「カルティエのパシャって何がすごいの?」
「カルティエ パシャの魅力について詳しく知りたい」
近年、メンズラインに力を入れており、女性ファンだけでなく男性からも支持を集めるカルティエ。
でも実は歴史的に見て、男性向けの本格腕時計を製造してきたブランドであることをご存知でしょうか。
例えば世界初の本格腕時計と言われるサントス。
第一次世界大戦後、新たなるトレンドとして一世を風靡したタンク。
そして今回ご紹介する、モロッコ太守からの依頼で製造されたと言うパシャなどが挙げられます。
メンズカルティエの中でもパシャはそのデザイン性の高さから、非常に人気の高いコレクションです。
そんなカルティエ パシャの魅力について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
パシャは二次流通でも人気のコレクションです。
この記事ではカルティエ パシャの魅力について、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
人気モデルの紹介もしますので、メンズカルティエウォッチの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
カルティエ パシャってどんな時計?
パシャの誕生は20世紀初頭までさかのぼります。
1930年代、当時のモロッコ マラケシュの太守(パシャ)であったエル・シャヴィ公が、カルティエ三代目当主のルイに対し、「自宅のプールで水泳しながら着けられる時計が欲しい」という依頼をします。カルティエは太守のために防水時計を製造のうえ、進呈しました。
ただ、当時の太守に贈られた時計は角型で、モデル名も「タンクエタンシュ」でした。ちなみにエタンシュ(etanche)はフランス語で「封入」とか「防水」などの意味を持ちます。その後1943年、当モデルをオマージュしたラウンドケースの防水時計「パシャ」がカルティエよりリリースされ、そのモデルが今日のパシャの原型となります。1943年に出た原型は後述するリューズプロテクタや独特のラグ、グリッドなど、現在パシャと呼ばれる時計のディテールを既に有しており、当時からカルティエのデザイン力が高かったことがよくわかるエピソードですね。
出典:https://monochrome-watches.com/where-does-the-name-of-your-favourite-watch-model-come-from/
1985年、この防水時計を現代風にリファインして発表されたのが現在のパシャです。
ただ、現在のパシャもそうなのですが、全てのモデルに防水機能が付加されていたわけではありません。また、初期に生産されていたパシャは主にイエローゴールドを素材に使ったハイエンドラインでした。後年本格的なダイバーズウォッチ機能を得たパシャや、ステンレススティール製、あるいはコンビモデルがラインナップに加わっていきます。
そのラインナップの中で、最も基本型となるのはケースサイズ38mmのモデルです。
「防水時計」というアイデンティティを強調するためか回転ベゼルが取り付けられており、カルティエの中では珍しくスポーティーなイメージが強いです。今でこそカリブルドゥカルティエやロンドソロなどがありますが、当時はまだメンズカルティエはドレスウォッチがメイン。一方で1980年代~1990年代は多くの高級時計メーカーからスポーツウォッチが続々とリリースされていた時代です。オーデマピゲのロイヤルオーク、パテックフィリップのノーチラス、ブレゲのアエロナバルなどが挙げられますね。
そんな時勢も手伝って、パシャはカルティエを代表する人気シリーズへと成長していきました。
チェーンでケースと繋がったリューズプロテクタ、エンドピースと一体化したラグ、視認性の高い文字盤・・・全てがこれまでのどの時計のデザインとも違った仕上がりですね。また、一部モデルにはグリッドと呼ばれる文字盤プロテクタが取り付けられており、取り外すことで2WAYで楽しめる、なんて遊び心も備わっています。
これだけ完成され、かつ独創性溢れるパシャが、人気が出ないはずがありません。
その後女性でも使える32mmサイズや35mmサイズ、かなり大振りの42mmサイズなどが追加されていったことから、カルティエ自身もパシャを自社の定番シリーズへとしていったことがわかります。
機能面ではGMTやクロノグラフといった、コンプリケーションモデルもリリースされていきました。
ちなみに回転ベゼルは基本的には38mmサイズのパシャの基幹モデルに採用されていた仕様ですので、それ以外のパシャには付いていないものが多くなります。
1995年、パシャ10周年を記念して、パシャCがリリースされます。
これはオールステンレスで、かつ35mmというボーイズサイズが特徴的なパシャでした。
これまでのパシャでも35mmサイズはありましたが、どちらかと言えばメンズ寄り。しかしながらメンズライクなファッションも流行しつつあった当時にパシャCをリリースしたことで、女性ファンを獲得していきます。
2006年にはダイバーズウォッチにあたるシータイマーモデルをリリース。本格的なダイビングに耐えうる・・・というほどのスペックは持ちませんが、100m防水×逆回転防止ベゼル搭載、そしてスーパールミノバを塗布した夜光針など、結構しっかりとしたスポーツウォッチです(ダイバーズウォッチ規格ではありません)。
ブレスレットにラバー素材を用いたモデルもあり、カルティエの新境地を感じさせると話題になりました。
その後2009年にケースサイズ27mm×クォーツ搭載のレディース「ミスパシャ」が登場。
ところが時代を経て2010年代に入ると、現行モデルではミスパシャのみのラインとなり、メンズパシャは一度生産終了となりました。カリブルドゥカルティエの方でダイバーズラインが出たからでしょうか。
しかしながらメンズ向けのパシャ・パシャCは製造期間が長かったこと。加えて状態の良い個体が豊富に流通していることから、今なお根強い人気を誇ります。
ステンレスモデルであれば相場も30万円台後半~と手に入れやすく、初めて高級時計をご購入いただく方にも自信を持ってお勧めできます。
男性にカルティエ パシャをお勧めしたい三つの理由
ここまでパシャの歴史やラインナップをご紹介しましたが、冒頭でも述べたように、カルティエは実は本格的なメンズ腕時計を多くリリースしています。
では、そんな中でも、今回なぜパシャをお勧めしたいか、その三つの理由をご紹介いたします。
①デザイン性が高い
最もお勧めしたい理由が、そのデザインです。
もともとカルティエはジュエラー出身で、その審美眼と言うのは他社とは一線を画す素晴らしさがあります。
しかしながらどうしてもドレッシー寄りになってしまい、20代・30代の若い男性にとっては物足りない印象を持つかもしれません。もちろんカリブルドゥカルティエなどガツンとスポーティーなモデルもございますが、こちらは自社製ムーブメントを搭載している関係で価格がちょっと高いと感じる方もいらっしゃるでしょう。
そんな時、比較的リーズナブルで、スポーティーなテイストを楽しめるパシャは最適な選択。38mmと大きすぎないので、スーツと合わせて悪目立ちしないのも嬉しいところです。
加えて、前述したリューズプロテクタやエンドピース、グリッド、視認性が高いながらオシャレな文字盤デザインなど、カルティエらしい独創性が楽しめる、というのもいいですね。
オシャレに一家言持つメンズにとって必携の一本ではないでしょうか。
②人と被らない
前述したデザインの独創性と合わせて、パシャは生産終了しているため、現行カルティエと比べると人と被らず、自分だけのカルティエウォッチを楽しめるという利点があります。
珍しい時計やブランドであれば人と被りませんが、「誰も知らない」「知る人ぞ知る」といった時計だと、高級時計の楽しみの一つ・ステータスを感じづらいというデメリットに繋がります。せっかく高いお金を出して買うのだから、「ハイブランドの時計を着けてる」と周囲に知ってほしいですよね。
そこへきてカルティエであれば男女問わず知名度があり、また、パシャはレディース人気も高いことから、時計やブランド品に対し造詣がある方から見れば「カルティエの時計と着けてる」ことを認識してもらえます。
カルティエは時計好きからも一目置かれるブランドですので(冒頭でもご紹介したように時計製造に歴史があるため)、時計好きの上司や先輩が見ても気づいてもらえる可能性が高いでしょう。
「人と被らない」「でも人から良い時計着けてると認識される」「ステータスを感じられる」これら全てを享受できるのは、カルティエ パシャならではでしょう。
③比較的リーズナブルな価格帯
カリブルドゥカルティエやサントスドゥカルティエなど、現在メインとなるメンズカルティエの価格はやや高めです。中古でも50万円台~が相場となります。
カルティエはハイブランドであるため、ブライトリングやパネライなどと同程度。そう考えれば高すぎるということはありませんが、20代・30代の男性陣にはちょっとキツイな、と思うこともあるでしょう。
そんなメンズカルティエの中でも、パシャは中古からお選びいただく、ということもあり、リーズナブル。30万円台~手に入れることが可能です。もともとオールステンレスのパシャCが出た時、カルティエとしては信じられないような入門価格でリリースされたと話題になりました。
そのため初めて高級時計を購入する方、既に一本所有しているけど、オシャレなサブ機が欲しい方にとっても手が出しやすいのがパシャと言えるでしょう。
ただし、中古品を買う時は、内部機構のコンディションに注意が必要です。
カルティエは「コンプリートサービス」と呼ばれる独自のメンテナンス制度を設けており、これを受けた個体は内部機械が新品に一新されます。この方式は「オリジナルではない」といった意見もありますが、普通に普段使いする分にはむしろ安心。パシャは10年以上前に製造された個体もよく出回っていますが、コンプリートサービスを直近で受けていれば内部スペックは新品に近いと言えるでしょう。
コンプリートサービスでなくても、オーバーホールがきちんとされていれば普段使いに問題のない場合が多いです。目安としては、2~3年以内になされているかどうかが大切になってきます。
いずれにせよ中古品は、きちんとメンテナンス体制を整えている、信頼できる時計店で購入することが大切です。
カルティエ メンズパシャ人気おすすめモデル
最後にカルティエ パシャの中で、20代・30代のメンズから人気が出ているモデルをご紹介いたします。
カルティエはジュエラーらしく様々なデザインの時計をリリースしていますので、ぜひ自分だけのお気に入りの一本を見つけてくださいね。
①パシャ グリッド W3105255
素材:ステンレススティール×プラチナベゼル
ケースサイズ:38mm
駆動方式:自動巻き
防水性:100m(製造時)
グリッドが付いた、独創性溢れるパシャです。また、回転ベゼルを搭載しており、オリジナルのデザイン・コンセプトを忠実に再現することとなりました。
ベゼルがプラチナでできているため、とても上品なテイストを醸し出していますね。
自動巻きムーブメントが搭載され、シースルーバックが採用されているのもパシャならではの魅力です。ミスパシャやパシャCはソリッド式バックケースが用いられているため、内部機構を鑑賞することはできません。
ローターはもちろん、受けなどパーツ一つひとつが丁寧にギョーシェ彫されており、非常に美しい逸品に。ちなみにこういったムーブメントへの装飾は、一流時計メーカーのみが許された技法となります。
オシャレ好きはもちろん、時計好きからも愛されるカルティエの真骨頂を垣間見る思いです。
②パシャ クロノグラフ W3103055
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:38mm
駆動方式:自動巻き
防水性:100m(製造時)
人気のクロノグラフが搭載されたパシャです。
こちらは使いやすいオールステンレスで、厚みも若干増しており、よりスポーティーテイストを楽しめるような仕様となりました。
リューズにはカルティエおなじみのブルースピネルがセッティングされますが、クロノグラフのプッシャーにも取り付けられているのが憎い演出ですね。
こちらもシースルーバックで、ムーブメントの意匠も楽しむことが可能です。
③パシャC W31074M7
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:35mm
駆動方式:自動巻き
防水性:100m(製造時)
やや小ぶりなパシャCの一番人気がこちら。
デカ厚が流行していた少し前は女性からの支持率が圧倒的でしたが、最近小径ケースがトレンドインしたため、また男性からの人気もぶり返してきた印象です。
お値段がお手頃なのも嬉しいところ。
こちらは良好なコンディションの個体が20万円以下で手に入ることも多く、カルティエウォッチとしてはとてもお値打ちと言えるでしょう。
もちろん女性にもお勧めですので、パートナーとシェアしたり、ペアで身に着けたりするのもお勧めです。
④パシャ シータイマー W31077M7
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:40.5mm
駆動方式:自動巻き
防水性:100m(製造時)
モロッコ マラケシュの太守に依頼された「プールで泳ぎながら使える時計」という、オリジナル・コンセプトを再現したかのようなモデルがシーマスターです。
現在生産終了しており、流通が豊富なパシャの中では稀少性が高いモデルとなります。
その分レア度が高く、人と被りたくない方にお勧め。
気になる方は見つけた時に買いましょう。
⑤パシャ クロノグラフ イエローゴールドモデル
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:38mm
駆動方式:クォーツ
防水性:日常生活用防水(製造時)
珍しいイエローゴールド製×クォーツ搭載のパシャです。
インダイアルがブルーに彩られており、シルバーベースとコントラストになったパンダダイアルが印象的です。
こちらも豊富に市場に出回るわけではありませんので、見つけたら買いの一本です。
まとめ
メンズカルティエの中でも、その独創性やデザイン性から、特にお勧めしたいパシャについてご紹介いたしました。
メンズ向けパシャは流通量が豊富でとても人気。そのため当店でもよく売れるので、随時在庫を確認させていただいている商品のうちの一つです。
初めて高級時計を購入する方も時計好きの方もオシャレ好きの方も、一度カルティエのパシャをご検討してみてはいかがでしょうか。
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年
タグ:パシャ, カルティエ, 特集記事, 時計の選び方, 20代、30代、40代