WEBマガジン, Watches and Wonders Geneva 2024 現地から速報!, 新美貴之, IWC
速報!2022年IWC新作モデルを発表!by Watches & Wonders Geneve
最終更新日:
出典:https://www.iwc.com/jp/ja/specials/new-watches.html
スイス シャフハウゼンに本拠を構える、名門時計メーカーIWC。堅実なものづくりと時計好きに刺さるデザインによって、根強いファンを獲得し続けてきました。
IWCの製品は、奇抜なコンセプトや派手な意匠は見受けられません。一方で時計業界に大きな風を巻き起こす発明や製品を数々投入してきた歴史を有しており、時計業界では確かな存在感を放つこともIWCの強みです。
そんなIWCがスイス ジュネーブで開催されたWatches & Wondersで放った、2022年新作モデルとは?
目次
2022年IWC新作①パイロットウォッチ クロノグラフ41 トップガン セラタニウム Ref.IW388106
出典:https://www.iwc.com/jp/ja/specials/new-watches.html
スペック
外装
ケースサイズ: | 直径41mm×厚さ14.5mm |
素材: | セラタニウム |
文字盤: | ブラック |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.69385 |
パワーリザーブ: | 約46時間 |
機能
防水: | 10気圧 |
定価: | 1,424,500円 |
パイロットウォッチの雄・IWC。1936年にリリースされた、英国空軍の御用達パイロットウォッチ「マークIX」を皮切りに、数々の名作を世に送り出してきました。
そんなIWCのパイロットウォッチ、コレクション展開が大変豊富であることも魅力です。
前述したマークシリーズや、昨年多彩なコレクションが追加されたビッグパイロットウォッチ、英国戦闘機をチーフとしたスピットファイアなどは不朽の名作。自分自身もパイロットウォッチのマーク15 スピットファイアモデルを所有しているのですが、視認性に優れた文字盤デザインや機能性を最優先したケースフォルムなど、パイロットウォッチかくあるべしといった魅力を多数備えており、どんなシーンでも正確な時刻を我々に提供してくれています。
2022年は、そんなパイロットウォッチの中でもトップガンが、新作発表の舞台に選ばれています!IWC曰く、2022年はトップガンの年、と。
出典:https://www.iwc.com/jp/ja/specials/new-watches.html
トップガンとは、アメリカ カリフォルニア州サンディエゴ市 ミラマーにある、海軍戦闘機兵器学校NFWS(United States Navy Fighter Weapons School)を指します。この兵器学校はパイロットのキャリア組を養成する教育機関で、トップクラスの人材を意味する「トップガン」の通称で親しまれています。1986年、トム・クルーズ氏主演の同名映画でも、よくご存じの方が多いかもしれませんね。
IWCは2012年、この教育機関「トップガン」へのオマージュモデルをパイロットウォッチコレクションに加えます(2007年には既に特別モデルとしてトップガンへのオマージュが捧げられていましたが)。
トップガンはIWCのパイロットウォッチらしい機能美はそのままに、さらに過酷な環境下を想定した、頑丈な造りを持つことが大きな特徴です。一方で任務を邪魔しない、快適な装着感も重要でしょう。
そのためトップガンはセラミックやチタンといった、堅牢性に富みつつも軽量な素材が用いられることとなりました。
この「素材」の面で大きな進化を果たしたと言えるのが、「セラタニウム」モデルです。
出典:https://www.iwc.com/jp/ja/specials/new-watches.html
セラタニウムとは2017年にIWCがローンチした、独自素材です。どのようなものなのかと言うと、軽量なチタンに、セラミックの硬度を融合させた画期的な素材です。
チタンはステンレススティールと比べて約60%ほど比重が低く、また堅牢性や耐蝕性、耐アレルギー性を有することで知られています。
チタンは加工や仕上げが難しく、時計として用いるには高度な技術力が必要とされますが、一方で上記のような多彩な魅力から、近年では多くの時計ブランドが採用するに至っています。ちなみにスイス時計業界の中で、このチタンの使用に先鞭をつけたのがIWCでした。
しかしながらチタンでも、傷はつきます。そこでセラミックを融合させることで耐傷性をも獲得したのが、セラタニウムというわけです。このセラタニウムにIWCの技術者は、約5年もの歳月をかけて開発に至ったと言います。
2019年にパイロットウォッチ ダブルクロノグラフ トップガンでセラタニウム使用モデルがリリースされましたが、2022年はシンプルで使いやすいパイロットウォッチ クロノグラフ41にて採用されることとなりました。
出典:https://www.iwc.com/jp/ja/specials/new-watches.html
そんな新素材の使い手とも言えるIWCが手掛けたセラタニウムによって、オールブラックの精悍なパイロットウォッチが出来上がっています!
もともとトップガンには、セラミック製でもオールブラックモデルは存在していましたが、針やインデックス部分の夜光もブラックがかっており、非常にクールな一本として完成されました。
搭載するムーブメントは自動巻きクロノグラフCal.69385。IWC自社製となっており、さらにシースルーバックから覗くとブラック仕上げがなされる手心が加えられました。これによって表裏から見て、オールブラックのパイロットウォッチに完成されていると言えますね!サファイアクリスタルガラス部分にも、一部ブラックの着色がなされているようです。
出典:https://www.iwc.com/jp/ja/specials/new-watches.html
ローターが肉抜きされているため、内部機構が見えやすいのも嬉しいところです。パワーリザーブは最大46時間です。
なお、布製インレイ付きラバーストラップは「EASX-CHANGE」システムによって簡単に交換可能です。この「EASX-CHANGE」システムとはパイロットウォッチ クロノグラフ41および43mmサイズに搭載されているシステムで、ワンクリックでストラップを脱着。工具いらずで様々なストラップに交換できるという優れものです。
新しいパイロットウォッチ クロノグラフ41 トップガンの国内定価は1,424,500円。2022年5月から販売スタートとのことですので、楽しみですね!
2022年IWC新作②パイロットウォッチ クロノグラフ トップガン レイク・タホ/ウッドランド
出典:https://www.iwc.com/jp/ja/specials/new-watches.html
スペック
外装
ケースサイズ: | 直径44.5mm×厚さ約15.7mm |
素材: | セラミック |
文字盤: | ブラック/グリーン |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.69380 |
パワーリザーブ: | 約46時間 |
機能
防水: | 6気圧 |
定価: | 1,281,500円/1,413,500円 |
パイロットウォッチ トップガンから、さらに特別な2022年新作モデルがリリースされました!ホワイトセラミックが眩しい「レイク・タホ」と、グリーンセラミックがユニークな「ウッドランド」です!
2021年にもパイロットウォッチ トップガンシリーズに「モハーヴェ・デザート」の名を冠し、ベージュカラーのセラミックモデルが発表されましたが、その続編ということでしょうか。いずれも、これまでのパイロットウォッチとは一風変わったテイストをお楽しみ頂けるデザインが魅力的です。
レイク・タホモデルでは、眩しいホワイトカラーのセラミックケースに、同じくホワイトのラバーストラップが爽やかな一本です。IWCはあまりこういったカラーを前面に押し出してこなかったため、非常に鮮烈なインパクトを覚えますね。
出典:https://www.iwc.com/jp/ja/specials/new-watches.html
レイク・タホはカリフォルニア州とネバダ州にまたがる広大な湖で、映画『トップガン』でもしばしば登場しています。
ホワイトセラミックのケースは、アメリカ海軍の制服と、レイク・タホから臨める美しい冬景色からインスパイアされたとのこと。確かにレク・タホを取り囲むシエラネバダ山脈は冬を迎えると雪化粧となり、自然の美しさや雄大さを感じさせるものです。空での任務をサポートする、パイロットウォッチにはうってつけのカラーリングと言えますね。
インデックス・針もホワイト基調となっており、一方でベースはブラックであるためメリハリが効き、視認性も抜群です。
ウッドランドモデルもまた、これまでのIWCにはないカラーリングが魅力です。事実、このカラーコードを使用したのは、当新作が初とのことです。
出典:https://www.iwc.com/jp/ja/specials/new-watches.html
IWCによると、トップガンのパイロットらのフライトスーツや制服,あるいはトレーニング中に見渡せる、広大な森の緑からインスパイアされていると言います。確かに濃いグリーンが、うっそうと力強く生い茂った木々を感じさせますね。
なお、グリーンを表現するために酸化ジルコニウムと他の金属酸化物を混合しておりますが、非常に高度な製造工程を経ているようです。リューズやプッシャーはブラックとなっているため、そのコントラストがまた美しいです。
搭載するムーブメントは自動巻きCal.69380です。
出典:https://www.iwc.com/jp/ja/specials/new-watches.html
裏蓋にはトップガンシリーズの伝統ともなっているロゴがエングレービングされており、特別感を覚えます。
ちなみにウッドランドモデルの裏蓋は前項でもご紹介した、セラタニウム製となっております。軟鉄製インナーケースによって耐磁性能も有しているため、タウンユースにも安心して利用できますね。
国内定価はレイク・タホが1,281,500円、ウッドランドが1,413,500円。それぞれ1000本の世界限定生産となります。
2022年IWC新作③ビッグパイロットウォッチ43 トップガン Ref.IW329801
出典:https://www.iwc.com/jp/ja/specials/new-watches.html
スペック
外装
ケースサイズ: | 直径43.8mm×厚さ約13.9mm |
素材: | セラミック |
文字盤: | ブラック |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.82100 |
パワーリザーブ: | 約60時間 |
機能
防水: | 10気圧 |
定価: | 1,309,000円 |
2021年、ビッグパイロットウォッチコレクションに追加された43mmサイズ。2022年も、引き続き新バリエーションが追加されました!トップガンより、ブラックセラミックモデルです!
ビッグパイロットウォッチは2002年から当該シリーズに追加されたコレクションです。
1940年にIWCが飛行監視要員のために製造したCal.52 T.S.C搭載パイロットウォッチにルーツを持っており、ボリューミーなケースやオニオンシェイプのリューズが特徴的です。1940年当時、とにかく視認性の高いパイロットウォッチとしてリリースされたため、懐中時計用ムーブメントであったCal.52 T.S.Cが搭載されたことが語り草です。
※1940年製 IWC Cal.52 T.S.C搭載パイロットウォッチ(画像出典:https://www.iwc.com/ja/watches-and-wonders/big-pilots-watch-43.html)
こういった背景を持つためか、従来のビッグパイロットウォッチはその名の通り「ビッグ」。パイロットグローブを着用したままでも操作しやすいオニオンシェイプリューズは言わずもがな。ケースサイズもこれまで46mm及び48mm,さらには55mmなどがリリースされてきました(現行は後述する43mmと、46mm台)。
しかしながら2021年に扱いやすい43mmサイズが登場。さらにケース厚も13mm台という薄型であったことから、ビジネスユースとしてもうってつけのパイロットウォッチとしてファンを増やしていくこととなります。
そして2022年新作モデルのセラミック製「ビッグパイロットウォッチ トップガン」でもこの上品なケースはそのまま、セラミック製によってツール感の強い仕上がりを見せています。
出典:https://www.iwc.com/jp/ja/specials/new-watches.html
差し色としてつかわれたTOPGUNの赤いロゴが、どこかレーシーな印象をも演出していますね。針・インデックスには夜光塗料があしらわれているため、暗所での視認性も確保しています。
もっとも当新作では若干サイズアップし、直径は43.8mmです。ただし厚みは13.9mmで、軟鉄製インナーケースを搭載したIWCのパイロットウォッチとしては薄型です。一般的に薄型モデルは万人にとって着用感に優れていると言われており、取り回しやすいパイロットウォッチとも言えますね。なお、裏蓋はチタン製となっております。
出典:https://www.iwc.com/jp/ja/specials/new-watches.html
搭載するムーブメントは、他のビッグパイロットウォッチ 43mmに使われてきたCal.82100。ただし当新作はトップガンのロゴを備えることもあり、チタン製ソリッドバックとなっていることは前述の通りです。
Cal.82100はIWCのお家芸であるペラトン式が採用されており、高効率な巻き上げをユーザーに提供しています。なおパワーリザーブは約60時間です。
※ペラトン式…IWC独自の自動巻き機構で、非常に高効率な両方向巻き上げが可能。1950年、自動巻き腕時計の巻き上げ効率に各社が尽力する中IWCから発明され、今なおIWCでは用いている。伝説の時計師アルバート・ペラトン氏からその名をちなみます。
ストラップにはEasX-CHANGEシステムがやはり搭載されているため、工具なしに簡単に脱着できるのも実用性が考えられていますね。
国内定価は1,309,000円。2022年4月から販売開始が予定されているとのことです。
まとめ
IWCが打ち出した、2022年新作モデルをご紹介いたしました!
本稿でも言及しているように、IWCは古くから新素材に果敢に挑んていったブランドです。そんなIWCの、革新的な歴史をも感じられる新作だったのではないでしょうか。
近年では自社開発ムーブメントにも尽力しているIWC。2022年も、動向を追っていきたいと思います!
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年