「コーアクシャルとマスターコーアクシャルってどこが違うの?」
「コーアクシャルとマスターコーアクシャル、それぞれの魅力が知りたい」
コーアクシャル機構はオメガにしか採用されていない画期的なムーブメントです。
同機構が搭載されたムーブメントはパーツの摩耗を最小限に抑える設計が施されており、他社のムーブメントよりも遥かに壊れにくいムーブメントに仕上がっています。
通常機械式時計は3年~5年に一度オーバーホール(分解掃除)をする必要がありますが、なんとコーアクシャル機構ならば8年~10年に一度と約2倍長持ちします。
そんなコーアクシャル機構ですが、オメガのラインナップを覗くと「コーアクシャル」と「マスターコーアクシャル」の2種類があることが分かります。
2つの機構の違いについて知りたいという人は多いのではないでしょうか。
より高い性能を持っているのはマスターコーアクシャルです。
この記事ではコーアクシャルとマスターコーアクシャルの違いについて、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
それぞれの機構を搭載したモデルの紹介もしますので、オメガの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
出典:https://www.omegawatches.jp/
目次
コーアクシャル機構のおさらい
コーアクシャル機構はオメガにしか採用されていない画期的なムーブメントです。
最大の特徴は「摩耗が少なく壊れにくい」という点。
通常機械式時計は3年~5年に一度オーバーホール(分解掃除)をする必要があります。これは時計を使用し続けることにより、油が切れてパーツが摩耗してしまうからです。
油が切れたままパーツを摩耗させ続けると、次第に精度が狂い、最終的に時計は壊れてしまいます。
しかし、オメガのコーアクシャルムーブメントはパーツの摩耗を最小限に抑える設計が施されており、他社のムーブメントよりも遥かに壊れにくいムーブメントに仕上がっています。
冒頭でも申し上げましたが、コーアクシャルムーブメントの推奨オーバーホール間隔は8年~10年となっており、単純計算すると一度のオーバーホールで通常の2倍長持ちするムーブメントということになります。
つまり、オーバーホールにかかる費用が1/2となるわけです。
加えて、「磁気・衝撃・気温・水」といった環境要因に対する耐久性は、全て厳しい認定試験をパスしています。特に対磁性は高級腕時計としては屈指の性能です。
コーアクシャルとマスターコーアクシャルの違い
コーアクシャルとマスターコーアクシャルの違い。それは耐磁性能にあります。
1000ガウスの耐磁性能をもつコーアクシャルに対し、マスターコーアクシャルの耐磁性能は15000ガウス。およそ15倍の耐磁性能を誇ります。
出典:https://www.omegawatches.jp/
電化製品に囲まれて生活している現代社会において、当然ながら腕時計は常に「磁器帯び」の危険性があります。
機械式時計はちょっとした磁気の影響でもパーツが磁気帯びしてしまうため、磁気に強い時計はそれだけでも優れた時計といえるのです。
現時点におけるマスターコーアクシャルの15000ガウス耐磁性能は時計界において他の追随を許さない圧倒的な数字であり、まさに最強の耐磁ムーブメントであるといえるでしょう。
とはいえ、通常のコーアクシャルムーブメントが帯磁しやすいわけではありません。
ロレックスのミルガウス、グランドセイコーのメカニカル等といった他ブランドの耐磁時計も1000ガウスですので、コーアクシャルの耐磁性能が低いわけではなく、マスターコーアクシャルの耐磁性能が飛びぬけていると言えるでしょう。
- ピップエレキバン:1800ガウス
- U時磁石:2500ガウス
- 病院のMRI:15000ガウス
コーアクシャルでは耐えられなくても、マスターコーアシャルなら耐えられる磁石製品は上記のようなモノです。
マスターコーアクシャルであれば、磁気帯びは殆ど気にしなくても良いでしょう。
主なマスターコーアクシャル搭載モデル
オメガ シーマスター 300 マスターコーアクシャル 233.30.41.21.01.001
1957年に、潜水士などの水中作業のプロフェッショナルへ向けてデザインされ登場した“シーマスター300”。こちらは、そのアイコニックなモデルの雰囲気を現代の技術と共に再構築したモデルです。
ムーブメントには15,000ガウスの耐磁性を備えたマスターコーアクシャルムーブメントCal.8400を搭載。サンドブラスト仕上げのブラックダイアルにはスーパールミノバが塗布され、ベゼルのインデックスにはリキッドメタルが使われています。
全てにおいてハイクオリティーな一本ですが、並行店であれば何と40万円台で購入することが可能です。
オメガ シーマスター アクアテラ マスターコーアクシャル 231.10.42.21.03.003
その精度と防水性能の高さにより、果敢に海の冒険へ挑む人々をサポートしてきた“シーマスター”。「チークコンセプト」と呼ばれる凹凸のある文字盤がヨットのデッキを連想させます。
このモデルは15000ガウスもの磁気に晒されても帯磁しないマスター・コーアクシャル・キャリバー8500を搭載。ツインバレルにより60時間ものロングパワーリザーブを実現しています。
並行新品相場は40万円~45万円。実にお得な一本です。
オメガ シーマスター アクアテラ ゴルフ マスターコーアクシャル 231.10.42.21.01.004
オメガとゴルフ界との深いつながりを、Seamasterのロゴ、分表記のアラビア数字、秒針の先端に使われたグリーンで表現したモデルです。定番モデルにはない個性をもつ一本であり、ゴルフ好きの方は勿論のこと、そこまで興味がない方にもオススメです。
更なる上位互換!コーアクシャル マスタークロノメーターとは
実は近年オメガから更なる上位互換であるコーアクシャル マスタークロノメーターが開発されました。
マスタークロノメーターはその名の通り「精度がクロノメーター仕様」になっており、実用性がさらに向上しています。
出典:https://www.omegawatches.jp/ja/
なお、耐磁性能に関してはマスタークロノメーターと同等の15000ガウスに耐えうる耐磁性能となっています。
つまりコーアクシャルの耐磁性能を15倍にしたムーブメントがマスターコーアクシャルであり、更に精度を向上させたものがコーアクシャル マスター クロノメーターということになります。
性能が上がるにつれ価格も上がっていきますので、どのムーブメントを選ぶかは予算と相談して決めるとよいでしょう。
出典:https://www.omegawatches.jp/ja/
ちなみにマスタークロノメーターは写真のようなカードタイプのクロノメーター証明書が付属します。
このプレミア感もマスタークロノメーター搭載モデルの魅力です。
主なマスタークロノメーター搭載モデル
オメガ シーマスター アクアテラ マスタークロノメーター 220.10.41.21.03.002
2017年に発売されたアクアテラ待望の新作モデル。
サンブラッシュ仕上のブルーダイヤルが立体感と爽やかな印象を与え、実用性に関しても最高品質の一本となりました。
ちなみに「チークコンセプト」と呼ばれる文字盤のストライプはこれまでは縦に彫り込まれていましたが、今作では横に彫り込まれています。
並行新品価格は意外にも40万円台。非常にお買い得なモデルとしても人気です。
オメガ シーマスター プラネットオーシャン マスタークロノメーター 215.30.40.20.03.001
常にオメガの人気ランキングを席巻しているシーマスターの定番モデル。
スイス連邦計量・認定局(METAS)承認のマスタークロノメーターの認定を受けたCal.8800を搭載したモデルです。。2重香箱による60時間のパワーリザーブを実現しており、耐磁性・精度・実用性・視認性といった全ての項目で高い評価を獲得しています。
並行店であれば40万円台で買えるリーズナブルさも見逃せません。
オメガ シーマスター レイルマスター マスタークロノメーター 220.10.40.20.06.001
鉄道用時計を原点とする高精度モデル「レイルマスター」。1957~1961年というわずかな期間だけ製造された、レイルマスターの復刻モデルです。ムーブメントにはクロノメーター搭載cal.8806を採用。ビジネスシーン・カジュアルシーン問わず使用できるシンプルなデザイン性が魅力です。
価格がリーズナブルなこともレイルマスターの特徴で、並行店なら30万円台で購入することができます。
オメガ スピードマスター ムーンフェイズ マスタークロノメーター 304.33.44.52.01.001
NASAの6度にわたる月面着陸プロジェクトすべてに携帯された時計として、オメガを代表するモデル“スピードマスター”。
このモデルにはMETASの認証を受けたマスタークロノメーター9904を搭載しており、優れた精度と対磁性能が保証されています。
サンブラッシュ仕上げの黒文字盤に、ロジウムプレート仕上げを施されたインデックスと針の組み合わせは実に見事です。
定価は1,220,400円と非常に高額ですが、並行店であれば70万円台にて購入することができます。
まとめ
コーアクシャルよりもマスターコーアクシャル。マスターコーアクシャルよりもコーアクシャル マスタークロノメーターの方が性能が優れています。
いずれも完全に上位互換となっていることから、少しでも機能性が高い時計を欲している方はコーアクシャル マスタークロノメーターを搭載したモデルを購入することをオススメいたします。
性能が上がるにつれ定価も上がっていきますが、実は並行新品相場はコーアクシャル搭載モデルもマスタークロノメーター搭載モデルも大差ありません。
デザインの好みは人それぞれですが、よりコストパフォーマンスに優れているのは新型であるといえます。
当記事の監修者
廣島浩二(ひろしま こうじ)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチ コーディネーター
一級時計修理技能士 平成31年取得
高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 ロジスティクス事業部 メンテナンス課 主任
1981年生まれ 岡山県出身 20歳から地方百貨店で時計・宝飾サロンで勤務し高級時計の販売に携わる。 25歳の時時計修理技師を目指し上京。専門学校で基礎技術を学び卒業後修理の道に進む。 2012年9月より更なる技術の向上を求めGINZA RASINに入社する。時計業界歴19年