「日本の高級時計ブランドが知りたい」
「ジャパンメイドウォッチの素晴らしさってなんだろう」
「高級時計ブランド」と聞くと、まず海外メーカーの名前が挙がるのではないでしょうか。
しかしながらニッポンの時計メーカーも忘れてはいけません。
日本の高級時計ブランドについて知りたいと思っている人は多いのではないでしょうか。
グランドセイコーなど発売当時からスイスの有名メーカーと肩を並べる高度な技術がありました。
この記事では日本発の高級時計おすすめモデルをGINZA RASINのデータをもとに紹介します。
各ブランドの歴史や特長についても解説していますので、日本の人気時計ブランドが知りたい方はぜひ参考にしてください。
目次
日本の高級時計ブランド①グランドセイコー
メイド・イン・ジャパンの高級時計を代表するのが、グランドセイコーです。
誕生は1960年。当時から「世界に通用する国産最高級時計の製造」を掲げると同時に、時計本来の価値である「精度」「性能」への追及に力を入れてきたブランドとなります。
そのブランドコンセプトは、「実用時計の最高峰」「最高の普通」。ここが、海外製とは違ったニッポンの独自進化であり、真価です。
グランドセイコーは1960年発表の初代モデルからして、既にスイス クロノメーター規格に匹敵する社内検定を経て製品化されたものでした。
クロノメーター規格とは。スイスの時計に関する工業規格の一つです。あらゆる産業が急速に発展していた1950年~1960年代というのは、高精度時計へのニーズが飛躍的に高まっていました。そのため、各国メーカーでクロノメーター認定機となることが一つの命題でした。クロノメーター=高精度の証として捉えられていたためです。
ちなみに当時のクロノメーター認定機として代表的な高級時計が、オメガのコンステレーションでしょう。
そんなクロノメーターに匹敵する高精度時計を、ブランド処女作として発表したグランドセイコーの技術力が、いかに当時の世界を震撼させたのでしょうか。
もっとも、その後すぐにスイスから「クロノメーター規格じゃないのにクロノメーターを名乗るのは・・・」とクレームがつくなどひと悶着あったようですが、当時から既にスイスの有名時計メーカーと肩を並べる高度な時計製造技術を有していたことがわかりますね。
※初代グランドセイコー(画像出典:https://museum.seiko.co.jp/history/company/period2/index.html)
この創業当初からの「実用時計の最高峰」「最高の普通」というグランドセイコーのコンセプトは、今なお同社の強みとなっています。
その強みを表す一つのエピソードとして、グランドセイコーは世界的にも稀有な完全マニュファクチュール体制を敷いている、ということが挙げられます。
時計業界においてマニュファクチュールと言った時、「ムーブメントのパーツ製造からケーシング(ムーブメントを時計に納めること)」を自社で一貫製造するような生産体制を指します。
ただ、定義が曖昧な部分も多く、ムーブメントの主要パーツであるヒゲゼンマイはサードパーティーに依存していたり、一部ムーブメントのみを自社製としていたりするようなブランドでも「マニュファクチュール」を名乗ることができます。
※社外品を使うことでステータスを損なうわけではありません。そもそも各社がこぞって自社開発ムーブメントの競争を加速させ、マニュファクチュールという用語が浸透したのはここ10年ほどです
しかしながらグランドセイコーのように、ヒゲゼンマイを自社製造することはおろか、従来のムーブメントの精度を凌ぐ高性能機を作り、かつ機械式時計の機構そのものにもテコ入れを加えるような「完全マニュファクチュール」ブランドは、世界広しと言えどもなかなかないでしょう。
グランドセイコーはマニュファクチュールのもと、「メカニカル」「スプリングドライブ」「クォーツ」の三つのムーブメントを柱に商品展開を行っています。
詳細は後述しますが、いずれもムーブメント製造を行うだけに留まらず、他社製品とは一線を画す「精度」「性能」を訴求していることが特徴です。
グランドセイコーのムーブメント=高性能というブランド要素を確立しており、一貫して守り抜いてきたブランディングが成功した形となります。
なお、グランドセイコーはあくまで「高級時計」ラインです。
そのため外装も高級機らしいフォルム・仕上げが特徴で、それを象徴するのがザラツ研磨でしょう。
ザラツ研磨は外装研磨の手法の一つで、1967年にグランドセイコーがリリースした「44GS」以来、「セイコースタイル」と呼ばれる同社独自のデザイン定義の一つとなります。
つまり、セイコースタイルには、いつもザラツ研磨が施されることとなります。セイコースタイルは、「精度面ではスイスと肩を並べた。では外装面でも燦然と輝くものとしよう」といった理念の基に誕生しました。
ではザラツ研磨がどのようなものかと言うと、鏡面(ポリッシュ)仕上げを行う前段階で、下地を「超平滑な面」とする研磨です。
グランドセイコーの製品は多くのラインとエッジによって形成されていますが、仕上げの際に角が丸くなってしまうと、ぼんやりとした印象になってしまいます。つまり、デザイン性を損ねてしまうことに繋がりますね。
そこでザラツ研磨を行うことで、歪みがなくキリっとした美しい鏡面仕上げを施し、ひいてはグランドセイコーの製品に美と高級感を備えることとなりました。
また、多面カットによって輝くインデックスやフラットな文字盤等も、セイコースタイルの一つであり、グランドセイコーの外装面での評価の高さに繋がっています。
こういった背景を持つグランドセイコーですが、国内人気が主流で、海外では時計通たちの間での評価に留まっていたことも事実です。
そこで、2017年より母体となるセイコーから独立し、グランドセイコー独自のブランド展開を行うこととなりました。
とりわけ海外進出に力を入れており、欧州やアメリカへ旗艦店の出店や市場開拓を積極的に行う等、販路を広げていっています。
また、2018年10月、アメリカに「Grand Seiko Corporation of America」を設立。これはグランドセイコーの名を冠した世界初となる販売会社で、まだまだ拡大していくアメリカの高級時計市場での販売強化を目指して設立されました。
もはやグランドセイコーは、世界が認めるニッポン発高級時計としての地位を確立していると言えるでしょう。
なお、「グランドセイコー、ちょっとシンプル過ぎない?」「30代・40代には地味じゃない?」そんな風に思っている方もいらっしゃるかもしれません。
確かにグランドセイコーは長年実用時計であることにこだわってきたがゆえに、デザイン的には「ビジネススーツでデイリーユースできる」ことを念頭に置いたデザインが多く、個性的なデザインが溢れかえる現代においては、やや物足りないと思うこともあるでしょう。
しかしながらグランドセイコーでは2017年の独立と同時に、デザインにもテコ入れを開始しました。
シリーズを「ヘリテージ」「スポーツ」「エレガンス」の三つに分け、それぞれでセイコースタイルを崩さず、それでいてターゲットを分けた商品展開をしており、「スポーティーなモデル」「ドレッシーなモデル」「スーツにもカジュアルにも合うモデル」をお選び頂けることでしょう。
グランドセイコーのオススメ①メカニカル
メカニカルは自動巻きや手巻きと言った、昔ながらの機械式ムーブメントのことです。
グランドセイコー メカニカルムーブメントには「9S」と名づけられており、グランドセイコーの基幹ムーブメントとして活躍しています。
いくつかの派生がありますが、最もグランドセイコーらしい機械は「ハイビート」でしょう。
「ハイビート」「ロービート」とは機械式時計の「テンプ」の振動数が速いか遅いかを示したものです。グランドセイコーでは、1秒間に10振動(1時間で36,000回振動)する、至高のハイビートムーブメントがラインナップされています。
このテンプは、機械式時計において精度を決定づけるものとなります。
時計の振り子のように振動することでゼンマイの調速を行い、1秒1秒を正しく刻んでいるためです。
この振動数は速ければ速いほど高精度が出ますが、一方でパーツが摩耗しやすく、耐久面で弱いというデメリットも持ちます。
そこでグランドセイコーでは、独自設計と新素材使いにより、ハイビートと耐久性を両立することとなりました。
ちなみにムーブメントにまつわる機構全てが完全マニュファクチュールとなっております。
メカニカル搭載モデルをいくつかご紹介いたします。
グランドセイコー ヘリテージコレクション マスターショップ限定 SBGH201
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径40mm×厚さ13mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:9S85
防水性:10気圧
定価:682,000円(税込)
昔ながらのシンプルで汎用性に富んだ外装デザインを持ったシリーズが、「ヘリテージコレクション」です。
ザラツ研磨が施されたケース・ブレスレットに、シルバー文字盤がとても映える逸品です。
9Sキャリバーきってのハイビートであるため、文字盤に「HI-BEAT 36000」の文字が刻まれます。
グランドセイコー エレガンスコレクション GMT マスターショップ限定 SBGJ219
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径39.5mm×厚さ13.9mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:9S86
防水性:日常生活用防水
定価:770 ,000円(税込)
GMT機能が搭載された、多機能なグランドセイコー メカニカルです。
しかしながら「エレガンスコレクション」であるため、武骨さは一切なく、とてもドレッシーに仕上がりました。
グランドセイコーのオススメ②スプリングドライブ
スプリングドライブは、セイコー独自機構となります。
簡単に言うと、機械式時計とクォーツ時計のメリットを融合させたもの。
駆動力はゼンマイであるため電池交換の必要がなく、それでいてゼンマイの調速はクォーツに依存するため、クォーツに匹敵する高精度を実現した夢の機構なのです。
また、クォーツは電池稼働のためえてしてトルクが弱く、針が細く貧弱になりがち。
しかしながらスプリングドライブでは駆動力をゼンマイとしているため、太く力強い時分針を備えることができ、高級時計としての風格を備えました。
また、ゼンマイ稼働ということはオーバーホールを行えば半永久的に使い続けていけるというのも、嬉しいですね。
近年のモデルはシースルーバックを採用しているため、その独自機構を見て楽しむのも通でしょう。
現在スプリングドライブはグランドセイコーのハイエンドラインとなっており、特別な存在です。
なお、スプリングドライブ開発時に、「安定した駆動のために持続時間がどうしても72時間」必要で、その実現に多くの時間と人手を費やしました。
こういった背景があるためか、スプリングドライブ搭載モデルにはパワーリザーブインジケーターが文字盤に配されています。
グランドセイコー ヘリテージコレクション マスターショップ限定 SBGA211
素材:ブライトチタン
ケースサイズ:直径41mm×厚さ12.5mm
駆動方式:スプリングドライブ自動巻き
ムーブメント:9R65
防水性:10気圧
定価:946,000円(税込)
チタンを使って、軽量かつ強靭な一本です。
なお、文字盤は純白に仕上げられており、高級感もまた抜群です。
グランドセイコー スポーツコレクション クロノグラフGMT SBGC203
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径43.5mm×厚さ16.1mm
駆動方式:スプリングドライブ自動巻き
ムーブメント:9R86
防水性:10気圧
定価:946,000円(税込)
クロノグラフにGMTを搭載した、多機能な一本です。
定価は100万円近くと高額ですが、それだけの価値があることは間違いありません。
グランドセイコーのオススメ③クォーツ
クォーツも、ただのクォーツで終わらないのがグランドセイコーの強いところ。
「クォーツを超えたクォーツ」と名高い、グランドセイコーの9Fキャリバーは、今や世界中にその名を轟かせています。
クォーツは機械式時計と比べた時、メリットとして「高精度」といったことが挙げられます。
しかしながら一般的なクォーツでも、月に±15秒ほどはズレが生じるもの。
でも、9Fクォーツは、なんと年に±10秒の誤差に抑え込むことに成功しています。
また、スプリングドライブの項でもお話ししたように、クォーツはトルクが弱いという弱点を抱えています。クォーツがどうしてもカジュアル寄りになっているのは、このトルクの弱さゆえに機能を付加しづらかったり、針の自由度が低かったりすることが要因として小さくないでしょう。
しかしながらグランドセイコーは「ツインパルス制御」と呼ばれる独自機構によって、一般的なクォーツムーブメントの2~3倍のパワーを身に着けることに成功しました。
そのためグランドセイコーのクォーツモデルは、針がダイナミックで、高級機らしい存在感に溢れるデザインを有しています。
グランドセイコー ヘリテージコレクション マスターショップ限定 SBGP005
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径40mm×厚さ11.1mm
駆動方式:クォーツ
ムーブメント:9F85
防水性:10気圧
定価:374,000円(税込)
シンプルでいかにもグランドセイコーらしいデザインが魅力のクォーツ搭載モデルです。
グランドセイコーブルーの文字盤が、どんなビジネススーツにもマッチしてくれることでしょう。
グランドセイコー スポーツコレクションSBGV243
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径40mm×厚さ11.8mm
駆動方式:クォーツ
ムーブメント:9F82
防水性:20気圧
定価:330,000円(税込)
GMTを搭載させたクォーツモデルです。
繰り返しになりますが、クォーツの弱点はトルクが弱いこと。そのためクロノグラフやGMTといった多機能を付加させることが難しいのですが、グランドセイコーではついに2018年、実現しました。
時分針と同じように美しいイエローのGMT針が、良いデザインアクセントとなっております。
日本の高級時計ブランド②ザ・シチズン
出典:https://citizen.jp/the-citizen/25th/index.html
2018年に誕生100周年を迎えたシチズン。
グランドセイコーと並んで歴史的に世界レベルの高精度・高性能を訴求してきたブランドで、1962年とほぼグランドセイコーと同時期に、スイス クロノメーター規格相当の「シチズン クロノメーター」を発表しています。
グランドセイコーと同様、世界に「ニッポン産高級時計=高精度・高性能」というイメージを植え付けた立役者と言えるでしょう。
一方でシチズンは「電波時計」「光発電」といったハイテクノロジーがブランド要素の根幹にあります。
また、価格帯もどちらかと言えばカジュアル寄りで、中価格帯の商品がラインナップのメインです。
こういった背景から、「シチズンって高級機を出してるの?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
しかしながらシチズンもまた、ニッポンが誇る老舗時計メーカー。
海外製とはまた違った、それでいて劣らぬ高級機を輩出しています。
シチズンのハイエンドラインとして近年世界中のメディアが取り上げている、ザ・シチズンを本項ではご紹介いたします。
出典:https://www.facebook.com/CITIZENwatch.jp/
ザ・シチズンは、1995年に誕生しました。
前述の通りシチズンのハイエンドブランドとなりますが、特筆すべき点は超高精度なクォーツムーブメントにあるでしょう。
と言うのも、初代ザ・シチズンはクォーツ搭載モデルだったのですが、なんと年差±5秒という驚くべき高精度をひっさげて登場していたのです。
クォーツ式時計の一般的な精度は、月差±15秒~±30秒程度。グランドセイコーの9Fクォーツもきわめて高精度ですが、それをさらに上回るムーブメントをザ・シチズンでは、1995年という段階で生み出していたことを意味します。
この背景からもおわかり頂けるように、ザ・シチズンは「とにかく高精度であること」がブランディングの要となります。
ちなみに前述した「シチズン クロノメーター」後、さらに高精度かつ高級感ある外装を有した「シチズン クロノマスター」が1967年にリリースされています。
このモデルの文字盤に「鷲(イーグル)」がエングレービングされていたのですが、このイーグルマークを使用できるのはザ・シチズンのラインのみです。
出典:https://citizen.jp/the-citizen/25th/25thmodel/index.html
なお、グランドセイコーと異なり、ザ・シチズンのラインナップはクォーツが大黒柱です。「ザ・シチズン オートマティック」という機械式時計ラインも存在しますが、現行では年差クォーツが主流となります。
また、従来の一次電池ではなく、太陽光や屋内照明をエネルギー源とする光発電「エコ・ドライブ」が多くの機械で搭載されています。
「クォーツって、高級時計と言うよりかはカジュアルラインなんじゃないの?」と思うなかれ。
高級クォーツというジャンルは、今や時計業界では一つのアドバンテージです。
グランドセイコーの9Fクォーツしかり。ブライトリングのスーパークォーツしかり。
タグホイヤーやロンジン等、クォーツのラインナップに力を入れている高級時計メーカーは少なくありません。
出典:https://www.facebook.com/CITIZENwatch.jp/
そんな高級クォーツの中でも、ザ・シチズンは一歩先を行っていると言っていいでしょう。
ザ・シチズンのクォーツは、年差±5秒を実現するために、水晶振動子の選別に非常に力を入れています。
クォーツとは水晶振動子のことです。
この水晶振動子は電圧印加されると高速振動を発する特性を持ちます。これを活かして精度取りに使ったのがクォーツ時計となりますが、ザ・シチズンはムーブメント製造の際、この水晶振動子を3か月間寝かせる「エイジング」という工程を経ます。このエイジングを行うことで水晶振動子が安定するのだとか。
さらにエイジングされた個体から上質なものを選別。その後、水晶振動子は温度係数が高いため、温度補正機能が追加されるという徹底ぶりです。
出典:https://citizen.jp/
もちろんグランドセイコー同様、高級感ある外装面へのこだわりも余念がありません。
デュラテクト加工をご存知でしょうか。
これはシチズン独自の表面硬化技術で、金属表面を熱処理によって硬化させるとともに、特殊コーティングを施すことで実現します。デュラテクト加工によって傷つきづらく、それでいて美しさをも兼ね備えることとなりました。
この加工法は、ステンレススティール,ゴールド,そしてスーパーチタニウムに施されます。
スーパーチタニウムはシチズンが1970年に開発したもので、時計業界でチタンを使用する先駆けとなりました。
チタンはステンレススティールより軽量で耐金属アレルギー性に長けているのですが、加工が難しいというデメリットを抱えます。
しかしながらシチズンは長い歴史の中でチタンをメイン素材として使用してきただけでなく、デュラテクト加工を施すことで「実用的な高級時計」に昇華させました。
出典:https://citizen.jp/
さらにシチズンを語るうえで、10年保証を謳っていることも欠かせません。
各時計メーカーは、多くの場合2年~製品の保証期間を設けています。ちなみに前項でご紹介したグランドセイコーは3年です。
近年、時計製造に関する技術も飛躍的に進化したことで、この保証期間を延長するブランドが増えてきました。
例えばロレックスやオメガは5年、カルティエやIWC,パネライといったリシュモン系列は8年といった具合です。
アフターサービスの充実さを一つのブランド戦略としているブランドもあり、往年に比べると長い期間設定がなされるようになりました。
そんな中でもシチズンは、10年・・・これは、自社製品に自信を持っていなくてはできない試みです(ただし、シチズンオーナーズクラブへの加入が必要です)。
こういった上質な製品展開により、ザ・シチズンもグランドセイコーと肩を並べて、グローバル市場に打って出るようになってきました。
世界各地でプロモーションを行うなど盛んな市場開拓を行っており、海外ユーザーをもファン層に組み込んでいます。
そんなザ・シチズンから、2019年に発表された驚きの「年差±1秒」クォーツをご紹介いたします!
ザ・シチズンのオススメ①Cal.0100
出典:https://citizen.jp/
素材:スーパーチタニウム
ケースサイズ:直径37.5mm×厚さ9.1mm
駆動方式:クォーツ(エコ・ドライブ)
ムーブメント:Cal.0100
防水性:5気圧
定価:880,000円(税込)
その他:世界限定各200本
2018年、コンセプトモデルとして懐中時計で発表されたCal.0100。
ただでさえザ・シチズンの年差クォーツには業界人が一目置いていましたが、さらにそれを凌駕する年差±1秒クォーツということで、世界各国のメディアで取り上げられました。
しかもその翌年、限定生産とは言え一大コレクションとして登場したのだから、驚きを禁じえません。
この年差±1秒のCal.0100は、スーパーチタニウム製およびホワイトゴールド製のケースに納められ、バーゼルワールド2019で発表に至りました。
出典:https://www.facebook.com/CITIZENwatch.jp/
Cal.0100は光発電のエコ・ドライブですが、電波時計ではありません。つまり、昔ながらのクォーツムーブメントとして、年に1秒ほどしかズレがない、というきわめて高い正確性を誇っているのです。
このムーブメントは、従来のザ・シチズンの年差クォーツのさらに上をいく水晶振動子が用いられています。
と言うのも、ATカット型と呼ばれる、本来電子機器などで使われる水晶振動子が採用されているのです。
ATカット型水晶振動子は従来のクォーツよりも振動数が高く、年差±1秒を実現しました。一方で消費電力が高く、小型電池しか内蔵できない腕時計への使用は向かないとされてきました。
しかしながらシチズンはパーツ改良を行い、徹底的な省電力を推進。さらにエコドライブにしたことで一次電池に頼らず、常に安定した駆動が可能となりました。
出典:https://www.facebook.com/CITIZENwatch.jp/
こういったムーブメントの進化もさることながら、外装面にこそザ・シチズンの凄みのようなものを感じます。
と言うのも、この新作は一見すると、そんなすごいムーブメントが搭載されているとは思わないほどシンプルだと思いませんか?
非常にミニマルで、文字盤のロゴは「CITIZEN」のみ。前述したイーグルマークすらありません。
アプライドされたインデックス、そしてクォーツには珍しい太く美しい針は洗練されていますが、特にこれといった装飾はありません。
これは、ザ・シチズンが時計の本質を追求し続けてきた歴史の、集大成的な作品だからではないでしょうか。
わかりやすい華美さはなく、どんなビジネススーツにもマッチしやすい汎用性やビジネスマナーを邪魔しない正統性を活かしており、ザ・シチズンが働く大人の男性を対象としたシリーズであることを崩していません。
シンプルゆえに、年差±1秒のすごみも増してくるものですね。
出典:https://www.facebook.com/CITIZENwatch.jp/
とは言え、外装に全く工夫がないわけではありません。
このエッジの効いたケースはクリスタルがモチーフになっており、「技術の結晶」を表現している、とのこと。
立体的であるため、高級機につきもののクラス感は十二分です。
また、デュラテクト加工を施されることによって、美しい輝きを放つこととなりました。
定価はチタン製モデルでも88万円と、シチズン屈指のハイエンドです(ホワイトゴールド製は税込198万円、限定100本生産)。
もちろんその分高い性能や美しさを味わうことができ、メイド・イン・ジャパンならではの高級時計と言えるのではないでしょうか。
2019年は限定生産ですが、今後レギュラーモデルとして量産してくれることを期待です!
ザ・シチズンのオススメ②誕生25周年記念モデル
出典:https://citizen.jp/
素材:スーパーチタニウム
ケースサイズ:直径38.3mm×厚さ12.2mm
駆動方式:クォーツ(エコ・ドライブ)
ムーブメント:Cal.A060
防水性:10気圧
定価:385,000円(税込)
その他:世界限定500本
もう一つ、いかにもニッポンの高級機!と言うにふさわしい、ザ・シチズンの限定モデルをご紹介いたします。
こちらは、2020年にザ・シチズン誕生25周年を祝してリリースされたスペシャルエディションです。
先ほどご紹介したCal.0100搭載モデルとは打って変わって、ゴージャスな文字盤デザインが見事な一本ですね!
これは、日本の伝統工芸を活かしたデザインです。土佐和紙に砂子蒔き(すなごまき)と呼ばれる、金箔・銀箔を粉状にして吹き付けた装飾が特徴で、歴史的建造物のふすまにも用いられてきました。
出典:https://www.facebook.com/CITIZENwatch.jp/
「日本の伝統工芸を時計デザインに活かす」というのは、現在日本時計メーカーの一つのコンセプトとなっております。しかしながらグランドセイコーやカシオが主流で、シチズンではあまりラインナップされてきませんでした。
そんなザ・シチズンが手掛けたスペシャルな25周年記念モデルは、日本の古き良き伝統工芸と上質な腕時計が、上手に融合していますね。
こちらのムーブメントは年差±5秒のCal.A060の搭載となりますが、それでも屈指の高精度であることに変わりはありません。
世界限定500本生産という特別感もあり、ニッポンの高級時計に惹かれる方は、ぜひ手にしてみたい一本ではないでしょうか。
日本の高級時計ブランド③シチズン カンパノラ
出典:https://campanola.jp/index.html
シチズンの高級ラインとしては、ザ・シチズンとともにカンパノラもまた挙げられます。
しかしながら、ザ・シチズンとは大きく方向性が異なります。
ザ・シチズンが年差クォーツへ果敢に挑戦する硬派だとしたら、カンパノラは大人の遊び心溢れるデザイン性が魅力のシリーズ。「時を楽しむ」「日常を楽しむ」「個性を楽しむ」この三点をブランドコンセプトとして、2000年よりシチズンが立ち上げたハイエンドラインとなります。
カンパノラの名前は南イタリア・カンパニア地方に由来します。
当地では紀元前5世紀より、時刻を知らせる教会の鐘が存在していました。この鐘は、共同体に時を知らせ、共有させた時計の黎明と伝えられています。
そんな土地の名前を冠したカンパノラ。
何よりの特徴はブランドコンセプトを体現する、見て楽しいデザインです。
カンパノラにはシチズンならではのエコドライブ搭載モデルや、昔ながらの機械式,あるいはクロノグラフやパーペチュアルカレンダーを搭載したコンプリケーションなど、豊富なバリエーションが存在しますが、そのいずれも楽しくも美しいデザインを有しています。
出典:https://campanola.jp/index.html
このカンパノラのデザインは、「宇宙」と「和」がテーマとなっています。
時計を構成するケースや文字盤はさながら銀河のような多層構造を有しており、そこにムーブメント、そしてデザインの基礎となる文字盤があしらわれます。
そしてドーム型となったサファイアクリスタルガラスから針やインデックスが宇宙を構成する要素としてセッティングされ、カンパノラを眺める時はまるでプラネタリウムを鑑賞するような気持ちにさせられるものです。
さらに仕上げや装飾には、日本の伝統技法が取り入れられています。
その代表格が、漆塗を使った文字盤のモデルです。
漆を何層にも丁寧に塗ることで、きめ細かな美しさを有した文字盤を実現しています。
出典:https://campanola.jp/index.html
このように、一貫したデザインコンセプトによって美しさを維持しているカンパノラ。
さらに前述したデュラテクト加工等によって高級機としてふさわしい風格を醸し出しており、2000年に満を持して登場した時から、シチズンの新たな一面を提示してくれている一大コレクションとなっております。
なお、価格帯はザ・シチズンと同様に、高くなります。定価の幅は20万円台~、機械式ムーブメントが搭載されたモデルだと、100万円を超えるものも。
しかしながらお値段以上の価値があり、カンパノラ人気は国内外で年々増すばかりです。
そんなカンパノラのオススメは、エコ・ドライブ搭載シリーズとコンプリケーションシリーズからご紹介いたします!
カンパノラのオススメモデル①エコ・ドライブ
出典:https://campanola.jp/index.html
ザ・シチズンの項でもご紹介したように、エコ・ドライブはシチズンを象徴するムーブメント機構です。
1976年という早い段階で既に光発電による腕時計を市販化しており、ソーラー腕時計のパイオニアを担いました。
エコ・ドライブは高い感度を持つソーラーセルを文字盤に組み込むことで、太陽光のみならず屋内の比較的弱い照明であっても駆動・充電を可能としています。
一度フル充電することで半年以上の駆動が可能となっており、中には7年間もの持続を実現したモデルもあるほど。
「光源がないと止まってしまう」というソーラー腕時計の定説を覆すこととなりました。
電池交換を必要としないため、サスティナビリティという観点からも有意義な機構と言えるでしょう。
そんなエコ・ドライブが搭載されたカンパノラは、一番人気です。
価格帯も20万円台~とカンパノラの中では手に入れやすく、またエコ・ドライブの利便性を鑑みれば、コストパフォーマンスに優れていると言えます。
カンパノラ 宙叢雲(そらのむらくも)
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径44.6mm×厚さ15.9mm
駆動方式:クォーツ(エコ・ドライブ)
ムーブメント:G910
防水性:日常生活用防水
定価:410,400円
漆塗りが施されたパープル文字盤に、インダイアルがメカニックに配された珍しいカンパノラです。
こちらはエコ・ドライブ搭載カンパノラの処女作として2013年にリリースされました。
ミニッツリピーター、パーペチュアルカレンダー、1/4秒クロノグラフと時計好きには嬉しいコンプリケーションの数々が搭載されているところも見ものです。
カンパノラ 深緋(こきあけ)
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径43.5mm×厚さ14.4mm
駆動方式:クォーツ(エコ・ドライブ)
ムーブメント:Cal.6772
防水性:日常生活用防水
定価:308,000円
「朝焼けの輝き」という意味を持つ深緋(こきあけ)。
こちらも漆塗りによって深みのある赤が表現されました。
ムーンフェイズが搭載されているため、「宇宙」「和」とカンパノラのデザインテーマを心行くまでお楽しみ頂けるでしょう。
カンパノラのオススメモデル②コンプリケーション
出典:https://campanola.jp/index.html
実用時計がメインのシチズンには珍しく、カンパノラには豊富なコンプリケーション(複雑機構)搭載モデルがラインナップされています。
そのため、時計好きにとってはカンパノラを選択する大きな理由になることでしょう。
コンプリケーションとは、その定義は様々ですが、一般的には3針や日付以外の機構が搭載された時計を指します。
人気のクロノグラフやGMTから、さらに複雑なパーペチュアルカレンダーにトゥールビヨン等、時計界には非常に多岐に渡るコンプリケーションが溢れています。
一方でコンプリケーションは使用するパーツが増えるため衝撃に弱かったり、価格が高額になったりする側面があります。
しかしながらカンパノラは、クォーツを駆動力とすることで価格を抑え、かつ機構を簡略化して耐久性を獲得しました。
そんなカンパノラは、見て楽しい、操作して楽しい、着けて安心の腕時計の代表格ではないでしょうか。
カンパノラ408 パーペチュアルカレンダー
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径43.0mm×厚さ16.5mm
駆動方式:クォーツ
ムーブメント:Cal.6704
防水性:日常生活用防水
定価:291,600円
あらゆるインジケーターが整然と並ぶこちらのモデル。
年・月・日・曜日・時・分・秒・24時間を8本の針で表示するシステムとなっております。
さらに特筆すべきは、文字盤に大きい部分を占める「年表示」機能。これは、世界的にみても大変稀有な機構です。12時位置付近に描かれた螺旋が年表示のスケールとなっており、なんと2099年まで表示します。
カンパノラ コンプリケーション 紺瑠璃(こんるり)
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径38.0mm×厚さ16.2mm
駆動方式:クォーツ
ムーブメント:Cal.6771
防水性:日常生活用防水
定価:286,000円
ミニッツリピーター、ムーンフェイズ、パーペチュアルカレンダー、クロノグラフという4大複雑機能を搭載した、見事なグランドコンプリケーションです。
屈指の充実した機能を持つクオーツウォッチは、時計ファン垂涎。
また、ダイヤルには日本の伝統技法である「色漆」の技法が用いられており、吸い込まれるような美しさをも備えました。
日本の高級時計ブランド④ミナセ
出典:https://www.minase-watches.com/
「100年後も語られる日本の時計に」
そんなブランド理念を持つ、ミナセをご存知でしょうか。
秋田県皆瀬村(みなせむら)に時計工房を構えている時計ブランドで、機械のパーツや切削工具の製造・販売を行う協和精工が2005年にスタートさせました。
「なぜ、機械や工具の会社が時計ブランドを?」と思うかもしれません。
しかしながら協和精工は1973年から時計の外装事業に着手し、OEM(original equipment manufacturer:他社へ製品の一部または全部を供給する企業のこと)としても名を馳せてきた歴史があります。
1990年代からは時計製造も開始し、2005年に「自分たちの理想の時計を作ってみよう」として設立されたのがミナセなのです。
出典:https://www.minase-watches.com/
そんなミナセは、メイド・イン・ジャパンの魅力の一つである、ものづくりへのクラフトマンシップを非常に大切にしたブランドであることが特徴です。
理想の時計のために実践している職人技の数々は、驚愕に価するほど徹底的にこだわりぬかれています。
そんなミナセが、いくつか時計製造の信条にしている「こだわり」があります。
まず、「MORE構造」「ザラツ研磨」「ケースインケース構造」。
これらは、熟練した職人たちの手作業ならではの精密・精緻な外装づくりに欠かせないスタイルであるとしています。
MORE構造とは、Minase Original Rebuilding Equationの略称で、「ミナセ独自の再生方式」という意味です。
日本の伝統工芸である組木細工から着想を得た工法で、全ての外装部品を分解できる仕様としたことが特徴です。
つまり、部品それぞれだけで交換が可能なため、メンテナンスしやすく末永く使うことに非常に適しています。
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また、ザラツ研磨はグランドセイコーの項でもご紹介した通り、きわめて精緻な外装の鏡面仕上げを指します。
これまた熟達した職人たちが専用機械によって施す難易度の高い技となりますが、ミナセは「最も得意とする工法」と自負しています。
ミナセではケースの14面に加えて、文字盤やインデックスにもザラツ研磨を施しているとのことです。
さらにここに「ケースインケース構造」が加わります。
これは、ムーブメント・文字盤・インデックスをケース上に緻密に組み込んだ手法のことで、寸分たがわぬ設計通りに組み込むことで、立体感のある外装を実現したものです。
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その他にも、ケースの鍛造方式や針の形状には並々ならぬこだわりが見せられており、ミナセの作品一つひとつがそれだけで工芸品のように作りこまれています。
これらは、雪深い皆瀬村にて、自社で一貫して行われている、とのことです。
2018年には念願の自社製ムーブメント「キャリバー KT5001」の開発に成功し、その職人魂はますます洗練されていくばかりです。
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ミナセは、グランドセイコーやザ・シチズンと比べると「知る人ぞ知る」といった立ち位置です。
しかしながら近年では海外進出も積極的に行っており、前述した自社製ムーブメント搭載モデル「セブンウィンドウズ」は、スイス ジュネーブの高級時計専門店「ラ・メゾン・ド・オルロジェリー」に出品されました。
ちなみに同店に日本産高級時計が販売されるのは、ミナセが初となります。
なお、安倍晋三首相が2019年のG20大阪サミットで着用していたのことですので、今後日本国内でも、海外でもミナセの名は広まっていってほしいですね!
ミナセのオススメモデル・HiZ(ヒズ)
出典:https://www.minase-watches.com/
ミナセのフラグシップは、HiZ(ヒズ)シリーズです。
これは、日本語の秀(ひいず)に由来していますが、「日出ずる国」が世界に向けて打ち出した渾身の腕時計、という意味もあるそうです。
MORE構造やケースインケース構造等、ミナセのあらゆるこだわりが込められたシリーズで、一本いっぽんんが伝統的なものづくりの情熱で以て作られているとのこと。
美しく精緻な意匠は、既に何本か高級時計を所有している通をも魅了してきました。
日本のものづくりの精神を心行くまで楽しめる高級時計となっております。
ホライゾン
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素材:ステンレススティール
ケースサイズ:横38mm×縦51mm×厚さ11.5mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:ETA2824
防水性:5気圧
定価:320,000円(税別)
角形ケースがきわめて薄く、「どこまでも続く地平線」をテーマにしたというホライゾン。
サファイアクリスタル製のドーム型風防が大きくせり出しており、しかし歪みは無く、美しいラインを描きます。
また、ケースの随所にへこみを持つため立体感が増し、ミナセ特有の高級感と、唯一無二の美しさを獲得しました。
ラバーベルトタイプもラインナップされており、スポーティーに着けこなすことも可能です。
DIVIDO(ディヴァイド)
出典:https://www.minase-watches.com/
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径40.5mm×厚さ12mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:ETA2824
防水性:5気圧
定価:340,000円(税別)
ケースインケース構造による立体感、ザラツ研磨による高級感、そしてMORE構造のメタルブレスレットが活きた、HiZの中でもミナセをよく象徴するモデルがこちらのDIVIDOです。
ミナセが「見る角度によって表情を変える」と称する意匠は、ケース設計や仕上げにあらゆる工夫がなされているためです。
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とりわけラグとケースが分割構造となっており、鋭いインパクトを植え付けることとなりました。
文字盤の雪平模様も美しいだけでなく、光の当たり方で表情を変える秘訣に繋がっています。
日本の高級時計ブランド⑤オリエントスター
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日本産高級時計の歴史を盛り上げてきた名役者として、最後にオリエントスターをご紹介いたします!
オリエントはセイコーエプソンの子会社として1950年に誕生しましたが、2017年に統合されました。統合されたとは言え、オリエントが大切にしてきた理念はそのまま受け継がれており、むしろ近年では積極的に過去のモデルをリバイバルしています。そのため、昔ながらのオリエントファンにとって、ラインナップに目が離せないブランドではないでしょうか。
そのオリエントのブランド理念とは、「機械式時計を手の届きやすい価格で」提供することです。
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オリエントはセイコーやシチズン、カシオには国内シェアで後塵を拝してきましたが、上質な機械式ムーブメントをリーズナブルに提供してきた歴史があり、優れたコストパフォーマンスで多くの男性陣の「ファーストウォッチ」としても活躍してきました。
また、発想が柔軟な点もオリエントを象徴します。
オリエントは他社とは明らかに異なる商品展開を行ってきたことが一つの特徴で、1964年という早い段階でダイバーズウォッチを完成させていたり、時計と豆電球を融合させたり、月に一回の調整で曜日がわかる「万年カレンダー」を開発したりと、個性派路線を突き進んできました。
また、カラーバリエーションが豊富で、その色使いに独創性がこらされているのもオリエントの強みです。
なお、「リーズナブル」とは言え高級ラインもリリースしており、オリエントらしい高性能に高級感ある外装を付加した魅力は絶大。
中でも本項では、オリエントの歴史を作り上げてきたオリエントスターについてご紹介したいと思います。
オリエントスター
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オリエントスターは、輝く星をイメージして1951年に誕生しました。
ちなみに同年は従来の多摩計器からオリエントに社名を変えた元年でもあります。
オリエントのハイエンドラインに当たり、ダイバーズウォッチ等のハイスペックモデルやスケルトンモデル,極上のドレスウォッチモデルなどといった銘品をリリースしています。
とりわけセイコーエプソンに統合された2017年より、いっそう高級時計としての風格を手にすることとなります。
ムーブメントはもちろん外装の作りや仕上げをアップデートし、初めて機械式時計を購入する層だけでなく、30代・40代の、既に機械式時計や高級時計を購入したことがあり、ワンランク上の一本を探している層も取り込むこととなりました。
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現在、オリエントスターのラインは「スケルトン」「セミスケルトン」「ムーンフェイズ」「ヘリテージゴシック」「エレガントクラシック/クラシック」「レトログラード」となります。
いずれもきわめてクラス感溢れるモデルながら、オリエントらしい個性もそこかしこに見られる、傑作機となっております。
オリエントスター メカニカルムーンフェイズ RK-AM0004B
出典:https://www.orient-watch.jp/orientstar/index.php
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径41.0mm×厚さ13.8mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:F7X62
防水性:5気圧
定価:170,000円(税別)
6時位置にムーンフェイズを搭載した、美しいオリエントスターです。
12時位置にはパワーリザーブ、そして10時位置はスケルトナイズされ、見事に端正な顔立ちを実現しています。
ローマンデックスとリーフ針がとても上品で、ビジネススーツにエレガントに着けこなしたい一本です。
オリエントスター スケルトン RK-DX0001S
出典:https://www.orient-watch.jp/orientstar/index.php
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径39.0mm×厚さ10.6mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:48E52
防水性:5気圧
定価:240,000円(税別)
全面がスケルトナイズされた、機械好きにはたまらないこちらのモデル。
文字盤一部を肉抜きするスケルトン仕様は2014年以降、オリエントスターが積極的に採用しているデザインコードですが、全面にわたってシースルーとなることで、全く異なる顔立ちを表現することとなりました。
40mmアンダーのケースサイズと併せて、セミフォーマルシーンにも身に着けていけることでしょう。
まとめ
ニッポンが誇る高級時計5選をご紹介いたしました!
海外製にはない、独創的で魅力的で、日本のものづくりにも通じる精神性のようなものをお伝えできていれば幸いです。
なお、日本国産メーカーとしては、今回ご紹介した以外にもカシオやトゥールーム,GSXなど名ブランドが豊富!
浅岡肇氏や菊野昌宏氏といった独立時計師も存在しており、今後も国産メーカーらは高級時計界で確かな存在感を放っていってくれることでしょう!
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年