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これぞ世界最高級!マニアも唸る高級腕時計ブランド6選
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オメガやブライトリング、そしてロレックスといった定番モデルはもう飽きてしまった。更にはパテックフィリップ・オーデマピゲといった雲上時計ブランドですら、なぜかしっくりこない。そんな時計上級者の方には、限られた時計愛好家だけが知る「マニア向けの高級腕時計」を手に取って見てはいかがでしょうか。
今回紹介する時計は”最高峰の技術”によって手間暇惜しまず作られた真の逸品ばかり。どの時計も生産数が少なく希少価値が高いモデルとなっています。
雲上時計をも凌ぐクオリティーをもつ時計たち。是非この機会にご覧くださいませ。
目次
マニアが唸る高級腕時計 ① ウルバン ヤーゲンセン
ウルバンヤーゲンセンは定番ブランドの時計では満足できなくなった時計マニアが「より高いクオリティ」を求めたどり着く最高峰の時計です。同ブランドは創業者であるウルバン・ヤーゲンセン氏によって1773年にデンマークに設立されました。その歴史は既に200年以上。雲上時計ブラントと変わらぬ歴史を持つ老舗時計ブランドでもあります。
ウルバン・ヤーゲンセン氏が作り出す時計は、厳選された素材だけを使用した「最高級の時計」。手間暇を惜しまず作られた時計のクオリティーはまさに芸術品と呼べるものでした。そして、その名声はすぐに国内に広まり、 デンマーク王フレデリク6世に王室御用達の時計師として迎え入れられるなど、時計技師として輝かしい活躍と実績を後世に残します。
創業から200年以上経過した現在でも「古典的な美しさを備えたケースデザイン」や「精度への拘り」は健在。色褪せることのないその魅力は目の肥えた時計上級者の心すら射貫きます。
また、ウルバンの時計は年間生産数が100本未満というごく僅かなもの。その金額はもとより、手に入れること自体が非常に難しいブランドとしても知られます。
ブレゲの弟子としても知られている
ウルバン・ヤーゲンセンの時計を見ると、どこかブレゲの時計に似ていると感じませんか?それもそのはず、ウルバン・ヤーゲンセンは天才ブレゲの弟子だったからです。ウルバン・ヤーゲンセンの外装、仕上げに対する拘りは師匠であるブレゲ譲り。特にブレゲの特徴であるギョ―シェ彫りを採用した文字盤や針のクオリティーは他のブランドでは考えられないくらい手間をかけて作られています。
ブレゲ針にアレンジが加えられたウルバンの針は時針の円型の穴がブレゲ針と比べて大きくなっていることが特徴。更に分針の円を省くことで絶妙なバランスに仕上げられています。
ウルバン ヤーゲンセン リファレンス3 パーペチュアルカレンダー ムーンフェイズ Up and Down Ref.3
ウルバン ヤーゲンセン リファレンス3 パーペチュアルカレンダー ムーンフェイズ Up and Down Ref.3
小さな工房で手作業により一本ずつ出来上がる針。古いギョーシェマシーンを使ってゆっくりと手彫りされる文字盤。このクオリティの高さは、定評のある現行ブレゲをもってしても敵わないのではないでしょうか。ムーブメントのベースには、多くの名作モデルで使用されるフレデリック・ピゲ社製のCal.71を採用し、自ら開発した永久カレンダーモジュールをのせています。
ウルバン ヤーゲンセン リファレンス1 クロノグラフ トリプルカレンダー ムーンフェイズ Ref.1
ウルバン ヤーゲンセン リファレンス1 クロノグラフ トリプルカレンダー ムーンフェイズ Ref.1
ウルバンヤーゲンセンのすべてのモデルについて共通している特徴に、針やダイアルのクオリティの高さが挙げられます。いずれも自社工房で製作しており、特に文字盤のギョーシェは、古いギョーシェマシーンを使って手彫りされています。当然のことながら量産品とは比べ物になりません。こちらは、トリプルカレンダー、ムーンフェイズ、クロノグラフ機能を搭載したコンプリケーションモデルです。
マニアが唸る高級腕時計 ② H.モーザー
創立者であるヨハン・ハインリッヒ・モーザー氏はドイツに近いスイス北東部の街「シャフハウゼン」の時計一家の生まれ。時計技師であった父の元で時計作りを学び、時計技師としての才能を開花させました。その後、スイスではなくロシアに渡り時計工房を開業。時計技師としては珍しい経歴の持ち主でもあります。
モーザー氏は起業家としても高い能力を備えており、ロシア・スイスのみならず世界各国に販路を拡大。次々と自身が製造した時計を展開し、成功を収め続けました。1848年には故郷・シャフハウゼンに拠点を戻し、時計工場を設立。シャフハウゼンの時計産業に大きく貢献し、世界的な時計産業の街となる礎を作り上げます。
しかし、モーザー氏の没後は会社や工場は売却され、1979年にはついに時計製造から撤退を余儀なくされます。その後、長きに渡り休眠状態となっていたH.モーザーブランドですが、2002年にユルゲン・ランゲ博士らによって遂に現代に復活を果たします。
2005年にはバーゼルワールドにおいて、「モーザー パーペチュアル1」を発表。本格的に時計ブランドとして復帰を遂げました。
完全マニュファクチュールによる時計製造
H.モーザーの時計は高級時計業界の中でもごく僅かしかない「完全マニュファクチュール」。ムーブメントの中で最も製造が難しいとされている「ヒゲゼンマイ」も自社で製造しており、その品質は他社にも供給しているほど信頼されています。
複雑機構時計の製造に精力的に取り組んでおり、トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダーを搭載したモデルも多数ラインナップ。その精度は極めて高く、最高品質の実用時計として真の時計ファンに長く愛されてきました。
出典:https://www.h-moser.com/
最高級の文字盤
H.モーザーの時計には洗礼された上品さがあります。この上品さの秘訣は何といっても「美しい文字盤」です。
出典:https://www.h-moser.com/
モーザーの特徴でもある文字盤のグラーデションは「フュメ」と呼ばれ、多くの一流ブランドを顧客に連ねる名門サプライヤー・フルッキガー社製の素材を採用しています。この最高級文字盤に手作業でカラーリングを施すことにより、モーザーの時計は他社の追随を許さない「美しさ」を放つのです。
H.モーザー パーペチュアルムーン 348.901-013
「パーペチュアルムーン」はダイアル6時位置に優れた月相ムーンフェイズを配置したモデル。ムーンフェイズの魅力を最大限に引き出すため、過度な装飾はせず、シンプルな3針デザインに仕上げられています。ムーブメントには、7日間(170時間)にも及ぶロングパワーリザーブ対応の手巻きムーブメント”HMC348.90″を搭載。その差異は1000年使用でわずか1日とされています。
H.モーザー マユ パラジウム 321.503-009
希少な「パラジウム」を使用したケースが独特な光沢を放つ”マユ パラジウム”。シースルーバックから覗く美しく洗礼されたムーブメントと職人技によって作られたケースシェイプはH.モーザーの高い技術力を証明しています。
マニアが唸る高級腕時計③ ヴィアネイ・ハルター
ヴィアネイ・ハルターは高級オルゴールのルージュ社の本拠地、スイス・サントコアで1993年に創業されたブランドです。からくりオルゴールに使用されていた”オートマタ機構”を組み込んだ特殊モデルを発表するなど、独創的かつ高い技術を誇るヴィアネイ・ハルターは「独立時計師アカデミー」に属したことをキッカケにその名を世界に轟かせました。
2003年にはハリー・ウィンストンと独立時計師による夢の複雑時計を実現するプロジェクト「オーパス」に参加。時・分・秒・日付を全てジャンピング表示する前代未聞の作品を発表し、ヴィアネイ・ハルターの名声を不動のものにしました。
出典:https://www.harrywinston.com/
その後も明るい人柄が魅力のヴァネイ・ハルターはユニークな発想から次々と独創的な時計を展開。中でも潜水艦の窓枠をモチーフとした「クラシック」は精巧なムーブメントが堪能できるような仕組みとなっており、現在も高い人気を誇っています。
ヴィアネイハルター クラシック
ヴィアネイハルターの代表作“クラシック”。潜水艦の窓枠をモチーフにした独特のデザインが特徴で、全体が洗練されたクラシックな形をつくり出しています。裏蓋はスケルトン仕様になっており、サファイアクリスタル製のミステリアスローターをご覧いただけます。
マニアが唸る高級腕時計④ リシャール・ミル
高級機械式時計を超越した「エクストリームウォッチ」をコンセプトとするリシャール・ミル。2001年に設立されたリシャールミルは今までの時計の概念に捕らわれない時計作りを展開し、その未来的なデザインは世界に大きな衝撃を与えました。
リシャール・ミルのコンセプトは「腕時計のF1」。F1のマシンは莫大な資金と最先端の素材、技術、設備を投資して生まれる伝統的なガソリンエンジンを搭載しています。そのエンジンになぞらえ、リシャール・ミルは「全て最高品質のパーツ」を集めた、究極の腕時計を完成させました。
出典:https://www.richardmille.jp/
リシャール・ミルの素材使いの巧さは他のブランドと比較になりません。各パーツにチタン・サファイアクリスタル・宇宙素材など数多くの素材がつかわれており、ネジですらチタン製を採用するほど最高品質に拘っています。
一番驚くべきポイントは「投げても壊れない複雑時計」です。リシャール・ミルは「低負荷」「軽量」という特徴を持ちつつ、「耐久性」を限りなく向上させた”トゥールビヨンモデル”を発表。そして、なんとこの時計は投げても壊れなかったのです。
そもそも機械式時計自体が繊細なモノであり、衝撃を与えると壊れてしまいます。ましては複雑機構を搭載したモデルなら尚更。しかし、その常識を覆したのが「リシャール・ミルの技術」。まさに世界最高峰の技術で作られた究極の時計といえるでしょう。
出典:https://www.richardmille.jp/
気になる価格ですが、エントリーモデルですら1000万を超えるモデルがほとんど。値段も衝撃的です。
現在その価値の高さから”真の成功者が着ける腕時計”として「テニスプレーヤー:ラファエル ナダル選手」「プロサッカー:ネイマール選手」「元バスケットボール選手:マイケルジョーダンさん」など、そうそうたる顔ぶれの著名人やスポーツ選手に愛用されています。
リシャール・ミル RM029 ジャパンレッド RM029JAPANRED
リシャールミル RM029 ジャパンレッド RM029JAPANRED
ベゼルとケースバックにブラックセラミックスを採用した画期的なモデル。全体を黒でまとめることにより、インデックスのレッドが際立ちます。 搭載している自動巻きムーブメントには、ユーザーのライフスタイルに合わせて巻き上げ効率を調整できる「可変慣性モーメントローター」機構が採用されています。
リシャール・ミル オートマチック ラウンド エクストラフラット RM033
リシャールミル オートマチック ラウンド エクストラフラット RM033
リシャール・ミルの最薄モデル「Ref.RM033」。中心軸をはずした小型巻き上げローターをムーブメントに組み込んだマイクロローター機構が採用されたモデルです。直径45.7mmでありながら、その厚さはわずか6.30mm。この極薄仕様を実現したマイクロローターはプラチナ製で両方向巻き上げ方式となっています。
マニアが唸る高級腕時計⑤ フランソワ ポール ジュルヌ(F.P.JOURNE)
現代を代表する天才時計師「フランソワ-ポール・ジュルヌ」。フランソワ-ポール・ジュルヌの魅力は個性と実用性のバランスです。時計は視認性、精度や強度といった時計としての実用性が必要ですが、個性を重視しすぎると、その”実用性”が損なわれることも多々あります。
フランソワ-ポール・ジュルヌは独創的なムーブメントを作る時計師として有名ですが、個性と実用性を両立させる手腕もずば抜けており、どのモデルもバランスよく上品な仕上りとなっていることが同ブランドの特徴です。
その証拠に2002年から2010年まで、ジュネーブ・ウォッチ・メイキング・グランプリにおいて様々な部門賞を受賞。複雑時計でありつつも、実用と信頼性を兼ね備えた時計として世界的に高い評価を得ました。
出典:https://www.fpjourne.co.jp/
マニュファクチュールを掲げているフランソワ-ポール・ジュルヌはムーブメントに18kゴールドを採用していることもポイント。年間生産数は850本程度ですが、その全ての時計に18kゴールドが採用されており、「時計は全てにおいて美しくなければならない」という彼の理想が体現されています。
世界中に多くの愛好家を持つブランドにしてはまだまだ数が限られている”F.P.JOURNE”の時計。時計マニアが持つ時計として最適なのではないでしょうか?
フランソワ ポール ジュルヌ オクタ パワーリザーブ
22金ゴールド製ローターを備えたオクタ・ムーブメントCal.1300は、世界初となる自動巻き120時間パワーリザーブを備えています。F.P.ジュルヌの特徴でもあるオフセンターにセットされたインデックスなど、F.P.ジュルヌの世界観を存分に感じさせてくれる逸品です。
フランソワポールジュルヌ オクタカレンダー
フランソワ ポール ジュルヌ オクタカレンダー F.P.JOURNE
生産本数の少ないF.P.ジュルヌのオクタ・カレンダー。革新的なオートマッチックムーヴメントであるCal.1300、そして洗練された美しいデザインが魅力の逸品です。
マニアが唸る高級腕時計⑥ パルミジャーニ フルーリエ
パルミジャーニ フルーリエは1996年にスイスのフルーリエにて創業された新興ブランドです。
ブランド名ともなっているミシェル・パルミジャーニは、「神の手を持つ時計師」と呼ばれることもある天才時計師。1950年にスイスのクーヴェに生まれ、フルーリエの時計専門学校にて20歳の若さで上級時計師資格を取得したました。
出典:https://www.hautehorlogerie.org/
卒業後は時計メーカーで働き、その後独立。創業当初は時計製造メーカーではなく、アンティーク時計の修復を主に行う会社でした。当時の時計業界はクォーツの台頭により、機械式時計産業の存続が危ぶまれていた時期。そんな時代背景もあり、パルミジャーニ氏はアンティーク時計の修復を行いつつ、自身のオリジナル時計を製作していました。
最も有名な修復の1つがアブラアン・ルイ・ブレゲが1829年に製作したシンパティッククロック(同調時計)で、この時計はあまりの複雑さから修復不可能とされてきたものでしたが、1600時間もの期間を掛けて修復に成功し、大きな注目を集めたのです。
そして90年代に入り機械式腕時計が再び世間から注目されてきたころ、自身の名前と地名のフルーリエを組み合わせて、ブランド「パルミジャーニ フルーリエ」を設立。その技術の高さは大きな話題を集めました。
現在パルミジャーニ フルーリエの時計はムーブメントから外装に至るまでを自社で一貫製造している”マニュファクチュール体制”をとっており、超一流の時計師たちにより最高品質の複雑時計を製作し続けています。
パルミジャーニ フルーリエ カルパグランデ パラジウム PF011128
パルミジャーニ フルーリエ カルパグランデ パラジウム PF011128
「パルミジャーニ・フルーリエ」は一人の時計師が一つの時計を最後の工程まで担当する拘りのブランドです。歴史的建造物などの基礎でもある黄金分割比率を駆使したダイアルデザインは美しい仕上がりとなっています。年間製造数が少なく、とても希少なモデルであることも大きな魅力。
パルミジャーニ フルーリエ カルパトンダ PF012508.01
パルミジャーニ フルーリエ カルパトンダ PF012508.01
ローズゴールドケースとブラウンダイヤルが知的な印象を放つカルパトンダ。6時位置に独特なフォントで描かれたワイドカレンダーと視認性の高いスモールセコンドが配置されています。
まとめ
今回紹介した時計ブランドは知名度こそ高くないですが、どのブランドも「世界最高峰の技術力」を誇っています。そのクオリティーは雲上ブランドすら凌ぐほど。
また、世界中のコアなファンに愛され続けている理由として「希少価値が高い」ということは勿論、「実用性の高さ」も忘れてはいけません。強い個性を放ちつつも「時計」としての本質を忘れない姿勢は、まさに超一流です。
時計マニアがたどり着く最後の時計としても決して不足はありません!是非、一度検討してみてはいかがでしょうか。
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年