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速報!2022年ヴァシュロンコンスタンタン新作モデルを発表!by Watches & Wonders Geneve
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出典:https://www.vacheron-constantin.com/jp/ja/home.html
パテックフィリップ、オーデマピゲと肩を並べる世界三大メゾンの一角、ヴァシュロンコンスタンタンの2022年の新作をご紹介します。
メゾンが掲げた2022年のテーマは「The Anatomy of Beauty(美の構造)」。
ひと目見て際立つ美しさだけでなく、メカニズムの美しさ、そして堅牢なケースに封じ込められ、人の目に触れることのない部分の手仕事まで、美は追及されています。
それではさっそく、発表と同時に世界を沸かせた新作たちを見ていきましょう。
目次
2022年ヴァシュロンコンスタンタン新作①ヒストリーク 222
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スペック
外装
ケースサイズ: | 直径37mm×厚さ7.95mm |
素材: | イエローゴールド |
文字盤: | ゴールド |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.2455/2 |
パワーリザーブ: | 約40時間 |
機能
防水: | 50m |
定価: | 7,436,000円 |
2022年のWatches & Wonders Geneveで注目の1本となったヴァシュロンコンスタンタンの新作、それは1970年代に人々を熱狂させたRef.222の復刻です。
1970年代はブレスレットと一体型のスポーツウォッチが多く誕生した時期で、同時期のヒット作にオーデマピゲのロイヤルオークやパテックフィリップのノーチラスが挙げられます。
※上記画像は、オリジナルのRef.222コレクション
ヴァシュロンコンスタンタンの222は弱冠24歳の鬼才ヨルグ・イゼックによってデザインされ、今に至るまでファンを持つブレスレット一体型スポーツウォッチとなりました。コレクターも多く、アンティークウォッチとなった現在も高値で取引されています。
もはや崇拝の対象とすら言えるほどの伝説的名機222が、2022年の新作として帰ってきました。
ヴァシュロンコンスタンタンヒストリーク222は、イエローゴールド製です。
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オリジナルとそっくりなバトン針に塗布されたスーパールミノバは、オリジナルのトリチウム発光のカラーに合わせグリーンに近いカラーに仕上げられました。
六角形のコマを中心に置くリンク一体ブレスレット、刻みの入った同色のベゼル、ケースの右端に彫り込まれたマルタ十字の紋章など、多くの部分が踏襲されています。
大きく変化したのはムーブメントです。
オリジナル222に搭載されたムーブメントは、当時ノーチラスなどにも採用されたジャガールクルト製の超薄型ムーブメント、Cal.920をベースにしたCal.1120、Cal.1121です。
新たなヒストリーク222には、ヴァシュロンコンスタンタンのマニュファクチュールムーブメント、Cal. 2455/2が採用されました。
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オリジナルのCal.1120は2.45mmという超薄型ムーブメントですが、マニュファクチュールムーブメントCal. 2455/2 は3.6mmと1.15mm厚みが増しています。一方、オリジナル222のケース厚は7.5mm、新作ヒストリーク222のケース厚は7.95mm。ムーブメントの厚みが1.15mm増したにも関わらず、ケース厚自体は0.45mmしかアップしていません。
実はオリジナルのムーブメントCal.1120は、ヴァシュロンコンスタンタンでまだ使用されている現役ムーブメントです。それでもヴァシュロンコンスタンタンが採用した新たなマニュファクチュールムーブメントは、バックスケルトンから見ることができます。
誇らしくイエローゴールド製ローターに彫られた222の文字、ジュネーブシール、Au750(18K)などの刻印が見られます。
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横から見ると驚くほど薄く、スポーツウォッチとは思えない優美さで、メゾンでは「スポーツとラグジュアリーが交差する十字路」とこのタイムピースを表現しています。
コレクターたちから賛美され続けた名機が、新たな輝きをまとってよみがえりました。
2022年ヴァシュロンコンスタンタン新作②オーヴァーシーズ トゥールビヨン スケルトン
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スペック
外装
ケースサイズ: | 直径42.5mm×厚さ10.39mm |
素材: | ピンクゴールド/チタン |
文字盤: | スケルトン |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.2160SQ |
パワーリザーブ: | 約80時間 |
機能
防水: | 50m |
定価: | 要問合せ |
2022の新作では、スケルトン仕様のオーバーシーズが2種ローンチされました
「旅・冒険」のスピリットがテーマになっているオーバーシーズは、スポーツウォッチでありながらもきわめてエレガントであることが大きな特徴であり魅力。薄型時計で知られるヴァシュロンコンスタンタンの名に恥じないフォルムと言えるでしょう。
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今回はオーヴァーシーズ・スケルトンに、トゥールビヨンモデルが登場しました。
NAC処理をほどこした5.65mmの極薄のスケルトンムーブメントは、マニュファクチュールムーブメントCal.2160を再設計した特殊なものです。マルタ十字を模した22K製ペリフェラルローターは、バックスケルトンから見ることができます。
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カラーは2種類で、史上初となるオールチタン製が登場したことも特筆すべきでしょう。
いずれのモデルにもラバーベルト・カーフ製ベルトが付属しています。インターチェンジャブル・ストラップおよびクラスプで気軽に交換できますので、様々な顔立ちを楽しめるのも嬉しいところですね。
2022年ヴァシュロンコンスタンタン新作③オーヴァーシーズ エクストラフラット パーペチュアルカレンダー スケルトン
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スペック
外装
ケースサイズ: | 直径41.5mm×厚さ8.1mm |
素材: | ピンクゴールド |
文字盤: | スケルトン |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.1120 QPSQ/1 |
パワーリザーブ: | 約40時間 |
機能
防水: | 5気圧防水 |
定価: | 要問合せ |
2016年に登場し、薄さへの挑戦と話題になったオーヴァーシーズ・エクストラフラット・パーペチュアルカレンダーからは、ピンクゴールド&ブルーダイヤルモデルが登場しました。
曜日表示、月表示、手組み活字のカレンダー、ムーンフェイズ表示と4つのインダイヤルを備えるパーペチュアルカレンダーです。閏年を含む48ヶ月表示で、2100年まで調整の必要はありません。
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ブルーに金の月と星を配したムーンフェイズディスクは、下半分が半透明の雲で隠れています。
極薄への挑戦が、スケルトン文字盤からぎっしりと垣間見える、緻密な機械をこよなく愛する(私のような)マニア垂涎の機械美を追求したモデルです。
2022年ヴァシュロンコンスタンタン新作④トラディショナル パーペチュアルカレンダー クロノグラフ
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スペック
外装
ケースサイズ: | 直径43mm×厚さ12.94mm |
素材: | プラチナ |
文字盤: | サーモンピンク |
ムーブメント
駆動方式: | 手巻き |
ムーブメント: | Cal.1142QP |
パワーリザーブ: | 約48時間 |
機能
防水: | 50m |
定価: | 要問合せ |
落ち着いたサーモンオレンジの文字盤とブルースチール針のコントラストがひときわ鮮烈に目を引く、トラディショナル・パーペチュアルカレンダー・クロノグラフ。
コラムホイール・クロノグラフと2100年まで調整する必要がないパーペチュアルカレンダーを搭載した複雑機構ウォッチで、外周に刻まれたタキメーターがどこかレーシーでもあります。
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Pt950プラチナ製ケースに合わせたのは、この数年各ブランドで打ち出している鮮やかな色彩に劣らない、サーモンカラーでした。
時分針・スモールセコンドの針はシルバー、クロノグラフ針・30分積算計、日付表示はブルースチール針と、針の色を分けているところも注意深く見ておきたいこだわりです。
ポインターデイト表示に囲まれたミニダイヤルはムーンフェイズになっており、プラチナ製のムーンフェイズディスクがはめ込まれています。
表情の違う月が2つあるムーンフェイズで、にこやかな貌と物憂げな貌の月が入れ替わるユニークな仕掛けです。
艶消しされた空に星も輝く細かな仕事は、世界屈指の工房を抱えるメゾンならでは。
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細かな仕事では、12時のインデックス直下にあるメゾンの象徴マルタ十字も見事です。
ピンクゴールド製の立体的なファセットで、十字を構成する1葉がそれぞれ片面にポリッシュ、もう片面にサンドブラスト仕上げを施し、同系色の文字盤で存在感を放ちます。
搭載しているコラムホイールクロノグラフムーブメントのCal.1142QPは、1940年代に初めて作成されたマニュファクチュールの名機です。
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改良に改良を重ねて今も高い評価を受け続け、今回も新作に搭載されました。
段差を付けたケースやレールウェイミニッツトラックなどが、トラディショナルなメゾンの美意識を感じさせます。
同時にムーンフェイズを含む3つのインダイヤルに施された縁の傾斜や、配置も完璧に計算されており、視認性も抜群です。
2022年ヴァシュロンコンスタンタン新作⑤トラディショナル エクストラフラット パーペチュアルカレンダー
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スペック
外装
ケースサイズ: | 直径36.5mm×厚さ8.43mm |
素材: | ホワイトゴールド/ピンクゴールド |
文字盤: | ブルーシェル/ホワイトシェル |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.1120QP |
パワーリザーブ: | 約40時間 |
機能
防水: | 3気圧 |
定価: | 要問合せ |
トラディショナル・エクストラフラット・パーペチュアルカレンダーは、クラシカルなレディース用ムーンフェイズウォッチです。
ブルーとピンクの2パターンあり、それぞれ文字盤には光を受けて色を変えるシェルを使用しています。
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4.05mmという極薄のマニュファクチュールムーブメントCal.1120QPを使用することで、女性の腕にフィットする仕上がりになりました。
オパーリン仕上げのムーンフェイズディスクを備え、3つのインダイヤルを持ちますが、美しさを損ねることはありません。
ムーンフェイズディスクはホワイト文字盤にはスモーキーなピンク、ブルー文字盤には少し濃い空色が使用され、それぞれ金銀の月が月日を刻みます。
ドルフィン針とバーインデックスもトラディショナルで、シェルの輝きを際立たせるようです。
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段差をつけた細いケース縁とラグには77個ものラウンドカットダイヤモンドをセットし、リューズにもダイヤモンドをあしらっています。
コレクション初のインターチェンジャブルシステムを搭載した、知性的でアグレッシブな大人の女性に贈りたい逸品です。
2022年ヴァシュロンコンスタンタン新作⑥パトリモニー オートマティック グラデーション
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スペック
外装
ケースサイズ: | 直径36.5mm×厚さ8.45mm |
素材: | ピンクゴールド/ホワイトゴールド |
文字盤: | ピンク/ブルー |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.2450Q6/3 |
パワーリザーブ: | 約40時間 |
機能
防水: | 3気圧 |
定価: | 3,322,000円/ 4,180,000円(ダイヤモンドセッティングモデル) |
レディースウォッチ、パトリモニーオートマティックは、グラデーション文字盤の美しさに目を奪われるレディースモデルです。
1957年に発表された歴史的モデルを継承し、超薄型のスタイルが優しく軽やかに女性の腕を彩ります。
文字盤のミニマルさゆえに際立つグラデーションは、なんともエレガント。
文字盤にはわずかに盛り上がりをつけており、リーフ針にも文字盤に合わせたカーブをほんのわずかつけることで、光の揺らぎをもデザインに収めました。
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超薄型ですが、毎時2万8800振動を誇る高振動ムーブメントを搭載しています。
マルタ十字を模した22金ゴールド製のオープンワークローターが、バックスケルトンから眺められます。
ストラップにはインターチェンジャブルシステムを採用し、簡単に着脱可能です。
文字盤はピンクグラデーションとブルーグラデーションから選ぶことができ、フェミニンとクール2つの対照的なイメージに魅せられます。
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またベゼルにダイヤモンドセッティングがあるタイプも選べます。
ベゼルにダイヤがセッティングされていないタイプには、文字盤に極小のダイヤモンド48個がセットされたミニッツトラックが施されています。
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ベゼルに72個のダイヤモンドがセットされたタイプは、ピンクにはゴールド、ブルーにはシルバーのサーキュラーグレインが施されたミニッツトラックを施しました。
2022年ヴァシュロンコンスタンタン新作⑦レ・キャビノティエ ミニッツリピーター トゥールビヨン スプリットセコンド・モノプッシャー・クロノグラフ
出典:https://www.vacheron-constantin.com/jp/ja/home.html
スペック
外装
ケースサイズ: | 直径45mm×厚さ16.4mm |
素材: | ピンクゴールド |
文字盤: | グレー |
ムーブメント
駆動方式: | 手巻き |
ムーブメント: | Cal.2757 |
パワーリザーブ: | 約60時間(クロノグラフ作動時は50時間) |
機能
防水: | – |
定価: | 要問合せ |
ヴァシュロンコンスタンタンの技術者が、もてる技巧の粋を極めて創りあげる、芸術の域ともいわれるシリーズ、レ・キャビノティエ。
メゾンのキャビノティエ部門には世界最高峰の各種職人たちが揃い、今年も驚くべき腕時計を打ち出しました。ミニッツリピーターとトゥールビヨン、クロノグラフを搭載するグランドコンプリケーションウォッチです。
シンプルに見えるチャコールグレーの文字盤には、9時位置に時分計、6時位置にスモールセコンド、1時位置にクロノグラフミニッツカウンター(30分積算計)が置かれます。
ケースの左側にはミニッツリピーター用のゴングと連動したスライドレバーを設置。
新しく開発されたマニュファクチュールムーブメントのCal.2757に加え、軽量化とエネルギー削減のため、スプリットセコンド針はアルミニウムを採用しました。
出典:https://www.instagram.com/vacheronconstantin/
部品点数698個で構成される複雑機構のムーブメントは、チタン・放電加工されたニッケル-リン製歯車を使用し、歯車同士の抵抗を減らしています。
制作における手作業の2/3は、ムーブメントの仕上げにかかるそうです。
ちなみにトゥールビヨンはケースバックから歯車の向こうに見え、「TOURBILLON」と記されています。
2022年ヴァシュロンコンスタンタン新作⑧レ・キャビノティエ – レ・ロワイヨーム アクアティーク
ヴァシュロンコンスタンタンのクリエイターたちが、毎年テーマを掲げて腕をふるうレ・キャビノティエのコレクション、今年は海の王国(レ・ロワイヨーム アクアティーク)がテーマです。
壮大な神話とクリーチャー、生命うずまく深海……宇宙同様に謎に満ちた海の世界を、卓越した唯一無二の職人技で形にしました。
レ・キャビノティエ ミニットリピーター・トゥールビヨン – フライングダッチマン
フライングダッチマンは、世界でもっとも有名な「さまよえるオランダの幽霊船」です。
グリザイユ(モノクローム画法)で幽霊船を表現、エナメルの細密画法で描かれた不気味に荒れる嵐の海を突き進んでいきます。
ベゼルには渦巻くように切り込みが入れられており、さまよえる幽霊船の終わらない旅を表しているかのようです。
2ヵ月に渡って何度も焼成を重ね、創り出された一幅の絵画そのままのトゥールビヨンです。
搭載するムーブメントはCal.2755 TMRとなっております。
レ・キャビノティエ グリザイユ – タートル
一切の色彩を使用せず、明暗法を用いて描かれた深海の世界とウミガメの情景です。
モノクロームで描かれた光と影の世界はミステリアスで、見る者を惹きこむ魔力をもっているかのよう。
ミニチュアペイントとグリザイユという特殊なエナメル技法で描かれました。
ケースバックはオフィサータイプのハンターケース仕様になっており、開くと内部機構を見ることができます。
搭載するムーブメントはCal.2460 SCとなっております。
レ・キャビノティエ トゥールビヨン ジュエリー – シーホース
青い海と赤いタツノオトシゴが、ギョーシェ装飾やエングレービング、エナメル装飾で描かれた、レリーフのような作品です。
極めて薄いマニュファクチュールトゥールビヨンムーブメントを使用し、ベゼルには穏やかなグラデーションを見せて敷き詰められたバゲットサファイアが輝きます。
搭載するムーブメントはCal.2160となっております。
まとめ
美しさへの探求、薄さへの挑戦、そして宇宙工学にも劣らないメカニックと、飽くなき進化を続けるメゾン、ヴァシュロンコンスタンタン。
創業1755年は、日本がまだ江戸時代中期の頃です。
時計、腕時計の歴史とともに歩み続け、そして今なお時代の舳先に立つメゾンの新作は、今年も世界中のファンを魅了してやまないものでした。
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年