「ロンジンってどんな高級時計ブランドなの?」
「ロンジンの歴史や人気モデルが知りたい」
1832年にスイスのサンティミエで創業し、今尚伝統的な時計を製造し続ける老舗時計ブランド ロンジン。
時計に詳しくない方でも、その名前は知っているという方は多いと思います。
しかし、ロンジンってどんなブランドなのか尋ねてみると、意外にも「そういえば全然知らない」という返答が帰ってくることもしばしば。
そんなロンジンの歴史や魅力について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
ロンジンはパイロットウォッチの雄として名声を浴びた高級時計ブランドです。
この記事では知っているようであまり知らないロンジンの歴史や魅力について、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
人気モデルの紹介もしますので、ロンジンに興味がある方はぜひ参考にしてください。
目次
ロンジン ブランドの誕生
ロンジンは1832年にスイスのサンティミエにてオーギュスト・アガシが時計製造販売会社の共同経営者に就任したことによって始まった時計ブランドです。
懐中時計の製造技術に長けていたロンジンはアガシ家の親族がいたアメリカを中心に、スイス国内、パリに至るまで自社製品の展開を推し進めます。
ブランドとしての全盛期は19世紀後半から20世紀前半。1867年に「レ・ロンジン」と呼ばれる工場を建設し、同年のパリ万国博覧会では銅メダル受賞します。
勢いにのったロンジンは近代的な製造方法にて懐中時計を量産し、1929年のバルセロナ万国博覧会までに通算10回のグランプリに輝きました。
最終的には歴代万博で合計28個の金メダルを獲得し、「最も受賞数の多いブランド」としての名誉を獲得します。
当時の時計界における知名度は現代のロレックスに匹敵するほどであり、誰もが知る時計ブランドとしての名声を獲得しました。
出典:https://www.longines.jp/
1911年時点での従業員数は1,100人以上。誰もが憧れる巨大時計メーカーへとして世界中から注目を浴びました。
ロンジンの象徴、「翼を持つ砂時計」のロゴ
ロンジンが作り上げる時計には文字盤に翼を持つ砂時計のロゴが配されています。
このロゴは製造工場が建てられた1867年以降のモデルから採用されています。ロンジンのブランド名とともに1889年に商標登録され、世界知的所有権機関(WIPO)に登録されている中では最も古いものとしても知られています。
パイロットウォッチの雄として更に名声を高める
1919年にロンジンは国際航空連盟に公式認定され、空のパイオニア専用の時計の製造に取り掛かります。
1931年にはアワーアングル・ウォッチを、1935年にはロンジンウィームスセコンドセッティング機構を開発。
さらに1936年にはフライバッククロノグラフ、1939年にはスプリットセコンドを搭載した自社ムーブメントを次々と打ち出していきます。
いずれもパイロットウォッチ用に開発されたものであり、20世紀前半のロンジンはパイロットウォッチの雄として、世界中から称賛される存在であったといっても過言ではありません。
アワーアングルウォッチについて
ロンジンが作り上げた時計において最も有名なのは1931年に完成した「アワーアングル・ウォッチ」でしょう。
この時計は1927年に世界初の単独大西洋無着陸横断飛行に成功したチャールズ・リンドバーグが航空時計として理想的な機能性をロンジンに考案し、そのアイデアをロンジンが見事に具現化させることに成功したモデルです。
出典:https://www.longines.jp/
特徴はなんといっても航空機の経緯度(現在位置)が一目でわかること。
針の位置とベゼルの目盛りから時角(アワーアングル)を読み取みとることで、地理的な位置を正確に測定することが可能となりました。
この画期的な時計はたちまち当時のパイロットのマストアイテムとなり、ロンジンの人気と名声を確固たるものとします。
現在のロンジンの立ち位置
高級時計においてトップクラスの知名度と人気を誇っていたロンジンですが、現代においてはロレックス・オメガ・タグホイヤーといったブランドにその地位を明け渡しています。そうなった理由は1980年代に起こったクォーツショックが原因です。
クォーツショックはセイコーが水晶の振動によって正確な時を刻むクォーツムーブメントを開発したことにより、それまでの機械式時計の存在理由を大きく覆してしまった出来事です。
現代社会において、クォーツムーブメントを使用している時計は97%程。つまり、機械式時計の需要は3%程となっています。
この事実が示すように、クォーツムーブメントの開発は機械式時計を実用的なモノから趣味性の高いモノに変えてしまいました。
無論スイスの時計業界はこの出来事により大打撃を受け、ごく一部の有名ブランドを残して休眠・倒産が相次ぎます。
パイロットウォッチの雄として名声を博したロンジンも倒産こそ免れましたが、大幅に規模縮小を余儀なくされ、1983年には現在の時計界の最大勢力スウォッチグループに買収され、グループ企業の一員となりました。
スウォッチグループ内での役割
スウォッチグループはカジュアルウォッチ分野と高級時計分野どちらにおいても優れた功績を持つグループですが、現在のロンジンは高級時計のリーズナブルな価格帯を担うブランドです。
スウォッチグループはパネライやIWCを傘下とするリシュモングループよりも「グループ内での役割をハッキリさせる傾向」があるため、ブランドごとに狙う層が決まっています。高級路線のブレゲ、ブランパン。一段下がってジャケドロー、グラスヒュッテオリジナル。そして、オメガ・ロンジン、さらにはハミルトンと続きます。
高級モデルを製造しなくなったことから、ロンジンの技術力は失われたと思われがちですが、そうではなく実はスウォッチグループの戦略に依るところが大きいのです。
スポーツ界との結びつき
タグホイヤーやウブロなど、スポーツ界との結びつきを強めている時計ブランドは近年増えていますが、ロンジンも様々なスポーツ競技とパートナーシップを深めています。
主に全仏オープン・アルペンスキー・アーチェリーといった競技イベントに協賛を行っていますが、2017年にはエレガンス・アンバサダーに体操界のスーパースターである内村航平選手を、日本人として初めて迎えました。
出典:https://www.longines.jp/
内村選手以外にもテニス界に偉人アンドレ・アガシ氏や香港の大スターアーロン・クオック氏といった大物がアンバサダーに就任しています。
ロンジンは知名度こそオメガ・タグホイヤーに後れを取っていますが、高いステータス性を持っていることは間違いありません。
また、ロンジンは1878年に馬とジョッキーが刻まれたクロノグラフを製作して以降、乗馬スポーツとの結びつきを重視してます。
出典:https://www.longines.jp/
1912年には障害馬術競技のパートナーとなり、現在では様々な乗馬スポーツのイベント協賛を行っています。
アンティーク ロンジンも人気
ロンジンの時計は時代ごとに異なる特徴を製造していたことから、アンティークウォッチも人気があります。
左:ロンジン フラッグシップ 3318-7 右:ロンジン フラッグシップ G-TOP 1304-2
似たようなモデルであっても、針の形やケースの形に様々なバリエーションがあるためコレクター要素が強いことがアンティーク ロンジンの特徴です。
ロレックスやオメガのアンティークモデルも高い人気を誇りますが、当時はロンジンの方が知名度も人気も上。ロンジンの栄光を肌で感じることができるのも魅力といえます。
ロンジンの定番人気モデルをご紹介
現在のロンジンは「クラシカルな雰囲気」をもつデザインとリーズナブルな価格がウリです。
ムーブメントは汎用ムーブメントのETA製ですが、メンテナンス性とコストパフォ―マンスに優れているため、機械式時計初心者にはうってつけだと思います。
どうしてもこの同価格帯はオメガ・タグホイヤー・チュードル・ノモスといったブランドに人気が集まりがちですが、敢えて”いい意味での渋さがある”ロンジンを選ぶのも通な選択といえます。
上品で知的な印象を与えたい方は是非ロンジンをお手に取ってみてはいかがでしょうか?
ロンジン マスターコレクション L2.648.4.78.6
シンプルな一本をお探しの方にはこちらのモデルがオススメ。
丸みのあるオシャレなフォントに青く焼かれたブルースティール針。シンプルでありながらも高級感があります。
3時位置には大きめのデイト表示が配置されているため、実用性も抜群です。
定価は294,840円ですが、並行店でなら10万円代で購入することもできます。
ロンジン マスターコレクション ムーンフェイズ L2.673.4.78.3
ロンジン マスターコレクション ムーンフェイズ L2.673.4.78.3
12時位置に月と曜日、ダイアル外周にポインターデイトを備えたトリプルカレンダー、そして6時位置にはムーンフェイズ。一目で機能満載と分かるL2.673.4.78.3はロンジンの数あるモデルの中でもトップクラスの人気を誇ります。
多機能モデルでありながらも上品に纏まったフェイスと、渋いブラウンレザーの相性は抜群。20代が着けても50代が着けても違和感がありません。
定価は411,480円。並行店なら20万円代後半での購入も可能です。
ロンジン マスターコレクション クロノグラフ ムーンフェイズ L2.673.4.51.7
ロンジン マスターコレクション クロノグラフ ムーンフェイズ L2.673.4.51.7
トリプルカレンダー&ムーンフェイズモデルにはブラック文字盤モデルも用意されており、コチラも人気です。インデックスや針はスタイリッシュなシルバーが採用され、ギョーシェ彫りが施された漆黒のダイヤルとの見事なコントラストを演出します。
クラシカルでありながらも、よりカッコイイモデルを手に入れたいと思っている方にオススメです。
ロンジン マスターコレクション クロノグラフ L2.759.4.78.3
ロンジン マスターコレクション クロノグラフ L2.759.4.78.3
パイロットウォッチの雄 ロンジンの時計としてはクロノグラフは欠かせません。
シンプルでクラシカルな雰囲気を放つフェイスは視認性が高く、非常に硬派なイメージとなっています。また、シルバーの文字盤に浮かぶ6本の青い針も大きな魅力です。
直径42.0mmという使いやすいケーズサイズも人気の秘訣といえます。
L2.759.4.78.3は既に製造終了しているモデルではありますが、未だに多くの時計ファンから高い評価を獲得しています。
ロンジン レジェンド ダイバー L3.674.4.50.9
1960年代に手掛けた伝説のダイバーズウォッチを再現した復刻モデル レジェンドダイバー。ロンジンといえばマスターコレクションというイメージが強いですが、こちらのコレクションも人気です。
2時位置のリューズで操作できるインナー回転ベゼル、裏蓋のダイバーのシンボル、ドーム型サファイアクリスタルガラスなど、当時の雰囲気を醸し出しています。
定価293,760円。並行店ならば20万円前後が相場です。
ロンジン コンクエスト クロノグラフ L2.744.4.56.7
ロンジン コンクエスト クロノグラフ L2.744.4.56.7
ロンジンのスポーツラインとして高い人気を誇る“コンクエスト”。ベゼルにタキメーターインデックスを備え、3針とカレンダーの十分な機能を持ったタイムピースです。ケースには高硬度特性を持つセラミックが一部に採用されており、見た目通りのタフさを発揮してくれます。
近年人気急上昇中のコレクションですので、今後より一層注目されそうです。
ロンジン コンクエスト ヘリテージ L1.611.4
コンクエスト ヘリテージは20世紀に人気を博した「コンクエスト」の復刻モデルです。ブラックとローズゴールドで仕上がった美しいダイアルデザインは、高級感に溢れています。ケースバックには七宝焼きのエンブレムが付いており、風防はレトロな魅力を感じるプラスチック風防です。
まとめ
パイロットウォッチの雄として名声を浴びたロンジン。現在はスウォッチグループの傘下としてリーズナブルな価格帯の機械式時計を製作しています。
しかし、リーズナブルな時計であるからといって侮るべからず。
渋さがあって上品なデザイン性は同価格帯の中でも強い存在感を放っており、玄人好みのブランドとして今尚人気を博し続けています。
「流行りに乗りたくない」「大人の雰囲気を放ちたい」といった方はロンジンにぴったりかもしれませんね。
当記事の監修者
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。