「人気の腕時計向けレザーブランドが知りたい」
「世界的に有名なレザーベルトにはどんなものがあるの」
腕時計に高級感や大人のおしゃれを添えてくれる革ベルト。
メタルブレスレットに比べて軽く、フィット感に優れるというメリットもありますね。
革ベルトは傷んでしまった時はもちろん、気分やシーンによって交換することもあると思います。
世界三大レザーブランドについて知りたい人は多いのではないでしょうか。
メーカー純正品ではなく、皮革専門ブランドの革ベルトを選ぶ時計好きが多いのは事実です。
この記事では高級時計にふさわしい超一流革ベルトをGINZA RASINのスタッフ監修のもとご紹介いたします。
腕時計の革ベルトの種類についても解説していますので、自分に合った皮ベルトをお探しの方はぜひ参考にしてください。
目次
メーカー純正品ではなく、皮革専門ブランドをおすすめする三つの理由
近年はパネライやカルティエなど、ご自身で簡単にベルトを交換をできるブランドが増えてきました。
ベルトの種類も増えてきているため、替えベルトをメーカーで購入する方もいらっしゃるでしょう。
一方で、皮革専門ブランドも存在し、メーカーと遜色ない高級感・品質で定評があります。
メーカー純正品ではなく、なぜ皮革専門ブランドのベルトをおすすめするのか。
三つの理由をご紹介いたします!
理由①メーカー純正品より安い
メーカー純正ベルトの価格は高いです。
それが、高級時計ともなればなおさら。
高級時計に何十万円もかけたのに、そのうえさらに革ベルトで何万円も・・・なんて、かなりキツイですよね。
しかも、革ベルトは消耗品なので、これから何年も買い続けるとなると革ベルトモデル自体を敬遠してしまうことも考えられます。
その点、皮革専門ブランドのベルトはメーカー純正品と比べてかなりリーズナブル。
ブランドの中には実際に高級時計メーカーから発注を受けているところもありますので、そう考えるとロゴの有無だけで製品は同一、ということになります。
理由②革ベルトのプロが作るため非常に良質
餅屋は餅屋と申しますが、革ベルトを専門に作っているブランドは革ベルトのプロ。
革に対する知識やノウハウに長けており、そのこだわりも並大抵のものではありません。
そのため、品質や革ベルト特有の高級感というのは随一。
メーカー純正品でなくては、と言う方は少なくないかもしれません。
もちろんそのブランドのファンだからとか、資産価値の観点から、という方もいらっしゃるのですが、「サードパーティー(社外品)は品質が心配」という方が意外と多いのです。
でも、ここでご紹介させていただく、名門と呼ばれる皮革専門ブランドであれば、その心配はほとんどありません。ブランドによっては、実際に有名時計メーカーから製造依頼を受けているくらいですから。
理由③種類が豊富
これも皮革専門ブランドだからできることですが、豊富な選択肢の中から好みにあったベルトを選べる、といったメリットがあります。
どうしても時計メーカーは自社製品の規格や雰囲気に合わせたラインナップとなりがち。
その点、皮革専門ブランドであれば、カラーや革の種類はもちろんのこと、バックルや防水性のスペックなどが選べるところもあるのです。
毎年新作を発表していて、専業メーカーならではの「選ぶ楽しみ」があります。
高級腕時計の革ベルトにおすすめ①モレラート
それでは、極上の革ベルトを生産しているブランドをご紹介いたします!
まず、最も有名なモレラートから。
時計愛好家にとってはもはや定番と言える、イタリア生まれのモレラート。
イタリア本国に至っては、全時計宝飾店の約80%でモレラート社製品を取り扱っているほどの愛されっぷりです。
モレラートの魅力はイタリアンブランドらしいデザインやカラーリング、そしてラインナップの豊富さ。
伝統的なクラシカル系、ヴィンテージ系、スポーティー系、カジュアル系など、業界屈指の多様性を誇ります。
モレラートは革ベルトを消耗品ではなくファッションアイテムとして捉え、「時計を着替える」というコンセプトに則って製作に努めていることが所以でしょう。
出典:https://www.morellato.jp/
もちろんこだわりの品質についても語らなくてはなりません。
名門タンナーから送られてきた良質な皮革を職人たちがさらに厳選し、そこから縫製や仕上げ、塗りが施されていきます。
そのクラフトマンシップや高い品質が評価されているのでしょう。
実は、モレラートは多くのスイス時計ブランドのOEM企業なのです!
OEMとはorginal equipment manufacturer、他社ブランド製品を製造する企業を指します。
つまり、モレラートにベルト製造依頼をしているスイスの時計ブランドの革ベルトは、そのメーカーのロゴが入っているだけでモレラートのものと同一!
ロレックスのデイトナやカルティエのパシャに合うベルトなどを、モレラートが製造してきました。
出典:https://www.morellato.jp/
このようにバリエーションも豊富で品質も一流時計メーカーの純正品と変わらない。なのに、時計メーカーのロゴが入るだけで価格は跳ね上がります。
一方モレラートは驚くほどリーズナブル。
カーフスキンやクロコダイル、アリゲーターなど高級皮革を採用しているにもかかわらず、価格帯はほとんどが一万円以下。
中には4,000円~5,000円のものもラインナップされています。
代表的なランナップは、まずフラグシップであるクラシコ1930。
出典:https://www.morellato.jp/
クラシックでオーソドックスなデザインながら、カラーリングが豊富です。
価格帯は4,000円~とリーズナブルなのに、高級感溢れる革ベルトをお楽しみいただけます。
その中でも一番人気は「アマデウス」。ワニの皮革であるクロコダイルやアリゲーターの風合いがどんな時計にも上質感を添えてくれます。
また、手作り感やヴィンテージ感が魅力のマニュファッティ。
出典:https://www.morellato.jp/
革そのものの良さも素晴らしいですが、そこにステッチや型押しなどが施されてり、お手持ちの時計に味わいを加える風合いが魅力です。
スポーツという汗や水に強い人気ラインもおすすめできます。
出典:https://www.morellato.jp/
汗や水に強い人気ライン。
ベースにラバー・表面にはカーフ素材を使用したり、カーフにラバー加工を施したりと、これまで革ベルトは不向きとされていたスポーツシーンに対応するために、専業メーカーならではの工夫をこらしたシリーズです。
革製品のみならずファブリックやナイロン素材のタイプも展開されていますが、リーズナブルゆえ気分やシーンに変えて様々なデザインを楽しむことができますね。
この他にもDバックルなどアクセサリーも製造しており、より腕時計ライフを快適にしてくれるブランドとも言えます。
高級腕時計の革ベルトにおすすめ②カミーユフォルネ
出典:https://www.instagram.com/camillefournet/
次にご紹介するのは、パテックフィリップやブレゲ、ショーメ、ショパールなど、名門時計ブランドにベルトを供給してきた輝かしい経歴の持ち主・カミーユフォルネです。
カミーユフォルネは1945年にフランスはパリで生まれた革ベルトブランド。
元馬具職人であったカミーユ・フォルネ氏が腕時計の革ベルト製造を始め、今では財布やバッグなど多彩な革製品で名を馳せてきました。
そのいずれもまごうことなき一級品。
革ベルト界の最高峰ブランドと言っても過言ではないでしょう。
まず、皮革の段階から厳正なる選定が行われます。
クロコダイルやカーフを始め、アリゲーターやリザード、オーストリッチなど上等な皮革の中から、さらに選定を行うのです。
また、フランス伝統の製造技法を大切に受け継いでおり、クチュール・セリエと呼ばれるサドルステッチという縫製や計算されつくした設計・造形、そして仕上げなど革ベルトの完成までに必要な60以上の工程を熟練した職人の手作業で行われているのです。
出典:https://www.instagram.com/camillefournet/
その完成度の高さや高級感は、もはや時計メーカーのお株を奪うほど。
名門時計ブランド御用達(ごようたし)であることも、納得の技術と伝統、そして職人魂ですね。
カミーユフォルネは、ボルドーやマリーン、グリーンといったカラーリングベルトの開発や、旅行用の時計収納ケース、そしてアビエ(フランス語で着替える)というベルト交換システムを世界で初めて開発しました。
ユーザーがメーカーや専門店に持ち込まず、工具すらなしに革ベルトを交換できるこのシステムが時計界に与えた影響は計り知れません。
このように、腕時計のデザイン性に大きな軌跡を残したという、歴史的に意義深いブランドでもあります。
現在では革ベルトだけでなく、サテンやナイロン、エナメルなどの素材も取り扱っています。
サイズ展開も豊富でDバックル製造などもしており、まだまだ王者の地位は譲りそうにもありませんね。
出典:https://www.instagram.com/camillefournet/
代表的なラインナップとしては、奇抜なデザインやフォルム、などではなく、飽くまでオーソドックスなスタイルが基本となります。
ただ、カミーユフォルネはエキゾチックレザーを初めて革ベルトに採用したブランドです。
エキゾチックレザーとは、牛や馬、豚など家畜として飼育される動物から採れる皮革ではなく、ワニやトカゲ、ヘビなど希少動物の皮を指します。
素材には独特の模様があることがほとんどで、カーフなどとはまた違った味わい深さを持ちます。
そのため、カミーユフォルネではシンプルに動物名が商品に冠されており、リザードやクロコダイル、アリゲーターなどのエキゾチックレザーから、カーフやトリヨン(牛革)などをレギュラーコレクションで豊富にラインナップ。
カラーリングも豊富で、オーソドックスながら多彩なバリエーションを楽しむことができます。
出典:https://www.cfjapon.co.jp/products/detail/323
こういったレギュラーコレクションの他に、限定モデルやアップルウォッチ専用コレクションも展開。
いずれもシーンや年代を選ばない、革ベルトならではのクラシカルでおしゃれなスタイルとなります。
価格帯は1万円台半ばから5万円台と、ちょっと高め。
しかしながらパテックフィリップのような雲上ブランドと同等の革ベルトとなるわけですから、値段に見合ったものであることは間違いありません。
高級腕時計の革ベルトにおすすめ③J.Cペラン
出典:https://www.bracelet-perrin.com/en/
カミーユフォルネ同様、フランスメーカーであり、高級革ベルトとして同社と並ぶのがJ.Cペラン。
正式名称はジャン・クロードペランです。
1984年の創業以来、革ベルトを腕時計の付属物ではなく、「自分らしさ」と「ランクアップ」に位置づけてきました。
「革ベルトこそ最もおしゃれなコーディネートアイテム」とまで豪語しています。
そんなJ.Cペランであるから、使用している素材の種類は170種以上!
ステッチカラーは25色以上と、これだけの組み合わせを用意しているブランドはなかなかありません。
オーダーメイドとはなりますが、名実ともに「自分だけの腕時計」を獲得することが可能ですね。
もちろんただの量産ではありません。
そこは、カミーユフォルネと並んで語られるほど。
根っからの職人であるジャンクロードペランは手作りにこだわり、類まれな技術とノウハウで革ベルト「創り」を行ってきました。
出典:https://www.bracelet-perrin.com/en/
J.Cペランの革ベルトのフォルムはかなり独特。
クラシカルな趣がありながらも、どこかスタイリッシュ。非常に完成されたフォルムなのです。
J.Cペランもまた、多くの時計ブランドが受注生産をしてきました。
パテックフィリップやヴァシュロンコンスタンタン、IWCにジャガールクルト、フランクミュラーと、有名どころを挙げると枚挙にいとまがありません。
前述のように、J.Cペランの革ベルトはオーダーメイドとなるため、決まったラインナップやコレクションのようなものはありません。
カーフやバッファロー、リザードやシャークなど170種類以上の素材から型、ラグ幅やビジョウ幅、ステッチ、糸色、裏材、エンドピース形状、バネ棒タイプの中からご自分の時計に合ったもの、ご自分の好みなどを反映し、選んでいきます。
価格は素材にもよりますが、オーダーメイドのためどうしても高価格となります。
また、手作業で製作するため、オーダーから出来上がりまで1か月以上かかることが普通とか。
そうは言っても既製品として在庫を抱えている時計店もあります。もちろんオーダーメイドよりリーズナブルに手に入りますので、一度問い合わせてみることをおすすめいたします。
高級腕時計の革ベルトにおすすめ④ジャン・ルソー
出典:https://www.instagram.com/jeanrousseauparis/
カミーユフォルネ、J.Cペランと並んで三大フランス生まれの革ベルトと言えば、ジャン・ルソーを忘れてはいけません。
自社になめし革工場を所有しているという、革製品メーカーとして世界的にみても珍しいブランド。
それだけ原皮の状態から厳しい目を光らせている、こだわりのマニュファクチュールなのです。
製法は伝統的なフランス式。
カミーユフォルネ同様クチュール・セリエと呼ばれる手作業で熟練した職人たちが製造に携わっており、その品質はやはり一級品。
大量生産では出せない細やかさや風合い、手触りを実現しています。
出典:https://www.instagram.com/jeanrousseauparis/
基本的にオーダーメイドとなりますが、ジャン・ルソーは比較的早くお手元に完成品が届くでしょう。
なぜなら、日本国内にジャン・ルソーの認定を受けた日本人職人が常駐しているためです。
ちなみに場所は東京 銀座。
気になるところを相談しながら選択していけるというのは嬉しいところですね。
しかしながら、ジャン・ルソーは数ある高級革ベルトブランドの中でも高価格。
なかなか気軽な買い替え品とはいきませんが、ここぞと言う時のシーンにジャン・ルソーのベルトをしていけば、腕元でフランス気質のエレガンスを演出してくれるでしょう。
高級腕時計の革ベルトにおすすめ⑤バンビ
出典:http://www.bambi.jp/trait/index.html
1930年創業の日本メーカー・バンビ。
小鹿のバンビなんてとっても可愛らしいブランド名ですが、バンビが自然や人間との交わりの中で成長していくストーリーに感銘を受け、社名にしたとのこと。
ロゴマークも過去にバンビが使用されており、文字のみとなった今なお時々顔を出しているようです。
可愛らしいイメージとはうらはらに、皮革専門ブランドとして海外にも負けない屈指の歴史。そして、その伝統に裏打ちされた技術力・開発力で業界をリードしてきた実力派でもあります。
革ベルトを「取り替える」から「着替える」アイテムへ。
そのコンセプトのもの、時代のニーズを敏感に反映した多彩な製品展開が特徴です。
自社オリジナルブランドだけでなく、スイス有名時計ブランドのOEMも担ってきました。
出典:http://www.bambi.jp/trait/index.html
バンビはバリエーションが本当に豊富で、オーソドックスな革ベルトからクラシカルなヨーロッパスタイル、またポップなカラーリングのものなど多彩。
また、松坂牛の皮革を利用したハイエンドラインなど、日本企業ならではのラインナップをお楽しみいただけます。
さらにすごいのは、開発力。
創業から100年近く経つにもかかわらず積極的に商品開発を手掛ける革新的なブランドで、強力撥水加工の「スコッチガードレザー」、アレルギー対策がなされた「エコピュアラ」。さらに、業界初で特許取得済の「プレミアムクロコ」では、なんとクロコダイル素材の防水加工を実現したのです。
ただデザインや縫製を変えるだけでなく、より便利に、より現代生活に根付いたベルトを生み出す・・・
革ベルトを消耗品ではなく、大切なファッションアイテムへと昇華させています。
お時計はスイス製でも、そんなメイドインジャパンの革ベルトを合わせるのもまた粋ではないでしょうか。
価格帯は非常に広く、革製品の中でも3,000円台から3万円弱となります。
まとめ
腕時計の革ベルトを専門に手掛けるブランドの中でも、屈指の名門5選をご紹介いたしました。
ロレックスやオメガなどの時計メーカーと同様に、皮革専門ブランドもまた長い歴史を誇り、革ベルトへの情熱と職人魂を惜しげもなく注いでいます。
もちろんメーカー純正品も良いけれど、品質や高級感に遜色はありません。
そして何よりの醍醐味は、各ブランドのデザインバリエーションの中から、世界で一つだけの自分の腕時計を作れること。
大好きなメーカーの時計を、元の機能や魅力を損なわずにカスタマイズできるなんて嬉しいものです。
古くなってきたベルトの交換に。ちょっと気分を変えたい時に。革ベルトによるファッションライフを、楽しんでみてくださいね。
Column:腕時計の革ベルトの種類
なお、腕時計の革ベルトには以下のように様々な種類があります。
クロコダイル
腕時計の革ベルトの中では最高品質とされるのがクロコダイル。クロコダイルでしか味わえないウロコ模様は高級感抜群です。
採取する部位によって模様が異なり、「腹部は四角」「脇腹は丸みを帯びた模様」など様々な風合いを味わえます。
カーフベルト
カーフレザーとは生後6ヶ月以内の仔牛の革のこと。カーフは成牛革に比べ非常にキメが滑らかで美しく、キズも少ないのが特徴です。クロコダイルよりも控えめで上品な存在感はカジュアルシーンにピッタリ。型押しなどの加工が一般的です。
コードバン
「革の王様」とも称される馬のお尻の革「コードバン」を使用した革ベルト。繊維が細かい為傷がつきにくく、長く使い込むほどに独特の風合いを楽しめます。クラシックな時計・アンティークウォッチなどにオススメの素材です。
シャーク
サメの皮。少し凹凸があるのが特徴で、耐水性に優れています。
オーストリッチ
ダチョウの皮。クイルマークと呼ばれる毛穴の凹凸が特徴で、耐久性が高いです。
リザード
トカゲの皮。艶やかな発色で、小さく細かな丸い斑が特徴です。
ピッグスキン
豚の皮。若干の凹凸があります。柔軟性を持ち耐久性が高い革です。
バッファロー
バッファロー皮。。カーフに似ていますが、表面にシボ(皺)があり、柔らかいのが特徴です。
ガルーシャ
エイの皮。細かく硬いキャビア状の凹凸が特徴で、表面が非常に硬いです。そのまま凹凸を活かしたタイプと、凹凸をやすりで削ったタイプの2種類があります。
当記事の監修者
廣島浩二(ひろしま こうじ)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチ コーディネーター
一級時計修理技能士 平成31年取得
高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 ロジスティクス事業部 メンテナンス課 主任
1981年生まれ 岡山県出身 20歳から地方百貨店で時計・宝飾サロンで勤務し高級時計の販売に携わる。 25歳の時時計修理技師を目指し上京。専門学校で基礎技術を学び卒業後修理の道に進む。 2012年9月より更なる技術の向上を求めGINZA RASINに入社する。時計業界歴19年