「エクスプローラー214270の魅力って何?」
「エクスプローラー214270について詳しく知りたい」
ロレックスファンにはおなじみの超人気モデル、ロレックス エクスプローラーI 214270。
ロレックス エクスプローラーI 214270は、当店GINZA RASINでも常に売れ筋商品です。
何度も手に取っているうちに虜になり、実際に購入し愛用しているスタッフも。
お客様より最も多くご注文を受け、ご説明するモデルのため「よりよく知りたい」という気持ちもありますが、知れば知るほどその魅力にとらわれてしまうのです。
そんなエクスプローラー214270について詳しく知りたいという人は多いのではないでしょうか。
214270は非常に実用性に富み、デイリーユースにも適しています。
この記事ではGINZA RASINスタッフが、愛機として選んだ214270の魅力についてプロ目線から解説します。
214270の実勢相場についても説明しますので、エクスプローラーの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
ロレックス エクスプローラーI 214270ってどんなモデル?
ロレックス エクスプローラーI 214270は、ブラックダイアルに視認性の高いアワーマーカー、特に3・6・9の大きなアラビアインデックスが特徴的なモデルです。
「エクスプローラー」という名には「冒険者」という意味があります。
その名の由来を含め、ロレックス エクスプローラーI 214270の特徴について解説していきます。
①エクスプローラーI 214270の歴史
エクスプローラーI 214270は2010年にリリースされた、6代目のエクスプローラーⅠです。
そして発売から10年を経てもなお、人気の衰えないモデルです。
そもそもエクスプローラーとはどのようなモデルなのか、最初にご紹介しましょう。
エクスプローラーが誕生したのは、1953年のことでした。この年は、ロレックスでコアなファンを多く持つ、サブマリーナが発表された年でもあります。
エクスプローラーとは「冒険者」という意味。この名前には、エクスプローラー誕生の1953年に成し遂げられた、世界最高峰・エベレスト初登頂が大きく関わっています。
エベレストの登頂を成し得たヒラリー卿率いる遠征隊の一員、テンジン・ノルゲイ氏は、ロレックスのオイスターパーペチュアルを身につけていました
オイスターパーペチュアルは、世界で最も過酷な環境のひとつ、エベレストの頂点を制覇し、無事に戻ってきました。(ちなみにノルゲイ氏がヒマラヤで使用した実機は、今もロレックスで保存されています。)
その偉業と冒険の詳細なデータから、より過酷な環境下でも耐えうる冒険者「エクスプローラー」が誕生したのです。
誕生より70年近くの長きにわたり、エクスプローラーは多くの探検家や冒険家とともに、エベレストをはじめ、北極・南極などさまざまな極限の地を訪れています。
エクスプローラーは1953年に登場してから、2010年に214270がリリースされるまで、6代が発表されています。
・ロレックス エクスプローラー Ref.6610(2代目・1954年)
・ロレックス エクスプローラー Ref.1016(3代目・1963年頃)
・ロレックス エクスプローラー Ref.14270(4代目・1990年)
・ロレックス エクスプローラー Ref.114270(5代目・2001年)
・ロレックス エクスプローラー Ref.214270(当モデル・2010年)
エクスプローラーⅠ 214270は2001年に登場した114270から約10年の時を経て、バーゼルワールドで発表された、期待の新モデル。
そして2021年に最新モデルのRef.124270が登場するまで、10年間ロレックスを支えてきた、ブランドの顔のひとつだったのです。
②エクスプローラーI 214270の特徴
ロレックス エクスプローラーIの6代目として誕生した214270は、エクスプローラーが世に出てから60年近く経過してからのリリースでした。
最大の特徴は、エクスプローラーⅠシリーズ初の39mmモデルで、それまでエクスプローラーⅠのスタンダードだった36mmよりひと回り大きなケースにチェンジしたことです。
時代の流行もあり、大ぶりになったフェイスが爆発的な人気を呼びました。
エクスプローラーⅠの特徴であるメルセデスハンドの大きな短針などは、エクスプローラーⅠの系譜を忠実にたどっています。
エクスプローラーⅠは、4世代目の14270が日本で一度爆発的な人気を博しています。
時代は1990年代。世はバブル末期の華やかなりし頃でした。
4世代目エクスプローラーⅠ 14270を、月9ドラマで木村拓哉さんが着用していたことで、注目が集まったのです。
そしてフェイスが大きくなった6世代目、214270は人気が再燃。エクスプローラーⅠの中でも特に需要の高いモデルとなりました。
ロレックスを多く取り扱う当店でも、発売以来1位、2位という売れ筋ウォッチの王者です。
③ムーブメントCal.3132とは
ロレックス エクスプローラー 214270はムーブメントCal.3132を搭載しています。
1代前の5代目エクスプローラーⅠ Ref.114270には、Cal.3130が搭載されていました。
ムーブメントCal.3132はCal.3130など3100番台のムーブメントの最終進化形態とされています。
3100番台のムーブメントはそれ以前のものと比較し、精度とメンテナンスの容易さをブラッシュアップし、高性能で知られています。
1990年代に登場してから、最新のCal.3200系が世に出るまで長年ロレックスの精度と性能を守り続けてきた3100番台のムーブメントは、縁の下の力持ちでした。
特にロレックスの中でもトップの人気を誇るエクスプローラーⅠ 214270に搭載されたCal.3132は、特筆すべき点が2つあります。
ひとつは、テンプの耐震装置としてパラフレックス・ショック・アブソーバーを装備していることです。
パラフレックス・ショック・アブソーバーは腕時計の精度を保つ要、テンプを守る耐震装置で、ロレックスの落下や接触などの衝撃に対する耐性を最大で5割も高めました。
もうひとつはブルーパラクロムヒゲゼンマイを採用したことです。
https://www.rolex.com/ja/watches/rolex-watchmaking/new-calibre-3255.html
ブルーパラクロムヒゲゼンマイは非常に高い耐磁性を誇り、精度の高さと安定性の向上に大きく貢献します。
さらにもうひとつ。調整機構として搭載しているマイクロステラナットというロレックス独自開発パーツが、メンテナンスの容易さをぐんとアップさせました。
マイクロステラナットは添付の内側に取り付けられている星型ナットで、精度の安定を調整します。
またメンテナンスの際はムーブメントをケースから取り出さなくても、専用の工具でナットだけを回せば調整できるため、精度の高い調整がより簡単にできるようになったのです。
ロレックス エクスプローラー 214270はムーブメントCal.3132を搭載したことで、耐衝撃性能に加え、耐磁性もハイレベルなものとなりました。
パラフレックス・ショック・アブソーバーも、ブルーパラクロムヒゲゼンマイも、長年にわたり研究が続けられてきたロレックスの独自開発技術です。
この2つの技術は、近年のスポーツロレックスが誇る「究極にして至高の実用性」を支えてきた立役者。
Cal.3132は2つの革命的な新技術を初出から搭載していた、非常にハイスペックなムーブメントなのです。
ロレックス エクスプローラーⅠ 214270が10年以上トップを走り続けている理由は、ムーブメントの素晴らしさにもあると言えます。
④知っておきたい。新旧文字盤
ロレックス エクスプローラーⅠ 214270は、2010年に登場してから2021年に最新機種が発表されるまでの間に、マイナーチェンジが行われています。
2016年を境に、文字盤に違いが出ているのです。
エクスプローラーⅠ 214270の新旧文字盤を比較してみます。
上:新型文字盤 / 下:旧型文字盤
2016年までの旧文字盤は、3・6・9のインデックスが、ブラックアウトと呼ばれる「夜光塗料の塗られていない」仕様でした。
しかし2016年からの新文字盤は、3・6・9のインデックスにも、バーインデックスや針と同じようにクロマライト夜光塗料が塗られています。
暗い場所での視認性だけでなく、パッと見た時の視認性も高まりました。
なにより、涼しげなブルーに光るクロマライトは幻想的で美しく、人気があります。
出典:https://www.instagram.com/rolex/
さらにもうひとつ。ロレックス エクスプローラーⅠ 214270は36mmの第5世代から39mmのビッグフェイスに革新されたモデルです。
しかし針は旧モデルの36mm世代と同じものを使用していたため短く、若干バランスの悪さが感じられました。
2016年のマイナーチェンジでは針も39mmフェイスに合わせたサイズとなり、全体のバランスも良く、ますますイケメンフェイスとなったのです。
また細かい点では、旧モデルのバックル中板が艶消し仕上げでロゴにペイントが施されていましたが、新モデルではポリッシュ仕上げとなり、ペイントも消えました。
バックル中板自身の長さも変わります。手首ががっちりとした方でもスムーズに着けられるよう、5mm長くする工夫が施されました。
レビュアーが所有しているエクスプローラーⅠは、新型のものになります。
3年前に購入しましたが、当時は新品個体が並行市場に流通しており、より手に入りやすかったのです。
ロレックス エクスプローラーI 214270を愛用していて良かったこと
今回レビューさせていただいているロレックス エクスプローラーⅠ 214270は2018年に購入したものです。
ちなみに2018年はマイナーチェンジ以降で、新品購入でしたので新型モデルを所有しています。
ピカピカの新品だったロレックス エクスプローラーⅠ 214270も、ワンオーナー3年使用ものになりました。(余談になりますが、時計専門店のスタッフとして勤めはじめ、5年目の節目に自分への記念品として購入しました。)
3年間愛用していると、時計屋として見ていた時とはまた別の、ユーザーとして分かったこともたくさんあります。
そこでロレックス エクスプローラーⅠ 214270を愛用して良かったことを挙げてみます。
①非常に有名で誰でも知っている
ロレックス エクスプローラーⅠ 214270は、何度もご紹介したようにロレックスでもトップの人気を誇ります。
そのため一目見て、誰もが「ロレックスだ」と分かるほど知名度が高い、というメリットがあります。
もちろんロレックスファンなら「エクスプローラーⅠの一番人気があるモデル」とすぐに分かるほど有名です。
時計店のスタッフとしては売れ筋ナンバーワン商品を身につけていることで、お客様との会話のきっかけになりやすいというメリットもあります。
着け心地や使用感なども、実例・実感を交えてご説明できます。
私生活でも「その時計、ロレックスですよね」と声をかけられることが増えました。
ロレックスの知名度、ステイタス性は誰しもが知るところ。
そのため、優れた高級時計を身につけているという矜持が生まれ、自信と振る舞いへの責任感を持てるように思います。
②シンプルで視認性が高い
ロレックス エクスプローラーⅠ 214270は非常にシンプルなデザインです。
エクスプローラーⅡのような数字が入ったスポーツ系ベゼルや、デイデイトのようなフルーテッドベゼルもありません。
ブレスも3連の中心だけポリッシュ仕上げにしたモデルもありますが、エクスプローラーⅠはすべてサテン仕上げです。
文字盤にはロゴと3針があるだけで、大変シンプルです。
大きめのインデックスに、針が長くなった新モデルは、全体が絶妙なバランスでスタイリッシュに収まっています。
シンプルだからこそ、ビジネススーツにもラフなスタイルにも合わせやすく、どんな服装に合わせてもビシッと決めてくれるタイムピースです。
さらに特筆すべきは視認性の高さ。
視界の悪い過酷な土地、エベレストの頂上から北極点・南極点までを踏破するために作られたエクスプローラーⅠは、代々大変シンプルデザインで、視認性に優れています。
特にロレックス エクスプローラーI 214270は、アプライドインデックスの数字部分にも夜光塗料が入ったことで、インデックス自体が白く見え、日中の視認性もアップしました。
デザインのシンプルさと視認性の高さは、究極の実用時計として開発されているスポーツロレックスの在り方そのものとも言えます。
余計なものの一切ないミニマルなデザインだからこそ、バランスの完璧さや素材の素晴らしさがひと目で分かるという点もメリットでしょう。
③ロレックスらしい耐久性がデイリーユースに最適
ロレックス エクスプローラーI 214270は、搭載しているムーブメント、Cal.3132に、最初からハイスペックな新機構を2つ装備しています。
Cal.3132に装備されているのは、前述したブルーパラクロムヒゲゼンマイと、パラフレックス・ショック・アブソーバーです。
ブルーパラクロムヒゲゼンマイはこれまでにない耐磁性で、精度をしっかり守る機構です。
パラフレックス・ショック・アブソーバーは、これまでよりも強い衝撃からテンプを守るための、強靭な耐衝撃機構です。
日常的に腕時計を身につけていると、その手でスマートフォンやパソコン等を操作しなければなりません。
またどんなに気を付けていても、ぶつけてしまったり、衝撃を与えてしまったりすることはやはり起こります。
しかしロレックスらしい耐久性、堅牢度をさらに上回ってくるエクスプローラーⅠ 214270は、極地やヒマラヤではない都会のオフィスで日々起きる戦いにも、充分対応してくれます。
王者の風格を持ちながら、デイリーユースにぴったりという点は、ロレックス エクスプローラーI 214270をおいて他にはない特徴と言えるのではないでしょうか。
④非常に高い精度
ロレックス エクスプローラーI 214270は毎時28,800のハイビートと、ロレックス独自開発のマイクロステラナットで、高い精度を維持しています。
エクスプローラーI 214270搭載のムーブメント、Cal.3132は、クロノメーター認定を受けています。
ロレックス独自開発のムーブメントであり、精度は日差-2秒~+2秒という高精度を誇ります。
クロノメーターの認定基準は日差-4秒~+6秒以内なので、はるかに高い精度ということが分かります。
ちなみに、スイス本国で製造されている腕時計で、クロノメーター認定を受けているムーブメントは、全製造品のうちたった3%前後とされていることをご存じでしょうか。
クロノメーター認定をはるかに凌ぐ高精度を持つロレックスのムーブメントは、時計王国でも極めて少ない、頂点に位置するムーブメントなのです。
⑤充分なパワーリザーブ
ロレックス エクスプローラーI 214270のパワーリザーブは48時間です。
巻き切った状態であれば2日間は動き続けます。
毎日使うデイリーユーザーなら、通勤や仕事中の身動きでもローターが巻き上げるため、止まってしまうということはほぼありません。
仕事のお供の1本としては、充分なパワーリザーブと言えます。
ちなみに最新のCal.3200番台ムーブメントは70時間のロングパワーリザーブですが、48時間も決して短く感じるものではありません。
ロレックス エクスプローラーI 214270を愛用していて気になったこと
ロレックス エクスプローラーI 214270について、あえて気になったこともピックアップしてみました。
あまり気になる点はない、というのが実感です。
しいて言うのであれば、オールSSモデルのためそれなりの重量感はあります。
約136gですが、サブマリーナやシードゥエラーと比較すれば軽いので、慣れれば気になりません。
ここまでの高級腕時計を自分で購入したことは初めての経験だったので、最初の頃はぶつけないよう、傷つけないようにかなり緊張していました。
デイリーユースしているとどうしても擦り傷などは多少ついてしまいますが、もとが非常に堅牢なステンレス製で、内部も頑丈な点がエクスプローラーⅠ 214270の特性です。
やはり慣れてくると、あまり緊張せずに身につけられるようになりました。
ロレックス エクスプローラーI 214270の実勢相場【2021】
ロレックス エクスプローラーI 214270は、2021年に124270がリリースされ、生産終了を迎えました。
生産終了モデルになったことで、2021年現在実勢相場が上がっている状況です。
また新型の124270リリースでエクスプローラーⅠへの注目度自体がアップしたこと、124270は原点回帰で36mmケースに戻ったことなども、実勢相場に大きく影響を与えています。
所有している新型文字盤タイプの中古価格は、120万円台~、アプライドインデックスが夜光ではない旧文字盤タイプでも100万円台~となります。
もちろん個体のコンディションによっても異なってきますが、ワンオーナーで大切に扱い、目だった傷もない現状ではかなりのリセールバリューが期待できるでしょう。
もともとロレックスはリセールバリューが高いブランドで、モデルによっては中古価格が高騰をみせるものも少なくありません。
価格高騰があったモデルは、高騰が落ちついた後も高い買取率を維持することが多い点が、ロレックスの特徴のひとつ。
そこで売却時に損をしにくいということも、ロレックス人気の理由のひとつになっています。
ロレックス エクスプローラーI 214270は勤続5周年を記念して買った思い入れのある品であり、大変気に入っているため、現在売却する予定はありません。
しかし現在は確実に売り時であり、買取をご希望するお客様であれば売却をおすすめすること間違いなしの好機でもあります。
自身も、愛する相棒の売却についてほんの少しだけ悩んだことは、胸の中にしまっておきましょう。
まとめ
ロレックス エクスプローラーI 214270は、ロレックスの人気&売上トップのモデルであり、実際高い精度と強度を持つタイムピースです。
高級時計ですが非常に実用性に富み、非日常の大冒険はもちろんですが、デイリーユースにも最適です。
ブラック文字盤とステンレスボディというシンプルなデザインは、どんなシーンやファッションにもなじみ、使い勝手も最高と言えます。
一生モノの愛機をお探しの方、購入を迷っている方に、自信をもっておすすめできる優れた一本です。
当記事の監修者
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年