「デイトナ 16520の文字盤はモデルによって違うの?」
「16520のマークダイヤルについて知りたい」
言わずと知れた「キング・オブ・クロノグラフ」ロレックス コスモグラフ デイトナ。
現行のステンレスモデル「116500LN」より2代前となる「16520」ですが、製造時期や製造工場によって文字盤に違いがあり「レアロレックス」と言われるプレミア個体が多く、ミステリアスな魅力で時計ファンを楽しませています。
ところが、バリエーションといっても素人目には気付かないような「え、そこ???」というレベルの微妙な違いばかり。
そんなロレックス デイトナ 16520の文字盤の種類が知りたいという人は多いのではないでしょうか。
デイトナ 16520にはマークI~VIIまで7種類の文字盤が存在します。
この記事ではデイトナ 16520の文字盤の種類を、GINZA RASINスタッフ監修のもと紹介します。
文字盤の違いを見極めるポイントについても解説しますので、ロレックスに興味がある人はぜひ参考にしてください。
目次
ロレックス デイトナ 16520に存在する7種類の文字盤
ロレックス デイトナ 16520にはマークI~VIIまで7種類の文字盤が存在します。
製造年代により異なりますので、年代順にご説明をいたします。
マークI(1988~1989年頃)
最初期モデル。唯一12時側が「段落ち」仕様になっており、インダイヤルは逆6。夜光はトリチウムです。
マークII(1989~1990年頃)
「OFFICIALLY CERTIFIED」の表記が無く、12時側のテキストが物足りない感じがしたら(?)それはマークII。
インダイヤルは逆6、トリチウム使用の「T SWISS MADE T」表記です。
マークIII(1990年頃)
12時側テキストが5列に。また、この頃の個体のみ5列の書体全てが「ROLEX」の書体と同じ「ヒゲ付き」のフォントになっています。製造年数が僅かだったため、個体数が非常に少ないです。また非常に見分けずらいダイアルでもあります。
インダイヤルは逆6、「T SWISS MADE T」表記。
マークIV(1990~1992年頃)
テキストは5列、「ヒゲ」と呼ばれる装飾フォントがブランド名のみとなり、その他の書体はシンプルなものに。
インダイヤルは逆6、夜光はトリチウムで「T SWISS MADE T」。「逆6」最後のバージョンです。
マークV(1992~1994年頃)
ここから正6インダイヤルになります。テキストは5列、夜光もまだトリチウムなので「T SWISS MADE T」表記。
マークVI(1995~1999年頃)
インダイヤルは正6。引き続きテキストは5列ですが、全体的に12時側に寄っています。微妙ですが、「COSMOGRAPH」部分が両側のインダイヤルよりもギリギリ上に位置していれば、マークVではなくマークVI。
そして、「T SWISS MADE T」表記の最後になります。
マークVII(1999年~2000年頃)
最大のポイントは夜光がルミノバに変更され、6時側テキストが「SWISS MADE」表記となっている点。
インダイヤルは正6、テキストは5列で12時側寄りです。
A番後期、P番に存在します。
ロレックス デイトナ 16520 文字盤の違いを見極めるポイント
7種類の文字盤をご説明いたしましたが、全ての条件を丸ごと覚えなくても、いくつかのポイントが分かれば組み合わせで大体の年代が判別できます。
■インダイヤルの「逆6」
文字盤6時側に12時間積算計が配置されていますが、この「6」が逆さまになって「9」のように見えるタイプを「逆6」「逆さ6」等と呼びます。
マークI~IVまでのインダイヤルに見られ、これだけで初期(1988年頃)~中期(1992年頃)の製造であると推測できます。
左:通常 右:逆6
正6インダイヤルになる際に書体も変更され、現行デイトナのインダイヤルに近い少し角ばったフォントに。数字が幅を取るようになったので、3時側インダイヤル(30分積算計)の目盛の数も減っています。
なお、この特徴は16520だけでなく、イエローゴールド×ステンレススティールのRef.116523にも見受けられます。
116523の「逆6」は、F番とD番の黒文字盤に存在するようですが、その詳細は未だ謎に包まれています。
他のシリアルからも逆6が発見される可能性があるので、116523を検討する際には9時位置の12時間積算計をよく確認してください。
現状、プレミア価格などはついていませんが、今後レア文字盤として価値が上がるかもしれません。
■「T SWISS MADE T」表記
6時側にプリントされた「SWISS MADE」の表記が「T」に挟まれているのは、インデックスの夜光塗料にトリチウムを使用している証。1999年頃から夜光がルミノバに変更されるので、A番後期~P番(最終品番)になるとTがなくなり現行と同じ「SWISS MADE」表記になります。
上:T付き 下:Tなし
■12時側テキストの配置や行数
王冠マークの真下に「ROLEX」から始まる4~5列のテキストがプリントされていますが、1988年~1989年代頃に製造された最初期(マークI)のモデルは5列目の「COSMOGRAPH」だけが少し行間を空けて下がった位置に配置されています。
これが通称「段落ち」です。
その後、1989年~1990年製造の「マークII」と呼ばれる文字盤になると、COSMOGRAPHの真上にあった「OFFICIALLY CERTIFIED」が省かれ、ブランド名入れて全部で4列に。
その後「OFFICIALLY CERTIFIED」表記は復活し、以後全てのバージョンが5列表記となります。
そして1995年~1999年頃製造のマークVIダイヤルになると、更に微妙な変化が。
左:マークV 右:マークVI
テキスト自体が、微妙~に12時側に寄っているのがお分かり頂けますでしょうか?
物凄くささやかな違いですが、最後のCOSMOGRAPH表記の位置が3、6時インダイヤルにかかるかどうかで明確な区別が可能です。
以上それぞれの特徴が組み合わさり、7種類のバリエーションとして存在しています。
おわりに
ロレックス デイトナ16520の歴史、いかがでしたか?
ロレックスの戦略ではないかとも言われるマイナーチェンジですが、同じ型番で100~120万円程度のものもあれば、希少な初期型や最終品番付近は現在400万円以上の高値で取引されており、たかがマイナーチェンジとは言えないレベル。
また、ロレックスの製造年はシリアル頭文字で判断されますが、文字盤については経年劣化などにより後年に交換されている場合も多く、シリアルとは合わない場合もままあります。
ちなみに、16520は発表初期にベゼルも数パターン存在しており、文字盤とベゼルの組み合わせで500万円を超える個体も……。
状態の良い個体数は時を経るごとに減っていく中、どこまでプレミア化が進むのか。今後もデイトナから目が離せません。
当記事の監修者
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年