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どうして高級時計は高額なの?価格の中身を大解剖!

最終更新日:

エントリーモデルでも10万円台、超高級ともなれば何千万円。一方で一万円に満たないものも・・・。

見た目に大した違いはないのに、どうして時計はこんなにも価格差があるのか疑問に思ったことはありませんか?また、高級時計は欲しいけど、なんだか価格に納得できない。そんな方もいらっしゃるでしょう。

材質、人気動向、ブランド力など時計の価格を左右する要因は多くあります。また、数多のメーカーが並々ならぬ力を入れる「ムーブメント」も大きな要素でしょう。

この記事では、なぜ高級時計は価格が高額になるのか。高級時計の高級たる所以を紐解いてみました。

 

ノーチラス

出典:https://www.patek.com/en/collection/nautilus/5711-1A-010

 

高級時計が高額になる理由①機械式時計だから

高級時計のムーブメントのほとんどは機械式時計となります。

もちろん全てではありませんが、「高級時計が高いのは機械式時計だから」と言うこともできます。

この要素について、解説いたします。

 

価格の中身~機械式時計は使用パーツが多い~

車のエンジンに相当するムーブメント。

機械式ムーブメントはその動力源をゼンマイに、クォーツ式は消耗式の電池と電子回路に拠っています。

グランドセイコー

上の画像はグランドセイコーの時計。左が機械式、右がクォーツ式です。

しかし外見からはその違いはわかりませんよね。

クォーツ式は戦後に開発されたムーブメントで、実用腕時計として初めて世に送り出したのは日本のセイコーでした。
それまで腕時計は非常に高額なものでしたが、量産が可能なクォーツ式は腕時計の価格を大幅に下げ、広く消費者の手に渡るようになります。

また、電子制御のためとにかく正確。1日に10秒程度の誤差が出るのは当たり前の機械式時計に比べ、クォーツ時計は1か月で10秒程度の誤差。
機械式時計が課題として抱えていた「精度」の問題を難なくクリアしました。

安価で機械の組み立てを行わないため薄型なこと、軽量で耐久性にも優れることから実用的なムーブメントと言えます。

もちろんクォーツ式時計でも高額なモデルはありますが、一般的には機械式時計の方が高価格となります。

では、なぜムーブメントが変わるだけでこんなにも高額になるのか。
下の画像をご覧ください。

ムーブメント

出典:https://www.grand-seiko.jp/

外装からではわからなかった動力源、左がクォーツ式で右が機械式です。
ムーブメントを見ると全く異なりますよね。

機械式ムーブメントはその名の通り、全て機械で組み上げられます。
ゼンマイがほどける力によってその動力を得ますが、これには途方もなく細かで多い機械のパーツが必要。

例えばゼンマイの力を伝える機構の他、一定の速度を保つための脱進機機構、時計に精度を与えるテンプとヒゲゼンマイなど、一筋縄ではいきません。

シンプルなものであってもそのパーツの数は100を超えるのです。

当然、使うパーツが多ければ多いほどコストはかかりますよね。それが価格に反映されている形です。

ちなみに一万円程度で購入できる機械式時計もありますが、分解して高級機と比べてみると、パーツ数の違いに愕然とするかと思います。

 

価格の中身~大量生産が難しい~

パーツの多さに加えて、大量生産が難しいことも価格を高くする大きな要因です。商品の回転率が悪いため、一個一個を高くせざるをえないのです。

詳しく解説します。

機械式時計メーカーは、この細かで多数あるパーツを組み立て、直径5cmそこそこのケースに納めなくてはなりません。
しかも、緻密な設計をしたうえで、です。

きちんとした設計のもと、その設計通りに組立を行わなければ精度に狂いが生じてしまいます。

この設計や組み立てに非常に時間がかかるうえに、高級時計メーカーの時計は「手作業」に拠るところが多いです。

「手作業」でなくては、緻密な製造や装飾加工は行えない、と・・・

 

ランゲ&ゾーネ

出典:https://www.alange-soehne.com/ja/inside-our-manufactory/#first-and-second-assembly/3029

 

なお、時計の聖地・スイスには時計職人養成校がいくつかありますが、「一人前」と呼ばれるには実地で10年は働く必要があるとか・・・

高い技能を持つ職人の確保は非常に難しく、様々なメーカーで頭を抱えています。
その人件費に加え、手作業のため量産が難しい。

機械式時計が高額なのは、まさにその心臓部ゆえのことなのです。

 

タグホイヤー カレラ キャリバー5

 

一方で、こういった時計メーカーの中でも「コスト」削減、量産化に成功したところも存在します。

タグホイヤーやオメガがそういったブランドの筆頭でしょう。

しかしながらこの二社も、「腕時計」という市場では十分高額。それは、やはりパーツ数や設計・組み立てへのこだわり。そして後述する要素の影響は少なくありません。

 


  

高級時計が高額になる理由②品質が桁違いに高い

高級時計の品質は、やはり安い製品とは比べるべくもありません。

高級時計を製造するメーカーの多くは高品質にこだわりぬいています。もちろん、ただ高精度というわけではありません。

品質が桁違い、と言う理由を解説します。

 

価格の中身~高級素材を使用している~

パテックフィリップ コンプリケーション

 

一般に高級時計に分類される製品は、まず間違いなく高級素材を使用しています。18金ゴールドやプラチナはもちろん、ダイヤモンドを始めとした貴石を随所にあしらいます。

それは外装だけではない、ということをご存知でしょうか。

例えばムーブメントのローター。通常はステンレスやメッキ処理を施したもので形成されますが、一部の雲上ブランドはゴールドを使用しています。ちなみにオーデマピゲのロイヤルオークは、22金!シースルーの裏蓋になっているとは言えど、表からは見ることのないそんな場所に!?という驚きを禁じえません。

 

オーデマピゲ ロイヤルオーク

 

さらに、特筆すべきは「高級素材」が貴金属だけに留まらないこと!

例えばステンレススティールは時計に定番の素材で、幅広い価格帯のモデルに使われます。ステンレスって安いイメージですよね?シンクや洗濯機のドラムなんかにも使われています。恐らく「なんでこんなに価格が高いんだ?」という疑問は、「なんでステンレス製なのにこんなに高いんだ?」という思いに集約されるでしょう。

しかしながら、実は安価な時計や家庭用品などに使用されるステンレスと高級時計に使われるステンレスは一味違います

ステンレスは鉄が主体となり、ニッケルやクロムなどを合金して硬度や加工性を調整するのですが、その合金の割合などでいくつかの種類に分かれます。

最も一般的に普及し、安価なのが「SUS304」というステンレスです。

そして、高級機に使われているステンレスは、「SUS316L」(SUS316の場合もあり)という、従来のそれより耐蝕性や質感をブラッシュアップさせた高級ステンレスが使われているのです。

 

ロレックス ステンレス

 

そして、そういったものともさらに一線を画すのが、ロレックスのオイスタースチールです。

オイスターはロレックスの独自用語で、自社製品の「牡蠣のような」堅牢性を指し示すものですが、使っているステンレスは「SUS904L」という、同素材の中でも最上級クラスのものです。言ってみればステンレス界のロイヤルファミリーでしょう。

前述のSUS316Lなどより遥かに高い耐蝕性や硬度,安定性を有しているのですが、加工が難しい、という欠点があります。ロレックスはそんなSUS904Lを高い技術力で制することに成功しました。

このように、ただのステンレスがタダモノではない、というのが高級時計の特徴でもあり、価格の秘訣なのです。

 

価格の中身~コストと情熱をかけた製造技術~

オメガ シーマスター

 

高級品は長持ちする、という類の話を聞いたことがありませんか?

例えば合成皮革でできたものより、選び抜かれた上質な革で、職人が丁寧に縫製したバッグの方が持ちがいいですよね。高級時計にも同じことが言えます。

高い設計能力と製造技術で、品質の高いものを作る。先ほど機械式時計のところでお話させていただいた「パーツが多い」「大量生産が難しい」ことに加えて、良い素材や良い技術,良い人材を投資することによって、末永く愛用していけるものを連綿と作り続けているのです。

実際、多くの高級ブランド品は使い捨てではなく、手入れをしつつ長持ちさせることが前提に作られています。

当然ながら、こういった高い品質のものを作るにはコストがかかります。その分が反映されて、価格が高くなりがちなのです。

ちなみにこれはクォーツ式にも言えることです。タグホイヤーやオメガなどデイリーユースのブランドからオーデマピゲやパテックフィリップ(パテックフィリップはほとんどがレディースでのラインナップとなります)など雲上ブランドもクォーツ式時計を生産していますが、やはり低価格帯商品とは品質が違います。

 

パテックフィリップ ノーチラス

 

もちろんただ「高い」だけでは終わらないのでご安心ください。

高級時計メーカーの多くは購入後のアフターサービスを充実させています。

しかも近年、より手厚くなる傾向が見られているのです。

その最も顕著なエピソードは、各社で続々と「保証期間」を延長していること。

例えばロレックスやオメガ、ブライトリングやリシャールミルなどは、2年~3年が多い期間の中で、5年保証とずば抜けたアフターケアを約束しています(メーカーによって条件あり)。

また、延長制度を設けているブランドも少なくありません。

こういったアフターサービスというのは、自社製品の品質への自信の表れと言えます。

もしよく壊れる製品なのに保証を手厚くしてしまったら、余計コストがかかってしまいますよね。

長持ちして、良い品質のものを作る⇒良いものを作るにはコストがかかる⇒コストがかかれば価格に反映せざるを得ない⇒しかしながら、「良いものを作っている」ことは事実だし、自信があるのでアフターサービスを充実できる・・・

こういったサイクルが多くの高級時計の価格の本質的なもののと言えるでしょう。

 

高級時計が高額になる理由③ブランドバリューが高い

ランゲ&ゾーネ

 

「何十億ドルつぎ込んでも、アップルのようなブランドを築き上げることはできない」

これは、故スティーブ・ジョブズ氏が遺した言葉です。

私は、「高級時計(あるいは高級品)の価格が高い理由」のほとんどを、この一言で表せるのではないかと思っています。

そう、高級時計の価格は、ブランドバリューによってその価値を保っています。

そのブランドの時計だから。そのデザイナーが手掛けたモデルだから。こんな価格を越えたバリューがあるからこそ、人は高いお金を出してでも買いたいという欲が出てきます。

 

価格の中身~ブランドバリューとブランドバリューを支える価格~

ロレックス オーデマピゲ

 

「コモディティ化」という言葉をご存知でしょうか。簡単に言うと、品質や製品の特性などは差し置いて、ただ価格だけで商品比較をすることを指します。

しかしながら高級時計は、「コスト」や「価格」だけでは推し量れない価値があります。

例えば全く同じ規格で、似たようなデザインの時計があったとします。でも、それぞれでブランドの歴史や理念、そのブランドの特性が随所に散りばめられていることによって、そのブランドのファンにとっては一方の時計が他とは一線を画すスペシャルな一本となっているのです。

 

FPジュルヌ ユリスナルダン

 

さらに、「商品の値段が高ければ高いほど、それを所有することの価値も高くなる」という言葉もあります。

これ自体はグッチの創業者グッチ・オ・グッチが遺した言葉ですが、経済学ではヴェヴレン効果と呼びます。

例えばロレックスが5万円で売り出し始めたら、その製品そのものだけでなく、ロレックスに対しても疑いの眼差しを向けてしまうものです。「質を落としたのかな?」「人気がなくなったのかな?」と言ったように、ブランドの信頼性が損なわれるでしょう。

このように、高級時計を製造するブランドだから価格が高く、価格が高いから高級時計ブランドたりえる、という、どこかパラドックス的な現象もまた、大きく価格を左右しているのです。

なお、グッチ・オ・グッチは、「価格は忘れても品質は一生もの」「永遠に価値のあるものを創りたい」という言葉も遺しているので、多くの高級時計ブランドは「高級」より先に高品質への熱い情熱を有していたことはおわかりいただけるでしょう。

 

まとめ

高級時計がなぜ高額になるのか。その価格の中身についてご紹介いたしました。

理由としては、

  • ①機械式時計だから
  • ②品質が良いから
  • ③ブランドバリューが高いから

この三つが理由が大きな理由となります。

全ての製品に言えることではありませんが、やはり高いものには価格に見合った・または超えた良さがある。そしてそれを求める需要は決して止まない。高級時計の価格は妥当なものだと少しでもお伝えできていれば嬉しく思います。

ひとくちに高級時計と言っても、様々なブランドの多彩なモデルが存在します。

画像や言葉ではわからない面もありますので、ぜひお気軽にご来店いただき、高級時計の価格の秘密の一端に触れていただければ幸いです。

 

当記事の監修者

南 幸太朗(みなみ こうたろう)

(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ

学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。

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