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速報!2021年ランゲ&ゾーネ新作モデルを発表!by Watches & Wonders Geneve
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出典:https://www.alange-soehne.com/ja/timepieces/little-lange-1-moon-phase/little-lange-1-moon-phase-182086
ドイツのマイスターたちが守り受け継いできたグラスヒュッテのウォッチメゾン、ランゲ&ゾーネ。
2021年も息を呑むような新作を発表し、世界中のファンたちを一瞬で魅了しました。
まだドイツにザクセン王国があった頃から、グラスヒュッテで世界最高峰の時計作りに挑み続けてきたランゲ&ゾーネは、一切の手間を惜しみません。
2021年のランゲ&ゾーネ新作を、さっそくご覧ください。
目次
ランゲ&ゾーネ2021年新作①ランゲ1・パーペチュアルカレンダー
出典:https://www.alange-soehne.com/ja/timepieces/lange-1-perpetual-calendar/lange-1-perpetual-calendar-345033
スペック
外装
型番: | 345.033 / 345.056 |
ケースサイズ: | 直径41.9mm×厚さ12.1mm |
素材: | 18Kピンクゴールド / 18Kホワイトゴールド |
文字盤: | グレー(無垢シルバー) / ピンクゴールド |
ムーブメント
ムーブメント: | Cal.L021.3 |
駆動方式: | 自動巻き |
パワーリザーブ: | 約50時間 |
機能
防水: | 30m |
発売予定: | 2021年6月~ |
予価: | 11,968,000円 / 13,288,000円 |
ランゲ1・パーペチュアルカレンダーは、2カラーバリエーションでリリースされました。
ランゲ1にパーペチュアルカレンダーを搭載した、コンプリケーション(複雑機構)モデルです。
ランゲ&ゾーネは、ドイツの東西分裂中に悲運の時期を過ごします。
しかしベルリンの壁が崩壊し、東西ドイツが統一されるとすぐに「ドイツ時計の最高峰ブランドの復活」を目指し、ランゲ&ゾーネは再建されました。
ランゲ&ゾーネは新たな工房から送り出すに相応しい、記念すべき腕時計を創り上げるため試行錯誤を繰り返します。
そして1994年、ランゲ&ゾーネにたずさわるすべての人々の悲願が成就する日がやってきました。ランゲ&ゾーネの復興コレクション第一号として、ランゲ1が披露されたのです。
ランゲ1はかつて全盛を極めたランゲ&ゾーネの技術と伝統を守り継ぎ、さらに新たなブランドのアイコンとなる腕時計を目指し、数年の歳月をかけて生み出されました。
ランゲ1は完璧なる伝説の名機として、今に語り継がれています。
そのスタイルは、今もほぼ変化してはいません。まさにアイコンとして君臨し続ける、ランゲ&ゾーネの顔となるタイムピースです。
出典:https://www.alange-soehne.com/ja/timepieces/lange-1-perpetual-calendar/lange-1-perpetual-calendar-345056
まずはドレスデンのゼンパー歌劇場(ゼンパー・オーパー)の5分時計をモチーフにした、大きなアウトサイズデイトが配置されました。
このデイト機能が特許を取得し、ランゲ&ゾーネのアイコンとなり、以降のモデルにも引き継がれていくことはご存じの通りです。
さらにオフセンターに配置された時分計、重なりを防いで視認性を高めたスモールセコンド、レトログラード式曜日表示を備えた黄金比の文字盤デザイン。
それらはすべての配置が完成し、無駄を排除した機能美の粋を極めています。
しかしマニュファクチュール、ランゲ&ゾーネの真髄はケース内のムーブメントにあるのです。
4分の3プレートや振り角を調整するチラネジテンプを継承したムーブメントは、2015年に大きく変化します。
アウトサイズデイトは24時になると瞬時に日付が進み、脱進機には自社製のフリースプラング式ヒゲゼンマイと偏心錘付きテンプを搭載したのです。
出典:https://www.alange-soehne.com/ja/timepieces/lange-1-perpetual-calendar/lange-1-perpetual-calendar-345033
そして2021年、ランゲ1・パーペチュアルカレンダーに搭載された新たなムーブメントCal. L021.3は、パーツ数が実に621個にも及びます。
3時位置に時分計、10時位置に一般的なデイト窓の3倍の大きさを持つアウトサイズデイトを置きました。
9時位置にレトログラード式曜日表示を配置し、7時位置にムーンフェイズを入れ込んでいます。
出典:https://www.alange-soehne.com/ja/timepieces/lange-1-perpetual-calendar/lange-1-perpetual-calendar-345033
ムーンフェイズは24時間周期のデイ&ナイト用ディスクと、29日12時間44分3秒周期のムーンフェイズ用月ディスクを2層にすることで表示されます。
そして全体のバランスを崩すことなく、月次リングを最外周にセットしました。
機構内部では、24時間で回転する歯車が日付表示を1つずつ進めます。もうひとつの歯車は毎日少しずつ進んでいくことで、月次リングを徐々に進めます。
そして月次リングが1年のしめくくりに差し掛かると、6時位置にあるうるう年付き月表示のポインターををひとつ進ませ、永久的にカレンダーを刻み続けるのです。
たった12.1mmの厚みの中に、風防、カレンダーモジュール、トゥールビヨン、ムーブメントのベース、そしてローターが組み込まれています。
無駄が一切なく、完璧に配置された美しい文字盤の内側に、究極ともいえる超複雑機構が詰め込まれているのです。
出典:https://www.alange-soehne.com
驚くべきは、ランゲ&ゾーネは一度組み立てたコンプリケーションを、ばらして最初から組み立て直す、2度組みを行ってから出荷しているということです。
持ち主でさえ知り得ない、腕時計の生涯で一度も人の目に触れない部品に至るまで完璧に仕上げるという、ランゲ&ゾーネの信念です。
モデルはピンクゴールドケースに無垢シルバー文字盤をはめ込み、明るめのブラウンレザーストラップを組ませた345.033(予価11,968,000円)。
ホワイトゴールドケースに無垢ピンクゴールド文字盤をはめ込み、ダークブラウンレザーストラップを組ませた345.056(予価13,288,000円)の2パターンになります。
ちなみにホワイトゴールドケース&ピンクゴールド文字盤の345.056は、製作数150本限定となります。
ランゲ&ゾーネ2021年新作②トリプルスプリット
出典:https://www.alange-soehne.com/ja/timepieces/triple-split/triple-split-424037
スペック
外装
型番: | 424.037 |
ケースサイズ: | 直径43.2mm×厚さ15.6mm |
素材: | 18Kピンクゴールド |
文字盤: | ブルー(無垢シルバー) |
ムーブメント
ムーブメント: | Cal.L132.1 |
駆動方式: | 手巻き |
パワーリザーブ: | 約55時間 |
機能
防水: | 30m |
発売予定: | 未定 |
予価: | 20,240,000円 |
2021年、2モデル目の新作はトリプルスプリットのピンクゴールド&ブルーカラーです。
トリプルスプリットとはクロノグラフの一種です。
クロノグラフ自体がすでに複雑機構ですが、トリプルスプリットは2本のクロノグラフ針を持つ特殊なクロノグラフ。
最長12時間まで2つの計測タイム(基準タイムとラップタイム)の比較ができます。
また途中何度もラップタイムを6分の1秒単位で計測できる、驚くべき超絶複雑機構のクロノグラフです。
4つものインダイアルを持ち、時分計も合わせるとなんと10本もの針が存在するクロノグラフで、最も複雑なクロノグラフ機構と呼んで差し支えないでしょう。
発表された2018年には巨大な模型が造られ、その複雑さが分かるように展示されたほどです。
ピンクゴールドのケースはバックスケルトン仕様になっており、複雑機構がありのまま観察できるようになっています。
もはや機械仕掛けの島、街、星を浮かばせることすら可能なのではないかと思うような、567もの歯車とパーツのせめぎ合いです。
出典:https://www.alange-soehne.com/ja/timepieces/triple-split/triple-split-424037
搭載されたCal.L132.1は、手巻きでローターが無い分奥の奥まで見通せますが、その分透明なクリスタルを突き抜けて吸い込まれそうな誘引性があります。
もちろんトリプルスプリットであっても、ランゲ&ゾーネでは2度組みを行っています。
2度組みなおすことで部品が正確にかみ合い作動することを確認し、すべてのパーツが美しく仕上げられているかの確認ができるからです。
バックスケルトンからの眺めに負けないほど、文字盤も機能美にあふれています。
出典:https://www.alange-soehne.com/ja/timepieces/triple-split/triple-split-424037
濃紺の文字盤にはやや下寄りにロディウムカラーのツーカウンターを配置し、12時位置と6時位置にも小ぶりのブルーサブダイヤルを組み込んでいます。
深みのあるブルーの文字盤とつやめくピンクゴールドの組み合わせは斬新ですが、非常に品よく収まりました。
10本もある針はそれぞれピンクゴールドとロディウムで色分けされ、特に2本のクロノグラフ針は金銀のコントラストが美しいものとなっています。
100本限定販売で予価は20,240,000円。最高のステイタスとなり、生涯を共にできるタイムピースです。
ランゲ&ゾーネ2021年新作③リトル・ランゲ1・ムーンフェイズ ホワイトゴールドモデル
出典:https://www.alange-soehne.com/ja/timepieces/little-lange-1-moon-phase/little-lange-1-moon-phase-182086
スペック
外装
型番: | 182.086 / 182.886 |
ケースサイズ: | 直径36.8mm×厚さ10mm |
素材: | ホワイトゴールド |
文字盤: | 無垢シルバー、ゴールドストーン、ブルー / ロディウム |
ムーブメント
ムーブメント: | Cal. L121.2 |
駆動方式: | 手巻き |
パワーリザーブ: | 約72時間 |
機能
防水: | 30m |
発売予定: | 未定 |
予価: | 5,357,000円 / 6,743,000円 |
遥かな紺青の夜空には無数に散りばめられた星、そしてその中を渡る月の船……。
「魅惑の月夜」をモチーフにした、ランゲ&ゾーネ2021年の新作、リトル・ランゲ1・ムーンフェイズ ホワイトゴールドです。
シンプルな印象が強いランゲ&ゾーネの文字盤ですが、2021年新作のリトル・ランゲ1・ムーンフェイズには星降る月夜が広がっています。
出典:https://www.alange-soehne.com/ja/timepieces/little-lange-1-moon-phase/little-lange-1-moon-phase-182086
2021年新作のリトル・ランゲ1・ムーンフェイズ ホワイトゴールドモデルの文字盤には、ブルーゴールドストーンという素材を採用しました。
ブルーゴールドストーンとは紫金石とも呼ばれる人工石素材で、無垢シルバー文字盤を覆っています。
ガラス質の表面に銅などの小さな浮遊物が入っており、光を受けてきらめきます。
インデックスは12・3・6・9のローマ数字と星が使用され、いずれもホワイトゴールドできらきら輝いています。
さらにムーンフェイズディスクにはホワイトゴールドの月のほか、なんと628個もの星が描かれているのです。
輝くガラス質のブルー文字盤と見え隠れするムーンフェイズは、『銀河鉄道の夜』に登場する黒曜石の星座盤のように、私たちを物語の世界へと誘います。
はるか昔、文明の火が灯され始めたころには、こんな星空がどこからでも見られたのかもしれませんね。
もちろん、ランゲ&ゾーネの腕時計の魅力が、文字盤の美しさだけということはあり得ません。
出典:https://www.alange-soehne.com/ja/timepieces/lange-1-moon-phase/little-lange-1-moon-phase-182886
当然搭載されているムーブメントも大変優れたものです。
手巻きのCal.L121.2は、2015年に登場したCal.L121.1をベースに、ムーンフェイズを搭載したものです。
Cal.L121.1はランゲ1の基本的なムーブメントであり、ムーンフェイズを搭載したCal.L121.2はスモールコンプリケーションの傑作と言えるでしょう。
Cal.L121.2に搭載されたムーンフェイズは、122.6年間調整不要という絶対的な精度を誇ります。
ケース裏はシースルーバック仕様になっており、ムーブメントに施された美しいコートドジュネーブ装飾が鑑賞できることもポイントです。
ムーブメントの文字盤側には、持ち主はまず見ることがありませんが、びっしりとペラルージュ模様が彫り込まれており、その完成度はもはや彫刻作品。
組み合わせられたダークブルーのレザーストラップも、滴るようなつややかさです。
さらに182.886はベゼルにブリリアンカットダイヤモンドを56粒、約1.2カラット分埋め込んだラグジュアリーモデルです。
さらなる輝きをお求めの方におすすめします。
亡き親友との旅路で「ほんとうの幸い」を探し続けたジョバンニ。ほんとうに大切な者を知り、責任を果たすために星へと帰る王子様。
星空が舞台の物語は、いつの時代も、どの国でもロマンにあふれ、そして私たちに忘れてはいけないことを思い出させてくれます。
星空と月が織りなすリトル・ランゲ1・ムーンフェイズもまた、私たちにとって大切な「時」について考えさせてくれる存在となることでしょう。
予価は182.086が5,357,000円、ダイヤモンドベゼルモデルが6,743,000円です。
まとめ
2021年のランゲ&ゾーネ新作は、ムーブメントの素晴らしさもさることながら、デザインも革新的なものとなりました。
特に本物の夜空のようにきらめくリトル・ランゲ1・ムーンフェイズ ホワイトゴールドは、星空を映す天窓を切り取ったかのような優美さです。
正確無比なムーンフェイズやトリプルスプリットなど、コンプリケーションの見事さもまた、歩みを止めないことを信条とするランゲ&ゾーネならではのものでした。
いずれも画像で見ただけでため息が零れるような逸品ぞろいです。早く実機を目に焼き付けたいものですね。
当記事の監修者
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。