「セイコー ツナ缶について詳しく知りたい」
「セイコーマリーンマスターにはどんなおすすめモデルがあるの?」
ダイバーズウォッチといえば、ロレックス サブマリーナやオメガ シーマスターといったスイス時計が有名ですが、国産のダイバーズウォッチにも優れたモデルが存在します。
その代表的な存在といえるのが、通称「ツナ缶」と呼ばれるセイコー マリーンマスターです。
セイコーマリーンマスターについて知りたいという人は多いのではないでしょうか。
マリーンマスターは、非常に優れたスペックに加え規格外のサイズ感をもっており、オーバースペック感満載のロマン溢れる仕上がりとなっています。
この記事ではセイコー マリーンマスターの歴史や魅力について、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
おすすめモデルも紹介しますので、セイコー マリーンマスターに興味がある人はぜひ参考にしてください。
目次
なぜツナ缶と呼ばれる?マリーンマスターの特徴を解説
ツナ缶はプロユース向けに作られたダイバーズウォッチ「マリーンマスター」の愛称です。
現在は後継ブランドである「プロスペックス」のダイバーズウォッチに、その特徴は受け継がれています。
さて、ではなぜマリーンマスターはツナ缶と呼ばれるようになったのでしょうか?
その由来と、ツナ缶の特徴をここでは解説いたします。
ツナ缶の誕生と名前の由来
セイコー マリーンマスターは1965年にその歴史をスタートさせました。最初のモデルは自動巻き、150m防水というスペックです。
1966年には4回にわたって南極観測隊越冬隊員の装備品として使用され、高い実用性を証明。また、マリーンマスターは名だたる冒険家や探検家にも使用され、どんなに過酷な環境においても壊れることなく動き続けることで信頼を勝ち取りました。
そんなマリーンマスターの転機となったのが1968年に広島県に住むプロフェッショナルダイバーからセイコーに届けられた一通の手紙です。
手紙にはこう記されていました。
「現在市販されているダイバーズウオッチは国産品も輸入品も300m以上の深海潜水において、高圧ヘリウム混合ガスを呼吸気体として用いる飽和潜水システムには耐えられない」
つまり、ダイバーズウォッチとしてのスペックの低さを指摘されたのです。
そこでセイコーはその要望に応えるため開発チームを結成し、これまでにない最高のダイバーズウォッチを作り上げることを決めました。そして1975年には世界最高のプロフェッショナルダイバーズウォッチを完成させ、600m防水性能を達成します。
これこそが通称ツナ缶と呼ばれるマリーンマスターの誕生です。
初代マリーンマスター 6159-022
マリーンマスターはダイバーズ初となるチタニウムをケースに採用した歴史的モデルです。
防水性を高めるために「外胴プロテクター」という専用パーツを装備しており、その形状が「缶詰めのツナ缶」を連想させることから、時計ファンの間でツナ缶という愛称が広まりました。
現在はセラミック、強化プラスチック製、さらにはセラミック製の外胴プロテクターも展開されており、ツナ缶の種類はさらに増えています。
外胴プロテクターは時計全体を覆うように作られており、12時側と6時側にビスが仕込まれています。
一体感のあるオールブラックモデルよりも、外胴プロテクターがゴールド仕様になっているモデルの方が、ツナ缶らしさが分かりやすいです。
圧倒的なスペックと独特な形状
1975年にファーストモデルが誕生したマリーンマスターですが、600m防水を達成した後も更なるハイスペックを求め、進化し続けます。
1978年には世界初のクオーツ式飽和潜水仕様の600m防水ダイバーズを開発。1982年には世界初のアラーム・クロノグラフつきの150m防水ダイバーズまでも生み出し、時計界に衝撃を与えました。
1986年には防水性に優れるワンピース構造により、1000m防水を達成。その後もクォーツムーブやデジタル機能を搭載した画期的なモデルを発表し、その精度と安全性はスイスブランドを凌ぐほどと呼ばれるようになります。
出典:https://www.seikowatches.com/jp-ja/products/prospex/marinemaster-professional
ロレックスやオメガといったスイスブランドのダイバーズウォッチはヘリウムガスを排出する構造を採用していますが、マリーンマスターはそれさえも凌ぐ「ヘリウムガスをケース内に侵入させない」という発想によって作り込まれています。
2014年9月にJAMSTECの無人探査機「かいこう7000Ⅱ」に同行した1000mモデルによって、セイコーマリーンマスターの防水性能は保証されている1000mの約3倍の深度3000mを超えることも確認されました。
マリーンマスターの防水性能は他のダイバーズを遥かに凌駕する圧倒的なスペックを秘めています。
その大きな要因となっているのは、やはり「ツナ缶」の由来にもなった外胴プロテクターです。
外胴プロテクターにはムーブメントへの衝撃を和らげる効果や、防水性能を向上させる効果があり、マリーンマスターの優れた防水性能の一端を担っています。
また、プロテクターが傷付いた際は修理することもでき、一生モノの時計として使い続けることが可能です。
ツナ缶は防水性に特化した仕様であるため、ケースサイズが非常に大きく、デザインに対する評価は賛否両論があります。
しかし、ダイバーズウォッチとしてのスペックをとことん追求し続けたからこそ、「ツナ缶」の独特な形状が生まれたのも確かです。
ダイバーズウォッチとして真に優れるモデルが欲しい、個性的なダイバーズウォッチが欲しい。
このような方からツナ缶は絶大な人気を誇ります。
ツナ缶のディテールとレビュー
スペックに加え、ケースサイズも規格外なツナ缶 マリーンマスター。
そのディテールは、一般的なダイバーズウォッチと一味も二味も違う魅力に溢れています。
迫力満点のケースサイズ
マリーンマスターはツナ缶と呼ばれるだけあり、一目で分かる迫力満点のケースサイズを持ちます。
メンズ時計の標準的なケース径が40mm程なのに対し、マリーンマスターはケース径50mm前後と高級腕時計の中でも圧倒的な存在感を放ちます。
厚みも15mm以上のモデルが多く、どこから見てもインパクト大です。
ツナ缶の名で呼ばれ続けていることにも納得できます。
ただ、マリーンマスターはケース径こそ大型ですが、素材にチタニウムやセラミックを使用していることから見た目よりも重さを感じません。
十分なタフネスを持ちつつも軽量性にも長けており、実用性に関しても考え抜かれています。
4時位置にリューズを配置
一般的な腕時計は3時位置にリューズが付いていますが、ツナ缶は4時位置にリューズが備えられています。
手首の手の甲への曲げ易さ、作業時のリューズの損傷性回避等が考慮されています。
現行モデルはシリコンベルトを採用
ツナ缶に採用されるベルトは、当初はポリウレタンベルトが主流でした。
しかし、ポリウレタンベルトにはベタつきやすいという欠点があったため、現在はメタルブレスレットもしくはシリコンベルトが用いられるようになっています。
特に海での活動と相性の良いシリコンベルトの設計には拘り抜かれており、柔らかくて腕馴染みがいいと高い評価を得ています。
なお、ベルトはカスタムでき、他のベルトと付け替えてカスタムすることも可能です。
精度の高さも魅力
マリーンマスター及びプロスペックスにはクォーツムーブメントを開発したセイコーならでは高性能ムーブメントが搭載されており、他のブランドのダイバーズウォッチとは一線を画す精度を誇ります。
特にゼンマイのほどける力を動力源としながらも水晶からの正確な信号によって精度を制御する「スプリングドライブ」を搭載したモデルの信頼性は他のブランドの追随を許さず、機械式としての魅力を保ちつつも、絶対的な精度を誇ります。
セイコースプリングドライブ 5R66
ツナ缶=デカさと防水性能というイメージが強いですが、精度の高さに関しても申し分ありません。
自動巻き、クォーツ、スプリングドライブと複数の駆動方式を選ベることも大きなメリットで、選択できるモデルの幅も広いです。
プロがおすすめする人気のツナ缶10選
1965年に生まれたマリーンマスターに現在までに数々の人気モデルが展開されてきました。
どのモデルもプロフェッショナルダイバーにとって充分なスペックを誇っており、胸を張ってオススメできます。
特に時計としての品質の高さを楽しめるハイエンドモデルは人気があり、スプリングドライブを中心に需要はつきません。
セイコー プロフェッショナルダイバー 600 6159-7010
ケースサイズ:直径 50mm
素材:チタン
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:キャリバー6159
防水性:600m
6159-7010はマリーンマスターの初期モデル。市場に出回ることは稀ですが、今でも手に入れることができます。
直径50mm・厚さ16mmの重厚な見た目とは裏腹に、素材にチタンを採用しているため重量は116グラムと控え目です。初期モデルの特徴はダイアルに「m(メートル)」表記の無いこと。両方向回転ベゼルを備え、ムーブメントはハイビートキャリバー6159を搭載しています。
年々価値が上がり現在は20~30万円で相場が推移しており、人気の高さが伺えます。
セイコー プロスペックス マリーンマスター プロフェッショナル SBDX011
ケースサイズ:直径 50.0mm
素材:チタン
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:キャリバー8L35
防水性:1000m
ツナ缶らしさを全面に押し出したプロフェッショナルなモデルです。ワンピース構造により1,000mもの防水性能を誇り、風防にはサファイアガラスを採用。
硬質コーティングを施したチタンケースは耐久性に優れ、いかなるシーンにおいてもその力を存分に発揮してくれます。
ムーブメントには自動巻きキャリバー8L35が搭載され、日差+15秒~-10秒と高い性能を誇ります。
現在は生産終了モデルとなりましたが、中古での需要はいまだに健在。10万円以下で購入することもでき、狙い目のモデルとして注目されています。
セイコー マリーンマスター プロフェッショナル SBDX016
ケースサイズ:直径 52.4mm
素材:チタン
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:キャリバー9R65
防水性:1000m
2015年に発売された”SBDX016″は国産ダイバーズウォッチ発売50周年の集大成となる新モデルです。
外胴プロテクターの素材として「ジルコニアセラミックス」を採用し、さらに堅牢性を高めています。
インデックスには、残光時間が従来品に比ベ約60%向上した新開発のルミブライトを用い判読性を向上させました。バンドには従来のポリウレタンバンドから、耐久性が高く引張り強度が強い強化シリコン素材に変更、肌なじみのよさも同時に実現しています。
直径 52.4mmとド迫力の大きさを誇る、まさに規格外のプロスペックダイバーズウォッチです。
セイコー プロスペックス マリーンマスター プロフェッショナル スプリングドライブ SBDB009
ケースサイズ:直径 49.6mm
素材:チタン
文字盤:ブラック
駆動方式:スプリングドライブ
ムーブメント:キャリバー5R65
防水性:600m
SBDB009はブライトチタン製の600m飽和潜水用防水ケースにスプリングドライブ5R65を搭載した実用性の高いモデルです。
サファイアガラスや逆回転防止ベゼル、ルミブライトインデックスなどプロダイバーに応えたスペックで、4,800A/mの磁界に晒されても影響を受けない高い耐磁性も備えています。
後続機としてSBDB013が発売され製造終了モデルとなりましたが、その人気は未だ健在です。
セイコー プロスペックス マリーンマスター プロフェッショナル スプリングドライブ SBDB013
ケースサイズ:直径 49.6mm
素材:チタン
文字盤:ブラック
駆動方式:スプリングドライブ
ムーブメント:キャリバー5R65
防水性:600m
SBDB009の良さを受け継ぎ、更なる進化を遂げたSBDB013。搭載ムーブメントや基本的な仕様は同一ですが、ルミブライト夜行の残光時間が伸び、バンドが強化シリコン製に変更されるなど、細かな部分がブラッシュアップされました。
また、SBDB009のリューズには「S」のマークが刻まれていますが、SBDB013のリューズにはプロスペックスの「X」マークが刻まれています。
細かな違いではありますが、コレクター魂をくすぐるユニークな要素となっています。
セイコー プロスペックス マリーンマスター プロフェッショナル SBBN013
ケースサイズ:直径 49.0mm
素材:チタン×セラミック
文字盤:ブラック
駆動方式:クォーツ
ムーブメント:-
防水性:1000m
SBBN013は初期のマリーンマスターの意匠を持つどこかレトロテイストな雰囲気を持つ一本。ドットインデックスや各種針が大きめに作られており、視認性の高さが魅力です。
3時位置にはデイデイトを備え、ベゼルの目盛りもダイナミックに描かれています。
セイコー プロスペックス マリーンマスター プロフェショナル SBDX013
ケースサイズ:直径 48.0mm
素材:ステンレススティール×チタン
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:キャリバー8L35
防水性:1000m
オールブラックのスタイリッシュなデザインが魅力的なツナ缶。サファイアガラス、逆回転防止ベゼルを備え、ケースは硬質コーティングが施されたチタンとセラミックが採用されています。
直径48.0mmと大型サイズのモデルではありますが、全面黒の仕様からコンパクトなイメージを与えます。
1000mの防水性能に加え、キズや衝撃にも強く、まさにアウトドアシーンに打ってつけのタイムピースです。
セイコー プロスペックス 機動戦士ガンダム 40周年記念 量産型ザク 限定モデル SBDX027
ケースサイズ:直径 52.4mm
素材:チタン×セラミック
文字盤:グリーン
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:キャリバー8L35
防水性:1000m
日本が世界に誇るロボットアニメ『ガンダム』とのコラボレーションモデル「SBDX027」。全編でジオン公国の主力となった量産型ザク(MS-06)をイメージしたモデルです。
ザクの頑強な緑のボディは軽量強靭なチタンで再現され、無骨で男らしいディテールもガンダムファンにはたまらない仕様になっています。
秒針のモノアイなど、ディテールもガンダムファンにはたまらない仕様に。
ジオン軍のシンボルが印された特製ストラップ、専用ボックスが付属しております。
ムーブメントには信頼性の高い自動巻き8L35を搭載。1000m防水性能を備えます。
セイコー プロスペックス 機動戦士ガンダム 40周年記念 シャア専用ザク 限定モデル SBDX029
ケースサイズ:直径 52.4mm
素材:チタン×セラミック
文字盤:レッド
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:キャリバー8L35
防水性:1000m
こちらも『ガンダム』とのコラボレーションによって生み出された、個性的なツナ缶です。
ジオン軍のスターとして活躍したシャア・アズナブル専用ザク(MS-06S)をフィーチャーした一本で、「赤い彗星」と敵軍を畏怖させたレッドカラーは軽量強靭なチタンで再現されています。
量産型ザクモデルと同じくジオン軍のシンボルが印された特製ストラップ、専用ボックスが付属。ムーブメントには8L35が搭載されています。
1000本限定生産として発売されており、相場は40万円前後とやや高めです。
セイコー プロスペックス マリーンマスター プロフェッショナル 40周年記念モデル SBBN042
ケースサイズ:直径 49.0mm
素材:チタン×セラミック
文字盤:ブラック
駆動方式:クォーツ
ムーブメント:-
防水性:1000m
1978年に誕生したマリーンマスター クォーツの40周年記念モデルです。限定800本で製造され、レアリティの高い一本として注目されています。
ワンピース構造によって製造された「外胴プロテクター」にはヴァイオレットカラーの高硬度セラミックスのサーメットが使用されており、通常モデルとは異なる雰囲気を演出。
1,000m防水性能も健在で、クォーツムーブメントを搭載していることから実用性も抜群です。
並行新品相場は18万円前後となっており、人と被らないツナ缶を求める方に人気があります。
まとめ
ツナ缶の愛称で親しまれるマリーンマスター。堅牢性、視認性、精度、どれをとっても申し分なく、非常に安全性と信頼性のあるモデルだと思います。
50mmを超える大迫力のディテールは男らしさを感じさせ、個性派ダイバーズウォッチとして時計ファンから厚い支持を得ています。
ビジネス向きの時計ではありませんが、アウトドアやマリンスポーツにおいて、その力を存分に発揮してくれることでしょう!
ダイビングやサーフィンをやられる方、サイズの大きい時計をお探しの方。是非ツナ缶を一度検討なさってはいかがでしょうか?
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年
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