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WEBマガジン, 廣島浩二, 腕時計修理・メンテナンス大全

G-SHOCKやオシアナスの電池交換はいくら?持ち込み先は?カシオのメンテナンス・修理体制を知ろう!

最終更新日:

「G-SHOCKやオシアナスの電池交換費用や修理期間はどれくらい?」
「G-SHOCKやオシアナスをメンテナンスに出す手順が知りたい」

みんな大好きG-SHOCKやオシアナス。

カシオの腕時計製品は他ブランドにはない耐衝撃構造や屈指の高機能性によって、長らく国内外で愛され続けてきました。

学生時代からカシオ製品を愛用されてきた方は少なくないでしょう。

G-SHOCKにしろオシアナスにしろ、長く愛用していくうえで「電池交換」「メンテナンス」は避けて通れません。

とは言えいざ修理を依頼しようと思っても、どこに持ち込めばいいのか,あるいは費用はどれくらいかかるのか,どれくらい期間を要するのか知りたいという人は多いのではないでしょうか。

カシオはメンテナンスに力を入れており、対象モデルや状態にもよりますが、料金も良心的です。

この記事ではG-SHOCKやオシアナスの電池交換費用や修理期間について、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。

メンテナンスに出す手順や修理体制についても解説しますので、G-SHOCKやオシアナスの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。

カシオ メンテナンス

出典:https://www.facebook.com/CASIOGSHOCKJapan/photos/

 

カシオのメンテナンス・修理内容と費用・納期の目安~電池交換や防水検査等~

時計の電池交換だけなら、どの時計修理店でも対応してくれることがほとんどです。中にはご自身で行うといった猛者もいらっしゃるかもしれません。

しかしながらカシオ製品の多くは10気圧防水以上の高機能腕時計。こういった製品を熟練した修理技師以外が不用意にメンテナンスしようとすると、思わぬ故障に繋がるものです。

基本的にカシオ製品のメンテナンスや修理は、カシオに依頼するのが吉。

また、カシオでは電池交換の際に必要な点検も行ってくれるため、末永く時計を使用していくことにも繋がりますね。

本項では、カシオのメンテナンス・修理内容と費用の目安についてご紹介いたします。

なお、「プレミアムブランド」とそれ以外の製品では修理サービスが異なるため、それぞれ分けて解説いたします。

 

①カシオの腕時計のメンテナンス・修理内容とその費用~プレミアムブランド以外の一般製品~

カシオ メンテナンス

出典:https://www.yamagata-casio.co.jp/about-us/

一般的なG-SHOCKやBABY-G,あるいはSHEEN等の電池交換は、前述の通り防水検査も同時に行われます。なお、電池交換単体だけは受け付けていないとのことです。

防水検査は専用装置のもと、加圧検査や減圧検査が行われているとのこと。
この防水検査で「防水性が機能していない」と判断された個体は、パッキンを交換するなどといった対応が行われます。

パッキンとは、時計内部への水や湿気の侵入を防ぐためのパーツです。腕時計のみならずガスや水道の配管,電子デバイス等にも用いられていますね。
ゴム製であるがゆえに、どうしても経年で劣化してしまい、防水性の定価に繋がってしまうもの。そこでカシオでは、2~3年を目安に定期的なパッキン交換を推奨している関係で、電池交換の際には防水検査も行っているとのことです。
防水点検や純正パッキンへの交換ができるのはメーカーならではですよね。

同時にカシオでは、内部点検や外装点検,クリーニングも行い、必要に応じて修理を顧客へ提案することとなります。内部消耗パーツが劣化していた場合も、交換対応が行われます。

ちなみに「ソーラーウォッチなら電池交換の必要はない」と思うかもしれませんが、こういった二次電池もまた消耗パーツと捉えられているため、経年によって容量や効率が低下していくこととなります。一次電池ほどではないものの寿命がきたら交換することが大切ですね。

なお、カシオではソーラーウォッチ製品は電池交換ではなく「充電点検調整」と呼んでいます。

どの製品も、外装研磨は対応されません。

カシオ メンテナンス

出典:https://www.yamagata-casio.co.jp/about-us/

メンテナンス・修理の費用はモデルによって異なります。

しかしながら電池交換のみであれば税別3,000円。フロッグマンのような高防水ウォッチだと税別4,000円です。ちなみに近年時計メーカーの中にはメンテナンス料金を値上げする向きもありますが、カシオは少なくとも電池交換の料金のみで言えばここ数年据え置きです。実に良心的ですよね。

バンド全体の交換であれば10,000円前後~20,000円程度。その他各パーツによって数千円~20,000円超の費用が生じます。モデルによる料金の詳細はカシオの公式ホームページから型番で検索できますので、お持ちの製品から調べてみましょう。
技術料は別込1,000円です。

なお、保証期間内であれば、修理は基本的には無償です。
ただし保証書の提示がない場合,誤った操作や取扱不注意での故障や損傷,電池やバンドといった消耗パーツの取り換えの場合は別途料金が発生するとのことです。

 

納期の目安はカシオに時計が到着してから1週間~10日程度フロッグマンのような高防水ウォッチや交換パーツの在庫状況によっては2週間程度かかる場合もあります。

電池交換だと即日で仕上がるケースも多いことを鑑みると、遅いと感じるかもしれません。しかしながら愛用のウォッチを末永く使っていくためのメンテナンス期間と考えれば、安心感がありますよね。

もっとも一部製品を除き、「お急ぎ電池交換サービス」も用意されています!

「クイック電池交換」と「当日電池交換」があり、前者が60分程度,後者が午後1時までのお持ち込みで当日午後6時に電池交換後に顧客に受け渡しできるサービスです。もちろん防水検査点き。所定のサービスステーションまたはG-SHOCK STOREに直接持ち込む必要がありますが、即日できるのはありがたいですね。

ダイバーズウォッチ(フロッグマン等)や後述するプレミアムブランド専用修理モデル,USB充電方式の製品は対象外となります。

②カシオのプレミアムブランド専用修理サービス

カシオ メンテナンス

出典:https://gshock.casio.com/jp/support/

カシオと言うとカジュアルなG-SHOCKのイメージが強いかもしれません。しかしながら近年ではフルメタルモデルを中心に、高級感溢れるハイクラス製品のラインナップにも力を入れています。

そうした流れの中で2018年、高級モデル専用工場として山形県東根市に「山形カシオ」を竣工。山形カシオの生産ラインをPPL(プレミアム・プロダクション・ライン)と称し、MR-GやMT-G。あるいはオシアナスやPROTREK(MANASLU)といった高価格帯モデルの製造を一極集中させています。

この山形カシオのPPLで生産された製品は他の時計とは一線を画しており、メンテナンスも特別扱いとなります。カシオでは専用アフターケアとして「プレミアムブランド専用修理サービス」を設け、独自のメンテナンス・修理体制を敷いています。

プレミアムブランド専用修理サービスもまた製品の必要な点検を行いますが、その内容は非常に多岐に渡ります。

まず修理受付品の外観や依頼内容を確認後、常温・低温下での簡易なランニングチェックを実施。

その後機械式時計のように内部モジュールをケースから取り外し、状態・動作確認の実施後、必要に応じて調整やパーツ交換が行われます。
さらに磁気帯びチェックやプッシャー・バンド洗浄もこの過程で行われます。

山形カシオ メンテナンス

出典:https://www.yamagata-casio.co.jp/ourbusiness/timepiece/

特筆すべきが、「針打ち」というメンテナンス。

これは山形カシオの生産ラインで製造時にも行われる工程で、簡単に言うと文字盤への針の取り付け作業となりますが、驚くほどの緻密さが要求されます。と言うのも、カシオはアナログの針について、長らく一家言持ってきました。

カシオがアナログムーブメントの開発に着手したのは、G-SHOCKからです。1983年に登場したG-SHOCKは耐衝撃性がアイデンティティですが、これは衝撃で針が取れやすいアナログウォッチでは実現が難しいとされてきました。

しかしながら1989年に「AW-500」でこれを実現。2005年にはG-SHOCK初となる多針アナログモデル「GS-1000」をローンチし、以降MR-GやMT-Gに代表される高級機はアナログ式が広く用いられるようになりました。

2008年には現行の基幹機ともなる「タフムーブメント」が完成しますが、このアナログ式ソーラームーブメントのだいご味の一つに「針位置自動補正機能」が挙げられます。これは、アナログ式時計にありがちな針ズレを自動補正する機能。にもかかわらずカシオの針はほとんどズレのない精密・精緻な設計と言うのだから、いかに同社が針について並々ならぬ情熱を抱いているかがおわかり頂けるでしょう。

山形カシオ メンテナンス

出典:https://www.yamagata-casio.co.jp/ourbusiness/timepiece/

そしてこの精密・精緻な針を決定づける生産工程の一つが、針打ちです。
針打ちは機械に頼らず、最終的な位置合わせは熟練した山形カシオの職人の手作業によって成し遂げられるとか。

プレミアムブランド専用修理ではモジュール点検も行う関係上、生産ラインと同様に針打ちが行われることとなるのです。
なお、熟練した技術で以て打たれた針は、さらに針精度試験機で検査されるという徹底ぶりです。

ケーシング後には充電点検や改めてのランニングテスト,電波受信感度確認,防水検査が行われたうえで時計を顧客の手元に送り返します。

なお、プレミアムブランド専用修理であっても、外装研磨は行われません。

 

カシオ あんしん点検パック

出典:https://web.casio.jp/support/sp/wat/premium/anshin/

さらに驚くべきは「あんしん点検パック」の存在です。

プレミアムブランド専用修理には電池交換と防水検査のみ、といったメンテナンスは適応されませんが、随時気になる点を修理依頼することももちろん可能です。
しかしながらどうせ当該時計のメンテナンスをするなら、あんしん点検パックが断然おすすめ。

あんしん点検パックは一律料金で上記の点検に加えて、蓄光塗料の性能検査や全てのパーツ類の洗浄・オイル塗布(通常修理は劣化時のみのパーツも多い),さらに内部パーツの修理費用がコミコミに!

その費用は30万円以下の製品が税込27,500円、30万円超の製品で税込38,500円となっております。

外装パーツの交換が発生した場合は別途パーツ代が発生するとは言え、かなりお得で、そして安心できるサービスプランですよね。

かつてカジュアルなG-SHOCKなどのカシオ製品は「使い捨て」と捉えられることも少なくありませんでした。
しかしながら現在では高級時計として、またサスティナビリティが重要視される社会において、自社の愛機をずっと使い続けていける万全の企業体制が敷かれていると言っていいでしょう。

なお、あんしん点検パックの納期の目安は時計到着から3週間程度となっております。

あんしん点検パックは保証対象外となりますので、その点は気をつけましょう!

G-SHOCKやオシアナスのメンテナンス・修理持ち込み方法

カシオ メンテナンス

出典:https://www.casio.co.jp/company/

カシオの腕時計にはG-SHOCKやオシアナス,PROTREKといった豊富なブランドが存在しますが、メンテナンス窓口はカシオテクノ株式会社に集約されています。

このカシオテクノに持ち込む方法は下記の通りです。

・サービスステーションへ直接持ち込む
・専用梱包箱を利用して送付する
・専用梱包箱を利用しないで送付する

いずれの場合でも、事前にサイト上の「WEB修理受付サービス」からの申し込みが必要となります。

この事前受付によって紙面での修理依頼票が自動作成され(伝票ナンバーがあれば印刷不要)、またメールアドレス登録によって修理状況が随時配信されるとのことです。

 

サービスステーションは、全国に8か所。

修理完了後の受け取りは持ち込んだサービスステーションの窓口となり、支払いもまた受け取り時となります。

決済方法は現金,クレジットカード,各種電子マネーが用意されています。

専用梱包箱は、カシオのリサイクルできる修理専用のレンタル梱包箱です。レンタル料金が330円(税込)かかりますが、時計の固定用トレイと緩衝材が付属した組み立て式の専用ボックスとなっており、輸送時の衝撃や破損から時計を守ります。その後カシオテクノに送付し、修理開始となります。

専用梱包箱を利用しない場合は、ご自身で段ボールや緩衝材を用意し、梱包を行います。

修理完了後、依頼品は登録住所またはファミリーマートの店頭での受け取りが可能に。

お支払は代引きやファミリーマートでの現金またはFamiPayの他、事前にオンライン上でクレジットカード決済がご選択いただけます。

なお、有償修理の場合は送料が顧客負担となります。また、専用梱包箱のレンタル料金も修理代金と一緒に支払うこととなります。

 

知っておきたい。カシオ製品のパーツ保有期間

G-SHOCK メンテナンス

出典:https://www.facebook.com/CASIOGSHOCKJapan/photos/

前述の通り、必要に応じて外装・内部機構のパーツ交換が行われる時計のメンテナンス。しかしながら多くのメーカーでは「パーツ保有期間」を設けています。

パーツ保有期間とは、ある製品の生産終了からメーカーが自社で当該製品のパーツを破棄せずに保管しておく、という期間です。この期間内であれば生産終了した個体であってもパーツが用意されているため、基本的に修理対応が可能ということを意味します。

一方でこの期間を過ぎてしまった個体は、パーツ交換が生じる修理については対応できない可能性がある、ということもまた示唆しています。

カシオではプレミアムブランド専用修理対象製品のパーツ保有期間は10年、それ以外の製品では7年と定めています。

ただし、これはあくまで「生産終了してからのパーツ保有期間」となり、この期間を過ぎた製品の全てがメンテナンスできない、というわけではありません。

確かに樹脂製の外装パーツの交換や生産終了した電池の交換だと難しいケースもありますが、カシオではまず修理受付期間経過後も電池交換などのメンテナンスを行っているとのことです。カシオはロングセラーも多いため、多くの現行品がすぐに生産終了・・・といったことは考えづらいですね。

とは言え実際に修理受付期間を過ぎた機種も存在します。
交換パーツが発生しないよう、適切な取り扱いを心掛けたいですね。

 

思い出のG-SHOCKが蘇る!カシオがスタートさせたレストアサービス

G-SHOCK レストア

出典:https://www.facebook.com/CASIOGSHOCKJapan/photos/

前項でもご紹介したように、カシオの長い歴史の中で、修理受付期間を過ぎてしまったモデルもいくつか存在します。

思い出のG-SHOKたちは、もう一生動かないのか・・・そんな風に思うと物悲しくなるものですよね。

しかしながらカシオで、ファンにとって嬉しく、そして面白い試みが行われることとなりました!

2021年10月5日~2022年1月18日までの期間限定となるものの、なんと、G-SHOKの生産終了モデルのレストアサービスが開始されたのです!

 

対象機種は1983年当時の初代モデル「DW-5000C」やスピードモデルと呼ばれ、後の5600系の原点となる「DW-5600C」等の計8種です。

バンドや電池,ベゼル交換がメンテナンス内容となり、価格は税込10,560円に設定されました。これは、当時の初代モデルの販売価格に則ったとか!

なお、電池交換に伴い防水検査も行われますが、日常生活用防水レベルが基準となります。

G-SHOCK ORIGINS

出典:https://gshock.casio.com/jp/restore/

レストア後は、時計スタンドとしても利用できる専用パッケージと一緒に返却されるというのも、とても嬉しいポイントです。
台座にはG-SHOCK開発者の一人・伊部菊雄氏のサインとメッセージが記されています。

 

カシオはこの復刻サービスにあたり、当時の図面や現存パーツからデータ復元を行うなど、約2年の歳月をかけて再生産に必要な体制を作り上げたとのこと。1980年代はまだデジタル化していない時代だったため、数々の図面から掘り起こしていったことでしょう。

新製品が続々と登場しては消えていく時代にあって、こういった実際の復刻はファンにとって本当に幸せなことです(当時のデザインを復刻した新作は珍しくありませんが)。

お値段もとても良心的。

昨今の時計業界のサスティナビリティを、牽引していく施策と言えるのではないでしょうか。

 

まとめ

G-SHOCKやオシアナス,PROTREKなど数々の人気コレクションを手掛けるカシオの、メンテナンス・修理体制についてご紹介いたしました!

カジュアルな製品は使い捨てと捉えられることもありますが、私たちの相棒ともなる腕時計。どうせならしっかりメンテナンスして、末永く大切に使っていきたいですよね。カシオの修理体制は、そんな思いを後押ししてくれるように感じます。

なお、文中でも言及しているように、費用や修理期間,修理対応の可否はケースバイケース。しかしながら思わぬ故障や破損を招かないためにも、適切な取り扱いを心掛ける,何かあったら早めに専用窓口に相談するといったことが重要です。

ぜひ愛用のG-SHOCKやオシアナスを、大切にしていってくださいね。

当記事の監修者

廣島浩二(ひろしま こうじ)

(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチ コーディネーター
一級時計修理技能士 平成31年取得
高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 ロジスティクス事業部 メンテナンス課 主任

1981年生まれ 岡山県出身 20歳から地方百貨店で時計・宝飾サロンで勤務し高級時計の販売に携わる。 25歳の時時計修理技師を目指し上京。専門学校で基礎技術を学び卒業後修理の道に進む。 2012年9月より更なる技術の向上を求めGINZA RASINに入社する。時計業界歴19年

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