スイス時間の2019年4月14日早朝、ブライトリングのCEOジョージ・カーン氏により、バーゼルワールド2020は出展しない意向が明かされました。
バーゼルワールドはここ3年で実に1,000以上もの出展ブランドを失っていることをご存知でしょうか。
さらに2018年には「バーゼルワールドBIG5」に名を連ね、会場の大きなスペースを占めていたスウォッチグループがこの展示会から離脱したことで、「傷は致命的」になったとも言われました。
しかしながら、ブライトリングは「2020年は出展見送り」とするものの、「離脱」については明言していません。
また、この悲報と同時に、バーゼルワールド2020に関する朗報も舞い込んでおります。
ブライトリングからの発表の詳細およびバーゼルワールドの今後の展望をお伝えいたします。
目次
なぜ?ブライトリングがバーゼルワールド2020の出展を見送り
ブライトリングのプレスリリースによると、バーゼルワールド2020、同社は出展しない、ということです。
理由はスウォッチグループのように「費用対効果が悪い」といったものではありません。
2020年のバーゼルワールドの開催時期がブライトリングの新作発表のスケジュールと合わないためである、というのです。
バーゼルワールドは2020年より、例年3月に設定されていた日程を4月30日~5月5日開催とする旨を発表しました。
これはやはり2020年から4月26日~4月29日開催としたSIHH(ジュネーブサロン)と日程同期を狙ったもので、むこう2024年までは継続されることとなります。
一方のブライトリングは2018年より、「the Breitling Summit(ブライトリング サミット)」と呼ばれる独自フェアを執り行っていますが、ここで同社の、その年の新作発表や広報が行われます。
このフェアがあるため、バーゼルワールド2020の4月末日程で新作発表をする、というタイミングは遅いこと。そしてこのフェアにより力を入れたい、というのがブライトリングの思惑でしょう。
※2018年新作ナビタイマー8
今回の声明で「出展見送り」とともに、ジョージ・カーン氏はここ最近のバーゼルワールドの変革を評価してもいます。
具体的にはバーゼルワールド会場内のハイライトをより入場者や商談関係者に利便性高いものにする、食事や宿泊施設をより提供しやすくする、といった試みです。
こういったバーゼルワールド側の姿勢を概ね好意的に話し、「離脱」については明言しませんでした。あくまでバーゼルワールド2020の出展を見送る、とのことです。
とは言え「2021年以降の参加」についても名言しなかったことは事実。また、ある程度のリップサービスという側面もあるでしょう。ブライトリングサミットの今後の開催やスケジュールによって2021年以降の展示会参加の可否を決定する、と語られました。
確かに例年、新作が入荷してくるのは4月、5月、6月あたりです。こう考えると、4月末~5月の新作発表は、かなり遅いように感じますね。
また、ブライトリングサミットを始めとしたブランド独自のフェアというのは、ブランドにとっても消費者にとっても「柔軟性」があります。
実際、ジョージ・カーン氏がブライトリングに就任して以降、同社の新作はバーゼルワールドより前に発表され、しかもヨーロッパ、中東、アジア、アメリカなど9都市での巡業も行われました。
わざわざスイスのバーゼルに赴かなくとも有名ブランドの新作を見ることができる。あるいは商談することができる。であれば、バーゼルワールドに出展する旨味はブランド・顧客双方に少なくなりますね。
果たしてブライトリングとバーゼルワールドの蜜月は終焉を迎えるのでしょうか。
同社からの続報は来年以降となるようですが、今から待ちきれない思いです。
朗報!バーゼルワールド2020よりチューダーが独立ブースで出展!
ブライトリング出展見送りという悲しいニュースをお届けしました。
でも、ここでバーゼルワールド贔屓の皆さん―かく言う私もその一人ですが―に朗報です!
ロレックスの兄弟分として、合同ブースで新作発表を行っていたチューダー(チュードル)が、バーゼルワールド2020より独立したブースを獲得し、独自に出展することが決定しているのです!
場所はロレックスとは別となるメインホール!
併設していたチューダーのスペースが空いた分、ロレックスはブースを拡大することも判明しました。
オメガやブレゲ率いるスウォッチグループが抜けて、次の離脱はロレックスの番じゃないのか。ロレックスがいなくなったら本格的にバーゼルワールドとはおさらばだ。そんな憶測や予測が最近飛び交っていましたが、ロレックスおよびチューダーは変わらずバーゼルワールド2020での出展が決定していることが明らかになりましたね。
しかもスペースを拡大するというのですから、ロレックスがバーゼルワールドにまだまだ大きな期待をしていることがおわかりいただけるでしょう。
ロレックスは2019年も、新作GMTマスターIIやヨットマスター42で会場を賑わせていました。
来年もその喧騒に立ち会えると期待しております。
どうなる?どうする?今後のバーゼルワールド
バーゼルワールドの歴史は1917年までさかのぼります。
ヨーロッパは第一次世界大戦下で、多くのブランドが資材や資金不足に悩まされている状況でしたが、永世中立国のスイスにおいて銘品たちが展示されました。
そこから100年。
今では世界最大級の時計・宝飾品の新作見本市として君臨していますが、SIHH(ジュネーブサロン)など新たなる見本市の登場、情報化社会におけるSNSの急速な普及によって、その地位が脅かされています。
特にスウォッチグループの脱退は、その打撃を決定的なものにしました。
また、新たに同グループが開催したTime to Moveという新作発表は非常に評価が高く、今後各ブランドがこぞって独自見本市を開催していく流れができていくかもしれません。実際、勢いをつけていると言われるSIHHですらも、オーデマピゲとリシャールミルの離脱が発表されています。
とは言えバーゼルワールド2019は思った以上の盛り上がりでした。
ロレックスなど人気ブランドには連日人が押し寄せ、また、国内外のメディアでの取り扱いも大きく、話題性は高かったと言っていいでしょう。
さらに、前述のようにSIHHと日程同期をすることによって、SIHHに流れた顧客やブランドが回帰する可能性もあります。
バーゼルワールドの、これまでの因習を払拭し、変革を起こす動向が与える影響も決して小さくありません。
さしずめ今は、バーゼルワールド復活祭までの受難の時期でしょうか。
今後のバーゼルワールドに期待です。
各ブランド2020年新作 速報ページはこちらから!
※当店ではバーゼルワールド2020の、現地レポートを予定しておりました。
展示会自体は中止とはなりましたが、各ブランドの新作を順次発表させて頂きます!