良い時計を買いたい。
時計の購入をお考えの方ならば誰もがこのように思うでしょう。
時計は趣味性の高いモノであるため、何をもって良い時計であるかは個人の価値観によって変わります。スポーツウォッチが欲しい人ならば、スポーツウォッチこそが良い時計になりますし、ドレスウォッチが欲しい方はドレスウォッチこそが良い時計となるでしょう。
しかしながら、どんな時計を欲している方にも当てはまる「良い時計」の条件というものは確かに存在します。
今回は機械式時計の購入をお考えの方に是非知っておいて頂きたい良い時計の条件を紹介します。
後悔しない時計選びをしたい方に必見の内容です!
目次
良い時計の条件とは?
良い時計とはどんな時計なのか?その問いには答えが存在しません。
なぜなら良い時計の定義は個人の価値観や好み、そして流行によって変わってしまうからです。
時計は時間を計る計器でありながらもファッションアイテムであるため、流行の影響を大きく受けます。
20世紀はドレスウォッチ全盛期であり、35mm前後の大きさの時計が流行していました。しかし、21世紀に入るとスポーツウォッチの人気が高まり、定番のケースサイズも40mm前後と大型化が進んでいます。
一昔前なら40mmを超えるスポーツウォッチは「デカすぎる、高級感に劣る」と否定的な意見を受けたことでしょう。しかし現代ではどのブランドでも人気の中心的存在となっています。
流行りの時計が全て良い時計であるとは限りませんが、市場において高い評価を獲得している時計であれば「良い時計」と呼べるでしょう。
タグホイヤー カレラ キャリバー1887 クロノグラフ CAR2014.BA0799
しかしながら、流行の時計だからという理由だけで時計を選ぶのは少々雑です。
折角時計を買うのであれば、流行に流されない「真の良い時計」を手に入れたほうが末永く使えると思います。
今回は個人の趣味や流行とは切り離して考えられる「本当に良い時計の条件」を5つほど紹介いたしますので、時計購入の参考に是非ご活用ください。
本当に良い時計の条件① 正確な精度を誇っていること
毎日のように時間がズレてしまう時計は優れている時計とはいえません。正確な時間を刻むことが出来る時計こそ、優れている時計といえるでしょう。
ただ機械式時計の精度は「個体」や「状態」によって大きくバラツキが生じるため、どのブランドのどのモデルの精度が優れているとは一概にはいえません。
そのため、時計を購入される方は時計がクロノメーターであるかどうかを確認すると良いでしょう。
クロノメーターは時計業界では権威でもあるスイス公認クロノメーター規格によって「ムーブメントの精度、即ち時刻の正確性が信頼に足るもの」だと太鼓判を押されたモデルにのみ許された栄えある称号です。
大半のクロノメーターは文字盤に「chronometer」という表記が刻まれているため、一目で優れた精度を誇る時計であることがわかります。
また、クロノメーターの上位規格であるジュネーブシール、カリテ・フルリエ、パテックフィリップシール、グランドセイコー規格も存在し、それらを兼ね備える時計は確かな精度が保証されています。
時計を購入する際にはクロノメーター若しくはそれに準ずる規格をパスした時計であるかどうかを、今一度ご確認ください。
本当に良い時計の条件② 仕上げが美しいこと
正確で視認性が高いモデルはクォーツ時計を探せばいくらでも見つかります。
しかし、繊細で美しい装飾の数々は機械式時計でなければ味わえません。
ケースの仕上げ、文字盤の仕上げ、ベゼルの仕上げ。
機械式時計はあらゆる箇所の仕上げが熟練の職人によって美しく仕上げられています。
そして、この仕上げが美しければ美しいほど優れた時計であるといえるでしょう。
また、時計を選ぶ際には裏側もよくチェックしてみてください。
真に良い時計は息を呑むほど美しく繊細なムーブメントが顔を覗かせます。
画像はムーブメント製造技術においては世界一と称されるランゲ&ゾーネのダブルスプリットセコンドです。
超高級時計ですので極端な例とはなりますが、真に良い時計は一目見ただけでその素晴らしさがわかります。
本当に良い時計の条件③ 視認性に優れていること
時計はあくまでも時間を経過が一目でわかる計器です。
いくらデザイン性に優れていようとも、時間が見づらい時計は真に優れている時計とはいえないでしょう。
勿論デザインは個人の好みが入ってくるので、デザイン最重視で購入することを否定することはできません。
しかし購入してから数年後を考えると、やっぱり見やすい時計を買っておけばよかったと後悔される方も多いです。
デザインの好みは年齢を重ねるうちに変化してしまいますし、そもそも数年間使用していると飽きてしまいます。
結局最後は視認性が重要視されるのです。
視認性はただシンプルであるだけが全てではありません。
文字盤とのコントラストも重要であり、基本的にはコントラストが強い方が視認性が高いモデルとされています。
例えば黒い文字盤に黒い針が配されていた場合。大半の人はその文字盤を見づらいと感じるはずです。
逆に黒い文字盤に金やシルバーの針が配されている場合は見やすいと感じるでしょう。
文字盤を選ぶ際にはコントラストを是非ご確認ください。
また、見やすさだけでなく、風防に無反射コーティングが施されていることも重要です。
無反射コーティングはその名の通り、蛍光灯等の光を反射させなくするコーディングであり、無反射コーティングが施された風防はそれだけで視認性が格段に向上します。
尚、無反射コーティングには下記の2つの種類が存在しますので、覚えておきましょう。
- 内側だけコーティングした風防
- 内側と外側にコーティングした風防
視認性に優れるのは両側にコーティングが施された風防ですが、外側にもコーティングが施された風防はコーティングが剥がれる可能性があります。
内側さえコーティングが施されていれば十分ともいえるので、どちらを選ぶかは好みの問題です。
予算が許すのであれば、是非無反射コーティングが施された時計を選ぶことをオススメいたします。
本当に良い時計の条件④ 重量が軽い
時計は長時間身に着けられることを前提として作られているため、軽さは時計選びにおいて非常に重要なウェイトを占めます。
軽い時計は長時間身に着けていても重さが気にならず、一日中身に着けていても疲れを感じることはそこまでありません。
しかし重い時計の場合は重りを左手にずっと着けている状態と同じになるため、長時間身に着けていると腕が疲れてきます。
軽さを追求すると最後はドレスウォッチに行き着いてしまうのですが、高級時計の世界には多岐にわたる種類が存在するため、自分が求める時計において出来るだけ軽い時計を選ぶことがオススメです。
スポーツウォッチを求める方ならスポーツウォッチの中で軽いモデルを選ぶのが無難ですし、クロノグラフ搭載モデルを選びたい方はクロノグラフの中でも出来るだけ軽い時計を選べば後悔することが少なくなります。
オーデマピゲ ロイヤルオーク 15400ST.OO.1220ST.01
本当に良い時計の条件⑤ 着け心地に優れている
時計の装着感はモデルごとに千差万別であるため、実際に試着をしてみないことには本当に自分に合う時計かどうかを知ることができません。そのため時計を選ぶ際には複数の時計を試着し、装着感の良し悪しを確認する必要性があります。
そして試着する際は下記のポイントも忘れずにチェックしておきましょう。
- 時計の重心のバランスがよいか
- 腕との接触面積
- アレルギーに対応した素材であるか
最も重要なのは時計の重心バランスです。
時計はケースの大きさや重さだけではなく、ブレスレットとの重さの比率によって重心が変わります。
例えばケースが重いのにブレスレットが軽い場合、時計の重心が上がりすぎてしまうため装着感が悪くなります。
逆にケースが軽くブレスレットが重い場合は重心が下がりすぎてしまい、これもまた装着感は損なわれるでしょう。
バランスがよい時計はケースとブレスレットの重みがちょうどよく設計されており、腕によく馴染むようになっています。装着感のよい時計としてはロレックス エクスプローラーが有名ですので、一度これらの時計を試着してみてから他のモデルを装着すると重心のイメージがつきやすいかもしれません。
また、腕との接触面積が少ない時計は安定したフィット感が得られなくなり、時計が頻繁に腕からズレます。
出来る限り接触面が多いモデルを選ばれた方が、ストレスがありません。「フランクミュラー トノーカーベックス」などは曲線を描いたケースによって豊かな装着感が実現されています。
時計の重心やフィット感は勿論のこと、金属アレルギーを持っている方はアレルギーを起こしにくい素材の時計を選ぶ必要があります。
一般的に金属アレルギーの方はステンレススティールケースを身に着けることが出来ないため、プラチナやチタンといった素材を選ぶと良いでしょう。
最終的には自分の用途にあっていることが重要
今回は本当に良い時計の条件を5つほど紹介いたしましたが、最終的には自分の用途に合っている時計を購入することが最も重要です。
事務職の方が仕事用に時計を買う場合は出来るだけ軽いドレスウォッチが適していますし、アウトドアでがっつり時計を使用したい方は頑丈で防水性のあるスポーツウォッチを買うのがベストです。
ただ、如何なる時計を購入する場合でも今回紹介した5つの条件は有効なので、購入に踏み切る際には是非意識してみてください。
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年