「パテックフィリップの年式ってどうやって確認するの?」
「自分の所有しているパテックフィリップの製造年について知りたい」
高級時計の頂点として、圧倒的なステータス性をもつパテックフィリップ。
ぱっと見ではわからない、パテックフィリップの年式や製造年の確認方法が知りたいという人は多いのではないでしょうか。
パテックフィリップの年式や製造年の確認方法は、「アーカイブを申請する」「国際保証書の製造年コードを確認する」「ムーブメントナンバーから推測する」の3つです。
この記事ではパテックフィリップの年式や製造年の確認方法を、GINZA RASINスタッフ監修のもと紹介します。
3つの確認方法について詳しく解説しますので、パテックフィリップの製造年が知りたいという人はぜひ参考にしてください。
目次
パテックフィリップの製造年を確認する方法
パテックフィリップの製造年を確認する方法は大きく分けて3つです。
■アーカイブを取得する
■国際保証書の「製造年コード」を確認する
■ムーブメントナンバーから推測する
いずれの方法も近年のモデルは判別することが難しくなっていますが、型式の古いモデルであれば製造年を確認することができます。
製造年を確認する方法① アーカイブを申請する
パテックフィリップの製造年を確認する方法は「アーカイブの取得」が基本です。
アーカイブとはパテックフィリップ本社の製造・販売データを書面にした「公文書」のことです。
個体の製造年だけでなく、製造当時の状態が詳細に記載されています。
申請はパテックフィリップ公式サイトからオンラインで申し込むことができ、費用は500スイスフラン(日本円で約6万円)となっております。
以前はブティックでの受付も可能でしたが、現在はオンライン申請のみ。
フランス語表記は全て廃止され、英語表記に統一されています。
なお、申請時には時計のムーブメント、ケース、モデル番号の記載が必要で、合わせて時計の外装、ムーブメントの画像も撮影しなければなりません。
申請に不備が無ければ、申し込み完了から約10週間で、スイスからアーカイブが郵送されます。
アーカイブには下記のような情報が記載されており、購入時の時計がどのような状態で出荷されたのかを知ることができます。
①腕時計のタイプ。腕時計=wrist watch、懐中時計=pocket watch。
②ムーブメントのシリアル(個体製造番号)
③ムーブメントのキャリバー
④ケースのシリアルナンバー
⑤型番・素材(写真では型番5053、K18のローズゴールド製ケース)
⑥文字盤の種類
⑦製造年
⑧販売年月日
⑨ブレスレットまたは革ベルトの素材
⑩備考
アーカイブには製造年と販売年月日が記載されているので、いつ製造され、いつ販売された個体なのかを確認することができます。
ただ、パテックフィリップは2021年4月1日より、アーカイブ取得要件の一部を変更したため、販売日が1990年以降の個体は取得不可となりました。※型式の新しいモデルはアーカイブが習得できません。
また、アーカイブ発行後、同一個体は5年間再発行不可となります。
製造年を確認する方法② 国際保証書の「製造年コード」を確認する
国際保証書(ギャランティー)が付属している場合は、「販売年月」であれば知ることができます。
厳密な製造年を確認することはできませんが、おおよその製造年代を推測することが可能です。
また、一部の国際保証書には正確な製造年、製造月が記載されたモノもあり、もし記載されていればアーカイブを申請することなく詳細な情報をご確認いただけます。
なお、一部の国際保証書には「製造年コード」が示されている場合もあります。
製造年コードはアルファベットが4つ並んだ管理番号で、下記の数字に置き換えて読むことで製造年を確認することができます。
アルファベット | 数字 |
---|---|
P | 0 |
A | 1 |
T | 2 |
E | 3 |
K | 4 |
H | 5 |
R | 6 |
O | 7 |
N | 8 |
S | 9 |
もし「PHSN」と記載されていた場合は「P=0」「H=5」「S=9」「N=8」と解読でき、0598という数字が割り出せます。
前半が月、後半が年を示すルールがあるため、「PHSN」は1998年5月に製造された個体であることがわかります。
保証書に記載された「販売年月」と合わせれば、いつ製造され、いつ販売されたのかを知ることが可能です。
ただ、製造年コードは2008年に廃止になったため、近年製造された個体に関しては確認することができません。
そのため、「型の古い個体」の製造年数を確認するときのみ使える手法となります。
製造年を確認する方法③ ムーブメントナンバーから推測する
3つ目の手段としてはムーブメントナンバーから推測するという方法があります。
こちらは裏蓋を開けて、ムーブメントに記載されている番号を読み解く方法です。
パテックフィリップには、シリアルナンバー(ケースナンバー)だけでなく、ムーブメントに固有の番号が存在します。
型式の古いモデルであれば、ムーブメントに記載されたナンバーを読み解くことで大よその製造年代を割り出すことが可能です。
オールドパテックに搭載されるムーブメントは種類が豊富です。
例えばカラトラバの名機「Ref.96」であれば「cal.12-120」「cal.12-400」といったムーブメントが搭載されています。
「Cal.12-120」は自社製12型ムーブメントの初代名機で、製造年は1950年~1955年。
「cal.12-400」はcal.12-400に改良を加えたムーブメントで、こちらは1950年~1961年まで製造されました。
いずれもムーブメントナンバーが記載されており、番号を調べることでいつ頃製造された個体であるのか予測をつけることができます。
例えば「cal.12-400」であればNo.720000からNo.729999がムーブメントナンバーに使用されており、製造シリアルが進むほど製造年数が新しいモデルとなっています。
それ以前であればルクルトベースのムーブメントが有名です。こちらは1925年~1930年に製造され、カラトラバに搭載されました。
その他にもcal.12系の進化系「Cal.27-460(1960年~1970年頃)」「Cal.27SC(1955年頃~1960年頃)」といったムーブメントがあり、搭載されているムーブメントによって製造年を割り出すことが可能です。
また、下記の年式とシリアルナンバーの関係性を示す表を参考にすることでも、おおよその年式を割り出すことができます。
シリアルバンバーの桁が増えるごとに年式も新しくなる傾向にありますが、絶対的な法則ではないので、参考程度にご活用ください。
年式 | シリアルナンバー |
---|---|
1840 | 100〜 |
1845 | 1,200〜 |
1850 | 3,000〜 |
1855 | 8,000〜 |
1860 | 15,000〜 |
1865 | 22,000〜 |
1870 | 35,000〜 |
1875 | 45,000〜 |
1880 | 55,000〜 |
1885 | 70,000〜 |
1890 | 85,000〜 |
1895 | 100,000〜 |
1900 | 110,000〜 |
1905 | 125,000〜 |
1910 | 150,000〜 |
1915 | 175,000〜 |
1920 | 190,000〜 |
1925 | 200,000〜 |
1950 | 700,000〜 |
1955 | 725,000〜 |
1960 | 750,000〜 |
1965 | 775,000〜 |
1970 | 795,000〜 |
1950 | 930,000〜 |
1955 | 940,000〜 |
1920 | 800,000〜 |
1925 | 805,000〜 |
1930 | 820,000〜 |
1935 | 824,000〜 |
1940 | 835,000〜 |
1945 | 850,000〜 |
1950 | 860,000〜 |
1960 | 870,000〜 |
1965 | 880,000〜 |
1970 | 895,000〜 |
1940 | 900,000〜 |
1945 | 915,000〜 |
1960 | 960,000〜 |
1965 | 975,000〜 |
1970 | 995,000〜 |
1960 | 1,100,000〜 |
1965 | 1,130,000〜 |
1970 | 1,250,000〜 |
1975 | 1,350,000〜 |
1980 | 1,450,000〜 |
1985 | 1,600,000〜 |
1990 | 1,850,000〜 |
まとめ
パテックフィリップの年式や製造年の確認方法は、「アーカイブを申請する」「国際保証書の製造年コードを確認する」「ムーブメントナンバーから推測する」の3つです。いずれかの手段を用いることで、製造年を確認することができます。
最も確実なのはアーカイブを申請すること。これにより、製造年だけでなく様々な情報を習得することが可能です。
型式の古いオールドパテックをお持ちであれば、ぜひ申請してみてはいかがでしょうか。
当記事の監修者
田中拓郎(たなか たくろう)
高級時計専門店GINZA RASIN 取締役 兼 経営企画管理本部長
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
当サイトの管理者。GINZA RASINのWEB、システム系全般を担当。スイスジュネーブで行われる腕時計見本市の取材なども担当している。好きなブランドはブレゲ、ランゲ&ゾーネ。時計業界歴12年