「IWCのダ・ヴィンチって何がすごいの?」
「IWC ダ・ヴィンチの歴史や魅力について知りたい」
ダ・ヴィンチはIWCを代表するコレクションの1つです。
シンプルな3針から、永久カレンダー・トゥールビヨンといったコンプリケーションモデルまで、様々なスペックの時計がラインナップされてきました。
歴史を辿ると、IWC ダ・ヴィンチは大きく分けて「1985年の永久カレンダー」「2000年~2007年の移行期」「2007年の六角形クロノグラフ」という系譜があり、それぞれの時期でモデルの雰囲気が大きく異なることも特徴です。
そんなダ・ヴィンチの歴史や魅力について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
ダ・ヴィンチは、2017年にフルモデルチェンジを迎えています。
この記事ではIWC ダ・ヴィンチの歴史や魅力について、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
コレクションの紹介もしますので、IWCの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
出典:https://www.iwc.com/ja/news/2017-da-vinci-collection-creating-pure-beauty/
目次
IWC ダ・ヴィンチの歴史① 1985年 永久カレンダーの発表
IWC ダ・ヴィンチが初めて登場したのは1985年のこと。シンプルなラウンドケースに永久カレンダーを配した「3750シリーズ」からダ・ヴィンチの歴史は始まりました。
IWC ダヴィンチ パーペチュアルカレンダー クロノグラフ 3750-30
このモデルは永久カレンダーを搭載しているにも関わらず、新品価格が200万円という衝撃のプライスだったことで大きな話題を生みました。
「時間は進み続け決して止まることがないことをダイアル上で表現する」というコンセプトを具体化し、付属のディスクを入れ替えることで2499年2月末日まで日付を表示する事が可能です。
この永久カレンダーの人気は非常に高く、時計愛好家のコレクションの中にはダ・ヴィンチが必ずあると言われる程までの人気を生みました。
IWC ダヴィンチ パーペチュアルカレンダー ラトラパンテ IW375402
ダ・ヴィンチ パーペチュアルカレンダーは様々なラインナップが登場しましたが、こちらのラトラパンテも非常に人気がありました。最大の特徴はリューズ操作のみで日付合わせを可能にしたこと。カレンダー機能部は僅か83個のパーツで構成されており、それまでの永久カレンダーの常識を覆した機構として称賛を浴びました。
ちなみにラトラパンテは別名スプリットセコンドとも言い、2本のクロノグラフ針により、ラップタイム計測を行なうことができる機能のことを指します。
IWC ダ・ヴィンチの歴史② 2000年~2007年 移行期
機械式時計の人気が復活し、時計業界が盛り上がりを見せたこの時期。ダ・ヴィンチシリーズは、移行期を迎えます。
初代永久カレンダーの発売から15年が経った上に、他のブランドからも様々なコンプリケーションモデルが発売された為、ダ・ヴィンチの知名度は次第に陰りをみせます。加えて、21世紀に入るとスポーツウォッチが流行したため、この時期はダ・ヴィンチの方向性を模索する移行期となりました。
ただ、この時期にもレディースモデルである「リトルダ・ヴィンチ」やレトロ感が美しい「ダ・ヴィンチSL」といった人気モデルも生まれており、製造終了した現在でも時計愛好家から根強い支持を受けています。
女性用に作られたムーンフェイズ付きクロノグラフの“リトル ダ・ヴィンチ”。直径29mmのステンレスケースにクォーツムーブメントを搭載したこのモデルは4-5時の間にシンプルなカレンダーを備えています。ホワイトダイアルが明るい印象を与え、デザインに安定感のある横目のクロノグラフです。
IWC ダヴィンチ SL IW352805 / SL 3528-002 / SL IW352810(3528-10)
レトロ感が美しいダ・ヴィンチSL”。現行のダ・ヴィンチにはないクラシックな雰囲気を楽しめる自動巻きモデルです。アラビアインデックス・バーインデックスといった複数のラインナップが用意されました。
IWC ダ・ヴィンチの歴史③ 2007年 ダ・ヴィンチクロノグラフの発表
ダ・ヴィンチシリーズの転機となったのが2007年に発売されたダ・ヴィンチクロノグラフです。このシリーズにてダ・ヴィンチはフルモデルチェンジを果たし、流行に乗っ取ったスポーツウォッチとして生まれ変わります。
ダ・ヴィンチクロノグラフはシリーズ初の自社製クロノグラフムーブメントである”キャリバー89000シリーズ”を搭載したことで、新たなる歴史を刻みました。
このムーブメントの特徴は60分積算計と12時間積算計を1つのインダイヤルにまとめた配置になっていることです。通常は60分積算計と12時間積算計はそれぞれ別々のインダイヤルに配置されますが、ダ・ヴィンチクロノグラフでは時刻を確認する時と同じ感覚で、クロノグラフの経過時間を読み取れるようになっています。
また、ムーブメントの内部設計にも工夫が凝らされているのもダ・ヴィンチの凄いところ。
キャリバー89000シリーズは積算計の動力を香箱(ゼンマイを収納している箱)から得ており、最小限の力で動くような設計となっています。そのため、通常のクロノグラフと比べると寿命が長いです。
加えて、ローターには巻き上げ効率に優れた「新ペラトン式巻き上げ機構」を採用。実用性を限りなく向上させました。
ヴィンテージ ダヴィンチ IW546101 / パーペチュアルカレンダー クルト・クラウス IW376204 / オートマティック IW452303
その後も2017年の新シリーズ発表まで、さまざまなデザインの六角形ケースが誕生。クラシカルな一本からスポーティーな一本まで、そのラインナップは様々でした。
2017年 ラウンドケースの復活と新コンプリケーションモデルの発表
10年ほど八角形ケースが採用されていたダ・ヴィンチですが、2017年SIHH(ジュネーブサロン)にてダ・ヴィンチのフルモデルチェンジが発表され、新コレクションでは丸形ケースに戻りました。また、「今後はブランドが大切にしているクラシックなフォルムになります」という言葉がIWCのCEOであるジョージ・カーン氏によって発表されたため、恐らく六角形ケースに戻ることはないでしょう。
出典:https://www.iwc.com/ja/news/2017-da-vinci-collection-creating-pure-beauty/
今回発表されたのはクラシカルな美しさに重点を置いたこの5種類のコレクションです。価格も60万円台から数百万円にも及ぶコンプリケーションモデルまで、幅広い価格帯を揃えました。
画像左から順に
■IWC ダ・ヴィンチ・オートマティック36 (オートマティック40も存在)
■IWC ダ・ヴィンチ・クロノグラフ
■IWC ダ・ヴィンチ・トゥールビヨン・レトログラード・クロノグラフ
■IWC ダ・ヴィンチ・パーペチュアル・カレンダー・クロノグラフ
■IWC ダ・ヴィンチ・オートマティック 36 ムーンフェイズ
どのモデルも素晴らしい仕上がりとなっていますが、この記事ではレディースモデルとして開発された「ダ・ヴィンチ・オートマティック 36」、画像にはシンプルなフォルムが美しい「ダ・ヴィンチ・オートマティック 40」、そしてIWCの技術を結集して作られた「ダ・ヴィンチ・トゥールビヨン・レトログラード・クロノグラフ」に注目したいと思います。
IWC ダ・ヴィンチ・オートマティック 36
出典:https://www.iwc.com/ja/collection/davinci/IW4583/
今回のフルモデルチェンジを象徴する女性用コレクション「オートマテック36」。女性に向けてIWCの認知度を高めるために作られた今作は全体的にスリムな設計です。
18Kレッドゴールド製ブレスレットを採用した最上級モデルには、上品な存在感を放つインデックスに青く焼かれた美しいブルースティールが採用され、さらにベゼルには54ピースの最上級ダイヤが配されました。
IWC ダ・ヴィンチ・オートマティック 40
出典:https://www.iwc.com/ja/collection/davinci/IW3566/
レディースモデルである「オートマテック36」に対して40mmケースを採用した「ダ・ヴィンチ・オートマティック」は、主に男性に向けて作られたクラシカルでシンプルな3針デザイン。レディースモデルよりもアラビアインデックスは大きくなっており、力強さが増しています。
また、レディースモデルでは丸い窓だった6時位置のデイト表示は四角形になり、シャープさが協調されたデザインに変更されました。
IWC ダ・ヴィンチ・トゥールビヨン・レトログラード・クロノグラフ
出典:https://www.iwc.com/ja/collection/davinci/IW3931/
今回発表された新モデルの中でも、一際強い存在感を放つのがこのモデル。美しすぎる18kレッドゴールドケースにトゥールビヨン・クロノグラフ・レトログラードを搭載したコンプリケーションモデルという贅沢な仕様となっています。
トゥールビヨンは中央の軸だけでトゥールビヨン機構を制御するフライングトゥールビヨンを搭載。その美しさは時計愛好家の心を射止めました。
また、レトログラード秒針・クロノグラフ秒針には繊細に温度で焼かれたブルースティール針が採用されており、シルバーメッキで仕上げられた文字盤との見事なハーモニーを楽しむこともできます。
トゥールビヨン停止機構
トゥールビヨンに関して、もう一つ注目したいのがこのモデルに搭載されている「トゥールビヨン停止機構」です。
出典:https://www.iwc.com/ja/collection/davinci/IW3931/
トゥールビヨン停止機構は新設計のレバーシステムによって「時間を合わせる時にトゥールビヨンを止める機構」なのですが、このダ・ヴィンチはIWCの繊細な技術設計により、一秒のズレもなく時刻合わせをすることを可能としました。
まるでレオナルド・ダ・ヴィンチの芸術品のような仕上がりとなった2017年の新作モデルは、IWCに新たなる風を運んでくれるに違いありません。
まとめ
永久カレンダーを搭載したコンプリケーションモデルとして誕生したIWC ダ・ヴィンチ。流行と共にそのフォルムを大きく変えてきた同コレクションですが、2017年のフルモデルチェンジを期に”初代ダ・ヴィンチ”を彷彿させるラウンド型に原点回帰しました。
ただし、新ダ・ヴィンチは今までのダ・ヴィンチとは一味も二味も違う美しい仕上がりとなっています。時計ファンの一人として、今後ダ・ヴィンチがどのように進化していくのか楽しみでなりません。
当記事の監修者
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。
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