「ロレックスのアイボリーダイヤルって何?」
「デイトナ 116520 アイボリーダイヤルについて知りたい」
ロレックス愛好家には特別な存在として語られるデイトナ 116520。
デイトナ 116520は製造年の長さゆえ、ロレックスの数あるモデルの中でも非常にきめ細かく仕様が分類され、体系化されています。
仕様の違いによって価値が数十万円単位で異なることもあり、これから購入をご検討中の方にとっては知っておきたいトピックの一つでしょう。
その仕様の中でも初期製造分の一部にのみ見られるレア個体、アイボリー(クリーム)ダイアルについて知りたいという人は多いのではないでしょうか。
アイボリーダイヤルは、デイトナの中でも非常にレア度が高い仕様ですが、マークIダイアルとしても注目を集めています。
この記事ではデイトナ 116520 アイボリーダイヤルについて、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
仕様に見られる初期個体の見分け方についても解説しますので、デイトナに興味がある人はぜひ参考にしてください。
※掲載する情報は2021年7月現在のものとなります。
※今後のエイジングや資産価値をお約束する記事ではありません。参考程度にお読みください
目次
ロレックス デイトナ 116520について
まず始めに、アイボリー文字盤(クリームダイアル)個体が確認でききる、デイトナ 116520について簡単に解説いたします。
ロレックス デイトナ 116520
型番:116520
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径40mm
ムーブメント:自動巻きCal.4130
パワーリザーブ:約70時間
防水性:100m
製造年:2000年~2016年
概要
1963年に完成したと言われているデイトナの、第五世代にあたるモデルが116520です。2000年~2016年の期間に製造されました。
オイスターケースにオイスターブレスレット,ねじ込み式リューズにプッシャーとクロノグラフ初の防水モデルとしての経歴もあるデイトナのDNAはそのままに、メタル製ベゼルに直接印字されたタキメーターメモリやメタリック調のインダイアルが、「クロノグラフの王者」としての貫禄をいかんなく発揮しています。
また、デイトナは1988年までの手巻きクロノグラフムーブメントをバルジュー社製Cal.72,1988年~2000年までの自動巻き16520はゼニス社製エルプリメロCal.400をベースにチューンアップした機械が載せられてきましたが、116520を以て完全マニュファクチュール化。ロレックス社製のクロノグラフムーブメントCal.4130が搭載されることとなりました。
なお、今でこそロレックス相場の高騰は凄まじく、スポーツモデルに至っては全てが定価超えのプレミアム価格となっております。しかしながらかつては「定価超え」は一部モデルに留まっていました。そんな中においても、デイトナだけはきわめて高い相場感を維持し続けてきた歴史があります。
とりわけデイトナ 116520は、ロレックス相場を牽引してきた立役者です。
2008年のリーマンショックを発端とする世界同時不況によってロレックス相場は一時大暴落したことがありましたが、わが国の経済状況が持ち直してきた2013年下半期頃から回復。以降、多少のアップダウンは繰り返されるものの定価を実勢相場が下回ることはほとんどありませんでした。
2016年に入ると現行デイトナ 116500LNが登場します。
これまでメタル製であったベゼルがセラクロム製となり、かつ文字盤意匠と併せて大幅にモダナイズ。ここからデイトナ人気に一気に火が付き、現在の供給を大きく凌ぐ圧倒的需要へと繋がっていくこととなりますが、これに釣られて116520もさらに相場急騰(製造期間が長かったため、先代16520や現行116500LNに比べれば「まだ落ち着いている」と言われたものですが)。
生産終了から日が経つにつれて上質なタマ数は少なくなっていることもあり、稀少性がいや増しています。
さらにデイトナ 116520は冒頭でも述べたように、製造期間が長いため随所でアップデートが加えられており、その仕様の分類は非常に多岐に渡ります。
基本的には高年式の個体がずば抜けた資産価値を有しています。また、2015年頃~の製造個体に見受けられる新型ポリッシュバックル(ダブルロック式バックルの中板が、従来の梨地仕上げからポリッシュ仕上げとなった仕様)に代表される個体は116520ではわずか1~2年ほどしか生産されなかったことから稀少性をも備えており、高値が付けられることとなります。
しかしながら、アイボリー(クリームダイアル)だけは、そういった数々の年式による仕様とは一線を画したレアリティ。
詳細は後述しますが、2000年~2004年頃にかけての初期製造個体で見受けられる仕様となり、この年代の個体の価格は状態にもよりますが200万円台~といったところでした。そこへきてアイボリーカラーに色づいた個体であれば、400万円超えが当たり前…
いったい、このアイボリーダイアル(クリームダイアル)のデイトナ 116520とは、どのような個体なのでしょうか。次項で詳細と、これから上手にエイジングするかもしれない個体の見分け方を解説致します。
デイトナ 116520 アイボリー(クリームダイアル)には見分け方があった!?「マークIダイアル」について
上記画像はいずれもデイトナ 116520 F番(2003年~2004年頃の製造)ですが、左側がアイボリーにエイジングした個体(クリームダイアル),右側がホワイト文字盤です。かなり異なりますよね。
アイボリー(クリームダイアル)のデイトナ 116520はもともとホワイト文字盤でしたが、経年によって全体が綺麗に黄色みがかったような色合いとなった個体を指しており、「アイボリー」「クリーム」の他、海外では「パンナダイアル(パンナ・・・イタリア語でクリーム)といった呼び名でも親しまれています。
もともとは通常のエイジングの一環として捉えられてきましたが、2000年~2004年頃までの製造個体(シリアルにするとP番・K番・Y番・F番)で散見されていることから、どうもアイボリー個体は通常のホワイト文字盤とは異なる塗料が文字盤に使われているようなのです。ロレックスは伝統的に秘密主義であるがゆえか、どのような塗料が使われているかは公開されておらず、私たちではわかりません。
しかしながら「ただのエイジングではなく、レア仕様」であることが判明してからは再評価され、一躍ロレックス屈指のレア仕様の一つとして数え上げられるようになりました。
とは言え経年での変化であることは間違いないようです。
であれば、今はまだホワイト文字盤の個体が、今後美しく黄色みを帯びていく可能性もあります。
もっとも、ただやみくもに116520のホワイト文字盤を購入するのはなかなか大変ですね。業者でも「塗料の違い」を見抜くことは非常に困難です。
一方で近年、デイトナ 116520の中でも、アイボリ―(クリームダイアル)に共通する仕様が発見されています。もちろん初期製造個体であることは言わずもがななのですが、その中でもアイボリーたりえる個体の文字盤を「マークI」と分類しており、したがって既に買いが集中して相場高騰の兆しが出始めています。
このマークIダイアルを有する個体は、今はまだホワイトカラーであっても、今後レア仕様へと変貌する可能性があります。
マークIダイアルとは?
上:アイボリー(クリームダイアル) / 下:ホワイトダイアル
デイトナ 116520のホワイト文字盤の中でも、アイボリーに変色してきた個体に共通している「マークIダイアル」の仕様は、下記の通りです。
- OYSTER PERPETUAL のRとPの間が狭い
- ミニッツサークルの27分と33分のメモリが長い
- その他、細い時分針および夜光ルミノバといった、初期製造個体としての共通項
とりわけ①と②を有した個体は、将来有望!
それぞれを解説すると、まず文字盤上部の印字について。
左:アイボリー(クリームダイアル) / 右:ホワイトダイアル
2行目のOYSTER PERPETUALの印字の間隔が、アイボリー文字盤は狭く通常個体の文字盤は広くなっています。具体的には、前者が1文字分程度のスペースが空いており、後者は2文字分程度となります。
ちなみに2011年頃からこの文字盤の書体が太くなりますが、それとは関係なく細めフォントでスペースが異なる、ということです。
また、ミニッツサークルについて。
※右側がアイボリー(クリームダイアル)のミニッツサークル仕様。青いラインで囲った部分の27分位置・33分位置が、長いラインで設計されていることがわかる
デイトナ 116520のミニッツサークル、アイボリー文字盤が確認できる個体では、27分位置・33分位置がやや長く設計されていることがわかります。ただし黒文字盤でもこの仕様は確認できており、こちらは発売当初~2005年頃まで、加えて2009年~2010年の製造個体で確認できています。
すなわち、このOYSTER PERPETUAL部分と、ミニッツサークル部分で上記の仕様が見られた文字盤が「マークIダイアル」となり、今はホワイト文字盤であったとしても、今後変色を楽しめる可能性があるということを示唆しています。
前述の通りこのマークIダイアルは既に相場がジワジワと上がっており、かつて「デイトナ 116520は黒文字盤に比べて白文字盤が入手しやすい」と言われていた常識が、覆させられようとしています。
なお、このマークIダイアルは上記二点に加えて、後の年式にはないディテールも備えているので、ぜひチェックしておきましょう.
左:アイボリー(クリームダイアル)・F番個体 / 右:ホワイトダイアル・最終品番のランダムシリアル個体
まず、長短針が後年のそれと比べると細くシャープにデザインされています。
これはアイボリーに限らず初期仕様で、2004年頃まで採用されました。夜光面積は後年と比べると狭く、一方で優しいクリームカラーにこの細いペンシル針が上品な印象です。
※ただしF番(2003年~2004年頃)には細い針・太い針が入り混じっているため、太針のアイボリー(クリームダイアル)も確認されています。
また、夜光はルミノバ。
こちらも2013年頃からクロマライト夜光に変遷したためアイボリーに限らない仕様とはなります。
もっともマークIダイアルのホワイト文字盤の全てがアイボリーに必ず変色すると言うわけではありません。
しかしながら、今後ポテンシャルを秘めており、エイジングに期待して買ってみるのも一興ではないでしょうか。
ちなみに、東京 銀座にロレックス専門館を構えるGINZA RASINの店長が、「今後アイボリーに色づくかもしれないマークIダイアル」をピックアップしました!
行く末はアイボリー(クリームダイアル)!?と予想しうるデイトナ 116520
ケースサイズ:直径40mm
素材:ステンレススティール
文字盤:ホワイト
こちらはホワイトカラーでありながらも、マークIダイアルを備えた116520です。先日、当店に入荷してまいりました。
先にもご紹介したように12時位置の文字盤ロゴのOYSTER PERPETUAL のRとPの間のスペースが一文字分ほどと狭く、またミニッツサークルは27・33分位置が長く設計されています。
価格は記事執筆現在、298万円となっております(順次変動しております。詳細はお問合せ下さい)。通常のホワイト文字盤個体もよりも、高い値付けがなされました。
もちろん今後のエイジングや、116520そのものの実勢相場がどうなるか予測することは誰にもできません。しかしながらまだまだロレックス需要は世界的にきわめて高く、相場は高値をキープし続けている状態です。
こういった情勢を鑑みて、デイトナ 116520は既に生産終了しており、またマークIダイアルは流通量に限りがあるので、欲しい方は早めに決断した方がいい、ということは間違いないでしょう。
まとめ
ロレックス デイトナ 116520の中でも、黄色みを帯びるようにエイジングされた文字盤仕様アイボリー(クリームダイアル)についてご紹介いたしました。
デイトナの中でも非常にレア度が高い仕様ですが、さらにマークIダイアルとしても注目を浴びており、今後ますます注目を浴びるポテンシャルは十二分です。
当店でも仕入れを積極的に行っておりますので、気になる方はぜひお問合せ下さい!
当記事の監修者
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年