出典:https://www.seikowatches.com/jp-ja
「キングセイコー KSKがレギュラー化するって本当?」
「キングセイコー KSKの魅力や特長について知りたい」
「王」の名の通り、国産腕時計史に大いなる歴史を刻んだキングセイコー。
「世界に追いつけ、追い越せ」の機運とともに、グランドセイコーと並んでわが国の戦後の時計産業を牽引する存在となりました。
キングセイコーは1975年にいったん生産終了するものの、アンティーク市場では活発に売買されていました。
そんなキングセイコー、生誕50周年かつセイコー創業140周年の節目にあたる2021年―正確には2020年末―、鮮烈な復活劇をお披露目します。
この見事なまでの復活劇は多くの時計ファンの耳目を集めることとなりましたが、あくまで限定生産モデルではありました。
しかしながら翌2022年、なんと、レギュラーモデルとして完全復刻するに至ったのです!しかも、5つのリファレンスを伴って!
そんなキングセイコー KSKの魅力や特長について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
キングセイコー KSKは、アンティーク調を楽しめる新作となっています。
この記事ではキングセイコー KSKの魅力や特長を、GINZA RASINスタッフ監修のもと紹介します。
価格や発売情報についても紹介しますので、キングセイコーの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
2022年新作キングセイコー 「KSK」
出典:https://www.seikowatches.com/jp-ja
スペック
外装
型番: | SDKS001他、5リファレンス |
ケースサイズ: | 直径37mm×厚さ12.1mm |
素材: | ステンレススティール |
文字盤: | シルバー他 |
ムーブメント
ムーブメント: | 6R31 |
駆動方式: | 自動巻き |
パワーリザーブ: | 約70時間 |
機能
防水: | 10気圧 |
定価: | 198,000円(税込) |
冒頭でもご紹介した通り、キングセイコーは何度か復刻を果たしています。
記憶に新しいのは2020年末の二代目キングセイコー復活劇だというのも、前述の通りです。
この2020年発表モデルはデザイン面でオリジナルのキングセイコーを踏襲していましたが、ケース直径は38.1mmと、オリジナルの36.7mmからアップサイジング。より現代風に解釈された形となります。
また、自社ムーブメントの中で最薄自動巻きキャリバーとなる6L35を採用することで、厚さわずか11.4mmというアンティークらしい上品さを湛えていたことが特徴です。
しかしながらこの2020年発表モデルは、限定3,000本の生産。定価も385,000円と、セイコーの中では高価格帯でした。
2021年復刻版はケース直径37mmサイズと、いっそうオリジナルに近いサイズ感に。ケース厚も12.1mmと、昨年の限定復刻よりかは若干厚みが増しているとはいえ薄型です(12mmより薄い時計はいくらでもありますが、キングセイコーはボックス型風防かつインデックスも高く切り立っているため、この厚さに抑えていることに驚きを禁じ得ない)。
さらに定価は198,000円と税込でも20万円を切るプライスレンジに!
レギュラーで、しかも入手しやすい価格帯での提供となったことに歓喜しているファンは少なくないでしょう。
次項より、新作キングセイコーの実力について、キングセイコーの歴史を掘り下げながら解説致します!
2022年新作キングセイコー「KSK」を徹底解説!
それでは2022年新作キングセイコーについて、詳しく解説致します。
①キングセイコーとは?
そもそもキングセイコーとは何なのか。これは、1961年にセイコーが生み出した、国産高級時計です。
ちなみにその前年、グランドセイコーが誕生していることをご存知の方も多いでしょう。
グランドセイコーは諏訪精工舎で生み出されました。キングセイコーは第二精工舎で生み出されました。
左:グランドセイコー 右:キングセイコー
諏訪精工舎は文字通り長野県に位置していたセイコーウォッチの製造拠点で、後のセイコーエプソン株式会社です。第二精工舎は東京都江東区亀戸に位置していた製造拠点で、1937年と古くから操業してきました。ちなみに、後のセイコーインスツル株式会社です。
第二次世界大戦の最中、戦局の悪化によって東京も戦災の渦中に巻き込まれていきますが、これを受けてセイコーは1944年、製造部門を長野県に疎開させました。これが諏訪精工舎となり、戦後も第二精工舎に代わって時計製造を続けていくこととなります。
※厳密には下請けメーカーであった大和工業がもともと同地でセイコーウォッチを製造しており、1944年に工場ごと疎開。戦後に大和工業・第二精工舎の諏訪工場が合併して諏訪精工舎になりました。
第二次世界大戦後の日本は焼け野原からのスタートであった一方で、各産業が復興に取り組みつつ、成長していった時代でもあります。時計産業にもこれが言えることで、セイコーもまた着々と「世界に追いつけ、追い越せ」の気概を強めていきました。
そうして諏訪精工舎が生み出したのが、マーベルやロードマーベル、さらに続いて1960年の国産初の高級時計「グランドセイコー」です。
※初代グランドセイコー J14070
グランドセイコーは当時、スイス製時計を凌ぐ高精度を備えており、同時に優美なラウンドフォルムに美しいドーフィン針,輝くインデックスを備えた、最高峰ウォッチでした。当時の大卒初任給の二倍ほどに当たる25,000円で販売されることとなり、名実ともに国産最高峰と言って良いでしょう。
一方の第二精工舎も、敗戦の影響を脱し、時計製造をスタートさせます。
1958年にクロノスを発売し、ここで使われたムーブメントをベースに1961年、キングセイコーを生み出しました。
出典:https://museum.seiko.co.jp/en/collections/watch_previousterm/collect036/
もっとも後年、第二精工舎もグランドセイコー製造を手掛けるようになり、第二精工舎・諏訪精工舎はともに切磋琢磨していく関係性が作り上げられていきます。
こういった背景のもと生み出されたキングセイコーは、グランドセイコー同様国産高級時計です。
しかしながらファーストデリバリーの国内定価はSSモデルで12,000円。そのためグランドセイコーよりも人々が「頑張れば手に入る」といった立ち位置の時計であったのでしょう。
その後1975年に生産終了するまで、キングセイコーは多岐に渡ったモデルを世に送り出してきました。
2020年末、次いで2022年のこの度復刻したキングセイコーは、第二世代に当たる「44KS」です。
手巻きCal.44系が搭載されたことからこのように呼ばれますが、初代モデルにはなかったハック機能(秒針規制機構)を備えていたことから、KSK(キングセイコー規制付き)と呼ばれることもあります。
またスクリューバックを用いることで防水性を備えていること。また1964年~1968年頃まで製造され、比較的よく出回っていることから、アンティーク市場でとても人気の高いキングセイコーとなっております。
②2022年新作キングセイコー「KSK」の実力
出典:https://www.seikowatches.com/jp-ja
前述の通り、二代目キングセイコー「44KS」あるいは「KSK」からインスパイアされている新作キングセイコー。
2020年末の限定復刻版も良かったのですが、前述の通り今作では小径化しており、いっそうオールドセイコーらしい風合いを感じさせます。
まず目に付くのが、独特のケースフォルムではないでしょうか。
美しい鏡面仕上げ・ツヤ消し仕上げのコンビネーションによって高級機然とした風格を獲得したケースは多面カットが施されており、恐らく実機も光の加減によって表情を優美に変えていくと見受けられます。
切り立ったラグはシャープな印象を植え付けますが、これは重心を低くすることで優れた装着感を提供するために、オリジナルのキングセイコーでも採用されていた手腕です。
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ブレスレットも細かなリンクに鏡面仕上げ・ツヤ消し仕上げが施されることで、セイコーが大切にしてきた「燦然と輝く時計」を体現します。
ちなみにキングセイコーと言うと革ベルトのイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、このブレスレットは1960年代のキングセイコーをオマージュして、フラットかつ多列にしているとのことです。
もっとも別売りで尾錠・ストラップをご購入頂けますので、往年のクラシカルなテイストも併せてお楽しみ頂けるでしょう。
ケース同様多面カットを施したインデックスや鋭いドーフィン針もオリジナルを踏襲しており、この顔立ちが好きでキングセイコーファンを続けているとおっしゃる方も少なくありません。
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ちなみに12時インデックスのみライターカットが施されているのも独創的ですね。
デイトがない分、こういった文字盤の妙がより身近に感じられる新作となっております。
加えてキングセイコーらしいボックス型風防を備えておりますが、サファイアクリスタル製ということもあり、安心して使えるアンティーク調ウオッチに仕上がっているのも現代人には嬉しいところ。
なお、前項でも言及した通り、切り立ったインデックスやボックス型風防を備えながらも厚み12.1mmに抑えているのは、セイコーの手腕と言って良いでしょう。
リューズとケースバックには、キングセイコーの「盾」マークがエングレービングされました。
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このメダリオンもキングセイコーらしさの一つだと思います。ただし新作ではこの盾マークをリニューアルし、よりフラットに、そしてよりモダンに変遷しているとのことです。
ムーブメントはプレザージュ等でも搭載される自動巻きノンデイトのCal.6R31。
2020年末の復刻版で搭載されたCal.6L35と比べると振動数は21,600振動/時に抑えられたものの、約70時間のロングパワーリザーブを備えており、実用性は十二分です。
2022年新作キングセイコー。国内定価と発売予定日
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2022年新作キングセイコーは5つのリファレンスが同時リリースされましたが、いずれも198,000円の国内定価となっております。
シルバー,メタリックグレー,チャコールグレー,ブラウン,バーガンディの文字盤バリエーションです。
ステンレススティール製のブレスレットが搭載されていますが、キングセイコー専用革ベルトも併せて別売りされるようになりました。
カーフベルトが17,600円、スエード調の合成皮革が16,500円。「バンドシミュレーター」として、各ベルトを着用したイメージをご確認頂けますので、ぜひストラップ使いも楽しんでほしいところですね。
発売予定日は取扱店によって異なります。
まずセイコーブティックで2022年2月18日(金)より先行販売が開始され、2022年7月8日(金)よりセイコーウォッチサロンで販売開始するとのことです。
2020年末の復刻版キングセイコーも素晴らしかったので、今作の出来栄えも、期待で胸が膨らみますね!
まとめ
2022年、レギュラーとして改めて復刻を果たした新作キングセイコーについてご紹介致しました!
2020年末発売モデルも畢生の出来栄えでしたが、よりお求めやすく、そしてアンティーク調を楽しめる新作がレギュラー生産されるのは嬉しいことですよね。
近年のセイコーは快進撃が止まりません。
まだまだ2022年の新作発表は続くことが予測されますので、乞うご期待!
当記事の監修者
田所 孝允(たどころ たかまさ)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 営業物流部長/p>
1979年生まれ 神奈川県出身
ヒコみづのジュエリーカレッジ ウォッチメーカーコース卒業後、かねてより興味のあったアンティークウォッチの世界へ進む。 接客販売や広報などを経験した後に店長を務める。GINZA RASIN入社後は仕入れ・買取・商品管理などの業務に従事する。 未だにアンティークウォッチの査定が来るとついついときめいてしまうのは、アンティーク好きの性分か。
時計業界歴18年。