「カルティエ タンクは何がすごいの?」
「カルティエ タンクの魅力や人気モデルが知りたい」
カルティエといえば、ハリーウィンストンやティファニーなどと並んで世界5大ジュエラーに数えられるジュエリーブランドです。
また、さまざまな人気モデルを生み出している腕時計の名門でもあります。
その中でもカルティエのシンボルともいえる傑作コレクションが「タンク」です。
そんなタンクの魅力や人気モデルが知りたいという人は多いのではないでしょうか。
タンクは一世紀もの間カルティエを支えてきたコレクションです。
この記事ではカルティエ タンクの魅力や人気モデルを、GINZA RASINスタッフ監修のもと紹介します。
カルティエの歴史についても解説しますので、タンクの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
■カルティエの歴史
1947年、宝飾師であるルイ=フランソワ・カルティエは、28歳で師匠であるアドルフ・ピカトールからパリのモントルグイユ通り29番地のジュエリー工房を受け継ぎ、独立を果たします。これが、後に5大ジュエラーのひとつに数えられるカルティエの始まりでした。
その後、1853年にヌーヴ・デ・プティ・シャン通り5番地に個人顧客を対象としたジュエリーブティックを構え、上流階級の貴婦人たちを相手に宝飾品の販売を行いました。皇帝ナポレオン3世の皇后であるウジェニー・ド・モンティジョやいとこであるマチルド皇女が顧客となったことから王侯貴族の間でカルティエの名は広がり、ついにはイギリス国王エドワード7世やスペイン国王アルフォンソ13世の御用達となったのです。
当時カルティエは16もの国の御用達であったとされていて、エドワード7世に「王の宝石商、宝石商の王」と称されるほどの名門ブランドでした。
そんなジュエリーブランドとして確固たる地位を築いたカルティエの創始者であるルイ=フランソワ・カルティエは、ブランドを設立した当初から時計の製造に強い興味を示していました。
1888年には、カルティエ初となる女性用宝飾腕時計を製作します。その翌年である1899年、ブラジル人飛行家であり、ルイ=フランソワ・カルティエの友人であるアルベルト・サントス・デュモンから「飛行中に操縦かんから手を離さずに使える時計」について相談され、友人に贈るための腕時計の製作を開始しました。
当時は懐中時計が主流であり、懐中時計で時間を確認するには操縦かんから手を離す必要があったのです。腕時計は5年後の1904年に完成し、これが世界初のレザーストラップ腕時計となりました。この時計は1911年に「サントス デュモン」という名前で発売され、大きな人気を獲得しました。
■戦車にヒントを得たカルティエの傑作時計
カルティエの時計には上述した「サントス」以外にも、「パシャ」や「トーチュ」、「パンテール」などさまざまなモデルがあります。その中でもカルティエのシンボルともいえる傑作のモデルが、「タンク」です。タンクはその名のとおり、戦車をモチーフとして作られた時計です。タンクが誕生するきっかけとなったのは、第一次世界大戦でした。
タンクが発表されたのは第一次世界大戦が終戦し、ベルサイユ条約が締結された1919年。
しかし、プロトタイプともいえる最初のタンクが製作されたのは、1917年のことでした。当時フランスは連合軍対ドイツ軍の戦場となっていて、激しい戦火に包まれていました。これを打破するべく、アメリカのパーシング総司令官率いるヨーロッパ派遣軍は、当時最新鋭であるルノー社製戦車を投入。ドイツ軍を撃退することに成功しました。
この活躍をたたえたルイ=フランソワ・カルティエはルノー社製戦車をモチーフとした腕時計を製作し、パーシング総司令官に贈りました。これが、タンクの始まりなのです。
タンクの大きな特徴は、四角い文字盤に代表される直線的なデザインです。
当時は花や植物といった有機物をモチーフとし、エレガントで曲線的なデザインを特徴としたアール・ヌーボーという芸術様式が流行していたこともあり、腕時計も丸い文字盤が主流でした。これに対してタンクは、キャタピラに見立てたケースの縦枠、ケースと一体化したラグ、ケースでアタッチメントを隠すなど、直線的かつスタイリッシュなデザインをしています。この斬新なデザインは、後に花開く幾何学模様をモチーフとした芸術様式「アール・デコ」を先取りするものでした。
1919年、平和を祝福する意味を込めて発売されたタンクは、1世紀近い時を経た今でも世界中で愛される時計となっています。
■タンクの中でも高い人気を誇る3つのモデル
カルティエの時計の中でも、洗練されたデザインで人気を博すタンク。
そんなタンクには、特に人気が高い3つのモデルがあります。
タンクフランセーズ
タンクフランセーズは、タンクを代表する人気モデルです。直線的なタンクならではのフォルムはそのままに、ケースにカーブを取り入れることでブレスレットとの一体感を実現しています。リストウォッチというよりは、ブレスレットウォッチと呼ぶにふさわしいモデルとなっています。
◎タンクソロ
タンクソロは、カルティエの入門モデルともいわれている定番のモデルです。シンプルかつモダンなデザインで、性別や年齢に左右されない使いやすさが特徴です。日常のさまざまなシーンで身に着けることができ、飽きのこない親しみやすさが魅力だとされています。
◎タンクアングレーズ
タンクアングレーズは、2012年に発表された10年ぶりとなる完全新作です。タンクシリーズの伝統的なアイデンティティーをしっかりと受け継ぎながらも、リューズをケースに埋め込んだ独創的なフォルムでこれまでのタンクとは一線を画しています。コンパクトかつエレガントなデザインは、パーティーシーンにもオススメです。
一世紀もの間カルティエを支えてきたタンクは、まさに不朽の名作と呼ぶにふさわしい時計です。
興味がある方は、ぜひカルティエのタンクをチェックしてみてください。
当記事の監修者
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。