「ロレックス エクスプローラー 224270と214270の違いについて知りたい」
「エクスプローラー 224270と214270、どちらを選んだら良い?」
Watches & Wonders Geneve 2023にて発表されたエクスプローラーの新作 224270。
2021年に発表された124270ではなく、同年に惜しまれつつも廃盤となった214270の後継機としてコレクションに加わったモデルです。
ロレックスはモデルチェンジの際、新旧でデザインを大きく変えないことが珍しくありませんが、
224270もしかり。長らく親しまれてきた214270のデザインを踏襲しています。
そんなロレックス エクスプローラー 224270と214270の違いについて知りたいという人は多いのではないでしょうか。
よく見ると両モデルには違いがあり、それぞれに個性があります。
この記事ではロレックス エクスプローラー 224270と214270の違いについて、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
実勢価格についても紹介していますので、ロレックスに興味がある人はぜひ参考にしてください。
目次
ロレックス2023年新作 エクスプローラー40 224270 スペック
ロレックス エクスプローラー40 224270
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:40mm
ムーブメント:Cal.3230
製造年:2023年~
定価:909,700円(税込)
ロレックス エクスプローラーI 214270
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:39mm
ムーブメント:Cal.3132
製造年:2010年~2021年
定価:687,500円(生産終了時)
冒頭でも述べた通り、みんな大好きエクスプローラーIのモデルチェンジは2021年に行われました。このモデルチェンジは、長年親しまれてきた39mmケースが36mmケースへとダウンサイジングされたこと。そして2015年以降にロレックスがプロフェッショナルモデルを中心に順次搭載してきた新型ムーブメントCal.3230へ載せ替えられたことがメインの刷新となります。
とは言え、エクスプローラーIらしいシンプルでベーシックなデザインや、過酷な探検―例えばエベレスト登頂―の相棒となれるような堅牢性は健在。また36mmケースは全く新しいエクスプローラーというわけではなく、誕生初期から続いてきたサイズ感ということ。さらに文字盤のEXPLOREの配置も往年のモデルに回帰したことから、伝統を維持しつつスペック面で進化を果たすという、ロレックスらいしモデルチェンジとなったと言えますね。
もっとも、モダンな40mm前後のケースサイズを好む方も少なくないでしょう。
出典:https://www.rolex.com/ja
2023年、124270と同様に新型ムーブメントCal.3230を搭載しつつ、ケース直径40mmへとアップサイジングを果たした224270がロレックスよりリリースされました。なお、これに伴いエクスプローラーIから「エクスプローラー36」「エクスプローラー40」へと、表記が変わっています。
124270同様、随所が改良されているであろう新型エクスプローラー40 224270の詳細と214270との違いを、実機を用いて解説していきます!
ロレックス2023年新作 エクスプローラー40 224270 と214270の違い
左:エクスプローラー40 224270 右:エクスプローラーI 214270
それでは実機を見ながらエクスプローラー 224270と214270の違いを解説いたします!
変化のポイントは外装、文字盤、ムーブメントと全域に及んでいますが、いずれも「さりげない」進化です。
逆に、変わっていない部分もあります(デザインやコンセプト以外で)。例えばブレスレットのコマ数(詳細は後述しますが、サイズは変わってます)や、ロレックスらしい堅牢かつ使い勝手の良いセーフティキャッチ付きのバックルが挙げられます。なお、バックル部分で約5mmの微調整が可能なイージーリンクも変わらず付属します。腕にフィットさせて装着感を高める微調整機能は、重量が出がちなスポーツウォッチの愛好家にとって嬉しいスペックですね。
もっとも重量も、214270が136g程度であったことに対して224270は142gほどと、ほとんど変わらないと言って良いでしょう。
外装・デザインの違い
左:エクスプローラー40 224270 右:エクスプローラーI 214270
224270と214270の大きな違いはケース直径が39mm⇒40mmとなったことですが、よくよく比較するとケースの各パーツもリファインされていることがわかります。
まず、これは近年の多くの新型ロレックスに言えることですが、ブレスレットのコマ幅が1mm程度広がったことでラグがシャープになっております。また、リューズが若干大きくなっているようです。エアキングなどと同じになったのかもしれませんね。
もっともケースサイドから見ると厚み含めて大きくは変わっておらず、仕上げもポリッシュを基調にツヤ消しとコンビネーションされた、お馴染みのスタイルです。
左:エクスプローラー40 224270 右:エクスプローラーI 214270
ケースサイズが変わったからといって、優れた装着感は変わらず。実際に5年間214270を愛用しているスタッフに224270を着用した感想を聞いたところ、「ほとんど変わらない。いつも通り腕に馴染んでくれる」とのことでした。しかしながら、リューズの大きさは真っ先に気づいたようで(しかも、その日は愛用の214270をメンテナンスに出していたため実物がなかったにもかかわらず)、意外と目立つ点かもしれませんね。
左:エクスプローラー40 224270 右:エクスプローラーI 214270
また、裏蓋側から見ると、ブレスレットのエンドピースが変更されていることがわかります。エンドピースの真ん中部分のみがラウンドしており、両サイドはフラットですね。
理由は装着感のためなのかデザイン的な改良なのかはわかりませんが、124270も224270と同様の変更がなされているところを見ると、ロレックスにとって「必要な進化」なのでしょう。
左:エクスプローラー40 224270 右:エクスプローラーI 214270
さらに前述の通り、ラグがシャープになったことに伴って、ブレスレットのコマ幅が1mm程度大きくなっています。
上の画像を見ると214270の方がブレスレットはシャープな印象ですね。厚みやコマ数およびブレスレットの最大内寸等は変わりませんが、幅が違うため互換性はないことがわかります。
文字盤の違いも顕著です。
左:エクスプローラー40 224270 右:エクスプローラーI 214270
214270は文字盤のEXPLOREのレターが、針のハカマを挟んで6時側に配置されていました。
しかしながら124270以降、かつてのエクスプローラーIで見られた12時側の配置へと変更。同時に、これまた近年のロレックスの傾向ですが、文字盤6時位置のSWISS MADEの間に王冠マークが登場しました。
付け加えると、アワーマーカーの外周トラックが若干細くなっているようにも感じられます。
ムーブメントの違い
最も「進化」としてわかりやすいのが、ムーブメントです。
214270がCal.3132であったことに対し、新型エクスプローラー40 224270は、エクスプローラー36やサブマリーナー ノンデイトなどと同じく、Cal.3230が搭載されることとなりました。
出典:https://www.rolex.com/ja
このCal.32系、実用時計の王者・ロレックスの最新世代というだけあり、同社の最先端テクノロジーを感じさせる逸品です。
大まかな特徴は下記の通りです。
・従来品より約15%高効率となったニッケル・リン合金製のクロナジーエスケープメント(脱進機)
・常磁性ブルーパラクロム・ヒゲゼンマイ
・独自の耐震装置パラフレックス ショック・アブソーバー
・切り替え車の一新による、巻き上げ効率の向上
もっともブルー パラクロム・ヒゲゼンマイとパラフレックス ショック・アブソーバーはCal.32系で初搭載されたというわけではありません。ともに2005年以降に導入され始めた、ロレックスの傑出した独自機構です。
それぞれを簡単に解説すると、ブルーパラクロム・ヒゲゼンマイは、ロレックスが2000年に開発したニオビウムとジルコニウムの独自合金を用いて、かつブルーに美しく着色したヒゲゼンマイです。非常に繊細で精度に大きな影響を及ぼすヒゲゼンマイですが、当素材を用いることで磁気や衝撃、そして温度変化などといった外乱の影響を抑え、安定した高精度を実現しています。
パラフレックス・ショックアブソーバーは独特の板バネを持つことで時計の心臓部を強い衝撃から守る耐震装置です。
性能自体も素晴らしいのですが、ヒゲゼンマイや耐震装置などといったムーブメントのパーツすら自社製造するロレックスのマニュファクチュールには恐れ入ります。
2015年以降のCal.32系では、このブルーパラクロム・ヒゲゼンマイとパラフレックス ショック・アブソーバーが標準装備となるのですが、エクスプローラーI 214270が搭載するCal.3132には既にこの二つのテクノロジーが備わっていたことがミソ。
と言うのも、2010年に214270へとリファレンスチェンジするまで、エクスプローラーIにはCal.3130が載せられてきました。Cal.3130はエクスプローラーIの他、サブマリーナー ノンデイトやオイスターパーペチュアル エアキングでも採用されています。このCal.3130にブルーパラクロム・ヒゲゼンマイとパラフレックス ショック・アブソーバーを搭載させたCal.3132をあえてエクスプローラーIに振ることで、エクスプローラーIはいっそう過酷な探検のお供といったイメージが強調されました。ちなみにエクスプローラーIIも、もともとはGMTマスターIIとムーブメントを同じくしていましたが、2011年発表の216570でパラフレックス ショック・アブソーバーを搭載させたCal.3187を採用しています。
さらに2023年(および2021年)発表のエクスプローラーでは、高効率なクロナジーエスケープメントによってエネルギーロスを低減。主ゼンマイを収める香箱の容量を拡大したことと併せて、高精度クロノメーター規格を維持しつつも、約70時間のパワーリザーブを実現しました。ちなみにCal.31系は約48時間でしたので、丸一日分も延長されていることがわかります。
Cal.3132も素晴らしいムーブメントですが、Cal.3230はいっそう現代的なスペックを獲得したと言えるでしょう。
目立った変化は見せず、しかしながら確実な進化を感じるのが、ロレックスのモデルチェンジの真髄ですね。
ロレックス2023年新作 エクスプローラー40 224270の定価と実勢相場
エクスプローラー40 224270の定価は909,700円(税込)です。2021年に発売された36mm 124270の定価が860,200円(税込)であることを考えると、少し高めの設定となっています(ちなみに214270の生産終了時の定価は687,500円)。
出典:https://www.rolex.com/ja
もっとも、定価での購入難易度が高いのがロレックス。
ロレックスは決して製造本数の少ないブランドではありませんが、この供給や流通を凌ぐ需要が世界的に高まり続けている現状があります。ここ数年は、ほとんど全てのプロフェッショナルモデルの品薄が加速しており、正規店を周ってもなかなか購入できないといった事態が見受けられるのです(ロレックスマラソンといった用語も出てくるほど)。
とりわけ「新作」として発表されたばかりで、流通しきっていないモデルは二次流通市場でもなかなか出回らず、結果として実勢相場が高騰。本稿でご紹介しているエクスプローラー40も、当店では未使用モデルを1,698,000円に値付けしました(2023年6月、記事執筆時点での価格であり、今後変わる可能性がございます)。
出回り始めたばかりであるため、ご祝儀相場も入っているでしょう。しかしながら近年はロレックス市場全体で相場が右肩上がりとなっていること。2021年に発表された36mmサイズの124270も、発売から約2年が経過しているにもかかわらず、中古であっても120万円台~と定価を大きく超えるプレミア価格となっていることを鑑みれば、「新しいサイズ」となる224270は、今後高値を続けていく可能性は高いと言えるでしょう。
ちなみに、エクスプローラー36にはイエローロレゾールモデルとなる124273が存在しますが、エクスプローラー40はステンレススティールモデルのみです。個人的にはモダンサイズのエクスプローラー40とゴールドの相性は良いと感じていますので、今後のラインナップ拡充に期待したいところです!
まとめ
ロレックスにおいて1位2位を争う人気を博してきたエクスプローラーI 214270。その後継機として発売された224270もまた、今後ロレックスの顔として君臨することになるでしょう。
初めてのロレックスとして。一生モノの一本として。
この機会に224270の購入を検討されてみてはいかがでしょうか?
当記事の監修者
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年