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ブランド腕時計の社名やロゴの由来をまとめました。~ロレックス、オメガ、ウブロなど ~
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定番のロレックスやオメガ、日本のセイコーや雲上ブランドのパテックフィリップ・・・
時計ファンにはおなじみのブランドですが、これら名前の由来や意味を知っている方は少ないのではないでしょうか。
特に私たち日本人にとっては、聞きなれないものばかりかと思います。
人名なのか、造語なのか、はたまた秘密の意味が隠されているのか・・・?
今回は、そんな高級時計の「ブランド名」の由来や秘められた意味をご紹介いたします!
出典:https://www.rolex.com/ja/watches/rolex-watchmaking/made-in-switzerland.html
目次
1.ロレックス
高級時計の定番中の定番、ロレックス。
抜群の人気や知名度とはうらはらに、実態が謎のベールで包まれたミステリアスなブランドということでもファンの心をくすぐります。
ブランド名もその謎のうちの一つで、由来は公に公開されてはいません。
創業は1905年、イギリス。
ドイツ人のハンス・ウィルスドルフが義弟とともにウィルスドルフ&デイビスという時計商社を設立したことに端を発します。
その後スイスに拠を移し、1915年、ロレックス・ウォッチカンパニーという名称に変更されました。
名称変更の理由は、ウィルスドルフがドイツ語であったため。
第一次世界大戦の影響でイギリスへの輸出を考慮してのことであったといいます。
ちなみにこの「ロレックス―ROLEX―」。
社名となる以前にも商標として登録がされましたが、ウィルスドルフによる造語です。
英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語・・・どこの言葉でも発音しやすくなじみやすいものにしたい、という彼の狙いがありました。
世界中で「ロレックス」が普及していることを鑑みると、まさにウィルスドルフの狙い通りと言えますね。
由来は詳らかにされていませんが、自動巻き機構の「ロール」とエクセレントを掛け合わせた、など様々な説が飛び交います。
また、ブランド名と同じくらい見慣れた王冠マークのロゴ。
これまた正式に公表はされていないので推測の域を出ませんが、最も出回っている説は二つ。
一つは、おおかたの予想通りロレックスを「時計の王様」とすることへの想い。
もう一つは、時計を製造する職人たちの五本の指をモチーフにした、というものです。
これからもこの秘密が明かされることはないのでしょう。
もしかしたらウィルスドルフの胸一つに収められたままなのかもしれません。
しかしブランド名一つで世間を沸かせるロレックスは、やはり時計の王者にふさわしい貫禄と人気ゆえなのではないでしょうか。
2.オメガ
ロレックスと並んで高級時計の定番であるオメガ。
知名度はもちろん、高いコストパフォーマンスも大きな人気の理由です。
オメガは、ロゴにも使用されるギリシャアルファベットのΩからきていることは有名です。
ですが、なぜオメガが使われるようになったか、知っている方は少ないのではないでしょうか。
ギリシャ文字のオメガは、完全・達成・究極などを意味します。
1894年、当時ルイ・ブラン&フィルズという社名であったオメガは、今なお傑作と評される高性能ムーブメントを製造します。
そのキャリバーに名付けられたのが、「オメガ」でした。
その後社名・ブランド名にもオメガが用いられるようになったことがその由来です。
オメガはムーブメントの精度コンクールで数々の記録を打ち立てるだけでなく、月面や深海などどんな過酷な環境下でも正確に時を刻むタフな時計を製造し続けてきました。
まさに「オメガ」が意味するところの究極の時計を製造するウォッチメーカーとなったのです。
近年ではスイス公認のクロノメーター規格を凌駕するマスタークロノメーターという基準を打ち立て、耐磁性や耐久性・信頼性など他社では真似できない、高性能時計を発表したことなど、ブランド名に込められた理念は健在でありまた進化していることを示します。
ちなみにロゴでもあるΩマークですが、これは形にも意味を持ち人の肩から上を表しているとのこと。
ひいては人の周りを暖かい光が包み込んでおり、オメガもまたそんな想いをこめて時計にこのロゴを刻んでいるように思います。
3.ウブロ
比較的新しいブランドながら、世界中の著名人やスポーツ選手などから愛されるウブロ。
日本でもその頭角を現しており、テレビで見かけることもあるかもしれません。
ウブロはフランス語で舷窓・船窓を意味し、デザインにもよく表れています。
ウブロの特徴は多々ありますが、ベゼルに打たれた6本のビスがそのうちの一つとして挙げられるでしょう。
ロゴのHも、その頭文字からとられています。
ウブロは時計製造の根幹に、常に「FUSION-融合―」という理念を抱いています。
スイス高級時計における伝統と現代的テイスト、伝統的な素材と新しい金属・・・
そういったともすれば挑戦的とも言える試みを絶やさないウブロ。
まるで大航海時代、未開の地へ繰り出していった船舶のような存在であり、ブランド名にもそういった想いを込めたのではないでしょうか。
4.パネライ
パネライの正式名称はオフィチーネ・パネライ。
一目でそれと分かるデザインアイデンティティが魅力で、パネリスティと呼ばれる熱狂的ファンを持つほど。
1860年にイタリア・フィレンツェで誕生したパネライは、ジョヴァンニ・パネライによって設立されました。
当初は時計の他に温度計などを製造する精密機器メーカーで、オフィチーネとはイタリア語でワークショップや仕事場、という意味。
軍用時計に採用されていた歴史やタフな外観通り、手堅い由来が込められています。
ちなみにパネライが展開する二大モデル、ラジオミールとルミノール。
この名称はパネライが特許を取得した夜光塗料にちなみます。
モデル名もまた、ものづくりに携わる職人らしい堅実さを感じさせますね。
5.セイコー
日本きっての腕時計メーカー、セイコー。
日本初の腕時計や世界初の実用クォーツ腕時計を生み出すなど、その開発力はスイスのそれと全く引けをとらず、高い注目を浴びるブランドのうちの一つです。
1881年、服部金太郎が服部時計店を創業、現在のセイコーの歴史が始まります。
当時は古時計を買い取り、修繕して売り出すことを事業としていました。
1892年に精工舎を設立、国産クロックの製造を開始しました。
この精工舎が現在のセイコーという名の原型となりますが、「精巧で精密な時計を作る」という理念が込められているとのこと。
セイコーは世界的に見てもその精密さ・精巧さには定評があります。
まさに「名に恥じない」という言葉がピッタリではないでしょうか。
ちなみにセイコーのハイエンドブランドであるグランドセイコー。
オメガ同様、ムーブメントや時計そのものにスイス公認クロノメーター規格を凌ぐGS規格という、独自の検査基準を設けていることは有名です。
そのきわめて厳しい規格を通ったグランドセイコーのムーブメントはスプリングドライブ、クォーツ、メカニカル全て「9」を冠していることの意味をご存知でしょうか。
これは、究極の「9」。
究極に精巧なムーブメントを作り続けることを志しているのです。
社名を始め、スイス時計大国に遜色ない高級時計を作る自負、情熱のようなものがそこかしこに垣間見えるセイコー。
日本人としては、やはり誇らしく思えてなりません。
6.チュードル
ロレックスのディフュージョン(廉価版)ブランドとして知られるチュードル。
ロレックスと共通の部品を採用しているため高い品質の時計をロレックスよりも格段に安い値段で手に入れられるところが大きな魅力ですね。
チュードルはロレックスの創始者ハンス・ウィルスドルフ氏によって設立されます。
ディフュージョンブランドとは普及を目的とし、知名度向上や販路拡大のためにつくられたブランドのこと。
当時ロレックス本社のあったイギリスでの市場拡大を目的に「一般庶民」向けに作られたのがチュードルでした。
チュードルというブランド名はエリザベス1世を輩出したイギリス王家の一つ「チューダー家」にちなんだもの。
誰もが知っている王家の名前をブランド名にすることで、イギリス庶民に親しまれるブランドとして定着させることが狙いでした。
ちなみにチュードルのロゴもまた独特です。
現行モデルでは盾のマークが採用されていますが、かつては薔薇のロゴがあしらわれていました。
この薔薇マークはアンティーク時計として高い人気を有し、チュードルローズとも称されます。
これはチューダー家の家紋をアレンジしたもので、プリントではなく繊細な手作業によるものでした。
よく見ると立体感があり、優雅な印象です。
しかし、その手間が製造コストを上げてしまった結果、1970年以降はより低コストで製造ができる現在の盾モチーフに変更となったのです。
ちなみに盾の中に薔薇がデザインされたものや、大きい薔薇ロゴをデカバラ、小さいものをチビバラなんて呼んだりもします。
7.パテックフィリップ
世界高級時計の御三家に位置するパテックフィリップ。
スポーツウォッチからドレスウォッチまでとそのラインナップは豊富ですが、いずれも他社と比べ頭一つ抜きんでた高級感と品質が特徴です。
パテックフィリップの社名は、創業者に由来します。
ポーランド人のアントニ・パテック。
そして後に入社したジャン・アドリアン・フィリップ。
実は創業者は二人いて、ポーランド人のフランチシェック・チャペックがパテックと共に懐中時計の販売を始めたことに起因しました。
しかしチャペックはフィリップ入社後、間をおかず社を去ります。
なんだか意味深な感じもしますが、近年チャペックの名を冠したモデルをパテックフィリップが出していることなどから考えると、そんなにドロドロの理由があったわけでもないのでしょうか・・・?
そしてもう一点特筆すべきは、ムーブメントなどでも垣間見ることのできるパテックフィリップの十字マーク。
これはスペインで初めて設立され、ローマ教皇からも認可を受けた戦闘騎士団「カラトラバ」の十字架をモチーフにしたもの。
このカラトラバはムーア人の侵略からカラトラバ砦を守ったという歴史的な経緯を持ちます。
壮麗な騎士道精神を有し、かつ果敢に敵に立ち向かったカラトラバへのオマージュであるかのようなロゴ。
同名のモデルもパテックフィリップのフラグシップになっていますね。
パテックフィリップウォッチの端正で上品な顔立ちとは裏腹に、他とは一線を画す闘志のようなものが感じられます。
創業者のパテックとチャペックが『世界一の時計を作る』という熱い理念を湛えていたように。
まとめ
有名な高級時計ブランドは驚くような長い歴史を有しているため、もちろん「由来」は風説の域を出ないものも。
ですが、そこには必ず創業者や職人、携わってきた全ての人々の思い入れが込められていることに間違いありません。
トップブランドになるという気概、ものづくりへの情熱・・・
聞きなじんだ名前の由来や込められた意味を知ると、ますますそのブランドが好きになってはきませんか?