードゥエラーの現行モデルに搭載されているのが「グライドロッククラスプ」と呼ばれるバックル。一見普通に見えるバックルですが金具の上部を開く事でブレスレットをスライドさせて簡単に長さを変える事ができる画期的なシステムです。従来のクラスプは工具を使って長さ調節をするのに対し、グライドロッククラスプは手動で簡単に2mmごと最大20mmまでの調節が可能です。これにより、ウエットスーツの上からでも装着でき、腕から外さず調整ができるようになりました。
左:旧型サブマリーナ Ref:16610LV 右:旧型シードゥエラー Ref:16600
旧型サブマリーナとシードゥエラーを比較してみると、現行モデルよりもデザインの存在感が強めに感じます。両モデルともに大きな違いはありませんが、製造期間が長かった旧型サブマリーナ 「Ref.16610」には3パターンのバックルが存在し、初期モデルではバックルの部分に折り込んであるエクステンションに板状の伸ばす部分が付いています。
凄まじい防水性能を誇る「ディープシー」
シードゥエラーの中でも特に人気があるモデルがこの「ディープシー」。プロスペック・ダイバーズウォッチとして開発されたシードゥエラーで断トツの防水性能を誇ります。
ディープシーの防水性能はなんと「3900m防水」。どこまでも潜れるタフさは大きな話題を生みました。そして、その防水性を生み出す秘密はディープシー独自の機構「リングロックシステム」にあります。
出典:https://www.rolex.com/
リングロックシステムとは、水深3,900mでの防水を可能にしたケース構造のことです。
リングロックシステムを採用した独自のケースは、クリスタルにかかる約3トン相当の水圧にも耐えることが可能。複雑な構造を持つこのケースは、航空宇宙産業で使われている「窒素合金ステンレススチール」製のセンターリング、厚さ5mmの「ドーム型サファイアクリスタル」、グレード5の「チタン合金」の裏蓋が使われており、凄まじく頑丈な設計となっています。人が物理的に生存できる深さの100倍以上の深さまで潜れることを可能にしたロマン溢れる機構です。
新作シードゥエラー発売の影響
ここまでサブマリーナとシードゥエラーの細かな違いを見てきましたが、2017年バーゼルワールドにてシードゥエラーの新作が発表されたことにより、両モデルの違いにも変化が生まれています。
今回のバーゼルワールドで話題となったシードゥエラーの新型モデル「シードゥエラー “Ref.126600″」はデイデイト40にも搭載されている高性能ムーブメント”cal.3255″が採用され、機能面でサブマリーナと差別化がはかられました。さらに文字盤の一部文字が赤くなっている通称「赤シード」の復活が大きな話題を生みました。
ただ、今までシードゥエラーの象徴でもあったサイクロップレンズがサブマリーナ同様に搭載されることになり、視覚面では両モデルの差は縮まったように思えます。
現行モデルが廃盤!?
新型モデルの発表に伴い、ロレックスの公式サイトから現行モデルのRef:116600が消されました。このことからシードゥエラーの現行モデルであるRef:116600は廃盤になることが濃厚です。
サイズ間に差が生まれる
サブマリーナの現行モデルRef:116610LVとシードゥエラーの現行モデルRef:116600のケース径は40mmで一緒でした。しかし、シードゥエラーの最新モデルRef.126600のケース径は43mmと少し大型。ディープシーに至っては44mm、厚み17.5mmと迫力のあるフォルムです。
現行モデルであったRef:116600が廃盤になるため、シードゥエラーのラインナップは今後しばらくは43mm前後がベースとなりそうです。また、サブマリーナとシードゥエラーで3mmのケース径差が生まれてしまったことから、サブマリーナのサイズ感ではもの足りない人がシードゥエラーを選ぶという価値観も広がっていく気がします。
まとめ
ロレックスのダイバーズウオッチがほしい!でもサブマリーナとシードゥエラーなにが違うのだろう?この違いに誰もが迷う事でしょう。
細かな視覚的な違いはありますが、一番の違いは300m防水と1220m防水の防水性の違いです。
また、2017年バーゼルワールドで発表されたシードゥエラーの新作にはサイクロップレンズが搭載されています。両モデルの視覚的な違いはますます僅かになっていますね。
当記事の監修者
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年