腕時計は時間を計測するための日用品ではありますが、同時にファッションアイテムでもあります。
特に男性にとっては、オフィシャルな場でも身に付けることができる数少ないアクセサリーとして欠かせない存在と言えるでしょう。
今回紹介する「フランクミュラー カサブランカ」はオシャレ腕時計の代名詞であり、ファッションにこだわりを持つ方にうってつけです。さらにはフランクミュラーの中では比較的リーズナブルな価格で購入できることから、幅広い層の男性陣から大きな人気を博しています。
この記事ではカサブランカがどのような時計で、どのような人気モデルがあるのかをご紹介いたします。
お洒落でコスパの良い時計をお探しの方はぜひご一読ください。
目次
フランクミュラー カサブランカとは
カサブランカはフランクミュラーが創立された1994年に発表されたコレクションです。当時はフランクミュラー唯一のステンレススティールを採用したモデルとして大きな話題になりました。
モロッコの都市「カサブランカ」や映画「カサブランカ」からインスピレーションを得て作り込まれた美しいデザインには定評があり、ファッションに敏感な男性を中心に絶大な支持を集めています。
時計の特徴はなんと言っても樽型(トノー型)のデザインを採用していること。誰が見ても美しい優雅な曲線を持ち、お洒落時計の代名詞として常に人気を博しています。
カサブランカは金無垢が主流だった当時のフランクミュラーにおいて、「気軽に使用することのできる普段使いの実用時計」というコンセプトを元に製造されたコレクションです。
繊細な見た目をしていますが、日常使いに適した現代的なスペックを有します。
サイズやカラーなど豊富なバリエーションを持つことからオシャレアイテムとしても人気があり、俳優の阿部寛さんやTOKIOの松岡昌宏さん、プロサッカー選手岡崎慎司さんなど、ファッション感度の高い芸能人・有名人からも愛用されています。
カサブランカ 製造年代による変遷
カサブランカは25年以上の歴史を持つフランクミュラーの黎明期から存在する定番モデルです。
トノー型ケースを時計ファンに知らしめたモデルとしても高い評価を得ており、知名度も抜群です。
当時からデザインは大きく変わっていませんが、細かな部分で年式による異なる部分があるので、ここではその違いをご紹介いたします。
第1世代 カサブランカ
第1世代 初期型カサブランカ
第1世代のカサブランカは1994年に発売されたオリジナルモデルのことを指します。
シリーズ最初期のモデルであり、ビザン数字インデックス等ブランドを代表するデザインの基礎はこの10年で確立されたと言ってよいでしょう。
型番(Ref)は存在せずバックケースには”casablanca”とのみ刻印が施されていることが特徴的です。
後に”casablanca”のみの刻印は無くなり、1752・7500・2852・5850・6850・8880・・・とバックケースに型番が刻印される様になっていきます。
第2世代 カサブランカ
第2世代 初期型カサブランカ
こちらは第2世代のカサブランカ。1998年頃から発売され、インデックスのデザインに変化が生まれています。
文字盤のバリエーションは第2世代からホワイト・ブラック・サーモンピンクが中心となり、アールデコを意識したより華やかなデザインとなりました。
第3世代 カサブランカ
第3世代 初期型カサブランカ
2003年から発売された第3世代においてはケースやブレスのデザインが一新され、装着性もより快適なものとなっています。
第2世代に比べケースが湾曲し、文字盤も現在のデザインににかなり近づいています。
現行型カサブランカ
第4世代 初期型カサブランカ
現在発売されているカサブランカは2014年頃発表の「第4世代」です。
初期型のカサブランカと比較するとインデックスがやや細くなり、文字盤12時位置のブランド表記のカーブがかなり曲がったデザインになっていることが特徴です。
第3世代との違いがわかりにくいのですが、両者をよく見比べると違いがわかります。
左:第3世代 / 右:現行型
インデックスの雰囲気は瓜二つですが、ブランド表記のカーブは現行の方が急です。
性能や使い心地は第4世代に分がありますが、第3世代の方が安く手に入れることができるので、どちらを選ぶかは好みとなります。
カサブランカとトノーカーベックスの違い
フランクミュラーのトノー型モデルは、大きく分けるとカサブランカとトノーカーベックスの2つのコレクションが有名です。
どちらもデザインが似ている為、一見区別がつきませんが、文字盤やケース素材に違いが見受けられます。
美しい曲線を描くフランクミュラーのフラグシップモデル「トノーカーベックス」。
フランス語でトノウは「樽」、カーベックスは「湾曲」を意味しており、1992年に発表されました。
文字盤にはギョーシェ彫りが施されています。ケース素材はホワイトゴールド、ピンクゴールド、プラチナ、ステンレスなど多彩です。
1994年に発表されたカサブランカは見た目はトノーカーベックスそっくりですが、ケース素材にはステンレススティールが採用され、文字盤は経年経過を楽しめる独自の仕様となっています。
針に夜光塗料が施されているのもカサブランカの特徴で、文字盤をよく見れば両モデルを見極めることが可能です。
相場としては高級ラインに当たるトノーカーベックスの方が高く、カサブランカの方がリーズナブルに手に入れることができます。
左:トノーカーベックス 右:カサブランカ
両モデルを並べてみると、その違いがよくわかります。
文字盤にギョーシェ彫りが施されている方がトノーカーベックスで、針に夜行塗料が施されているのがカサブランカです。
どちらもカラーバリエーションやサイズが豊富に存在しますが、基本的な設計はどれも一緒です。
※ただしカサブランカサハラには夜光塗料はありません。
フランクミュラー カサブランカの種類
カサブランカはブラック・シルバーの基本色以外にも様々な派生モデルが存在します。
特に「サハラ」「カモフラージュ」はカサブランカを代表とするモデルとして大きな支持を集めています。
サハラ
カサブランカ サハラ 2852CASA SAHARA AC
サハラは灼熱のサハラ砂漠の中で日に焼けた時計をイメージしたモデルで、マットブラックの文字盤に夜光が焼けた風合いのインデックスが印象的です。
上品で洗練されたデザインでありながらも、長年の間使い込まれたヴィンテージウォッチのような雰囲気を醸し出しています。
ブラック系以外にもノスタルジックな雰囲気漂うサーモンピンク文字盤など、個性的なモデルが数多くラインナップされています。
カモフラージュ
カサブランカ カモフラージュ 5850C BR CAMOUFLAGE AC
数多くのバリエーションを生み出したカサブランカ・コレクションの中でも、最も個性を主張するモデルといえるカモフラージュ。
カモフラージュという名の通り、全てビザン数字でデザインした迷彩柄のダイアルを配しています。
ブラック・ブルー・グリーンといったカラーバリエーションが存在しますが、特にグリーンがミリタリーファンから人気を博しています。
クロノグラフ
カサブランカ クロノグラフ 8880C CC CASA OAC
カサブランカは3針デザインのモデルが基本ですが、一部クロノグラフを搭載した珍しいモデルも存在します。
スタンダードなブラックorシルバーダイヤルはもちろんのこと、「サハラ×クロノグラフ」「カモフラージュ×クロノグラフ」といった変わり種もラインナップされており、そのどれも個性的です。
カサブランカの上品で優雅なデザインが好きだけど、クロノグラフのスポーティーな雰囲気も捨てがたい。
カサブランカ×クロノグラフはそんな贅沢な悩みをお持ちの方に、ぜひ一度お手にとって頂きたいモデルです。
ユベントス
フランクミュラー ユベントス SS 5850JUVENTUS OAC
カサブランカ ユベントスはイタリアのサッカーリーグ・セリエAの名門クラブ「ユベントス」とのコラボレーションモデルです。
カサブランカの上品なディティールにスポーティーなテイストを加えた個性的な仕上がりとなっています。
数量限定モデルとして発売された為、現在は手に入れることが非常に難しくなっております。その為、コレクターズアイテムとしても人気です。
ルナ
フランクミュラー カサブランカ ルナ 7880CL AC
カサブランカ ルナは文字盤上に月の満ち欠けを正確に表示するムーンフェイズを組み込んだモデルです。2016年にコレクションに加わり、独特な雰囲気を醸し出す月のデザインも相まって時計ファンから大きな支持を集めました。
他のカサブランカと同じく文字盤のデザインとサイズバリエーションが多岐に渡って展開されている為、好きなデザインを選べます。
ノアール
フランクミュラー カサブランカ ノアール 6850C DT NR AC
カサブランカ ノアールはブラックのPVD加工が施された希少性の高い限定モデルです。
NOIR(ノアール)とは仏語で黒色を意味し、コンキスタドールやマスターバンカーといったコレクションでも発売されています。
デザインは文字盤及びベルトまで黒で統一され、スタイリッシュな印象を与えます。通常のステンレスケースとは異なる質感があり、ミリタリーな雰囲気を醸し出す人気モデルです。
フランクミュラー カサブランカの魅力
カサブランカはフランクミュラーの中でも1位2位を争う人気モデルです。
人気の秘訣はやはりトノー型ケースの美しさ、文字盤デザインにあります。
価格がリーズナブルであることやバリエーションが豊富に存在することも大きな魅力なので、ぜひこちらにも注目してください。
完璧な曲線美を描くトノー型ケース
カサブランカはクラシカルとエレガント、そして上品さを大切にしているコレクションです。完璧な曲線美を描くトノー型ケースをもち、大人の男の色気を存分に引き立ててくれるデザインとなっております。
人間工学に基づいたトノー型ケースはフランクミュラーの象徴です。
エレガントな時計は薄型が一般的とされていますが、フランクミュラーにおいては敢えて一定の厚みを与えることで、絶妙な美しさを際立たせています。
腕に巻きつくフィット感や計算され尽くされた重量、そして高級感を持たせるために緻密に設計された曲線。
既成概念に囚われないフランクミュラーの革新的なセンスが生み出したこのトノー型ケースがあるからこそ、カサブランカはこれほどまでに評価を受ける時計になったといえるでしょう。
美しい文字盤デザイン
カサブランカは曲線が美しいトノー型ケースにまず目が行きますが、文字盤のクオリティも確かなモノがあります。
まず、特徴的なビザン文字を採用したインデックス。
中央から延びるように配された力強いアラビアインデックスは、それだけでインパクト大です。
インデックスのカラーリングにも種類があり、シンプルな黒印字もあれば、こちらのモデルのように灼熱のサハラ砂漠を再現したモデルもあります。
インデックスひとつとっても、様々な魅力を味わえるのがカサブランカの素敵なところです。
なお、カサブランカの文字盤は、あえて文字盤表面にUV加工が施されていません。この工夫により、経年変化による「ヤケ」を味わうことができます。
長年使い続けることによってヴィンテージ感が演出され、他のモデルよりも時計に愛着を感じやすくなっています。
トノー型ケースの上品さ×ヴィンテージ感の組み合わせは実に美しく、歳を重ねても良き相棒として付き合っていくことができるでしょう。
リーズナブルな価格
カサブランカは高価格帯が多いフランクミュラー製品の中ではエントリープライスに位置しており、比較的手に入れやすい価格となっております。
並行新品価格こそ50万円〜60万台が相場となっていますが、中古であれば20万円台~で手に入れることが可能です。
そのため、初めての高級時計としてもよくお選び頂いています。
高級時計は中古であっても、研磨やオーバーホールによって輝きを取り戻すことができます。
優良時計店で時計を購入すれば、中古とは思えない品質の時計を手に入れることもできるので、お得にカサブランカを手にしたい方は中古での購入を検討するのが良いでしょう。
豊富なバリエーション
カサブランカは豊富なバリエーションがあることが特徴的です。
サイズにおいては人気の高い5850系と2852系を中心に豊富なサイズ展開が行われており、身に付ける方の体格や好みによって時計を選ぶことができます。
なお、フランクミュラーの型番にはケースサイズが入っている為、最初の2桁でケースの大体のサイズがわかります。(例外もあります)
【定番サイズ① 6850】
サイズ:縦47×横34mm
6850シリーズは迫力のあるラージケースです。体格の良い男性や存在感のある時計をお求めの方に人気があります。
【定番サイズ② 5850】
サイズ:縦45×横32mm
5850シリーズは現在メンズで一番人気のサイズです。
【定番サイズ③ 2852】
サイズ:縦43×横31mm
2852CASAでは43mmと縦幅が短くなっているため、丸みが強調されていることが特徴です。ベルト幅も17mmと若干小さめな設計となっているため、ボーイズサイズ(男女兼用モデル)としても人気です。
腕回りが細い方や、スーツの袖口からあまり目立たせたくないという方は2852CASAを選ばれた方がシックリきます。
ちなみに製造終了モデルの中には2852よりも縦長のサイズの2850や防水化した2851も存在します。
それ以外のサイズではレディースサイズやユニセックスモデルなども多数ラインナップ。
サイズによるデザイン性の違いはないため、ケースサイズの好みが時計を選ぶポイントになるでしょう。
また、カサブランカは文字盤カラーに関しても豊富なバリエーションがあります。ビザン文字を採用したお洒落なデザインであることを前提に、シルバー・ブラック・ホワイト・サーモンピンク・ブルーといった魅力的なカラーバリエーションが用意されています。
文字盤の装飾、色、インデックス、さらにはベルト/ブレスまで組み合わせは実に多種多様なので、いろいろ試着してみて自分に最適の一本を探し出してみてください。
フランクミュラー カサブランカの人気モデル TOP3を一挙公開
「ラインナップが多くて、どれを買っていいかわからない」
カサブランカの購入を検討されている方から、このような意見をよくいただきます。
確かにカサブランカはサイズやカラーバリエーションが多いため、これを買っておけば間違いなしという王道モデルはありません。
しかし、毎年人気を博し続けている定番モデルも少なからず存在します。
ここではカサブランカの人気モデルTOP3をご紹介いたします!
定番人気モデル① カサブランカ 5850CASA OAC ブラック
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:縦45.0mm×横32.0mm
ムーブメント:自動巻き/Self-Winding
パワーリザーブ:約40時間
防水性:3気圧
無数に存在するカサブランカのラインナップの中で最も厚い支持を受けているのは、縦45.0mm×横32.0mm の絶妙なサイズ感を持つ5850CASA OAC ブラックです。
オンオフ問わず活躍してくれるブラック×ステンレススティールの組み合わせはまさに王道中の王道!
どのサイズも人気がありますが、程よく時計の存在感を主張してくれる5850CASAが人気NO.1となっています。
どんな服装にも似合う5850CASA OAC ブラックですが、スーツとの相性の良さも抜群です。
身に付けることでワンランク上の自分になれるでしょう。
人気モデルであるが故、中古でも品切れ続出となっているので、見かけたらお早めに購入することをオススメいたします。
なお、中古相場は40万円台後半で取引されています。
定番人気モデル② カサブランカ サハラ 2852CASA SAHARA OAC ブラック
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:縦43.0mm×横31.0mm
ムーブメント:自動巻き/Self-Winding
パワーリザーブ:約40時間
防水性:3気圧
5850CASAよりダウンサイジングした2852CASAもとても人気です。45mm→43mmと縦幅が短くなっているため、日本人の体型によく馴染みます。
強い個性を持ち合わせながらも日常使いしやすいデザインであることからサハラの需要は高く、特にブラック×オレンジ(レッド)のカラーリングは毎年よく売れています。
ちなみにブラックカラーのサハラはサイズが抑えめのモデルの方が文字盤が引き締まって見えるため、大型ケースより小型ケースの方が人気です。
どのモデルが似合うかは人それぞれですが、ご購入の参考にしてください。
価格に関しては並行新品価格は70万円台後半。中古相場は45万円前後となっています。
定番人気モデル③ カサブランカ 6850MC CASA OAC ブラック
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:縦46.5mm×横34.0mm
ムーブメント:自動巻き/Self-Winding
パワーリザーブ:約40時間
防水性:3気圧
カサブランカの売れ筋モデルはどれもブラック文字盤。特定のサイズに人気が集まっているわけではありませんが、色に関してはビジネスシーンでも使いやすいブラックの支持が圧倒的です。
6850MC CASA OACは縦46.5mm×横34.0mmという迫力のサイズ感を持ちながらも優雅さを兼ね備える「大人の色気」を感じさせる一本です。
体格の良い男性であってもシックに決まるため、常に需要がつきません。
針にブルーの差し色が施されており、文字盤6時位置のCASABLANCAのロゴが青字になっていることもポイント。(ホワイト版もあり)
並行新品であれば70万円台ですが、中古であれば40万円台にて購入することができます。
まとめ
フランクミュラー カサブランカは時計にファッション性を求める方にとって、まさにうってつけの時計です。
人間工学に基づいたトノー型ケースにヴィンテージを感じさせる美しい文字盤、そして豊富なバリエーション。
価格もエントリークラスに属するため、気軽にフランクミュラーが持つ最高級のエレガンスを体験することができます。
是非この機会に一度ご検討されてはいかがでしょうか?
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当記事の監修者
田中拓郎(たなか たくろう)
高級時計専門店GINZA RASIN 取締役 兼 経営企画管理本部長
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
当サイトの管理者。GINZA RASINのWEB、システム系全般を担当。スイスジュネーブで行われる腕時計見本市の取材なども担当している。好きなブランドはブレゲ、ランゲ&ゾーネ。時計業界歴12年