W&W2025, Watches and Wonders Geneva, グランドセイコー, 遠藤有隆
グランドセイコーは「世界に通用する、燦然たる高級腕時計」をコンセプトに掲げ、国内はもちろん海外でも高く評価されている腕時計ブランドです。
最先端の技術と細やかな職人技、大自然を閉じ込めたような美しい文字盤でファンを魅了し続けるグランドセイコーからは、今年も堂々たる新作がリリースされました。
世界の大谷翔平選手も愛用するグランドセイコーが満を持して解き放った、2025年の新たな名作を詳しく解説します。
目次
グランドセイコーが「Watches And Wonders Geneve 2025」で発表した、燦然と輝く腕時計コレクションを紹介します。
今年の目玉はグランドセイコーが誇る特殊なムーブメント「スプリングドライブ」の最新作と、機械式クロノグラフ「テンタグラフ」の最新モデルです。
また、グランドセイコーがこだわり続ける信州や雫石の自然や日本の美意識をテーマに掲げる芸術的な文字盤にも、新たなデザインが加わりました。
エボリューション9 コレクション スプリングドライブ U.F.A.|SLGB003 |
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【外装】 ・ケースサイズ:横37.0mm×縦44.3mm ・ケース厚み:11.4mm ・ケース素材:ブライトチタン ・ストラップ:ブライトチタン ・文字盤:「樹氷」型打ちパターン:シルバーブルー |
【ムーブメント】 ・駆動方式:スプリングドライブ 自動巻(手巻つき) ・ムーブメント:Cal.9RB2 スプリングドライブ U.F.A. ・パワーリザーブ:約72時間 |
【機能】 ・防水:日常生活用強化防水(10気圧) |
【価格・発売時期】 ・予定価格:1,518,000 円(税込)※要問合せ ・発売予定:2025年6月発売予定 |
グランドセイコーは2025年、「異次元の高精度ムーブメント」と称される「スプリングドライブ U.F.A.」Cal.9RB2を搭載した初のレギュラーモデル、SLGB003をリリースしました。
スプリングドライブはセイコーが1999年に発表した腕時計の動力機構で、機械式腕時計の主ゼンマイ動力と、クォーツ式腕時計の調速を組み合わせた「第3のムーブメント」です。
セイコー独自の技術で、長野県塩尻にある「信州 時の匠工房」で製造されており、強力な動力と機械式では実現できない高精度の両立が可能です。
今回、新作に搭載されたCal.9RB2、スプリングドライブU.F.A.は「Ultra Fine Accuracy」の略で、これまでのスプリングドライブを大きく凌駕する「超高精度」を意味します。
年差±20秒という驚異の高精度ムーブメントを非常に薄くコンパクトにまとめた、グランドセイコーの技術力の結晶です。
エイジングにより精度を安定させた水晶振動子を新ICとともに真空密封して精度を高め、さらにスプリングドライブとして初めて緩急スイッチを搭載しています。
ケースやストラップには、グランドセイコーが独自に開発したチタン合金「ブライトチタン」が使用されており、ステンレススティールよりも約30%軽くてアレルギー耐性に優れ、一般的なチタンよりも明るく美しい色合いという特性が活かされています。
また、ストラップにはグランドセイコーで初めて微調整機構バックルを採用し、工具なしで2mm単位×3段階のスライド調整が可能となっています。
Cal.9RB2、スプリングドライブU.F.A.を搭載したブライトチタンモデルは着け心地にもこだわり、薄くて小型のムーブメントを低重心ケースにおさめ、より快適な装着感を実現しています。
「スプリングドライブ U.F.A.」Cal.9RB2を搭載した新モデルは2パターンローンチされましたが、ブライトチタン製のSLGB003はレギュラーモデルとして発売される予定です。
エボリューション9 コレクション スプリングドライブ U.F.A.|SLGB001 |
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【外装】 ・ケースサイズ:横37.0mm×縦44.3mm ・ケース厚み:11.4mm ・ケース素材:プラチナ ・ストラップ:クロコダイル ・文字盤:「樹氷」型打ちパターン:シルバーブルー |
【ムーブメント】 ・駆動方式:スプリングドライブ 自動巻(手巻つき) ・ムーブメント:Cal.9RB2 スプリングドライブ U.F.A. ・パワーリザーブ:約72時間 |
【機能】 ・防水:日常生活用強化防水(10気圧) |
【価格・発売時期】 ・予定価格:5,500,000 円(税込)※要問合せ ・発売予定:2025年6月発売予定 |
2025年リリースのスプリングドライブ搭載エボリューション9コレクションから、驚異の精度を誇るCal.9RB2、スプリングドライブU.F.A.を採用したプレミアムエディションが登場しました。
37mm幅、厚さ11.4mmという小さく薄いプラチナケースにおさまる新たなスプリングドライブは、史上初めて緩急スイッチを搭載した究極の高精度が特徴です。
ブライトチタンケースのレギュラーモデルに加えてリリースされたプラチナモデルは、ダイアルにより深みのある色彩をたたえ、冬の諏訪湖のように静かな輝きを放つ逸品です。
今回、グランドセイコーが発表した文字盤は「樹氷」。スプリングドライブのふるさと「信州 時の匠工房」から眺める、厳冬の山で雪をまとった木々を表現したシルバーブルーのパターンです。
グランドセイコーは、雪原や白樺の樹皮、潮のうねりなど自然が持つ「質感」を型打ちパターンで打ち出す技術で、日本の美意識を文字盤に描き出してきました。
新たなパターン「樹氷」は、規則正しく並ぶ針葉樹林にひと刷毛の雪が積もる様を、細やかな型打ちパターンと薄い青に輝く表面加工を施すことで繊細に表しています。
プラチナモデルのRef.SLGB001は、世界限定80本で、国内では40本が販売される予定です。
スポーツコレクション テンタグラフTokyo Lion Tentagraph|SLGC009 |
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【外装】 ・ケースサイズ:横43.0mm×縦50.0mm ・ケース厚み:15.6mm ・ケース素材:ブリリアントハードチタン ・ストラップ:高強度ラバーストラップ(裏面肉球型押し) ・文字盤:風靡(ふうび)パターンのサンドカラー |
【ムーブメント】 ・駆動方式:自動巻(手巻つき) ・ムーブメント:Cal.9SC5 ・パワーリザーブ:約72時間 |
【機能】 ・防水:日常生活用強化防水(20気圧) |
【価格・発売時期】 ・予定価格:2,310,000 円(税込)※要問合せ ・発売予定:2025年8月発売予定 |
グランドセイコーの紋章である「獅子」をモチーフとしたスポーツコレクションテンタグラフSLGC009は、獅子の爪の持つ力強さをテーマに掲げています。
ざっくりと獣の爪でそぎ落としたように大胆なデザインには、グランドセイコーが誇るザラツ研磨による繊細を極めた技巧が凝らされ、ポリッシュ仕上げとヘアライン仕上げが金属が放つ陰影の鋭さを引き立てています。
文字盤に配された3眼はそれぞれお椀型の別パーツを埋め込んでおり、視認性がぐっと高まっています。
グランドセイコー独自開発のブリリアントハードチタンは、ステンレススティールの2倍硬くて傷つきにくく、軽いうえに白くて美しい素材です。
ライオンの毛並みのようなカラーの文字盤には、「風靡(ふうび)」と呼ばれる有機的な彫りが施されています。
新素材であるシリコンの2倍の引っ張り強度を持つラバーストラップには、裏面に肉球モチーフをプラスするなど、遊び心もエモーショナルです。
クロノグラフのプッシュボタンの押し心地にまでこだわりぬいたテンタグラフには、手縫いステッチを施したブラックのクロコダイルストラップを合わせることも可能です。
モデル名|Ref.○○ |
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【外装】 ・ケースサイズ:横43.2mm×縦51.5mm ・ケース厚み:15.3mm ・ケース素材:ブライトチタン・セラミック ・ストラップ:ブライトチタン ・文字盤:岩稜(ブラック)と新雪(スノーブルー)の二層ダイアル |
【ムーブメント】 ・駆動方式:自動巻(手巻つき) ・ムーブメント:Cal.9SC5 ・パワーリザーブ:約72時間 |
【機能】 ・防水:日常生活用強化防水(10気圧) |
【価格・発売時期】 ・予定価格:1,980,000 円(税込)※要問合せ ・発売予定:2025年5月発売予定 |
グランドセイコーのテンタグラフからはもう1モデル、厳冬の岩手山の険しくも神々しい輝きを映したSLGC007がリリースされました。
テンタグラフ(TENTAGRAPH)は、グランドセイコーを代表するクロノグラフムーブメント9SC5の特徴から、10(TEN)振動・ 3(Three)日間持続・自動巻(Automatic)・クロノグラフ(Chronograph)を組み合わせた造語です。
機械式ムーブメントのふるさとである、グランドセイコースタジオ 雫石から見える岩手山の大自然もまた、グランドセイコーの文字盤を彩ってきました。
文字盤は岩手山の険しい岩肌を表現するブラックのベゼルやインダイアル、輝く新雪を表すスノーブルーの二層に分かれています。
日本の季節や風土を文字盤に織り込んできたグランドセイコーのなかでも、特に岩手山と信州の山々の雪景色は大切にされ、何度も描かれてきました。
白銀に輝くチタンケースの中で、何物の侵入も許さない気高い新雪と、行く者を阻む黒い山肌の組み合わせが、わずか4cm強のダイアルの上へ繊細に再現されています。
ヘリテージコレクション 手巻メカニカル|SBGW323 |
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【外装】 ・ケースサイズ:横36.5mm×縦42.7mm ・ケース厚み:11.6mm ・ケース素材:ステンレススティール ・ストラップ:ステンレススティール ・文字盤:桐花色 |
【ムーブメント】 ・駆動方式:手巻き ・ムーブメント:Cal.9S64 ・パワーリザーブ:約72時間 |
【機能】 ・防水:日常生活用強化防水(10気圧) |
【価格・発売時期】 ・予定価格:1,980,000 円(税込)※要問合せ ・発売予定:2025年5月発売予定 |
SBGW323は、グランドセイコーが初期に生み出し44GSで体現したデザイン哲学「グランドセイコースタイル」を、現代解釈を加えて受け継ぐ「44GS現代デザイン」です。
1967年に確立したグランドセイコースタイルは、「燦然と輝く」腕時計の基礎であり、ザラツ研磨などグランドセイコーの技術の粋が惜しみなく注がれて成り立つデザイン文法です。
60年近い年月を経ても色褪せないデザインの基礎に、最新式の機械式手巻きムーブメントをおさめ、ムーブメントのふるさとである雫石の工房から見える「岩手山パターン」を織り交ぜたヘリテージコレクションです。
SBGW323の文字盤には、グランドセイコーが得意とする精緻な型打ちパターン技術で「岩手山パターン」が施され、岩手山の山肌が表現されています。
淡いライラックのような繊細な花色は、岩手県花である「桐」の花をイメージ。盛岡藩主となる南部家が足利時代に移植した桐「南部の紫桐」の色です。
「燦然と輝く腕時計」である44GS現代デザインに、岩手山の山肌の質感と南部の紫桐の色彩を加えることで、雪解けとともに訪れる岩手の優しい春をダイアルに開花させました。
グランドセイコーが2025年に放った新作は、まさに大谷翔平選手のような「異次元」のスプリングドライブと、ブランドを具現化したようなテンタグラフです。
エイジングとICとの真空密封で前代未聞の精度をたたき出すスプリングドライブ U.F.A.を搭載したモデルには、静まり返った厳寒の雪山の景色を描いています。
ブランドの紋章「獅子」の力強さや王者の風格を荒々しく削り出したテンタグラフは、新素材ラバーやデザインの大胆さにより、一目でライオンを想起させる逸品です。
日本の美意識や風土、移ろいゆく四季折々の自然を描き出すことに長けたグランドセイコーは、究極の進化を遂げた技術を繊細なケースにそっと封じ込めた名機を、今年もずらりと揃えました。
当記事の監修者
遠藤 有隆(えんどう ゆうこう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC 上級ウォッチコーディネーター取得
営業企画部 マーケティング課
好きなブランド IWC・ジャガールクルト・ランゲ&ゾーネなど
1984年生まれ、神奈川県出身。時計業界は2017年より。
デザイン系の短期大学を卒業後、23歳で大手セレクトショップに入社。約10年間、レディースの服飾雑貨の責任者として店頭接客、MDやVMD業務に従事してきました。
10年目を迎え、更なる成長を求めて高級時計店への転職を決意し、2017年にGINZA RASINに入社。店頭接客を7年経験した後、現在の営業企画部 マーケティング課へ異動。
人と話すことが好きで、スーパーポジティブな私は現在、愛用のIWCメカニカルフリーガークロノとスモールギーゼを共にしながら、店舗での経験を活かしつつ、多角的な視点で記事の監修を行っています。