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WEBマガジン, 南幸太朗, ミドルクラスのモデル特集, IWC

時計通に選ばれる腕時計 IWC「ポルトギーゼ」の魅力に迫る

最終更新日:

「IWC ポルトギーゼって何がすごいの?」
「IWC ポルトギーゼのおすすめモデルについて知りたい」

今や時計好きに知らない人は居ない高級腕時計ブランド「IWC(International Watch Company )」

その無駄のないシンプルで洗練された、気品漂うデザイン性の高さから、とりわけ時計好きから支持を得ているブランドです。

中でもIWCを語る上で外せないのが、IWCを代表するフラグシップモデル「ポルトギーゼ」ですが、その魅力について知りたいという人は多いのではないでしょうか。

ポルトギーゼの魅力はシンプルで完成されたデザインです。

この記事ではポルトギーゼの魅力や歴史を、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。

コレクションの紹介もしますので、IWCの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。

IWCの歴史〜スイスの伝統技術と近代工業の融合への挑戦~

IWC ポルトギーゼ・クロノグラフ 青針 IW371446 装着

IWC(インターナショナルウォッチカンパニー)は、今から約150年前の1868年に、アメリカ人のフロレンタイン・アリオスト・ジョーンズによって創設されました。

当時、弱冠27歳だったジョーンズは、スイスの優れた職人達の伝統的な技術と、アメリカの近代的な工業技術を融合した、効率的且つ高品質な時計製造を目指し、海を渡りスイス・シャフハウゼンでIWCを創設しました。

しかし当時のスイスでは、自宅や小さな工房で時計を作ることが主流であったのに対し、近代的な工場で多くの職人が一箇所に集まって作業するジョーンズのスタイルは、スイスの職人達には懐疑的でした。

しかし高品質なIWCのポケットウォッチの評判は瞬く間に広がり、遠く離れた日本でも高級懐中時計の代名詞となる程でした。

 

ポルトギーゼの誕生(1939)


ポルトギーゼの誕生は意外にも
2人のポルトガル人のとある依頼がきっかけでした。

「大型でも構わないので海中時計用の機械を使用して高精度の腕時計を作ってほしい」

そうして試行錯誤の末、1939年にIWCは「ポルトギーゼ」を発表します。

確かな技術力と必然性に裏付けされた美しいデザイン

 

IWC ポルトギーゼ・クロノグラフ 金針 IW371401

“懐中時計用の大きなムーブメント”

“それを補うために極限まで薄くしたベゼルとラウンド型のケース”

“視野性を高める為に採用されたシンプルなアラビアインデックスに、細く立体的なリーフ針”

一見シンプルに見えるポルトギーゼのデザインは偶然の産物ではなく、機能性を追求した結果、必然的に生まれたものでした。
ちなみこの「ポルトギーゼ」という名前はこの2人の「ポルトガル人」に因んで名付けられたものです。

しかし、当時40mmというケースサイズはかなり大型だったことに加えて、スクエア型のケースが流行っていたこともあり、ポルトギーゼに時代が追いつくのはしばらく先のことでした。

ポルトギーゼの魅力を世に知らしめたモデル「ポルトギーゼクロノグラフ」

今でこそ世界中の時計ファンを虜にしているポルトギーゼですが、実は1980年代の初めまでに製造されたのはわずか数百本程度でした。

そして、1998年に発表された「ポルトギーゼ クロノグラフ」でようやく日の目を見ることになります。

このポルトギーゼ クロノグラフは、これまで同様の均整のとれた美しい文字盤に、2つの積算計が搭載されることで、どちらかというと中性的な雰囲気であったポルトギーゼのデザインが、より知性と男性的な雰囲気を感じさせるものになりました。

この完成された時計は、発表されるやいなや世界中でたちまち評判になり、現在もほとんど形を変えることなく世界中の男性憧れのロングセラーモデルとして、確固たる地位を築いています。

また、近年では男性に着けて欲しい腕時計のランキング上位に輝くなど、女性からみても魅力的なこの時計は、正に万人に愛される時計と言えます。

 

ポルトギーゼクロノグラフ

左からIW371445 /IW371446 /IW371447

ポルトギーゼの定番モデル。
シンプルなデザインでありながら、美しい文字盤や立体的な針が、いかにも高級時計といった雰囲気を感じさせてくれます。
青針、金針で迷われるのがこのモデルの通例となっておりますが、「カジュアルなファッションでも映える方が良い」という方は青針を。「より落ち着いた風格」を感じたい方は金針がおすすめです。ケースサイズは40.9mmと程よく大きめのサイズ感です。

 
 

IWCの技術力の結晶 最新自社ムーブメントを搭載したポルトギーゼオートマティック


出典:ttp://www.iwc.com/ja/

 

2000年にIWCが新たに発表したのが「ポルトギーゼ オートマティック」
ポルトギーゼ クロノグラフと比べるとどこかクラシックな優雅さや風格を感じられるこのモデルの特徴は、IWCの技術の結晶である自社ムーブメントが採用されていることです。

1970年初頭に一旦は生産を終了したと思われたIWCの自社ムーブメントが、このポルトギーゼオートマティックで再び採用されたことは、多くの時計ファンに衝撃を与えました。

 

ポルトギーゼの進化を支えるCal.52010


出典:ttp://www.iwc.com/ja/

ポルトギーゼのアイデンティティを感じさせる懐中時計譲りの大きなムーブメントは、2つの香箱を備えることで7日間以上という長いパワーリザーブを実現。またIWCの得意とするペラトン式の巻き上げ機構の採用や、ローターの軸受け、自動巻き機構の一部にほぼ摩耗しないセラミックを採用することで耐久性を飛躍的に高めています。

※ペラトン式
アルバート・ペラトンによって考案された、IWCが特許を持つ独自の巻上げ方式。
巻き上げ効率が高いうえに丈夫で故障も少ない。

 

 ポルトギーゼ オートマチック

ポルトギーゼオートマチック REF:IW500705
REF:IW500705
 

IW500704/IW500701

自社製ムーブメントCal.52010搭載したモデル。ゼンマイは全長900mmあり、7日間ものパワーリザーブを誇ります。シースルーバックから精巧な動きが確認できます。リーフハンドやレイルウェイなどのクラシカルなデザインと、IWCの高い機能を併せ持ったドレスウォッチです。

 

IWCの高い技術力を証明するポルトギーゼシリーズ

 

ポルトギーゼ ミニッツリピーター


出典://www.iwc.com/ja/

“ミニッツリピーター”とは、現在の時刻を音の数や音色で知らせてくれる機能で、時計界の中でもっとも複雑と言われる“世界三大複雑機構”の1つです。
船乗りたちの当直の開始と終了時刻を告げるために使われたこの機能にも、IWCの並々ならぬこだわりがつまっており、複雑なリピーター機構の開発には50,000時間が費やされたといいます。この機構のゴングはすべて手作りで、音の調子や澄み具合に徹底的にこだわりながら、職人たちが多くの時間を費やし、1つずつ入念に仕上げられたものです。

 

ポルトギーゼ  パーペチュアルカレンダー

IW502213

“パーペチュアルカレンダー”とは、月による日数の違いや、4年に1度のうるう年の調整などを自動的に行うカレンダー機能のことです。
このパーペチュアルカレンダーも”世界三大複雑機構”の1つであり、この機構を搭載したモデルは桁外れに高額になってしまうことで知られていました。その理由の1つとして、この複雑な機構を既存のムーブメントに組み込む為にムーブメントを再設計する必要があることがありました。

しかしIWCはそこに一石を投じ、基本ムーブメント部分とパーペチュアル機構を分けて設計する「モジュール化」を推進し、その結果、ムーブメントの再設計の必要がなくなり大幅にコストを下げることに成功しました。この「モジュール化」は今や業界のスタンダードとなり、IWCの功績の1つとなっています。

 

ポルトギーゼ トゥールビヨン

出典://www.iwc.com/ja/

“トゥールビヨン(tourbillon)”とは直訳すると“渦巻き”という意味です。
時計の精度で一番の敵は姿勢差であると言われており、常に同じ姿勢で動いていると部品がたわんでしまったり、注油したオイルが偏ってしまいます。この姿勢差の問題を解決する為に開発されたのがこのトゥールビヨンです。

トゥールビヨンは正確に時を刻むことはもちろん、最大の魅力はその“美しい動き”にあると言われており、キャリッジの回転とテンプの動きの美しさを見ていると時が経つのも忘れてしまうほどの美しさです。

 


トゥールビヨンの複雑で優雅な動きがご確認いただけます。

 

IWCのラインナップ

IWCにはポルトギーゼ以外にも多くの魅力的なモデルが多数存在し、現在6つの商品ラインで構成されているので簡単にご紹介致します。

IWCのダイバーズウオッチの「アクアタイマー

耐磁性に特化したモデル「インヂュニア

パイロット向けのライン「パイロット

古典的なデザインを冠した「ポートフィノ

IWCの最上位ライン「ダヴィンチ

上記にポルトギーゼを加えた6つの商品ラインを活性化の為に、毎年1つ刷新する手法がとられています。

 

IWC Q&A

 

●年齢層は?

ポルトギーゼのシンプルで気品あるデザインは比較的人を選ばず、どの年齢層が付けていても違和感が少ないのではないでしょうか。
ただ、価格帯が比較的高額である点、高級腕時計の魅力を深く熟知した方がポルトギーゼを選ばれる傾向があるため、特に
3040代の方が選択されることが多いです。

●夏場の使用はどうする?

フォーマルからカジュアル、年代も分け隔てなくお使い頂けるポルトギーゼですが、唯一苦手としてるのは夏場の使用ではないでしょうか。

ポルトギーゼのほとんどのモデルが汗や湿気に弱い革ベルトタイプなので、汗をかく夏場の装着は避けたほうが無難です。
また、防水性能も
3気圧防水と、防水性は決して高いと言えないので注意が必要です。

とはいっても「1年中つけたい!」という生粋のポルトギーゼファン為に、ここでは3つ対策を考えてみました。

1.ベルトを革以外に変える

ポルトギーゼに一番似合うのは言うまでもなく革ベルトですが、苦肉の策としてステンレスやラバー製のベルトに付け替えてご使用されている方もいらっしゃいます。

中にはIWCの別モデルである「ポートフィノ」で別売りされているミラネーゼブレスを、ポルトギーゼに装着サれている方もいるようです。

ポルトギーゼの雰囲気に合うものを見つけるのは大変かもしれないですが、似合うベルトを探すのも楽しいかもしれません。

 

2.状況によって使い分ける

当然のことかと思われるかもしれませんが、状況によって使い分けることで汗や湿気は十分に対策できます。

お仕事がオフィス内等の涼しい環境であれば、比較的汗をかくことも少ないでしょうし、もし汗をかいてしまったらこまめに拭いてあげるだけでも革へのダメージは大きく減らせます。
もし外出が多い日や、外でのお仕事の場合は、別途代わりの時計を用意し使い分けるのが無難でしょう。

 

3.夏が似合う!ポルトギーゼ「ヨットクラブ」という選択

 

エレガントなイメージの強いポルトギーゼですが、よりスポーティな「ポルトギーゼ・ヨットクラブ」という選択肢もあります。6気圧防水と他のポルトギーゼシリーズより高い防水性能を持ち、ラバーベルトが標準の仕様となっているので夏場も使いやすいです。また、スポーティーな雰囲気を持ちつつも、ポルトギーゼ特有の高級感は他のモデルを凌ぐほど高いのもポイントです。

ポルトギーゼ ヨットクラブ

 

IW390502

43.5mmにダウンサイジングしたNEWモデルです。ムーブメントにはフライバック機能付きCal.89361を搭載。1/4秒単位の目盛りが付いた短時間計測のための付属フランジを備え、スポーツの世界で求められる高い性能を実現しています。

 

オーバーホールの料金は?

現在HP等で公式のメンテナンス料金は公表されていないようです。
IWCでは8つの工程からなるメンテナンスサービスと、より細かい16の工程からなる「コンプリートサービス」を提供しています。
以下はコンプリートサービスの料金です。

・ポルトギーゼ クロノグラフ:71,820円

・ポルトギーゼ オートマティック:97,740円

※2017年3月現在の価格。部品交換が必要な場合や、機械の状態によって料金が異なりますので詳しくはIWCに直接お問い合わせ下さい。
IWC://www.iwc.com/ja/service/

美しいデザインには理由がある

IWCはスイス企業ではありますが、本社がドイツ語圏のシャフハウゼンにある為か、ドイツらしい質実剛健な雰囲気と、スイスの伝統美が融合したような華やかさを持ち合わせたブランドです。ポルトギーゼはIWCの中でもそれが顕著なモデルではないでしょうか。

この派手さはなくともシンプルで美しいデザインは、自分の感性を大事にしている紳士にぴったりの時計だと思います。まだお手にとったことのない方は是非一度、この魅力をご自身の肌で感じて下さい。

当記事の監修者

南 幸太朗(みなみ こうたろう)

(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ

学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。

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