「ロレックスのバブルバックって何?」
「ロレックスのバブルバックついて詳しく知りたい」
常に時計界を牽引し続けてきたロレックス。
ロレックス3大発明と称される「オイスターケース」「デイトジャスト機構」「パーペチュアル機構」を始め、これまでに数多くの機構や素材を開発してきました。
バブルバックとは「オイスターケース」を採用したアンティークロレックスで、防水性能を持つ自動巻きに対する愛称を指します。
オイスターケースが発明された数年後に誕生し、以降ロレックスの防水時計として数十年に渡って時計ファンに愛されてきました。
そんなアンティークロレックスのバブルバックについて知りたいという人は多いのではないでしょうか。
ロレックスバブルバックは、ロレックス3大発明のオイスターとパーペチュアルを搭載する名機と言われています。
この記事ではアンティークロレックス バブルバックの魅力や歴史を、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
バブルバックの相場についても説明しますので、中古ロレックスの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
ロレックス バブルバックとは?
バブルバックはロレックスが1930年代初頭〜50年代中頃に製造した「防水性能を備えた自動巻きモデル」のことを指します。
ケースには1926年に開発したオイスターケースを採用。ムーブメントには自動巻きが搭載され、今では当たり前になった自動巻き+防水ケースの基礎を確立させました。
正式なモデル名はオイスターパーペチュアルですが、裏蓋が泡(バブル)の様に膨らみを持つことからバブルバックと呼ばれるようになりました。
出典:https://www.telegraph.co.uk/luxury/watches/rolex-bubbleback-classic-watch-world-forgot/
裏蓋がこのような形状になった理由は、自動巻きの厚みにあります。
初期の自動巻きムーブメントは、手巻きのムーブメントに自動巻きのユニットを重ねて作っていた為、どうしても厚みが出やすい設計でした。
ねじ込み式リューズを採用したオイスターケースと自動巻きを両立させるためには、分厚いムーブメントをケース内に抑える必要があり、最終的には裏蓋に膨らみを持たせることで完成に漕ぎ着けました。
ただ、分厚いとはいっても最小限の厚みになるように工夫されており、装着した際の違和感はほとんどありません。
出典:https://vintagetimes.nl/product/rolex-3131-bubbleback/
1950年代以降、ケースおよびムーブメントの大径化が進んだことで、じょじょにバブルバックはその特徴でもある「膨らみ」を低減していきます。ムーブメントが横に広がったことで薄くなり、防水性を持たせたとしても、バブルバックほどの厚みを要しなくなったためです。1950年頃~のバブルバックは「セミバブルバック」とも呼ばれ、その後現在に続くフラットな裏蓋へ取って代わっていきました。
そんな歴史を持つバブルバックが今なお人気を博し続けるのは、ロレックスの歴史を大きく変えた仕様であった、ということが大きいでしょう。
バブルバック以前のモデルは手巻き式が採用されていました。しかし、ロレックスは「時計としての実用性の向上」には自動巻きの開発が必要不可欠と考え、試行錯誤の末にバブルバックを作り上げます。
懸念されていた巻上げ効率の悪さは、全方向回転の自動巻きローターを採用することで解消。理想に掲げていた防水性との両立も裏蓋の形状によって成立させました。
創意工夫によってロレックスに新しい風を吹かせたモデルであるからこそ、バブルバックは時計ファンに愛され続けているのです。
なお、バブルバックに採用された裏蓋には4つのサイズがあり、ケースのサイズに合わせて裏蓋の直径が異なります。
レディースサイズ:19.4mm
ボーイズサイズ:24.0mm
レギュラーサイズ:26.4mm
メンズサイズ:29.4mm
※ケース径ではなく、裏蓋の大きさ
時計そのものをバブルバックと呼ぶのが一般的ですが、裏蓋のことをバブルバックと呼ぶこともあります。
このような背景からコレクターズアイテムとしても人気が高く、現在はアンティークロレックス屈指の需要を誇ります。
バブルバックの魅力
防水性能を備えた自動巻きとして、時計界に大きな影響を与えたバブルバック。
歴史的モデルであることは勿論のこと、独特な形状を持つことからアンティークファンから根強い支持を集めています。
しかしながら、バブルバックの魅力はそれだけではありません。
20年以上の長きに渡り製造された背景から、豊富なバリエーションを持つことも大きな魅力となっています。
出典:https://alexpig.com/products/1948-rolex-bubbleback-5011-with-original-dial-and-short-second-hand
現行のロレックスはデザインが殆ど完成されているため、異なる年式のモデルであっても時計の雰囲気はあまり変わりません。
デイトナもエクスプローラーもサブマリーナも、一目で見分けることができるでしょう。
しかし、目まぐるしく時計が進化し続けていたアンティークロレックスの時代においては、同じシリーズであっても様々な文字盤デザインや、ケース素材が用いられます。
モデルによっては全く違う時計に見えることもあり、この時代ならではの個性を強く感じることができます。
出典:https://thevintageconcept.com/product/rolex-bubbleback-two-tones-california-dial-3372/
バブルバックに限らず、アンティークロレックスには現行モデルにはない多様性があり、それに伴いコレクション性も高いです。
比較的手に入れやすいモデルからレアなモデルまで様々なモデルが存在します。
特にローマ数字とアラビア数字が混在する個体に関してはユニークダイアルと呼ばれ、非常に価値が高いです。
現行モデルには採用されていない2針+スモールセコンドも希少性の高さから人気があります。
ロレックス バブルバックの歴史と変遷
バブルバックは時期によって1st~6thモデルに分類され、それぞれに異なる特徴を持ちます。
独特な裏蓋の形状を持つことは共通事項ですが、文字盤やムーブメントの仕様、針の形状など、デザイン性は個体によって大きく違います。
【1stモデル】
1933年~1935年までに製造されたモデルが1stモデルになります。
特徴としては緩急針のスロットが開けられていること。
また、ムーブメントを覆うカバーに取扱方法のマニュアルが書かれていることも1stモデルならではの特徴です。
このマニュアルは時計技術者向けに用意されたと言われています。
【2ndモデル】
1935年~1941年までに製造されたモデルは2ndモデルに該当します。
主な仕様は1stモデルとほとんど一緒ですが、カバーに記載されていた取扱方法のマニュアルが消えています。
緩急針のスロットもなくなり、シンプルな仕上がりになりました。
【3rdモデル】
1941年から1943年にかけて製造され3rdモデルでは、性能面でブラッシュアップが図られました。
1st、2ndモデルよりも大きなテンプが採用されたことから、精度と安定性が大幅に向上。
防水性に確かな精度も加わり、より実用性が高まりました。
【4thモデル】
1943年~1945年に製造された4thモデルも精度の向上が目立ちます。
3rdモデルにおいてブラッシュアップされた精度は更に磨きがかかり、4thモデルではついにクロノメーター認定機となりました。
これにより信頼性はより確かなモノとなり、バブルバックの評価は世界的に高まります。
【5thモデル】
1945年~1946年に製造された5thモデルにおいては、ローターにパーペチュアルの文字が刻まれるようになりました。
これまでバブルバックの名で親しまれてきたオイスターパーペチュアルですが、この仕様変更により「パーペチュアル」の名が世界に広まります。
インデックスの種類やケース素材も種類も増え、バブルバックの人気は絶頂期を迎えます。
【6thモデル】
1946年から製造終了となる1955年までに発売されたモデルは6thモデルに該当します。
5thモデルまでにバブルバックの基礎は確立されており、この10年においては豊富なバリエーションが展開されました。
現在流通しているバブルバックの多くは6thモデルであり、デザインもオーソドックスなモノからユニークなモノまで多種多様です。
技術的な進化としてはローターの傾斜が2段階に変更され、ムーブメントに細かな改良が加えられました。
これにより、バブルバックの裏蓋の形状はふっくらした泡のような形に変更され、5thモデルまでの個体に比べ丸みが強調されるようになっています。
ロレックス バブルバックの相場
バブルバックの相場は希少性と個体の状態によって変わります。
>後期のモデルで比較的流通量の多かったモデルに関しては、そこまでの高騰は見受けられず、20万円〜と手が届きやすいプライスになっています。
ただ、バブルバックはどのモデルも年式が古いので、状態の良い個体はあまり市場に出回りません。
初期に製造されたモデルやユニークダイヤルを備えたモデルに関しては価値が高まっており、100万円を超える価格が付けられる個体も存在します。
アンティークロレックスの中でも知名度の高いモデルなので、ステータス性も申し分ありません。
なお、バブルバックはオークションやフリマアプリでも見かけますが、時計として扱いたいのであれば、優良中古店で購入することをオススメします。
口コミに優れる時計店であれば年式の古い個体であっても丁寧にメンテナンスされているため、安心して購入することができます。
アンティークロレックスは50年以上も前に製造された個体なので、状態の良し悪しに差が生じやすいです。
安かろう悪かろうの個体を手に入れても、結局はメンテナンス費が余計にかかってしまいます。
希少価値の高いバブルバックだからこそ、良い状態の個体を手に入れるのがベストです。
まとめ
時計に防水機能が備わっていなかった時代に生まれ、その機能性の高さから当時大きな話題を生んだバブルバック。
ロレックス3大発明のオイスターとパーペチュアルを搭載しており、この時代における名機中の名機と言えるでしょう。
高いステータスは勿論のこと、バリエーションが豊富に存在することから「コレクターズアイテム」としても注目を浴びています。
手に入れやすい個体であれば20万〜30万程度で入手することも可能なので、アンティークロレックス入門機としてもオススメです。
ぜひ、この機会にロレックス バブルバックを検討してみてはいかがでしょうか?
当記事の監修者
田所 孝允(たどころ たかまさ)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 営業物流部長/p>
1979年生まれ 神奈川県出身
ヒコみづのジュエリーカレッジ ウォッチメーカーコース卒業後、かねてより興味のあったアンティークウォッチの世界へ進む。 接客販売や広報などを経験した後に店長を務める。GINZA RASIN入社後は仕入れ・買取・商品管理などの業務に従事する。 未だにアンティークウォッチの査定が来るとついついときめいてしまうのは、アンティーク好きの性分か。
時計業界歴18年。