時計玄人だけがその名を知るであろう「ラング&ハイネ」。
ラング&ハイネは2001年にマルコ・ラングとミルコ・ハイネによりドレスデンで創設された独立系ブランドであり、少人数の工房ながら部品の95%を自社で開発する本格派のマニュファクチュールです。
今回はラング&ハイネがどんなブランドなのかを解説致します。
ランゲ&ゾーネと並ぶドイツ最高峰ブランドの魅力を是非ご覧ください!
出典:https://www.facebook.com/pg/LangHeyne/
目次
ラング&ハイネってどんなブランド?
ラング&ハイネは時計師家系の5代目マルコ・ラング氏と当時ランゲ&ゾーネの見習工であったミルコ・ハイネ氏の2人によって2001年に作り上げた新興ブランドです。
2002年のバーゼルワールドで華麗なデビューを果たし、世界中にその名を轟かせました。
ただ、僅かその数年後にミルコ氏は工房を去り、現在はラング&ハイネという名を持ちながらも、実質マルコ・ラング氏のブランドとして運営されています。
出典:https://www.lang-und-heyne.de/en/
マルコ・ラング氏は2005年から国際独立時計機関AHCI(独立時計師アカデミー)に加入。自社で針、ケース、ムーブメントの設計・製作を行うマニュファクチュールであることに拘りと誇りを持ち、芸術作品とも言える最高品質の時計を真摯に製造し続けています。
ただ、少数精鋭で工房が運営されていることに加え、細部まで妥協なく仕上げを行う姿勢から、年間の生産数はわずか数十本です。
それゆえに余程の時計好きでなければその存在は知られていませんが、「美しく輝くエナメルダイアル」「ドイツ時計の伝統を重んじるムーブメントのディテール」、「錫を研磨することで作られたスワンネック」など、ラング・ハイネでしか味わうことが出来ない最高級の存在感がそこにあります。
使用される素材は全て高級素材
ラング&ハイネの時計に使われる素材は全て高級素材です。
ケース及び針はイエローゴールド・ピンクゴールド・ホワイトゴールド・プラチナのみが採用され、ステンレススティールやチタンといった素材は一切使われません。
出典:https://www.facebook.com/pg/LangHeyne/
加えて文字盤には何回も高温で焼き付けるエナメルダイヤルが使われており、ラング&ハイネがもつ圧倒的な高級感をより鮮明に引き立てます。
ケースからムーブメントに至るまで、何もかもが煌びやかで美しい。
それがラング&ハイネの時計です。
ラング&ハイネの人気モデル
ラング&ハイネの時計はどれも少数限定生産品であるため、希少価値が高いです。そのため、品質の高さに比例して価格も高価なことが特徴となっています。
定価は200万円を超えることは当たり前であり、500万円以上のモデルも多く存在します。
ゲオルグ
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「ゲオルグ」は美しいスクエアケースが品格をひときわ目を惹くクラシカルなモデルです。
6時位置には特大のオフセンターのセコンドダイヤル。文字盤は絹のように美しいエナメルが採用されています。
一見シンプルなデザインに思えますが、実は至る所に繊細な拘りが隠されています。
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時計を裏返すと、緻密な設計で作られた最上級のムーブメントが姿を現します。
これこそがゲオルグの真骨頂です。
キャリバーVIIと呼ばれるこの手巻きムーブメントは振動数18,000 A/hというロービート設計でつくられており、見た目に反して耐久性があります。
ランゲ&ゾーネを彷彿させるデザインですが、よく見ると全く異なる個性を持ち合わせていることがわかるはずです。
パワーリザーブは約55時間。精度も申し分なく、実用性の高さでも定評があります。
フリードリヒ3世
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フリードリヒ3世は2針にスモールセコンドを配した上品なモデルです。文字盤にはブライト・フロスト仕上げのシルバー、またはガルバニック・ブラックが採用されています。
まるで懐中時計を腕に着けているかのような格調高い仕上がりです。
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ケースバックから覗く手巻きキャリバーVIはまさに小さな建築物です。
このムーブメントは三角形状のブリッジが中央に配されているのが特徴で、繊細な作りではありますが、見た目よりも耐久性があります。
これほどまでに芸術的な美しさを持つムーブメントは他ブランドでは味わうことができないでしょう。
ヨハン
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名前の由来となった人物と同じく、極限までシンプルさを追求したモデルがこの「ヨハン」。時代にとらわれない普遍性がある高貴な一本です。ホワイト・エナメルあるいは、ガルバニック・ブラックシルバーが文字盤に配され、針もスマートなスペード型もしくは、カテドラル針が採用されています。
デザインはフリードリヒ3世に似ていますが、ヨハンの方がよりシンプルなデザインです。
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搭載ムーブメントは手巻きキャリバーI。グラスヒュッテ伝統の3/4プレートを意識したデザインとなっており、ラング&ハイネのモデルとしてはかなりランゲ&ゾーネのムーブメントに近い設計となっています。
振動数 18,000 A/h という耐久性重視のロービート設計はこのモデルにおいても健在。
全てにおいて実用性の高い仕上がりです。
フードリヒ オーギュスト
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19世紀の懐中時計をモチーフに作れたフリードリヒ オーギュスト。3重構造で作られたエナメル・ダイアルの上に細かい彫刻が施されており、唯一無二の存在感を放ちます。
クラシカルな印象のアラビアインデックスに、赤い分表示によって囲まれたレイルウェイ、そしてエングレービングされたゴールドのルイ15世針。
伝統的な美しさを継承したフリードリヒ オーギュストはラング&ハイネの中でも特に人気があります。
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搭載ムーブメントはヨハンと同じ「手巻きキャリバーI」を搭載。ケースバック全体がサファイアクリスタルになっているため、機械の美しさを存分に堪能することができます。
アルベルト
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アルベルトは「モノプッシャー・クロノグラフ」を配したラング&ハイネの複雑機構モデルです。ラング&ハイネならではのクラシックなデザインと最先端の技術が融合することによって生まれたアルベルトは、他のどのモデルよりも気高い存在感に溢れます。
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アルベルトの真骨頂は時計を裏返すことで発揮されます。
シースルーバックを通して見えるキャリバーIV「コラムホイール式クロノグラフ」は1つ1つ職人が全身全霊を込めて作られた細かなパーツの集合体であり、あのパテックフィリップをも凌ぐ美しい仕上がりとなっています。
息を飲むほどに完成されたこのキャリバーIVはまさに美術工芸品と呼べるでしょう。
まとめ
クラシカルな魅力に溢れる格調高い最高品質の時計。それがラング&ハイネです。
オメガやロレックス・ウブロといった名だたる時計ブランドを幾つも所有してきた時計玄人が最後に行き着くブランドであるといえます。
非常に生産数が少ないため、滅多にお目にかかる事はできません。もし見かけたら是非その美しさを味わってみてください。
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年