「パテックフィリップ アクアノートって何がすごいの?」
「アクアノートの魅力について知りたい」
パテックフィリップの人気モデルといえば、カラトラバ、ノーチラス、そしてアクアノートを思い浮かべる方が多いでしょう。
中でも”スポーツ・エレガンス”をテーマに作られた「アクアノート」は他のモデルとは異なる独特の美しさと品格を持ちます。
アクアノートが発表されたのは約20年前。
パテックフィリップとしては比較的新しいコレクションになります。
生産数が少ないこともあり、どの時計店を覗いても在庫を抱えていないお店がほとんど。
時計ファンだけでなく時計業界関係者からの評価も非常に高いため、業者間で行われるオークションでは毎回高額での競り合いが続いています。
そんなアクアノートの魅力について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
アクアノートはパテックフィリップの中では、比較的カジュアルな印象をもつコレクションです。
この記事ではアクアノートの種類や各モデルの特長について、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
カラーバリエーションと派生モデルの紹介もしますので、パテックフィリップの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
3つの世代に分かれるパテックフィリップ アクアノート
アクアノートの登場は1997年。ノーチラスに次ぐ、パテックフィリップのスポーツモデルとして発表されました。
カラトラバの初登場が1932年、ノーチラスの初登場が1976年ですので、アクアノートはパテックフィリップの中ではかなり新しいコレクションです。
アクアノートのデザイン性は、”シンプルなカラトラバ”と”スポーティーなノーチラス”の中間をとった印象であり、エレガントでありながらも、どこか柔らかな印象を持ちます。
多角形のケースであることはノーチラスと同じですが、アクアノートの方が丸みを帯びており、文字盤の夜光アラビアインデックスもどことなく中性的なイメージを放ちます。
また、アクアノートという名に相応しく120mの防水性能も備えていますので、水回りでのご使用にも安心です。
続いてアクアノートの種類について説明します。
アクアノートは大きく分けて3世代に分かれており、初期モデル「5060」・第2世代モデル「5065」「5066」・現行モデル「5167」に分類されます。
左:初期モデル「5060」 中央:第2世代モデル「5065」 右:現行モデル「5167」
カラーバリエーションや派生モデルも存在しますが、アクアノートはこのうちのどれかのデザインが採用されており、それぞれ異なる特徴を持っています。
初期モデル パテックフィリップ アクアノート5060
パテックフィリップ アクアノート ミディアム 5060A-001
アクアノートの初期モデルとして、1997年に誕生したのが、この「5060」。
カラトラバやノーチラスと同じく、現代の流行からはやや小さい34mmというサイズで製作されました。
次項で説明する第2世代とデザインに殆ど違いはありませんが、”文字盤の凹凸した装飾の彫りが深い”という点が初期モデルの特徴になります。
また、この5060は1997-1998年の僅か1年間で製造終了した”超短命モデル”であり、現在では非常に稀少なモデルとして扱われています。
5060が廃盤になった理由
5060がすぐに廃盤になった理由には諸説ありますが、スケルトンバックでなかったことが理由ではないかという声が多いです。
5060の裏蓋はソリッドバックであり、パテックフィリップが誇る世界最高級のムーブメントを覗くことが出来なかったため、不満を持つ方も少なくありませんでした。
また、ラバーベルトのみのラインナップであり、ブレスレットモデルが存在していなかったことも不評だったといわれています。
その結果、1年後にはスケルトンバックを採用した第2世代が早くも登場することとなります。
第2世代モデル パテックフィリップ アクアノート 5065・5066
短命に終わった5060に変わり、1998年に登場したのが「5065」と「5066」。
大きな文字盤デザインの変更はありませんが、スケルトンバックの採用・ブレスレットモデルの展開といった初期モデルにはない特徴を盛り込みました。
【アクアノート ラージ 5065】
パテックフィリップ アクアノート ラージ 5065A-001
まずは、今尚高い人気を誇るアクアノート「5065」。
凹凸のある格子状の黒文字盤、独特なデザインの3連ブレスレット、緩やかなカーブを描いたオクタゴン型(八角形)のフォルムといった特徴は初期モデルの5060と同じです。
ただ、サイズ感は大きく異なり、34mmから38mmにサイズアップされています。
ケースバックはステンレスからスケルトンバックに変更
5065はパテックフィリップの極上ムーブメント”Cal.315/290″の動きを堪能できるようになりました。
また、初期モデルのCal.330SCからCal.315/290に変更が加えられたことにより、総合的なスペックも上がっています。
【アクアノート ミディアム 5066】
5066は5065のサイズ違いとなっており、初期モデル5060と同じ34mmというサイズで製造されています。
34mmと聞くと「小さな時計」というイメージがありますが、実際に装着してみると非常に上品に見えます。
細身~標準体型の人ならば、ミディアムサイズのアクアノートもオススメです。
もちろん5066のケースバックはスケルトン仕様となっています。
現行モデル パテックフィリップ アクアノート 5167
これまでに様々なモデルが発売されてきましたが、最も定番と呼べるモデルは「5167」です。
初期モデルから第2世代にかけては文字盤の変化は微々たるものでしたが、現行モデルにおいては大幅な変更が加えられています。
パテックフィリップ アクアノート エクストララージ 5167A-001
5167はアクアノートの第3世代モデルとして2007年に発売されたモデルです。
これまでのアクアノートと比較すると、文字盤の形状、色合い、インデックスなどを含め全体的に変更が加えられています。
現在はこの「5167」がアクアノートコレクションの中枢を担っています。
続いて変更点について解説していきます。
左:現行モデル5167 右:第2世代モデル 5065
まず、現行モデルである5167は第2世代の5065よりもケースサイズが大きいです。
5065は38mmケースが採用されていますが、5167は一回り大きいサイズの40mmケースが採用されています。
このサイズの違いからアクアノートは40mmモデル=エクストララージ、38mmモデル=ラージ、34mmモデル=ミディアムと呼ばれます。
左:現行モデル5167 右:第2世代モデル 5065
更に顕著なのは文字盤デザインの違い。第2世代と現行モデルの主な違いは以下の通りです。
・インデックスの大きさ、フチの有り無し
・凹凸のある格子のデザイン性、彫りの深さ
・目盛の長さ、広さ。
全体的にシャープな仕上がりとなっている5167に対し、5065は丸みのある少し可愛らしいデザインとなっています。
至る所が異なっているので、好みのデザインの方を選ぶのが良いでしょう。
左:現行モデル5167 右:第2世代モデル 5065
尚、5167は第2世代モデルと比較するとラバーベルトのデザインやバックルの形が違うことが分かります。
第2世代のラバーベルトは凹凸のある文字盤装飾と同じく、溝の深いデザインです。対して5167は溝の浅いデザインとなっています。
左:現行モデル5167 右:第2世代モデル 5065
バックルは現行モデル5167の方がスタイリッシュ且つ強固です。バックルに至っては明確に進化しているといって良いでしょう。
搭載ムーブメントはどちらも同じCal.324SCとなっています。
現行モデルの5167はケースサイズが40mmとなったことで、時計の存在感が強くなりました。しかし、サイズが大きくなったからといって、ビジネスシーンにおいて悪目立ちすることはありません。
寧ろ”美しい品格”はさらに増しています。
また、カジュアルシーンでの使用においても、これまで以上にシックリ似合うようになっています。
カラーバリエーションと派生モデルについて
最後に素材のバリエーションと派生モデルを紹介します。
現行アクアノートのバリエーションは「ローズゴールドモデル」が展開されており、ステンレスとは一味違った存在感を楽しむことができます。
基本的なデザイン性はステンレスモデルとなんら変わりません。
ローズゴールドは優美で主張しすぎないため、こちらのモデルを選ばれる方も多いです。
また初代モデルや第2世代にはイエローゴールドも存在します。
ケースだけでなく、インデックスや針のカラーリングもゴールド。
ブラック文字盤とゴールドのコントラストは非常に高い評価を得ています。
アクアノート トラベルタイム
トラベルタイム 5164A-001 / トラベルタイム 5164R-001
アクアノート トラベルタイムは2011年に発表された発表された5167の派生モデルです。
トラベルタイムはパテックフィリップが独自に開発した機構であり、簡易的に操作可能にしたGMT機能のことを指します。当初はカラトラバに採用されていた機構ですが、近年はノーチラス・アクアノートといったスポーツモデルに搭載することが多くなっています。
また、ポインターデイト・デイ&ナイト表示も搭載しており、抜群の実用性を誇ります。
複雑機構であるため、定価はステンレスモデルで4,125,600円。ローズゴールドモデルに至っては6,188,400円とかなり高額です。
レディースモデル アクアノート ルーチェ
アクアノートには「ルーチェ」というレディースモデルも存在します。
ルーチェはアクアノートをレディース用にサイズダウンさせたモデルです。
メンズモデルとは異なり、クォーツムーブメントを搭載していることが特徴です。
また、文字盤は第2世代のデザインが採用されています。
ルーチェのベゼルには46個のダイヤモンドが配されており、高貴な存在感を放ちます。
7.7mmのケース厚も相まって、非常にエレガントな印象です。
最高の強度と紫外線に対する抵抗力を誇るトロピカル・コンポジットバンドは、もちろんルーチェでも健在。
この素材は変色しやすいホワイトカラーモデルにおいて特に重宝されます。
近年のアクアノート ルーチェは大型傾向
アクアノート ルーチェは小さいサイズしかラインナップされていないと思われがちですが、5067Aシリーズは直径35.6mmで作られています。
現行モデルである5708R・5072Rも5067A同様35mmを超えるサイズで作られているため、現在発売されているルーチェは全てボーイズサイズ(男女兼用モデル)ということになります。
アクティブかつエレガンドに決めたい人は現行ルーチェを。控えめな上品さを重視する方は製造終了モデルのルーチェを検討してみるのがオススメです。
まとめ
アクアノートはパテックフィリップのコレクションの中では、比較的カジュアルな印象をもつモデルです。スタイリッシュになりすぎない為、様々なファッションに良く似合います。
資産価値も申し分なく、今後もアクアノートの価値は上がり続けていくことでしょう。
投資の対象としても、生涯のパートナーとしても最適なアクアノート。
是非、一度お手に取ってみてはいかがでしょうか?
当記事の監修者
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。
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