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速報!2023年ロジェ・デュブイ新作モデルを発表!by Watches & Wonders Geneve
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出典:https://www.watchesandwonders.com/en/geneva-2023/brands/roger-dubuis/hyper-watches_/monovortex-split-seconds-chronograph
高度な時計製造技術持ち、1995年創業という新しさでありながら、世界を驚嘆させるインパクトをもつ銘品を送り出してきたロジェデュブイ。
Watches & Wonders Geneve2023でも、一度見たら忘れられない強烈なタイムピースを仕掛けてきました。
ロジェデュブイは少量生産、腕時計上級者の御用達ブランドとして知られ、名だたる著名人・芸能人にも愛されているメゾンです。逸品ぞろいですが、数が出回らないため「腕時計を知り尽くし、最後にたどりつく」雲上メゾンとしての地位も獲得しています。
高い技術力と斬新なセンスで圧倒的存在感を放つロジェデュブイの2023年新作は、まさに「赤い旋風」。
見る人を驚異のパワーで赤い渦に惹きこむユニークピースを、たっぷりご紹介します。
目次
2023年ロジェデュブイ新作①モノボルテックス スプリットセコンド クロノグラフ
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モノボルテックス スプリットセコンド クロノグラフは、2023年にロジェデュブイが放った、赤い旋風です。
ボルテックス、とは「渦巻」を意味する言葉で、実際に腕時計にはあちこちに視点を翻弄するような仕掛けが詰め込まれています。
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まず、12時位置から見てみましょう。
第一の「渦巻」が存在します。
柱の上に赤い龍が巻いているようなこの機構は、ターボローター円筒振動錘です。
一般的なローターは回転運動や振り子運動で主ぜんまいを巻き上げます。
ターボローター円筒振動錘は、重力を利用して軸上で回転するローターが、主ぜんまいを巻き上げる円筒形のローターです。
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3時位置には、赤い数字が渦を巻くようにセッティングされています。
この機構は回転式ミニッツカウンターと呼ばれるもので、クロノグラフの分を表します。
ダイヤルのより外側に位置する0-3-6-9の数字は120度の弧を描いて固定され、ダイヤルのより内側に位置する0-1-2は回転運動をします。
この機構はクロノグラフの分を表示します。
0-3-6-9は1の位を表し、0-1-2は10の位を表します。
0-1-2が回転しながら10の位を示しつつ、1の位を指して29秒までを表示するのです。
6時位置にはパワーリザーブと書かれた目盛りがあり、よく見るとその下は香箱になっていて、主ぜんまいがあとどれくらい残っているのかがわかるようになっています。
これもまた、渦を巻く機構のひとつですね。
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9時位置には、浮いているように見えるフライングトゥールビヨンが存在します。ななめに取り付けられているため、ピースの中で浮遊して回転しているように見えますね。
コニカル モノボルテックストゥールビヨンと呼ばれる、60秒で360°回転するトゥールビヨンで、装着者の姿勢のいかんに関わらず、時計の精度を守る複雑機構です。
フライングトゥールビヨンもくるくると回り続け、ひげぜんまいの華麗な渦を作り続けます。
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さらに、ピンクゴールドのベゼルにレッドのリング、浮いて見えるように工夫されたフローティングタキメーターなど、いくつもの輪が渦を巻くようにダイヤルを取り巻いています。
タキメーターをよく見ると、赤い文字の「88」が強調されています。実は創業者であるロジェ・デュブイ氏にとって、8はラッキーナンバーだったそうですよ。
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モノボルテックス スプリットセコンド クロノグラフに閉じ込められたいくつもの「渦」をご紹介したところで、名前にある「スプリットセコンド」をご紹介しましょう。
スプリットセコンドクロノグラフとは、2本の針で2つの計測時間を表示する機構です。フランス語ではラトラパンテと呼ばれており、非常に繊細で難易度が高い機構のひとつです。
クロノグラフ秒針とスプリット秒針が同軸に取り付けられており、ストップウォッチをスタートさせると、秒針が2本重なって計測をスタートします。備えられたスプリットボタンを押すとスプリット秒針のみが止まり、2つのラップタイムがより正確に計測できます。
スプリットセコンドクロノグラフを備えたモノボルテックス スプリットセコンド クロノグラフは、ダブルコラムホイールシステムで、精緻な機構を正確かつ繊細に制御しています。
2本存在するクロノグラフ針は、一方が白、一方が赤に塗分けられています。
なお、これまでご紹介した複雑機構の数々は、シースルーバックからも見ることができますよ。
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また、モノボルテックス スプリットセコンド クロノグラフの赤い色も、特筆すべきポイントです。
火山の火口を思わせるような情熱的な「赤」の部分は、ロジェデュブイが独自開発したハイパーテックMCF(ミネラル複合繊維)というシリカ素材でできています。カーボンより13%、セラミックより60%も軽くて丈夫なこの素材は、赤く発色させることが非常に難しいという欠点がありました。
その欠点を克服し、見事に「赤」を表現させたことも、2023年の目玉でしょう。
真っ赤なハイパーテックMCFとピンクゴールドを合わせたボディに、ブラックとグレーのコーティングを施したチタンやカーボンを合わせており、素材も複雑です。
ストラップもバイマテリアルで、いつ見ても新鮮さを失わない、センスとアイデアが渦巻くユニークピースです。
スペック
外装
ケースサイズ: | 直径47mm |
素材: | ハイパーテックMCF(ミネラル複合繊維) |
文字盤: | スケルトン(シースルーバック) |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.RD114 |
パワーリザーブ: | – |
機能
防水: | 10気圧 |
定価: | – |
まとめ
ロジェデュブイの新作は、脳裏に焼き付いて離れない、圧倒的センスのかたまりです。
特に今年は鮮烈な「赤」とユニークな「渦」で、私たちの視線を独占しました。
1995年から驚異の技術力でユニークピースを世に送り出し続けているロジェデュブイは、今後ますます目が離せないメゾンのひとつです。
当記事の監修者
田所 孝允(たどころ たかまさ)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 営業物流部長/p>
1979年生まれ 神奈川県出身
ヒコみづのジュエリーカレッジ ウォッチメーカーコース卒業後、かねてより興味のあったアンティークウォッチの世界へ進む。 接客販売や広報などを経験した後に店長を務める。GINZA RASIN入社後は仕入れ・買取・商品管理などの業務に従事する。 未だにアンティークウォッチの査定が来るとついついときめいてしまうのは、アンティーク好きの性分か。
時計業界歴18年。