「ウブロの変わった素材にはどんなものがあるの?」
「ウブロの多彩な素材について知りたい」
「これまでにない時計を作りたい」
その情熱のもと現代の時計業界に舞い降りた異端児・ウブロ。
2005年から展開、大人気を博しているビッグバンを始め、伝統的な時計作りの技術と最先端のデザインをFUSION―融合―させることがウブロの哲学であり、コンセプトとなっています。
ウブロの多彩な素材について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
ウブロの独自素材には、カーボンファイバー、マジックゴールド、キングゴールド、グミアリゲーターストラップなどがあります。
この記事ではウブロならではの独創的で多彩な素材を、GINZA RASINスタッフ監修のもと紹介します。
ウブロのブランドについても解説しますので、ウブロの時計に興味がある方はぜひ参考にしてください。
目次
1.ウブロとは?
日本語で舷窓の意味を持ち、当ブランドのデザインアイデンティティとなっているウブロ。
今や多くの著名人やスポーツ選手、そしてセレブリティから愛され、とりわけヨーロッパ中の王室・王族の愛用者が多いことから「王の時計」と呼ばれることも。
そんなウブロは1979年創業と、老舗の多い高級時計業界の中では比較的新しいブランドです。
イタリア人のカルロ・クロッコ氏によって立ち上げられ、創業翌年のバーゼルワールドで時計界にデビュー。
ウブロの処女作は、貴金属(ゴールドやステンレススティール)のケースにラバーベルトを組み合わせるという、これまでの高級時計の常識を覆すもので、時計界に決して小さくはない衝撃を与えました。
「これまでにない時計を作りたい」というカルロの情熱そのものと言えます。
当初この衝撃作は万人受けするものではなく、長年ニッチの域を出ないでいましたが、「時計界のスティーブ・ジョブズ」と名高いジャン・クロード・ビバー氏が2004年にウブロのCEOに就任。
翌年からジャンが打ち出した「ビッグバン」シリーズは、ウブロらしく、それでいてメディアを上手に活かした戦略で瞬く間にヒットを飛ばします。
この「ウブロらしさ」がビッグバンの何よりのコンセプトですが、中でも伝統的な高級時計と異素材とのFUSION―融合―に、その多くの比重が置かれています。
ラバーのみならず、ウブロ独自の開発によってデザイン性や耐久性を高めた素材を多く展開してきました。
2.ウブロのユニークな素材の数々
ウブロはデビュー当初はラバーを中心とした素材を扱ってきましたが、ビッグバンのヒットにより資本力を高め、マニュファクチャリングを確立。
異素材はウブロ哲学の根幹として、今やベルトのみならずケース・ベゼルなどの様々な組み合わせを用いた商品デザインや、ウブロ独自のユニークな新素材を研究・開発しています。
①カーボンファイバー
左から ビッグバン ウニコカーボン / ビッグバン フェラーリ セラミックカーボン / キングパワー オーシャノ グラフィック 1000 カーボン
カーボンとは、元素の一つである炭素(元素記号C)のこと。
アクリル繊維やピッチ(石油、石炭、コールタールなどの副生成物)を幾度にもわたり高温で熱し、酸化・炭化させて作った繊維をカーボンファイバーと言います。
最大の特徴は、「軽いのに金属よりも硬い」こと。
1950年代、非常に高度な耐熱性を要するロケット噴射口の材料として用いられたことから、注目を浴びました。
その後、ゴルフや釣りなどのアウトドア用品や航空機などにも使用されるように。
出典:https://www.hublot.com/ja/craftsmanship/materials
現代では一般的なカーボンファイバー。実はその加工の難しさやコストの高さなどからあまり流通せず、ましてや時計に使用することは考えられませんでした。
しかしウブロは実用時計として高い耐久性・耐熱性を持つことに着目し、ケース全体に採用するという大胆な試みに出ます。
他の異素材同様、見事大ヒットを飛ばしました。
実際時計をたくさんお持ちのお客様から、日常時計として最も気を遣わないで使用できるというお声を頂いております。
②マジックゴールド
2011年末、またもやウブロによって時計業界に衝撃が走りました。
時計メーカーがムーブメントのみならずケース素材を開発してしまったこと、そして世界初・世界唯一の傷つきづらい18Kゴールド合金が誕生したことに対して、です。
それが、「マジックゴールド」。
高級時計にゴールドを使用することは一般的でしたが、やわらかく傷がつきやすいため、実用時計としては非常に大きなウィークポイントでした。
素材の硬さを示すビッカース硬度という単位がありますが、18Kゴールドが約400、実用時計によく採用されるステンレススチールで最大600程度。
マジックゴールドは、なんと約1000を誇るのです。
出典:https://www.hublot.com/ja/craftsmanship/materials
18Kとして金含有率は重量比で75パーセント、それをセラミックの骨格に流し込むことにより、マジックゴールドはその硬さを以て誕生することができたのです。
他に銅、プラチナなどを含有することも。
マジックゴールドは現在特許を取得しており、スイス貴金属管理局からも18Kゴールドのお墨付きをもらっています。
自社製ムーブメントのみならず新素材まで開発するウブロは、完璧なまでのマニュファクチュラーと言えそうです。
③キングゴールド
左から スピリット オブ ビッグバン キングゴールド セラミック / クラシック フュージョン アエロ クロノグラフ キングゴールド ダイヤモンド / クラシックフュージョン キングゴールド ブルー
マジックゴールド同様ウブロ独自の素材で、やはり18Kであるキングゴールド。
特徴は、その独特のカラーにあります。
ゴールドは様々な色の名を冠せられることがあります。
たとえば、イエローゴールドやピンクゴールドなど。
中でもほんのり赤色を放ち、その格調の高さから古来よりセレブリティのための金細工として使用されていたレッドゴールド。
その赤みをより強くするために銅の配合量を上げ、さらにプラチナを含有した新素材がキングゴールドです。
プラチナを合わせたことにより酸化を防ぎ、ゴールドケースでは避けられない経年による変色が起こりにくくなっていることも画期的と話題に。
出典:https://www.hublot.com/ja/craftsmanship/materials
高級時計としてのゴージャスさだけでなく、いつまでも長く使用できる実用性にも妥協しないウブロらしい素材ではないでしょうか。
④セラミック
左から スピリット オブ ビッグバン ホワイトセラミック / クラシックフュージョン ブラックマジック セラミック / ビッグバン ウニコ ホワイトセラミック ブレスレット
セラミックは優れた硬度を持ち、加工も比較的容易なことから現在では多くの腕時計に採用されています。
例えばシャネルのJ12やオーデマピゲのロイヤルオーク オフショアなど。
しかし、自社生産して、さらに独自の新しいセラミックを開発している稀有な存在はウブロならでは。
と言うのも、セラミックは黒や白が一般的でしたが、ウブロは時計業界初となるレッドセラミックを開発したのです。
これは、原料である白い炭化ホウ素の粉末に赤い色素を交ぜて焼結させたことによるもの。
通常は熱の影響で色素が変色してしまうのですが、焼結の温度を下げ、赤い色調を作ることを実現。
同様に、ブルーセラミックの開発にも成功しています。
出典:https://www.hublot.com/ja/craftsmanship/manufacture
ムーブメントや新素材の開発、そして製造・・・
誕生からわずか30年強にもかかわらず、ウブロが非常に高い技術力を有していることに驚きを禁じえません。
⑤グミアリゲーターストラップ
ウブロ アエロバン スティール パヴェ 311.SX.1170.GR.1704
ウブロ ビッグバン ゴールド セラミック 301.PM.1780.GR
ウブロならではの革新的ストラップ「グミアリゲーターストラップ」。このストラップはレザーとラバーを組み合わせて作られたもので、デザイン性と実用性を見事に兼ね備えました。
装着時に腕にフィットする裏面がラバー、そして表面にはアリゲーター(レザー)を組み合わせて作られていることが特徴となっています。
裏面に使用されているラバーは「ゴム」で作られたベルトで、ウブロの歴史を象徴する素材です。ラバーはしなやかで柔らかい装着感を得られる上に、摩耗や水に強く、革ベルトと異なりちぎれにくいという優れた特性を持ちます。故にラバーストラップはウブロのストラップで最も多く使用されているのです。
そして、トレンドの牽引車として時計業界の常に先を行くウブロはラバーベルトの更なる進化を求め、目に見える表面に高級革素材アリゲーターを使用した「グミアリゲーターストラップ」を開発しました。
グミアリゲーターストラップは、見た目こそ革ベルトに見えるものの、実は腕にフィットする面はラバーという画期的なストラップ。裏面をラバーにすることで、普通は汗ジミに弱い革ベルトの弱点を見事克服しています。
⑥その他合金素材・パラジウムやアルミニウム、チタニウムなど
左から ビッグバン ポップアート スチール アップル クロノグラフ 世界限定200本 / クラシックフュージョン チタニウム レーシング / クラシックフュージョン パヴェ
画期的で革新的な実用時計に、一般的または伝統的な合金素材を欠かすことはできません。
例えばパラジウムはプラチナと同じく白金族元素の一つですが、銀白色なこと、柔らかく硬さの調節が容易なことから、貴金属との合金に採用されています。
また、アルミニウムは鉄と比べて大変軽く、廉価、そして腐食に強い特性を持ちます。
柔らかく傷つきやすいためアルミニウムメインの実用時計は多くはありませんが、独特の質感や色味のためにチタニウムなどと融合し軽くて丈夫な合金が可能に。
こうした素材に関する様々な試行錯誤を経て、ウブロはウブロが自負する「融合の芸術」を生み出し続けています。
まとめ
ウブロは設立当初に経営が振るわなかった時も、世界的な人気ブランドとなっている現在も、新しい融合を生み出し続ける情熱を常に抱いていました。
こうした斬新で挑戦的なコンセプトを持つ時計が功を奏し、比較的高額ながら年々日本での流通量が増え、状態の良い中古品も数多く出回っています。
GINZA RASINでもウブロウォッチの取扱がございますので、ぜひご検討ください。
最後に、素材科学技師のセナト・ハサノヴィッチ氏の言葉で以て終わりに代えさせていただきます。
「何か珍しいものやほかとは違うものが欲しいなら、自分自身で作るしかない」。
当記事の監修者
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。
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