時計を計器と称し、高品質高精度の時計を手がけるブランド「ブライトリング」。
力強く、それでいて繊細を感じさせる時計作りは、ファンから大きな支持を集めています。
そんなブライトリングですが、リファレンスナンバー(型番)に法則性があるのをご存知でしょうか。
ブライトリングの型番は英数字の組み合わせによって作られていますが、実は「ベゼル・ケース素材」、「文字盤」などを表しており、読み方を理解することで個体を特定することができます。
今回はブライトリングの型番の法則をご紹介いたします!
目次
ブライトリングの型番法則
ブライトリングの商品詳細を確認した際、型番が2つあることに疑問を持ったことはありませんか?
ややこしいことに、ブライトリングの型番は2つ存在します。
一つは商品のリファレンスナンバーで、9桁の英数字で記載されているもの。もう一つは時計本体のケース裏に刻印されている6桁の英数字です。
正式なリファレンスナンバーは9桁の英数字の方で、こちらは保証書等にも記載されています。
この記事では、9桁のリファレンスナンバーと、通称簡易ナンバーと呼ばれる6桁の英数字の意味について解説いたします。
9桁リファレンスナンバーの型番法則
ブライトリングの型番は基本的に「A242B26NP(A24322)」のように数字とアルファベットで構成されており、これらの法則を見極めることで、型番からモデルの特徴を知ることができます。
型番法則 最初のアルファベット:ケース、ベゼルの素材
ブライトリングの型番の最初のアルファベットは「ケースやベゼルの素材」です。
1つのアルファベットによって、ケースやベゼル、素材の組み合わせを表します。
例えばステンレススティールとステンレスベゼルであれば「A」、チタンケース、チタンベゼルであれば「E」。
先頭のアルファベットを見るだけで、おおよその素材がわかります。
アルファベット | 素材 |
---|---|
A | ステンレススティール(SS) |
B | SS+18Kイエローゴールドライダータブ |
C | SS+18Kローズゴールドベゼル |
D | SS+18Kイエローゴールドベゼル |
E | チタン |
F | チタン+18Kイエローゴールドライダータブ |
H | ソリッドローズゴールド |
J | ソリッドホワイトゴールド |
K | ソリッドイエローゴールド |
L | プラチナ |
M | ブラックスティール |
P | SS+プラチナベゼル |
R | ソリッドレッドゴールド |
T | パラジウム |
V | ブラックチタン |
W | SS+タングステンカーバイドベゼル |
X | ブライトライトケース |
Y | SS+セラミックベゼル |
型番法則 2番目の数列:モデル名
2番目の数列では3桁の数字によってモデル名がわかるようになっています。
例えばクロノマット44には「011」というナンバーが割り振られており、モデルによって固有のナンバーが存在します。
オメガやロレックスのような一貫性がないので、少し覚えづらいかもしれません。
3桁目の数字 | モデル |
---|---|
011 | クロノマット44 |
131 | クロノマット38 |
014 | クロノマット41 |
015 | トランスオーシャン・クロノグラフ |
022 | ナビタイマー01 |
030 | ギャラクティック・ユニタイム |
033 | モンブリラン |
041 | クロノマットGMT |
050 | トランスオーシャン・クロノグラフ・ユニタイム |
156 | エボリューション |
170 | スーパーオーシャン・ヘリテージ42 |
173 | コルト・オートマチック |
177 | アベンジャーシーウルフ |
192 | スーパーオーシャンⅡ |
241 | クロノライナー |
331 | スーパーアベンジャーⅡ |
339 | アベンジャーⅡ |
501 | コックピットB50 |
741 | コルト36 |
ブライトリングの型番法則 3番目のアルファベット:文字盤の色
ブライトリングの型番にあてはめられている3番目の記号は文字盤の色を表します。
基本的にアルファベットが用いられ、色や装飾によって異なるものが使われます。
アルファベット | 文字盤の色 |
---|---|
A | マザーオパール、ホワイト、ベージュ、アイボリー、アークティカ(白系) |
B | ブラック、アントラシート、ダイヤモンドブラック、ロイヤルエボニー(黒系) |
C | ブルー、モロッカンブルー、ネプチューンブルー等(青系) |
E | ロジウム(白色シルバー) |
F | スレート、スレートグレイ(石板色) |
G | シルバー、シルバーストーム(銀) |
H | シャンパン、アンバー、デザートデューン |
I | イエロー |
J | スモークグレー |
K | レッド、バーガンディ、サンセット、ローズ(赤系) |
L | グリーン、ターコイズ、ローレルグリーン(緑系) |
M | グラファイト、チタン |
O | コーラル (珊瑚色) |
Q | ブロンズ、ハバナ、グレイバイオレット(茶系) |
ブライトリングの型番法則 4番目の数列:文字盤のデザイン
4番目の数列が表すのは、文字盤のデザインです。
桁で言うと6,7ケタ目の2ケタの数字、もしくはアルファベットが該当します。
他の項目と異なり法則性がなく、ランダムに数字が割り当てられています。
限定モデルにおいてはアルファベットが用いられることが多いです。
ブライトリングの型番法則 5番目のアルファベット:ベルトの種類
型番の末尾(5番目)にくる記号はストラップの種類を表しています。
アルファベット2文字か3文字が入り、ブレスレットや尾錠の組み合わせにより割り当てられる文字が異なります。
アルファベット | 素材 |
---|---|
A | エアロスペース・ブレスレット |
B | パイロット・ブレスレット |
C | プロフェッショナル・ブレスレット |
E | ルーロー・ブレスレット |
F | ナビタイマー・ブレスレット |
G | カーフベルト |
H | カーフベルト・尾錠 |
I | カーフベルト・ディプロインバックル |
J | クロコダイルベルト |
K | クロコダイルベルト・尾錠 |
L | クロコダイルベルト・ディプロインバックル |
6桁リファレンス(簡易ナンバー)の型番法則
ブライトリングの本体ケース裏に書かれている6ケタの英数字は、簡易ナンバーと呼ばれる型番です。
9桁リファレンスが正式な型番ですが、簡易ナンバーでは文字盤の種類や色、ストラップの素材コードが省かれている代わりに「ムーブメント」に関する情報を読み取ることができます。
こちらは全部で4つの英数列に区切られており、9桁リファレンスと同じくそれぞれに意味を持ちます。
型番法則 最初のアルファベット:ケース、ベゼルの素材
簡易コードの最初のアルファベットは「ケースやベゼルの素材」を表します。
9桁のリファレンスナンバーと全く同じ法則が使われており、どちらの型番においても先頭は同じアルファベットとなります。
型番法則 2番目の英数列:ムーブメントの種類
簡易ナンバーの2桁目と3桁目が表すのはムーブメントの種類です。
10~78のコードが使用されており、49までが機械式ムーブメント、50〜78にはクォーツムーブメントが割り当てられています。
年式によって使用される数字は異なりますが、どれもETA社製のムーブメントであることが特徴です。
また、「B01」など先頭がBになっている場合は自社製ムーブメントが搭載されていることを表します。
24時間表示を可能とした手巻きクロノグラフ「B02」、GMT/第2タイムゾーン機能を有する「B04」など、ムーブメントの名称がそのまま2番目の数列に採用されます。
英数列 | ムーブメント |
---|---|
B01 | キャリバーB01 自動巻きクロノグラフ |
B02 | キャリバーB02 手巻きクロノグラフ |
B04 | キャリバーB04 自動巻きクロノグラフ GMT |
B05 | キャリバーB05 自動巻きクロノグラフ ユニタイム |
B06 | キャリバーB06 自動巻き 30秒クロノグラフ |
B14 | キャリバーB14 手巻きシングルプッシュボタン・クロノグラフ |
B35 | キャリバーB35 自動巻き |
型番法則 3番目の数列:COSC認定コード
3番目の数列はスイス公式クロノメーター検査協会(通称:COSC)の認定をパスしているかどうかを表します。
ムーブメントがクロノメーター仕様であれば、ムーブメントの種類を表す数列の後に「3」の数字が入り、ノンクロノメーター仕様であれば記載がありません。
ただ、自社製ムーブメントを搭載している場合、全てのムーブメントがクロノメーター仕様であることから「3」の表記が省かれています。
昨今は自社製ムーブメント搭載モデルが増えているため、3番目の数列がないモデルも多いです。
型番法則 4番目の数列:簡易モデル番号
簡易ナンバーの5、6ケタ目は簡易モデル番号と呼ばれています。
法則性は不明ですが、通常モデルに数字、限定モデルにアルファベットが割り当てられることが多いです。
まとめ
ブライトリングの型番は9桁のリファレンスナンバーと6桁の簡易ナンバーの2種類が存在します。
それぞれに「ケース素材・モデル名・文字盤・ストラップの種類・ムーブメントの種類」といった意味が隠されており、読み方を覚えておけば、時計の特徴をスグに把握することが可能です。
ただ、これらの数列は一定の法則がありながらも絶対的なモノとはいえません。
あくまでも参考程度に活用していただくことをオススメ致します。
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当記事の監修者
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。